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[近代史5] 縄文人の起源 中川隆
13. 2020年8月27日 06:31:13 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[1]
2020/08/25
縄文人ゲノム解析から見えてきた東ユーラシアの人類史
覚張 隆史(金沢大学人間社会研究域附属 国際文化資源学研究センター 助教)
太田 博樹(生物科学専攻 教授)
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/info/6987/

発表のポイント

伊川津貝塚(注1)遺跡出土の縄文人骨(IK002)の全ゲノム配列を解析し、アフリカ大陸からヒマラヤ山脈以南を通り、ユーラシア大陸東端に到達した最も古い系統の1つであることを明らかにした。
本州縄文人(IK002)の全ゲノム・ドラフト配列の詳細な解析から東ユーラシア全体の人類史の新たなモデルを示した。
縄文人ゲノムは、東ユーラシアにおける現生人類集団の拡散及び遺伝的多様性を理解するのに不可欠であり、高精度縄文人ゲノム解読を進め、日本列島人ゲノムの総合的理解に貢献する。

発表概要
アフリカで誕生したホモ・サピエンスが、ユーラシア大陸の東端まで如何に到達したかは、いまだ明らかではなく、ヒマラヤ山脈以北および以南の2つのルートが考えられている。東アジアに最初にたどり着いた人々は、考古遺物から北ルートと想定されてきたが、最近のゲノム研究は、現在東ユーラシアに住んでいる全ての人々が南ルートであることを示している。

東京大学大学院理学系研究科 生物科学専攻の太田博樹教授と金沢大学人間社会研究域附属国際文化資源学研究センターの覚張隆史助教は、コペンハーゲン大学やダブリン大学と国際研究チームを結成し、この矛盾の解決に取り組んだ。

古くから縄文遺跡として知られる伊川津貝塚遺跡から出土した女性人骨(図1)の全ゲノム・ドラフト配列を詳細に解析し、縄文人骨(IK002)のゲノムは、東ユーラシアのルーツともいえる古い系統であり、南ルートに属し、北ルートの影響をほとんど受けていないことを明らかにした。

図1:左の写真は、伊川津貝塚出土人骨(女性)IK002。右の写真は、側頭骨錐体という頭蓋骨の一部をダイヤモンドカッターで切断している様子。

このことは、縄文人が東ユーラシアで最も古い系統の1つであることを示唆する。現在の東ユーラシアの人々の遺伝的ランドスケープを理解するためには、より高精度の縄文人ゲノム解読が不可欠であり、今後、高精度縄文人ゲノム解読を進め、日本列島人ゲノムの総合的理解に貢献する。

発表内容
研究の背景・先行研究の問題点
近年の研究から、ホモ・サピエンスはいまから約7〜6万年前に、アフリカ大陸からユーラシア大陸へ拡散したことが明らかになっている。ユーラシア大陸の東側、すなわち東南アジア、東アジア、北東アジアへは、約5〜4万年前までにホモ・サピエンスがたどり着いていたと考えられている。しかし、どのような経路(ルート)を通って到達したかは、いまだ定説はない。

アフリカ大陸からユーラシア大陸の東端までのホモ・サピエンスの拡散は、後期旧石器時代に相当する。石器など考古遺物はヒマラヤ山脈以北および以南どちらからも見つかるので、拡散の経路として北と南の2つのルートがあったはずだ。ただし、南北で石器の特徴は異なり、東アジアから北東アジアにかけては、北ルートの特徴をもつ石器が主に見つかる。このため、日本列島にたどりついた最初のホモ・サピエンスは、北ルートを通ってやって来たと考えるのが自然だ。ところが、近年劇的に蓄積されている人類集団ゲノム情報を解析すると、現在ユーラシア大陸の東側に住んでいる人々は、南ルートで来たことを示す。つまり、考古遺物から考えられてきた人類史とは異なるストーリーであるが、この矛盾はこれまであまり議論されてこなかった。

東京大学大学院理学系研究科 生物科学専攻の太田博樹教授と金沢大学人間社会研究域附属国際文化資源学研究センターの覚張隆史助教らの研究グループは、縄文人(ここでは“縄文文化をもった人々”と定義する)の骨からDNAを抽出しゲノム解読するプロジェクトを約10年前から進めてきた。そして2018年、コペンハーゲン大学を中心とする国際チームが解析した東南アジアの古い人骨のゲノム配列データとともに、伊川津貝塚遺跡から出土した縄文人骨(IK002)の全ゲノム・ドラフト配列を発表した(McColl et al. 2018)。この論文では、約2千500年前の本州日本に住んでいた女性IK002が、ラオスで出土した約8千年前の狩猟採集文化を伴う人骨(La368)と、東南アジア・東アジア各地に現在住む人々の誰よりも、遺伝的に近縁であることを報告した。

今回、太田博樹教授と覚張隆史助教は、ダブリン大学トリニティー校の中込滋樹助教、コペンハーゲン大学のマーティン・シコラ准教授らとともに国際チームを結成し、伊川津縄文人(IK002)を主役とした論文をCommunications Biologyに発表した。この新たな論文(Gakuhari & Nakagome et al. 2020)では、(i) IK002は日本列島にたどりついた最初のホモ・サピエンスの直接の子孫か否か?(ii) IK002は南ルートの子孫で北ルートでやってきた人々の遺伝的影響はないのか?の2つを明らかにする目的で詳細な全ゲノム解析をおこなった。

研究内容
過去から現在の東ユーラシア人類集団のゲノム情報をもちいて系統樹を構築した。この系統樹では、ラオスのLa368(約8千年前)とバイカル湖近くのマルタ遺跡出土人骨(MA-1:約2万4千年前)を南北の指標として含めた。もしIK002が北ルートのゲノムを多く引き継ぐなら、“樹”でIK002はMA-1の近くの“枝”に位置するだろう。反対にIK002が南ルートのゲノムを多く引き継ぐなら、La368の近くに位置するはずだ。結果は後者であった。MA-1とLa368が分岐した後、La368の枝のすぐ内側で中国東部の田園洞人骨(約4万年前)が分岐し、つづいて現代のネパールの少数民族・クスンダが分岐し、その次にIK002が分岐した。現代の東アジア人、北東アジア人、アメリカ先住民は、さらにその内側で分岐した。この結果は、IK002のみならず、現在の東アジア人、北東アジア人およびアメリカ先住民が、南ルートのゲノムを主に受け継いでいることを示している。IK002の系統は東ユーラシア人(東アジア人、北東アジア人)の“根”に位置するほど非常に古く、東ユーラシア人の創始集団の直接の子孫の1つであった。そして、IK002は日本列島にたどりついた最初のホモ・サピエンスの直接の子孫である可能性が高いことが判明した。

また、先行研究(Jinam et al. 2012)で発表された北海道アイヌの人々のデータなど日本列島周辺の人類集団との関係を分析したところ、本州縄文人であるIK002は、アイヌのクラスターに含まれた。この結果は北海道縄文人の全ゲノム解析(Kanzawa-Kiriyama et al. 2019)と一致し、アイヌ民族が日本列島の住人として最も古い系統であると同時に東ユーラシア人の創始集団の直接の子孫の1つである可能性が高いことを示している。

