66. 2020年6月26日 05:29:34 : Tjp29WtuHh : djdRUXBoYzFYYTI=[1]
中島みゆき「ローリング」の歌詞について考えた
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しょうもないことでイライラして自己嫌悪におちいった。外で急に中島みゆきの「ローリング」を歌い上げたくなって、口ずさんだ。
90年代に中島みゆきのファンで、ファンクラブにも入っていたんですよ。歌詞は全曲覚えていた。
「ローリング」の歌詞を覚えてるか思い出してみたが、三番しか正確に思い出せなかった。三番はつながってるから覚えやすいと思う。
"初音ミクに中島みゆきのローリングを歌ってもらった.wmv"
https://t.co/3ghypvdMm5
中島みゆき ローリング 歌詞
https://t.co/4M4HzS0l4W
工事ランプの凍る路地をたどって
探しあぐねた たむろできる場所を
→考えたことなかったけど、あらためて読んでみる。「工事ランプ」って、工事現場の夜のピカピカ光るやつか。凍るっていうのは、実際に凍っちゃったっていうよりは、ランプの赤も寒々しく見えるよってことと読みたい。
二行目を見ると、このひとは居場所を探しているんだね。「たむろ」ってことは、一時的な居場所だ。夜のゴツゴツした街をあてもなくさまよっていますよという出だしだ。
昨夜騒いだ店は 客を忘れて
一見相手の洒落た挨拶を配る
→「昨夜」とあるけどここは「ゆうべ」と歌う。たしかに飲み屋って客引きのときに気のきいたことを言うね。それを「洒落た挨拶」と表現した。
盛り上がったって、店から出てしまえば他人になる。そのさびしさを言ってるんだね。
Rollin' Age 淋しさを
Rollin' Age 他人に言うな
軽く軽く傷ついてゆけ
Rollin' Age 笑いながら
Rollin' Age 荒野にいる
僕は僕は荒野にいる
→ここがサビ。「Rollin' Age」って例の「時代は回る」みたいな意味だと思ってきた。
そういう英語表現があるのかと思ってさくっと検索してみたが、上位10件ほとんど中島みゆきのこの歌のことがでてくる。
「淋しさを」「他人に言うな」「軽く軽く傷ついてゆけ」。ここにはなにか、毅然としていながら、うっとりするものがある。
「淋しさを他人に言うな」と歌うこの人だったら、自分の淋しさをわかってくれるんじゃないか、他人に言わずにいられない淋しさを知っているんじゃないか。ちょっとそう思えてくる。
「中島みゆき聞いていると逆に中島みゆきに話を聞いてもらっている気持ちになる」とどこかで読んだことがある。
「軽く軽く傷ついてゆけ」もいいなあ。たくましいよ。なにかで守ろうとか、逃げようとか、ぜんぜんしない。「軽く軽く」からは、たくさん傷ついてきたんだろうなって感じがする。
「笑いながら」「荒野にいる」「僕は僕は荒野にいる」。おもしろくて笑ってる笑いじゃないね、これは。傷ついて傷ついて、その果ての笑いだ。
「一人きり笑うことはできない」と同じくらいの時期のほかの歌「with」で歌っているけど、こっちはどう見ても一人きりで笑っている。「with」よりずっと進んだ心境だろう。
黒白フィルムは 燃えるスクラムの街
足並揃えた幻たちの場面
それを宝にするには あまり遅く生まれて
夢のなれの果てが転ぶのばかりが見えた
→これが二番。今見てもよくわからないところがある。見ていく。
「白黒」といわずに「黒白(こくびゃく)」と言っている。この歌詞以外で「こくびゃく」なんて聞いたことない。インパクトのある歌いだし。
「黒白フィルムは燃える スクラムの街」だと思ってたけど「黒白フィルムは 燃えるスクラムの街」だったんだ。この差は大きい。
「スクラムの街」っていうのは、なにか敵に対して団結していて、許さないものは絶対許さないってことなのか。「アンテナの街」っていう歌もあったけど、窮屈な街っていうのが中島みゆきの歌には出てくる。
「黒白フィルムは燃える/スクラムの街」だと、街がスクラムをくんでいるから有害な内容と判断されたフィルムは燃やされてしまう、という意味になる。そういう意味だと思った。でもよく見ると別の場所で切れているので、意味がかわってくる。
「黒白フィルムは/燃えるスクラムの街」だと、白黒のフィルムに映っているのが、燃える街なんだということになる。完全に意味が変わる。
その次の「足並揃えた幻たちの場面」というのは、軍隊の行進している映像と考えられる。
「幻たち」っていうのは、彼らは亡くなっていったってことなのか。
戦争で街が燃えているんだとすれば「スクラム」の意味も変わってくる。敵国に対する「スクラム」になる。
「それを宝にするにはあまり遅く生まれて」。たしかに中島みゆきは戦後生まれだけど、そこを言いたいわけじゃないのでしょう。うーん。
それより、早く生まれればそれが宝になるのか。戦争に行ったらその記憶や記録が宝になるってこと??
「夢のなれの果てが転ぶのばかりが見えた」。戦争を知らないくらい遅く生まれたから夢が叶わないよってこと? 意味を追う読み方をすると苦しいなあ。この箇所はいまだによくわからない。
三行目までをあまり考えずにこの部分だけ見ると、挫折と陶酔があるし、ずっとそういうふうにとらえていた。
二番の歌詞をさっきみたいに戦争読みすると、一番で酒をかっくらってさまよっている男と、いまいち脈絡がつかなくなる。サビの部分ともよくつながらない。
一番と同じサビがあって、三番にいきます。
9桁の数字を 組み替えて並べ直す
淋しさの数と同じ イタズラ電話
ボックスを叩く街の風が冷たい
どうしても1つだけ押せない組がある
→三番。このときは電話番号といったら9桁なんだね。
さみしさのあまりイタズラ電話をせずにいられない「僕」なのかと思ったけど、そうじゃない読みもあるね。逆に、イタズラ電話がかかってきて、そこに相手の淋しさを感じたのかもしれない。
三行目を見ると、主人公は電話ボックスにいるみたいだし、イタズラ電話をかける側にいると考えるのも自然だ。
「淋しさを他人に言うな」とかっこいいことを言いながらイタズラ電話してるというのは、どうなのか。いや、こういうかっこわるい自分を踏まえてそれを言ったのか。
「どうしても1つだけ押せない組がある」ではじめて浮かび上がってくる人影がある。
三番の歌詞の、サビ直前ではじめて「僕」と深い関係がありそうな他人がでてくる。電話できなくなってしまった理由があるはずで、ここにドラマが圧縮されている。他人に言わずにいた「僕」の「淋しさ」の輪郭が、最後になって浮き上がる仕組みになっている。
最後のサビは「僕は僕は荒野にいる」がくりかえされて終わる。「荒野」というのは、居場所がない人間、誰にも関わることができない人間のたどり着く場所なんでしょう。飲み屋にも、過去の栄光や挫折にも、大切な誰かにも、すがることのできない「僕」の場所なのでしょう。
以上、中島みゆきの「ローリング」という歌の歌詞について突発的に考えて書いてみました。
"中島みゆき - ローリング(1993年) cover XXkurage"
https://t.co/4HUuZwggU7
カバーなんだけど、本人みたいな声だ。中島みゆき本人の歌う動画はないし、あってもYAMAHAが削除するので、こういう動画がたよりになる。
「スクラムの街〜」のところで、大学紛争の画像がでてきた。あー、そういう意味なのか。そうなると、腑に落ちるところがある。
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