13. 保守や右翼には馬鹿し[258] lduO54LiiUWXg4LJgs2Ubo6tgrU 2023年7月01日 06:58:02 : 5jTOgObJUE : d0w5SVlpUmxYYjY=[1]
ミュンシュ のブラームスの一番を聴いて
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先週の金曜日に出張から帰って来たときは、まだ気合が入っていたので、疲れはわかりませんでした。老人力のおかげで、疲れを感じ始めるのも、二、三日かかるようになって来たからです。火曜日の午後に整体に行きました。鍼治療後は副交感神経に切り替わり、体が浮くような感じがして眠たくなり、家までの車の運転も普段以上に気をつけました。それから身体がリラックスしたのか、今までの疲れがいっぺん出て来て、翌日の午前中までが一番疲れを感じましたね。緊張がようやくほぐれたのでしょう。
翌る日、待っていた国際郵便が届きました、ミュンシュのブラームスの一番の初版盤です。ミュンシュがパリ管弦楽団を率いて録音した最後のアルバムの一つです。同時期に録音された、ベルリオーズの幻想交響曲やオネガーの交響曲、ラベルの管弦楽のレコードは持っているのですが、ブラームスの一番だけ持っていませんでした。先日来、レコードマニアのあいだでは、このブラームスの録音がうまくかからないと言われているようです。そのまま掛けると低音が過剰で、音が歪むのだそうです。ミュンシュ は気合で演奏するタイプの指揮者です。同時期の幻想交響曲も圧倒的な名演で、音が躍動して聞こえます。冒頭から全力をあげるので、マスターリングの時によほど気をつけないと、過大入力で本来の味が出ないのではと思いました。
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このレコードは1968年の発売です。5年後の1973年に出た赤枠のフランス盤で幻想交響曲は持っていますが、二版特有のハイ上がりになっています。同時にレコードとは思えないほどの低域が強調されていて、コントラバスやティンパニーの音とがどんどんと響いて来ます。その傾向は、CDでも同じで、その時のマスターを使っているからでしょう。そして、幻想でこれですからブラームスの一番では、冒頭のティンパニーの強打から持ち上がっているのだろうと思います。二版以降は録音レベルも高く、過大入力で音が歪んで聞こえます。その結果、通常の低域が膨らんでいる装置で聴いた場合、過大入力で歪むであろうということは想像できました。
CDも出現してから40年以上! 未だにCDは聞かないと言われるレコードマニアもおられますが、そのCDも、今やレコードに通販サイトでは、Diskを購入するよりもファイルをダウンロードする人の方が多いそうです。若い世代の人はそうでしょう。レコードジャケットを並べて検索しやすくされている方も多くなりました。先日訪問した椀方さんもファイルを整理して、見易くされています。私自身は、いまだに、実物主義でCDやDVDもDiskがあることに拘っています。その意味ではCDを聞かないレコードマニと同じですね。
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ところが、2年前の3月に光カートリッジに遭遇してから、ラックとアームとターンテーブルの進化と、光カートリッジの世界にレコード再生は全面的に変わりましたが、その理由の一つが、イコライザーで持ち上げていないレコードの低域と、電磁型のカートリッジでは逃げられない歪みがないことが挙げられます。レコード最内周での歪みの無さや、インサイドフォースキャンセラーに引っ張られていく音も、レコードのトレーシングが変わり今までのレコード再生は何だったのかというほど変わりました。
その1番わかりやすい例の一つが、今回のブラームス一番ではないかと思いました。それを確かめるには、初期盤を手に入れなくてはなりません。その初版盤をパリのお店から購入しました。運賃入れて€ 130でしたから、初期盤としてはまあまあの価格ですね。最近は本当にオリジナル盤のレコードは高騰しています。
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さて、流行る気持ちを抑えて、レコードを洗いおもむろに針を載せました。初期盤特有の奥ゆかしい、むしろ静かとも言える演奏が聞こえて来ました。冒頭のティンパニーは、力強く響いて来ますが、トスカニーニのように一気化成というわけではなく、次第にアッチェランドしてオーケストラが体言止めのように休止します。だからと言って幻想の演奏様に奔放ではなく、やはりブラームスの規矩の中に入った演奏です。パリ管弦楽団でブラームスというのは、アルザス地方のストラスブールに生まれたミュンシュ ならではだからでしょう。コンセルバトワール時代のクリュイタンスのベートーヴェンとは意味合いが違ったミュンシュ の奥底から出てくる情念に突き動かされている演奏なのかもしれません。
巷間言われるような、歪みだらけで、とても聴いていられないというのは、後年のマスターリングの盤を聞いているのでしょう。確かにこの一連のミュンシュ の録音は、フランス録音特有の深く重厚な低音と、情熱的な高音も出て来ます。トレーシングの悪いカートリッジや歪みが出やすいアームの場合、音が歪んだりするように聞こえるかも知れませんね。この点が改善するために、光カートリッジやリニアトラキングアーム、そして外部駆動のモーターと一連の準備をして来たのです。
今までの重厚な音のする、重針圧のカートリッジやアームの組み合わせでは、このフランス盤特有の音はトレーシングができないのではと思いました。この入力をMolaMolaのプリのなかで、一旦モノラルにして片側の位相を逆転すると、同一位相で収録している録音とは違ったどこかに逆相成分を含んだフランス盤特有の音が聞こえます。超低域の音が入っている場合、電磁式のカートリッジでは、振幅の速度が遅くなり、どうしてもRIAAの低音上昇カーブに頼らざるを得ません。その場合は、カートリッジ、アーム、低音増強型のイコライザーカーブの相乗効果で、歪みが多い音にならざるを得ないのではないかと思います。光カートリッジの優位性が一番出る盤かも知れません。
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また、外部のトルクフルなDCモーターに変えた身からすると、EMTやガラードなどの古いプレーヤーでは、駆動系の安定がとても重要です。モーター自身の静けさをハード面からもっと重要視するべきだと思います。その辺りのモーターの修理は単なる進相コンデンサーの値調整だけではなく、物理的にモーターの分解調整をできる人を見つけるのが大事だと思います。ヨーロッパでもそういう人がいなくて探しているようですが。
それでは、CDではどうなのかといえば、リマスターされたテープから作られたCDのマスターも、低音増強の音になっています。そしてお座なりとも言えるマスターリングで、課題入力が発生して音が歪んでいます。SACD盤もDSD収録の方式に優位性があったとしても、元のマスターが歪んでいる場合は、同様な音から逃れられないでしょう。オリジナルは1968年です。5年後の1973年のReissue盤、1991年のリマスター盤、2001年再リマスター盤、そして2021年のSACD用リマスター盤も元のオリジナルの1968年の版とは違う音でできていると言わざるを得ません。
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この問題の根っこは深く、なぜオリジナル盤にこだわるかも含めて、レコードプレーヤーの奥深さと様々な奇跡を辿る旅なのかも知れません。聴かなければわからないし、聞いても望んでなければ目の前を通り過ぎるだけです。
最近はマウスのやり過ぎからきた腱鞘炎と、本格的に忙しくなって来た仕事にも追われて、出張が続きオーディオに専念できません。訪問ご希望の方も順延していただいているような状況なので、いつ実験ができるかわかりませんが、ミュンシュ の今一枚の幻想のオリジナル盤も手に入れて、二版との比較をしてみようと、自虐的に考えています。
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