さらに、IK002と現在および過去の東ユーラシア人へのマルタ人骨(MA-1)からの遺伝子流動(集団間の交雑)の痕跡をD-testと呼ばれる統計解析で検証した。これまでの研究から、現在の北東アジア人およびアメリカ先住民へは、MA-1からの遺伝子流動が有意な値で示されてきている(Raghavan et al. 2014)。しかし、本解析では、現在の東アジアおよび東南アジア人類集団へのMA-1からの遺伝子流動はほとんど検出されず、IK002へもMA-1からの遺伝子流動の統計学的に有意な証拠は示されなかった。すなわち、北ルートでやってきた人々のゲノムの影響は、IK002のゲノムで検出されなかった。

社会的意義・今後の予定
本研究の成果は、日本列島・本州に約2千500年前に縄文文化の中を生きていた女性が、約2万6千年前より以前に、東南アジアにいた人類集団から分岐した「東ユーラシア基層集団(東アジア人と北東アジア人が分岐する以前の集団)」の根っこに位置する系統の子孫であることを明らかにした(図2)。

図2:東アジア人類集団の形成史をモデル化した図

すなわち、縄文人が東ユーラシアの中でも飛び抜けて古い系統であることを意味し、延いては、縄文人ゲノムが現在のユーラシア大陸東部に住む人々のゲノム多様性を理解する鍵を握っていることを示している。

ただ、本研究はIK002という1個体の詳細なゲノム解析であり、したがって、これらの結果はIK002という個体について言えることで、すべての地域・時代の縄文人について言えるわけではない。たとえば、本研究では「北ルートでやってきた人々のゲノムの影響は検出されなかった」と結論づけているが、これはIK002についての結論であり、別の個体では北ルートのゲノムが検出されるかもしれない。さらに、大陸から日本列島への移住ルートについては、今後、列島内のさまざまな地域の縄文人骨を分析することによって解明されてくるもので、いまは分からないことは注意すべき点である。

今後、(I) 個体数を増やすこと、(II)より高精度のゲノム解読をおこなうことの2つが近々の課題である。太田博樹教授らのグループは既に愛知県田原市・伊川津貝塚遺跡から出土した他の5個体や千葉県市原市から出土した縄文人9個体の高精度ゲノム解析を進めている。

参考文献
・McColl et al. (2018) The prehistoric peopling of Southeast Asia. Science 361:88-92.
・Kanzawa-Kiriyama et al. (2019) Late Jomon male and female genome sequences from the Funadomari site in Hokkaido, Japan. Anthropological Science 127: 83-108.
・Jinam et al. (2012) The history of human populations in the Japanese Archipelago inferred from genome-wide SNP data with a special reference to the Ainu and the Ryukyuan populations. Journal of Human Genetics 57: 787-95.
・Raghavan et al. (2014) Upper Palaeolithic Siberian genome reveals dual ancestry of Native Americans. Nature 505: 87-91.

なお、本研究は次ぎの文部科学省及び日本学術振興会の研究助成補助金、25284157 (山田)、16H06408、17H05132、23657167、17H03738(石田・埴原・太田)、16H06279『ゲノム支援』(豊田)、及び『金沢大学超然プロジェクト』(覚張)、『九州大学生体防御医学研究所共同研究プログラム』(柴田)の助成を受け完遂されました。

発表雑誌
雑誌名 Communications Biology
論文タイトル Ancient Jomon genome sequence analysis sheds light on migration patterns of early East Asian populations
著者 Takashi Gakuhari#, Shigeki Nakagome#, Simon Rasmussen, Morten E. Allentoft, Takehiro Sato, Thorfinn Korneliussen, Blánaid Ní Chuinneagáin, Hiromi Matsumae, Kae Koganebuchi, Ryan Schmidt, Souichiro Mizushima, Osamu Kondo, Nobuo Shigehara, Minoru Yoneda, Ryosuke Kimura, Hajime Ishida, Tadayuki Masuyama, Yasuhiro Yamada, Atsushi Tajima, Hiroki Shibata, Atsushi Toyoda, Toshiyuki Tsurumoto, Tetsuaki Wakebe, Hiromi Shitara, Tsunehiko Hanihara, Eske Willerslev, Martin Sikora*, Hiroki Oota*
DOI番号 10.1038/s42003-020-01162-2
アブストラクトURL https://www.nature.com/articles/ s42003-020-01162-2

用語解説
注1 伊川津貝塚
愛知県田原市伊川津町にある縄文後・晩期を代表する大規模な貝塚遺跡。1918年に最初の発掘が行われて以来、多くの考古学者、人類学者によって発掘がおこなわれてきた。叉状研歯を伴う抜歯の痕跡が見られる人骨が見つかっていることで有名である。今回の全ゲノム解析に用いられたIK002は、2010年に本論文の共著者・増山禎之らによって発掘された6体中の1体である。壮年期女性の人骨で、腹胸部に小児(IK001)を乗せていた。IK002の頭部に縄文晩期後葉のこの地方の典型的な土器である五貫森式土器が接し発掘されている。 ↑

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/info/6987/
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/195.html#c13

[近代史4] 中川隆投稿集 _ アイヌ人は先住民ではない? 中川隆
4. 中川隆[-11651] koaQ7Jey 2020年8月27日 06:33:25 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[4]
2020/08/25
縄文人ゲノム解析から見えてきた東ユーラシアの人類史
覚張 隆史(金沢大学人間社会研究域附属 国際文化資源学研究センター 助教)
太田 博樹(生物科学専攻 教授)
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/info/6987/

発表のポイント

伊川津貝塚(注1)遺跡出土の縄文人骨(IK002)の全ゲノム配列を解析し、アフリカ大陸からヒマラヤ山脈以南を通り、ユーラシア大陸東端に到達した最も古い系統の1つであることを明らかにした。
本州縄文人(IK002)の全ゲノム・ドラフト配列の詳細な解析から東ユーラシア全体の人類史の新たなモデルを示した。
縄文人ゲノムは、東ユーラシアにおける現生人類集団の拡散及び遺伝的多様性を理解するのに不可欠であり、高精度縄文人ゲノム解読を進め、日本列島人ゲノムの総合的理解に貢献する。

発表概要
アフリカで誕生したホモ・サピエンスが、ユーラシア大陸の東端まで如何に到達したかは、いまだ明らかではなく、ヒマラヤ山脈以北および以南の2つのルートが考えられている。東アジアに最初にたどり着いた人々は、考古遺物から北ルートと想定されてきたが、最近のゲノム研究は、現在東ユーラシアに住んでいる全ての人々が南ルートであることを示している。

東京大学大学院理学系研究科 生物科学専攻の太田博樹教授と金沢大学人間社会研究域附属国際文化資源学研究センターの覚張隆史助教は、コペンハーゲン大学やダブリン大学と国際研究チームを結成し、この矛盾の解決に取り組んだ。

古くから縄文遺跡として知られる伊川津貝塚遺跡から出土した女性人骨(図1)の全ゲノム・ドラフト配列を詳細に解析し、縄文人骨(IK002)のゲノムは、東ユーラシアのルーツともいえる古い系統であり、南ルートに属し、北ルートの影響をほとんど受けていないことを明らかにした。

図1:左の写真は、伊川津貝塚出土人骨(女性)IK002。右の写真は、側頭骨錐体という頭蓋骨の一部をダイヤモンドカッターで切断している様子。

このことは、縄文人が東ユーラシアで最も古い系統の1つであることを示唆する。現在の東ユーラシアの人々の遺伝的ランドスケープを理解するためには、より高精度の縄文人ゲノム解読が不可欠であり、今後、高精度縄文人ゲノム解読を進め、日本列島人ゲノムの総合的理解に貢献する。

発表内容
研究の背景・先行研究の問題点
近年の研究から、ホモ・サピエンスはいまから約7〜6万年前に、アフリカ大陸からユーラシア大陸へ拡散したことが明らかになっている。ユーラシア大陸の東側、すなわち東南アジア、東アジア、北東アジアへは、約5〜4万年前までにホモ・サピエンスがたどり着いていたと考えられている。しかし、どのような経路(ルート)を通って到達したかは、いまだ定説はない。

アフリカ大陸からユーラシア大陸の東端までのホモ・サピエンスの拡散は、後期旧石器時代に相当する。石器など考古遺物はヒマラヤ山脈以北および以南どちらからも見つかるので、拡散の経路として北と南の2つのルートがあったはずだ。ただし、南北で石器の特徴は異なり、東アジアから北東アジアにかけては、北ルートの特徴をもつ石器が主に見つかる。このため、日本列島にたどりついた最初のホモ・サピエンスは、北ルートを通ってやって来たと考えるのが自然だ。ところが、近年劇的に蓄積されている人類集団ゲノム情報を解析すると、現在ユーラシア大陸の東側に住んでいる人々は、南ルートで来たことを示す。つまり、考古遺物から考えられてきた人類史とは異なるストーリーであるが、この矛盾はこれまであまり議論されてこなかった。

東京大学大学院理学系研究科 生物科学専攻の太田博樹教授と金沢大学人間社会研究域附属国際文化資源学研究センターの覚張隆史助教らの研究グループは、縄文人(ここでは“縄文文化をもった人々”と定義する)の骨からDNAを抽出しゲノム解読するプロジェクトを約10年前から進めてきた。そして2018年、コペンハーゲン大学を中心とする国際チームが解析した東南アジアの古い人骨のゲノム配列データとともに、伊川津貝塚遺跡から出土した縄文人骨(IK002)の全ゲノム・ドラフト配列を発表した(McColl et al. 2018)。この論文では、約2千500年前の本州日本に住んでいた女性IK002が、ラオスで出土した約8千年前の狩猟採集文化を伴う人骨(La368)と、東南アジア・東アジア各地に現在住む人々の誰よりも、遺伝的に近縁であることを報告した。

今回、太田博樹教授と覚張隆史助教は、ダブリン大学トリニティー校の中込滋樹助教、コペンハーゲン大学のマーティン・シコラ准教授らとともに国際チームを結成し、伊川津縄文人(IK002)を主役とした論文をCommunications Biologyに発表した。この新たな論文(Gakuhari & Nakagome et al. 2020)では、(i) IK002は日本列島にたどりついた最初のホモ・サピエンスの直接の子孫か否か?(ii) IK002は南ルートの子孫で北ルートでやってきた人々の遺伝的影響はないのか?の2つを明らかにする目的で詳細な全ゲノム解析をおこなった。

研究内容
過去から現在の東ユーラシア人類集団のゲノム情報をもちいて系統樹を構築した。この系統樹では、ラオスのLa368(約8千年前)とバイカル湖近くのマルタ遺跡出土人骨(MA-1:約2万4千年前)を南北の指標として含めた。もしIK002が北ルートのゲノムを多く引き継ぐなら、“樹”でIK002はMA-1の近くの“枝”に位置するだろう。反対にIK002が南ルートのゲノムを多く引き継ぐなら、La368の近くに位置するはずだ。結果は後者であった。MA-1とLa368が分岐した後、La368の枝のすぐ内側で中国東部の田園洞人骨(約4万年前)が分岐し、つづいて現代のネパールの少数民族・クスンダが分岐し、その次にIK002が分岐した。現代の東アジア人、北東アジア人、アメリカ先住民は、さらにその内側で分岐した。この結果は、IK002のみならず、現在の東アジア人、北東アジア人およびアメリカ先住民が、南ルートのゲノムを主に受け継いでいることを示している。IK002の系統は東ユーラシア人(東アジア人、北東アジア人)の“根”に位置するほど非常に古く、東ユーラシア人の創始集団の直接の子孫の1つであった。そして、IK002は日本列島にたどりついた最初のホモ・サピエンスの直接の子孫である可能性が高いことが判明した。

また、先行研究(Jinam et al. 2012)で発表された北海道アイヌの人々のデータなど日本列島周辺の人類集団との関係を分析したところ、本州縄文人であるIK002は、アイヌのクラスターに含まれた。この結果は北海道縄文人の全ゲノム解析(Kanzawa-Kiriyama et al. 2019)と一致し、アイヌ民族が日本列島の住人として最も古い系統であると同時に東ユーラシア人の創始集団の直接の子孫の1つである可能性が高いことを示している。

さらに、IK002と現在および過去の東ユーラシア人へのマルタ人骨(MA-1)からの遺伝子流動(集団間の交雑)の痕跡をD-testと呼ばれる統計解析で検証した。これまでの研究から、現在の北東アジア人およびアメリカ先住民へは、MA-1からの遺伝子流動が有意な値で示されてきている(Raghavan et al. 2014)。しかし、本解析では、現在の東アジアおよび東南アジア人類集団へのMA-1からの遺伝子流動はほとんど検出されず、IK002へもMA-1からの遺伝子流動の統計学的に有意な証拠は示されなかった。すなわち、北ルートでやってきた人々のゲノムの影響は、IK002のゲノムで検出されなかった。

社会的意義・今後の予定
本研究の成果は、日本列島・本州に約2千500年前に縄文文化の中を生きていた女性が、約2万6千年前より以前に、東南アジアにいた人類集団から分岐した「東ユーラシア基層集団(東アジア人と北東アジア人が分岐する以前の集団)」の根っこに位置する系統の子孫であることを明らかにした(図2)。

図2:東アジア人類集団の形成史をモデル化した図

すなわち、縄文人が東ユーラシアの中でも飛び抜けて古い系統であることを意味し、延いては、縄文人ゲノムが現在のユーラシア大陸東部に住む人々のゲノム多様性を理解する鍵を握っていることを示している。

ただ、本研究はIK002という1個体の詳細なゲノム解析であり、したがって、これらの結果はIK002という個体について言えることで、すべての地域・時代の縄文人について言えるわけではない。たとえば、本研究では「北ルートでやってきた人々のゲノムの影響は検出されなかった」と結論づけているが、これはIK002についての結論であり、別の個体では北ルートのゲノムが検出されるかもしれない。さらに、大陸から日本列島への移住ルートについては、今後、列島内のさまざまな地域の縄文人骨を分析することによって解明されてくるもので、いまは分からないことは注意すべき点である。

今後、(I) 個体数を増やすこと、(II)より高精度のゲノム解読をおこなうことの2つが近々の課題である。太田博樹教授らのグループは既に愛知県田原市・伊川津貝塚遺跡から出土した他の5個体や千葉県市原市から出土した縄文人9個体の高精度ゲノム解析を進めている。

参考文献
・McColl et al. (2018) The prehistoric peopling of Southeast Asia. Science 361:88-92.
・Kanzawa-Kiriyama et al. (2019) Late Jomon male and female genome sequences from the Funadomari site in Hokkaido, Japan. Anthropological Science 127: 83-108.
・Jinam et al. (2012) The history of human populations in the Japanese Archipelago inferred from genome-wide SNP data with a special reference to the Ainu and the Ryukyuan populations. Journal of Human Genetics 57: 787-95.
・Raghavan et al. (2014) Upper Palaeolithic Siberian genome reveals dual ancestry of Native Americans. Nature 505: 87-91.

なお、本研究は次ぎの文部科学省及び日本学術振興会の研究助成補助金、25284157 (山田)、16H06408、17H05132、23657167、17H03738(石田・埴原・太田)、16H06279『ゲノム支援』(豊田)、及び『金沢大学超然プロジェクト』(覚張)、『九州大学生体防御医学研究所共同研究プログラム』(柴田)の助成を受け完遂されました。

発表雑誌
雑誌名 Communications Biology
論文タイトル Ancient Jomon genome sequence analysis sheds light on migration patterns of early East Asian populations
著者 Takashi Gakuhari#, Shigeki Nakagome#, Simon Rasmussen, Morten E. Allentoft, Takehiro Sato, Thorfinn Korneliussen, Blánaid Ní Chuinneagáin, Hiromi Matsumae, Kae Koganebuchi, Ryan Schmidt, Souichiro Mizushima, Osamu Kondo, Nobuo Shigehara, Minoru Yoneda, Ryosuke Kimura, Hajime Ishida, Tadayuki Masuyama, Yasuhiro Yamada, Atsushi Tajima, Hiroki Shibata, Atsushi Toyoda, Toshiyuki Tsurumoto, Tetsuaki Wakebe, Hiromi Shitara, Tsunehiko Hanihara, Eske Willerslev, Martin Sikora*, Hiroki Oota*
DOI番号 10.1038/s42003-020-01162-2
アブストラクトURL https://www.nature.com/articles/ s42003-020-01162-2

用語解説
注1 伊川津貝塚
愛知県田原市伊川津町にある縄文後・晩期を代表する大規模な貝塚遺跡。1918年に最初の発掘が行われて以来、多くの考古学者、人類学者によって発掘がおこなわれてきた。叉状研歯を伴う抜歯の痕跡が見られる人骨が見つかっていることで有名である。今回の全ゲノム解析に用いられたIK002は、2010年に本論文の共著者・増山禎之らによって発掘された6体中の1体である。壮年期女性の人骨で、腹胸部に小児(IK001)を乗せていた。IK002の頭部に縄文晩期後葉のこの地方の典型的な土器である五貫森式土器が接し発掘されている。 ↑

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/info/6987/
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/150.html#c4

[近代史3] アイヌ人は先住民ではない、日本人は単一民族だというデマを撒き散らすチャンネル桜 中川隆
37. 中川隆[-11650] koaQ7Jey 2020年8月27日 06:33:46 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[5]
2020/08/25
縄文人ゲノム解析から見えてきた東ユーラシアの人類史
覚張 隆史(金沢大学人間社会研究域附属 国際文化資源学研究センター 助教)
太田 博樹(生物科学専攻 教授)
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/info/6987/

発表のポイント

伊川津貝塚(注1)遺跡出土の縄文人骨(IK002)の全ゲノム配列を解析し、アフリカ大陸からヒマラヤ山脈以南を通り、ユーラシア大陸東端に到達した最も古い系統の1つであることを明らかにした。
本州縄文人(IK002)の全ゲノム・ドラフト配列の詳細な解析から東ユーラシア全体の人類史の新たなモデルを示した。
縄文人ゲノムは、東ユーラシアにおける現生人類集団の拡散及び遺伝的多様性を理解するのに不可欠であり、高精度縄文人ゲノム解読を進め、日本列島人ゲノムの総合的理解に貢献する。

発表概要
アフリカで誕生したホモ・サピエンスが、ユーラシア大陸の東端まで如何に到達したかは、いまだ明らかではなく、ヒマラヤ山脈以北および以南の2つのルートが考えられている。東アジアに最初にたどり着いた人々は、考古遺物から北ルートと想定されてきたが、最近のゲノム研究は、現在東ユーラシアに住んでいる全ての人々が南ルートであることを示している。

東京大学大学院理学系研究科 生物科学専攻の太田博樹教授と金沢大学人間社会研究域附属国際文化資源学研究センターの覚張隆史助教は、コペンハーゲン大学やダブリン大学と国際研究チームを結成し、この矛盾の解決に取り組んだ。

古くから縄文遺跡として知られる伊川津貝塚遺跡から出土した女性人骨(図1)の全ゲノム・ドラフト配列を詳細に解析し、縄文人骨(IK002)のゲノムは、東ユーラシアのルーツともいえる古い系統であり、南ルートに属し、北ルートの影響をほとんど受けていないことを明らかにした。

図1:左の写真は、伊川津貝塚出土人骨(女性)IK002。右の写真は、側頭骨錐体という頭蓋骨の一部をダイヤモンドカッターで切断している様子。

このことは、縄文人が東ユーラシアで最も古い系統の1つであることを示唆する。現在の東ユーラシアの人々の遺伝的ランドスケープを理解するためには、より高精度の縄文人ゲノム解読が不可欠であり、今後、高精度縄文人ゲノム解読を進め、日本列島人ゲノムの総合的理解に貢献する。

発表内容
研究の背景・先行研究の問題点
近年の研究から、ホモ・サピエンスはいまから約7〜6万年前に、アフリカ大陸からユーラシア大陸へ拡散したことが明らかになっている。ユーラシア大陸の東側、すなわち東南アジア、東アジア、北東アジアへは、約5〜4万年前までにホモ・サピエンスがたどり着いていたと考えられている。しかし、どのような経路(ルート)を通って到達したかは、いまだ定説はない。

アフリカ大陸からユーラシア大陸の東端までのホモ・サピエンスの拡散は、後期旧石器時代に相当する。石器など考古遺物はヒマラヤ山脈以北および以南どちらからも見つかるので、拡散の経路として北と南の2つのルートがあったはずだ。ただし、南北で石器の特徴は異なり、東アジアから北東アジアにかけては、北ルートの特徴をもつ石器が主に見つかる。このため、日本列島にたどりついた最初のホモ・サピエンスは、北ルートを通ってやって来たと考えるのが自然だ。ところが、近年劇的に蓄積されている人類集団ゲノム情報を解析すると、現在ユーラシア大陸の東側に住んでいる人々は、南ルートで来たことを示す。つまり、考古遺物から考えられてきた人類史とは異なるストーリーであるが、この矛盾はこれまであまり議論されてこなかった。

東京大学大学院理学系研究科 生物科学専攻の太田博樹教授と金沢大学人間社会研究域附属国際文化資源学研究センターの覚張隆史助教らの研究グループは、縄文人(ここでは“縄文文化をもった人々”と定義する)の骨からDNAを抽出しゲノム解読するプロジェクトを約10年前から進めてきた。そして2018年、コペンハーゲン大学を中心とする国際チームが解析した東南アジアの古い人骨のゲノム配列データとともに、伊川津貝塚遺跡から出土した縄文人骨(IK002)の全ゲノム・ドラフト配列を発表した(McColl et al. 2018)。この論文では、約2千500年前の本州日本に住んでいた女性IK002が、ラオスで出土した約8千年前の狩猟採集文化を伴う人骨(La368)と、東南アジア・東アジア各地に現在住む人々の誰よりも、遺伝的に近縁であることを報告した。

今回、太田博樹教授と覚張隆史助教は、ダブリン大学トリニティー校の中込滋樹助教、コペンハーゲン大学のマーティン・シコラ准教授らとともに国際チームを結成し、伊川津縄文人(IK002)を主役とした論文をCommunications Biologyに発表した。この新たな論文(Gakuhari & Nakagome et al. 2020)では、(i) IK002は日本列島にたどりついた最初のホモ・サピエンスの直接の子孫か否か?(ii) IK002は南ルートの子孫で北ルートでやってきた人々の遺伝的影響はないのか?の2つを明らかにする目的で詳細な全ゲノム解析をおこなった。

研究内容
過去から現在の東ユーラシア人類集団のゲノム情報をもちいて系統樹を構築した。この系統樹では、ラオスのLa368(約8千年前)とバイカル湖近くのマルタ遺跡出土人骨(MA-1:約2万4千年前)を南北の指標として含めた。もしIK002が北ルートのゲノムを多く引き継ぐなら、“樹”でIK002はMA-1の近くの“枝”に位置するだろう。反対にIK002が南ルートのゲノムを多く引き継ぐなら、La368の近くに位置するはずだ。結果は後者であった。MA-1とLa368が分岐した後、La368の枝のすぐ内側で中国東部の田園洞人骨(約4万年前)が分岐し、つづいて現代のネパールの少数民族・クスンダが分岐し、その次にIK002が分岐した。現代の東アジア人、北東アジア人、アメリカ先住民は、さらにその内側で分岐した。この結果は、IK002のみならず、現在の東アジア人、北東アジア人およびアメリカ先住民が、南ルートのゲノムを主に受け継いでいることを示している。IK002の系統は東ユーラシア人(東アジア人、北東アジア人)の“根”に位置するほど非常に古く、東ユーラシア人の創始集団の直接の子孫の1つであった。そして、IK002は日本列島にたどりついた最初のホモ・サピエンスの直接の子孫である可能性が高いことが判明した。

また、先行研究(Jinam et al. 2012)で発表された北海道アイヌの人々のデータなど日本列島周辺の人類集団との関係を分析したところ、本州縄文人であるIK002は、アイヌのクラスターに含まれた。この結果は北海道縄文人の全ゲノム解析(Kanzawa-Kiriyama et al. 2019)と一致し、アイヌ民族が日本列島の住人として最も古い系統であると同時に東ユーラシア人の創始集団の直接の子孫の1つである可能性が高いことを示している。

さらに、IK002と現在および過去の東ユーラシア人へのマルタ人骨(MA-1)からの遺伝子流動(集団間の交雑)の痕跡をD-testと呼ばれる統計解析で検証した。これまでの研究から、現在の北東アジア人およびアメリカ先住民へは、MA-1からの遺伝子流動が有意な値で示されてきている(Raghavan et al. 2014)。しかし、本解析では、現在の東アジアおよび東南アジア人類集団へのMA-1からの遺伝子流動はほとんど検出されず、IK002へもMA-1からの遺伝子流動の統計学的に有意な証拠は示されなかった。すなわち、北ルートでやってきた人々のゲノムの影響は、IK002のゲノムで検出されなかった。

社会的意義・今後の予定
本研究の成果は、日本列島・本州に約2千500年前に縄文文化の中を生きていた女性が、約2万6千年前より以前に、東南アジアにいた人類集団から分岐した「東ユーラシア基層集団(東アジア人と北東アジア人が分岐する以前の集団)」の根っこに位置する系統の子孫であることを明らかにした(図2)。

図2:東アジア人類集団の形成史をモデル化した図

すなわち、縄文人が東ユーラシアの中でも飛び抜けて古い系統であることを意味し、延いては、縄文人ゲノムが現在のユーラシア大陸東部に住む人々のゲノム多様性を理解する鍵を握っていることを示している。

ただ、本研究はIK002という1個体の詳細なゲノム解析であり、したがって、これらの結果はIK002という個体について言えることで、すべての地域・時代の縄文人について言えるわけではない。たとえば、本研究では「北ルートでやってきた人々のゲノムの影響は検出されなかった」と結論づけているが、これはIK002についての結論であり、別の個体では北ルートのゲノムが検出されるかもしれない。さらに、大陸から日本列島への移住ルートについては、今後、列島内のさまざまな地域の縄文人骨を分析することによって解明されてくるもので、いまは分からないことは注意すべき点である。

今後、(I) 個体数を増やすこと、(II)より高精度のゲノム解読をおこなうことの2つが近々の課題である。太田博樹教授らのグループは既に愛知県田原市・伊川津貝塚遺跡から出土した他の5個体や千葉県市原市から出土した縄文人9個体の高精度ゲノム解析を進めている。

参考文献
・McColl et al. (2018) The prehistoric peopling of Southeast Asia. Science 361:88-92.
・Kanzawa-Kiriyama et al. (2019) Late Jomon male and female genome sequences from the Funadomari site in Hokkaido, Japan. Anthropological Science 127: 83-108.
・Jinam et al. (2012) The history of human populations in the Japanese Archipelago inferred from genome-wide SNP data with a special reference to the Ainu and the Ryukyuan populations. Journal of Human Genetics 57: 787-95.
・Raghavan et al. (2014) Upper Palaeolithic Siberian genome reveals dual ancestry of Native Americans. Nature 505: 87-91.

なお、本研究は次ぎの文部科学省及び日本学術振興会の研究助成補助金、25284157 (山田)、16H06408、17H05132、23657167、17H03738(石田・埴原・太田)、16H06279『ゲノム支援』(豊田)、及び『金沢大学超然プロジェクト』(覚張)、『九州大学生体防御医学研究所共同研究プログラム』(柴田)の助成を受け完遂されました。

発表雑誌
雑誌名 Communications Biology
論文タイトル Ancient Jomon genome sequence analysis sheds light on migration patterns of early East Asian populations
著者 Takashi Gakuhari#, Shigeki Nakagome#, Simon Rasmussen, Morten E. Allentoft, Takehiro Sato, Thorfinn Korneliussen, Blánaid Ní Chuinneagáin, Hiromi Matsumae, Kae Koganebuchi, Ryan Schmidt, Souichiro Mizushima, Osamu Kondo, Nobuo Shigehara, Minoru Yoneda, Ryosuke Kimura, Hajime Ishida, Tadayuki Masuyama, Yasuhiro Yamada, Atsushi Tajima, Hiroki Shibata, Atsushi Toyoda, Toshiyuki Tsurumoto, Tetsuaki Wakebe, Hiromi Shitara, Tsunehiko Hanihara, Eske Willerslev, Martin Sikora*, Hiroki Oota*
DOI番号 10.1038/s42003-020-01162-2
アブストラクトURL https://www.nature.com/articles/ s42003-020-01162-2

用語解説
注1 伊川津貝塚
愛知県田原市伊川津町にある縄文後・晩期を代表する大規模な貝塚遺跡。1918年に最初の発掘が行われて以来、多くの考古学者、人類学者によって発掘がおこなわれてきた。叉状研歯を伴う抜歯の痕跡が見られる人骨が見つかっていることで有名である。今回の全ゲノム解析に用いられたIK002は、2010年に本論文の共著者・増山禎之らによって発掘された6体中の1体である。壮年期女性の人骨で、腹胸部に小児(IK001)を乗せていた。IK002の頭部に縄文晩期後葉のこの地方の典型的な土器である五貫森式土器が接し発掘されている。 ↑

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/info/6987/
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/323.html#c37

[近代史3] アイヌ民族は12世紀ごろ樺太から北海道に渡来した? 中川隆
5. 中川隆[-11649] koaQ7Jey 2020年8月27日 06:34:25 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[6]
2020/08/25
縄文人ゲノム解析から見えてきた東ユーラシアの人類史
覚張 隆史(金沢大学人間社会研究域附属 国際文化資源学研究センター 助教)
太田 博樹(生物科学専攻 教授)
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/info/6987/

発表のポイント

伊川津貝塚(注1)遺跡出土の縄文人骨(IK002)の全ゲノム配列を解析し、アフリカ大陸からヒマラヤ山脈以南を通り、ユーラシア大陸東端に到達した最も古い系統の1つであることを明らかにした。
本州縄文人(IK002)の全ゲノム・ドラフト配列の詳細な解析から東ユーラシア全体の人類史の新たなモデルを示した。
縄文人ゲノムは、東ユーラシアにおける現生人類集団の拡散及び遺伝的多様性を理解するのに不可欠であり、高精度縄文人ゲノム解読を進め、日本列島人ゲノムの総合的理解に貢献する。

発表概要
アフリカで誕生したホモ・サピエンスが、ユーラシア大陸の東端まで如何に到達したかは、いまだ明らかではなく、ヒマラヤ山脈以北および以南の2つのルートが考えられている。東アジアに最初にたどり着いた人々は、考古遺物から北ルートと想定されてきたが、最近のゲノム研究は、現在東ユーラシアに住んでいる全ての人々が南ルートであることを示している。

東京大学大学院理学系研究科 生物科学専攻の太田博樹教授と金沢大学人間社会研究域附属国際文化資源学研究センターの覚張隆史助教は、コペンハーゲン大学やダブリン大学と国際研究チームを結成し、この矛盾の解決に取り組んだ。

古くから縄文遺跡として知られる伊川津貝塚遺跡から出土した女性人骨(図1)の全ゲノム・ドラフト配列を詳細に解析し、縄文人骨(IK002)のゲノムは、東ユーラシアのルーツともいえる古い系統であり、南ルートに属し、北ルートの影響をほとんど受けていないことを明らかにした。

図1:左の写真は、伊川津貝塚出土人骨(女性)IK002。右の写真は、側頭骨錐体という頭蓋骨の一部をダイヤモンドカッターで切断している様子。

このことは、縄文人が東ユーラシアで最も古い系統の1つであることを示唆する。現在の東ユーラシアの人々の遺伝的ランドスケープを理解するためには、より高精度の縄文人ゲノム解読が不可欠であり、今後、高精度縄文人ゲノム解読を進め、日本列島人ゲノムの総合的理解に貢献する。

発表内容
研究の背景・先行研究の問題点
近年の研究から、ホモ・サピエンスはいまから約7〜6万年前に、アフリカ大陸からユーラシア大陸へ拡散したことが明らかになっている。ユーラシア大陸の東側、すなわち東南アジア、東アジア、北東アジアへは、約5〜4万年前までにホモ・サピエンスがたどり着いていたと考えられている。しかし、どのような経路(ルート)を通って到達したかは、いまだ定説はない。

アフリカ大陸からユーラシア大陸の東端までのホモ・サピエンスの拡散は、後期旧石器時代に相当する。石器など考古遺物はヒマラヤ山脈以北および以南どちらからも見つかるので、拡散の経路として北と南の2つのルートがあったはずだ。ただし、南北で石器の特徴は異なり、東アジアから北東アジアにかけては、北ルートの特徴をもつ石器が主に見つかる。このため、日本列島にたどりついた最初のホモ・サピエンスは、北ルートを通ってやって来たと考えるのが自然だ。ところが、近年劇的に蓄積されている人類集団ゲノム情報を解析すると、現在ユーラシア大陸の東側に住んでいる人々は、南ルートで来たことを示す。つまり、考古遺物から考えられてきた人類史とは異なるストーリーであるが、この矛盾はこれまであまり議論されてこなかった。

東京大学大学院理学系研究科 生物科学専攻の太田博樹教授と金沢大学人間社会研究域附属国際文化資源学研究センターの覚張隆史助教らの研究グループは、縄文人(ここでは“縄文文化をもった人々”と定義する)の骨からDNAを抽出しゲノム解読するプロジェクトを約10年前から進めてきた。そして2018年、コペンハーゲン大学を中心とする国際チームが解析した東南アジアの古い人骨のゲノム配列データとともに、伊川津貝塚遺跡から出土した縄文人骨(IK002)の全ゲノム・ドラフト配列を発表した(McColl et al. 2018)。この論文では、約2千500年前の本州日本に住んでいた女性IK002が、ラオスで出土した約8千年前の狩猟採集文化を伴う人骨(La368)と、東南アジア・東アジア各地に現在住む人々の誰よりも、遺伝的に近縁であることを報告した。

今回、太田博樹教授と覚張隆史助教は、ダブリン大学トリニティー校の中込滋樹助教、コペンハーゲン大学のマーティン・シコラ准教授らとともに国際チームを結成し、伊川津縄文人(IK002)を主役とした論文をCommunications Biologyに発表した。この新たな論文(Gakuhari & Nakagome et al. 2020)では、(i) IK002は日本列島にたどりついた最初のホモ・サピエンスの直接の子孫か否か?(ii) IK002は南ルートの子孫で北ルートでやってきた人々の遺伝的影響はないのか?の2つを明らかにする目的で詳細な全ゲノム解析をおこなった。

研究内容
過去から現在の東ユーラシア人類集団のゲノム情報をもちいて系統樹を構築した。この系統樹では、ラオスのLa368(約8千年前)とバイカル湖近くのマルタ遺跡出土人骨(MA-1:約2万4千年前)を南北の指標として含めた。もしIK002が北ルートのゲノムを多く引き継ぐなら、“樹”でIK002はMA-1の近くの“枝”に位置するだろう。反対にIK002が南ルートのゲノムを多く引き継ぐなら、La368の近くに位置するはずだ。結果は後者であった。MA-1とLa368が分岐した後、La368の枝のすぐ内側で中国東部の田園洞人骨(約4万年前)が分岐し、つづいて現代のネパールの少数民族・クスンダが分岐し、その次にIK002が分岐した。現代の東アジア人、北東アジア人、アメリカ先住民は、さらにその内側で分岐した。この結果は、IK002のみならず、現在の東アジア人、北東アジア人およびアメリカ先住民が、南ルートのゲノムを主に受け継いでいることを示している。IK002の系統は東ユーラシア人(東アジア人、北東アジア人)の“根”に位置するほど非常に古く、東ユーラシア人の創始集団の直接の子孫の1つであった。そして、IK002は日本列島にたどりついた最初のホモ・サピエンスの直接の子孫である可能性が高いことが判明した。

また、先行研究(Jinam et al. 2012)で発表された北海道アイヌの人々のデータなど日本列島周辺の人類集団との関係を分析したところ、本州縄文人であるIK002は、アイヌのクラスターに含まれた。この結果は北海道縄文人の全ゲノム解析(Kanzawa-Kiriyama et al. 2019)と一致し、アイヌ民族が日本列島の住人として最も古い系統であると同時に東ユーラシア人の創始集団の直接の子孫の1つである可能性が高いことを示している。

さらに、IK002と現在および過去の東ユーラシア人へのマルタ人骨(MA-1)からの遺伝子流動(集団間の交雑)の痕跡をD-testと呼ばれる統計解析で検証した。これまでの研究から、現在の北東アジア人およびアメリカ先住民へは、MA-1からの遺伝子流動が有意な値で示されてきている(Raghavan et al. 2014)。しかし、本解析では、現在の東アジアおよび東南アジア人類集団へのMA-1からの遺伝子流動はほとんど検出されず、IK002へもMA-1からの遺伝子流動の統計学的に有意な証拠は示されなかった。すなわち、北ルートでやってきた人々のゲノムの影響は、IK002のゲノムで検出されなかった。

社会的意義・今後の予定
本研究の成果は、日本列島・本州に約2千500年前に縄文文化の中を生きていた女性が、約2万6千年前より以前に、東南アジアにいた人類集団から分岐した「東ユーラシア基層集団(東アジア人と北東アジア人が分岐する以前の集団)」の根っこに位置する系統の子孫であることを明らかにした(図2)。

図2:東アジア人類集団の形成史をモデル化した図

すなわち、縄文人が東ユーラシアの中でも飛び抜けて古い系統であることを意味し、延いては、縄文人ゲノムが現在のユーラシア大陸東部に住む人々のゲノム多様性を理解する鍵を握っていることを示している。

ただ、本研究はIK002という1個体の詳細なゲノム解析であり、したがって、これらの結果はIK002という個体について言えることで、すべての地域・時代の縄文人について言えるわけではない。たとえば、本研究では「北ルートでやってきた人々のゲノムの影響は検出されなかった」と結論づけているが、これはIK002についての結論であり、別の個体では北ルートのゲノムが検出されるかもしれない。さらに、大陸から日本列島への移住ルートについては、今後、列島内のさまざまな地域の縄文人骨を分析することによって解明されてくるもので、いまは分からないことは注意すべき点である。

今後、(I) 個体数を増やすこと、(II)より高精度のゲノム解読をおこなうことの2つが近々の課題である。太田博樹教授らのグループは既に愛知県田原市・伊川津貝塚遺跡から出土した他の5個体や千葉県市原市から出土した縄文人9個体の高精度ゲノム解析を進めている。

参考文献
・McColl et al. (2018) The prehistoric peopling of Southeast Asia. Science 361:88-92.
・Kanzawa-Kiriyama et al. (2019) Late Jomon male and female genome sequences from the Funadomari site in Hokkaido, Japan. Anthropological Science 127: 83-108.
・Jinam et al. (2012) The history of human populations in the Japanese Archipelago inferred from genome-wide SNP data with a special reference to the Ainu and the Ryukyuan populations. Journal of Human Genetics 57: 787-95.
・Raghavan et al. (2014) Upper Palaeolithic Siberian genome reveals dual ancestry of Native Americans. Nature 505: 87-91.

なお、本研究は次ぎの文部科学省及び日本学術振興会の研究助成補助金、25284157 (山田)、16H06408、17H05132、23657167、17H03738(石田・埴原・太田)、16H06279『ゲノム支援』(豊田)、及び『金沢大学超然プロジェクト』(覚張)、『九州大学生体防御医学研究所共同研究プログラム』(柴田)の助成を受け完遂されました。

発表雑誌
雑誌名 Communications Biology
論文タイトル Ancient Jomon genome sequence analysis sheds light on migration patterns of early East Asian populations
著者 Takashi Gakuhari#, Shigeki Nakagome#, Simon Rasmussen, Morten E. Allentoft, Takehiro Sato, Thorfinn Korneliussen, Blánaid Ní Chuinneagáin, Hiromi Matsumae, Kae Koganebuchi, Ryan Schmidt, Souichiro Mizushima, Osamu Kondo, Nobuo Shigehara, Minoru Yoneda, Ryosuke Kimura, Hajime Ishida, Tadayuki Masuyama, Yasuhiro Yamada, Atsushi Tajima, Hiroki Shibata, Atsushi Toyoda, Toshiyuki Tsurumoto, Tetsuaki Wakebe, Hiromi Shitara, Tsunehiko Hanihara, Eske Willerslev, Martin Sikora*, Hiroki Oota*
DOI番号 10.1038/s42003-020-01162-2
アブストラクトURL https://www.nature.com/articles/ s42003-020-01162-2

用語解説
注1 伊川津貝塚
愛知県田原市伊川津町にある縄文後・晩期を代表する大規模な貝塚遺跡。1918年に最初の発掘が行われて以来、多くの考古学者、人類学者によって発掘がおこなわれてきた。叉状研歯を伴う抜歯の痕跡が見られる人骨が見つかっていることで有名である。今回の全ゲノム解析に用いられたIK002は、2010年に本論文の共著者・増山禎之らによって発掘された6体中の1体である。壮年期女性の人骨で、腹胸部に小児(IK001)を乗せていた。IK002の頭部に縄文晩期後葉のこの地方の典型的な土器である五貫森式土器が接し発掘されている。 ↑

―東京大学大学院理学系研究科・理学部 広報室―

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[リバイバル3] オーディオ機器の性能は「電源ケーブル」で決まる 中川隆
19. 中川隆[-11648] koaQ7Jey 2020年8月27日 07:21:04 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[7]

サウンドトレイル株式会社 錦戸敏重のブログ

オーディオ回り道 | PHILE WEBコミュニティ 2009年01月-2014年10月
https://community.phileweb.com/mypage/2051/
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Mr.トレイルのオーディオ回り道 2007年06月03日-
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840
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[リバイバル3] サウンドトレール _ 中・大型スピーカー向けリスニング用キャスター付きスピーカースタンド 中川隆
2. 中川隆[-11647] koaQ7Jey 2020年8月27日 07:21:55 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[8]

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http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/970.html#c2

[番外地8] 明治初めにはアイヌ人は2万人しかいなかった。現在は日本人と混血したアイヌ系住民は10万人いる。 中川隆
1. 2020年8月27日 08:28:28 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[10]
だからアイヌ人は何度もDNA鑑定を受けて日本人と遺伝子が違うと証明されているんだから、
少なくともDNA鑑定を受けたアイヌ人は純血アイヌなんだよ
http://www.asyura2.com/20/ban8/msg/284.html#c1
[番外地8] 明治以前には北海道にはアイヌ人しか住んでいなかったからね 中川隆
1. 2020年8月27日 08:40:39 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[11]
明治以前の和人はアイヌと交易する為に一時的に北海道に商売に行っていただけだよ
明治以前は和人は渡島半島を除いては北海道の冬は越せなかったんだよ
北海道の和人の殆どは函館周辺に住んでいたんだ



http://www.asyura2.com/20/ban8/msg/257.html#c1

[番外地8] 明治以前には北海道にはアイヌ人しか住んでいなかったからね 中川隆
2. 中川隆[-11645] koaQ7Jey 2020年8月27日 08:50:16 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[12]
明治以前の和人はアイヌと交易する為に一時的に北海道に商売に行っていただけだよ
明治以前は和人は渡島半島を除いては北海道の冬は越せなかったんだよ
北海道の和人の殆どは函館周辺に住んでいたんだ

アイヌ人は狩猟民族で食べ物が自然に依存しているので、意図的に人口調整して2万人以下にしていたんだよ。
縄文人も日本全体で最大でも20万人しかいなかった。
http://www.asyura2.com/20/ban8/msg/257.html#c2

[近代史5] 株価は戻ったがその先は? 中川隆
9. 2020年8月27日 09:06:50 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[13]
平野憲一の株のお話 2020.08.27 2万7939円?
http://kasset.blog.fc2.com/

 ダウは83.48ドル高の2万8331.92ドルと小幅反発、一方ナスダックは198.59ポイント高の1万1665.06ポイントと大幅続伸し、5営業日連続で終値での史上最高値を更新しました。ハイテク株の人気が収まりません。


 日本株。
 今日の日本証券新聞で野村証券調べとして、筆者が注目点に上げている移動平均の並びと75、200日移動平均のゴールデンクロスについて、後者のデーターを載せています。

75、200日移動平均のゴールデンクロスは過去に8回ありましたが、次のデッドクロス(200日を75日移動平均線が上から下へ抜ける)までの平均上昇率は20.9%だそうです。

これを今回に当てはめると2万7939円になります。アベノミクス相場の到達点は2万7000円というのが以前からの筆者の見方でしたが、次第に機が熟してきたのではないでしょうか。

ここはゆっくり我慢しましょう。ウィズコロナの新しい生活は厳しい生活でもあります。株高が納得できない方がたくさんいらっしゃいます。すぐに思ったようにはいきません。
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/152.html#c9

[リバイバル3] 株で儲ける方法教えてあげる(こっそり) 新スレ 中川隆
339. 中川隆[-11644] koaQ7Jey 2020年8月27日 09:07:23 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[14]
平野憲一の株のお話 2020.08.27 2万7939円?
http://kasset.blog.fc2.com/

 ダウは83.48ドル高の2万8331.92ドルと小幅反発、一方ナスダックは198.59ポイント高の1万1665.06ポイントと大幅続伸し、5営業日連続で終値での史上最高値を更新しました。ハイテク株の人気が収まりません。


 日本株。
 今日の日本証券新聞で野村証券調べとして、筆者が注目点に上げている移動平均の並びと75、200日移動平均のゴールデンクロスについて、後者のデーターを載せています。

75、200日移動平均のゴールデンクロスは過去に8回ありましたが、次のデッドクロス(200日を75日移動平均線が上から下へ抜ける)までの平均上昇率は20.9%だそうです。

これを今回に当てはめると2万7939円になります。アベノミクス相場の到達点は2万7000円というのが以前からの筆者の見方でしたが、次第に機が熟してきたのではないでしょうか。

ここはゆっくり我慢しましょう。ウィズコロナの新しい生活は厳しい生活でもあります。株高が納得できない方がたくさんいらっしゃいます。すぐに思ったようにはいきません。
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/822.html#c339

[近代史4] 日本のマネタリーベース、マネーストック、貨幣乗数 中川隆
2. 中川隆[-11643] koaQ7Jey 2020年8月27日 10:00:56 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[15]
 2013年度以降の日本では、

「デフレは貨幣現象。マネーの量が足りない」
<正しくは「消費・投資という総需要(GDP)が足りない

「マネタリーベースを増やせば、デフレ脱却できる」
<日銀と金融機関と政府しか使えない日銀当座預金を増やせば、民間経済で消費・投資が増える、という謎理論

「マネーストックが増えれば、デフレ脱却できる」
<マネーストックは「銀行からの借入」で増える(主に)。銀行から借り入れて、土地や株式、為替の購入に回ったところで、GDPは1円も増えない。


 といった謎理論が横行し、いわゆるリフレ派の実験が八年近くも続けられ、結局は、

「貨幣(MB、MS)を増やしたところで、政府が緊縮財政で消費・投資を減らす政策をすると、デフレ脱却できない」

 という、恐ろしく当たり前のことを実証したのでございました。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12620581734.html
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/992.html#c2

[リバイバル3] ロンドン・ウエスタンの世界 中川隆
3. 2020年8月27日 10:48:30 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[16]
ウエスタンエレクトリック13Aレプリカ&WE555導入記 その3.
https://91683924.at.webry.info/201709/article_5.html

画像

 (ネットにあったWE13Aの図面です)

 その後ブログを通じて大阪のAさんと知り合いになり、Aさんを通じて、WE15Aを使っておられる京都のBさんとも相互訪問をしました。

 Bさん宅で、福岡で聞いた13Aレプリカの音がとても良かった話をしますと「その人知ってます。大阪の笹本さんです。来週末に笹本さんの工房に遊びに行くんです」と。

 うーむ縁は異なもの、私も笹本さんのお宅に、別な日にお邪魔させていただける事になりました。

 さて私はウエスタンはウエスタンでもロンドン・ウエスタンを使っていて、アメリカのウエスタンエレクトリックには詳しくありません。昔本で読んだ知識や、最近ネットで見た知識に想像や妄想を加えて中途半端な文章を書いてみます。
 マニアの諸先輩には既知の事項ばかりでしょうが、私はウエスタン初心者なので、自分の知識の整理のためにグダグダ書きますよーw

 日本でウエスタンエレクトリックといえば、なんといっても故・池田圭先生でしょう。「音の夕映」、「盤塵集」に書かれておられますように、先生は日本で最初にウエスタンの機材、WE15Aホーンをオーディオ用として家庭に持ち込まれた方でした。

 現在ではウエスタン専門店が複数存在するなど、ウエスタンエレクトリックのトーキー用機材はオーディオ用途として高い評価を受けるようになり、国内でレプリカを作るメーカーも多数現れましたが、全ては池田先生の15Aから始まりました。

 WE15Aは曲げやすいように繊維の方向を一方向に揃える特殊な貼り方をしたシナベニア合板を湾曲させて作ったカールホーンでしたが、ウエスタンには合板でない無垢材の組み木大型ホーンが存在しました。15A以前、1927年、初のフル・トーキー映画「ジャズ・シンガー」が封切られた年に発表されたWE12A、WE13Aです。

 WE12Aは15Aと同型の渦巻き型のカールホーンです。開口部サイズはW45インチ、H45インチ、ホーンの奥行は47インチで、15Aホーンの開口部W56・3/8インチ、H57インチ、奥行53・1/8インチと比較するとサイズはやや小さくなります。

 これに対しWE13Aは渦巻き型ではなく折り返し型のフォールデッドホーンで、サイズは開口部W62インチ、H42・1/2インチ、奥行56インチとウエスタンエレクトリック歴代最大のホーンで、そのカットオフ値も57Hzと12Aの67Hzより10Hz低くなっています。

 12Aの音道の長さ3.35mに対して13Aは4.27mもあるそうです。

※笹本さんの工房にお邪魔し、現物のホーンに巻尺を当てて計測していただいたところ、13Aのホーン長はさらに長く、鉄製のスロートを含めると4.85mでした。

 気柱共鳴管の場合、ドライバーが最低域まで鳴らせるのなら、音道4mでは21Hzが出せますから、13Aで57Hzが出ても不思議はありません。

 三上先生のHP内の新先生の記事の引用によると、13Aの低域は50Hzまで伸びている様です。

 なんとなく大型振動板でなければ低音は出ないような気がしますが、小型の振動板で低音が出にくいのは、振動板に押された空気が横に逃げてしまうためだそうで、そこを大型ホーンでがっちり逃がさなければ振動板が小さくても低音は出るらしいです。

P.S.1.
 ベンプレ親父が15Aホーンですこし不思議に思っていることがあります。映画館のスピーカーはサウンドホールの開いたサウンドスクリーンの裏側に設置されていました。

 スクリーンは定期的にスクリーン塗料が吹きつけられていましたので、劇場で使用されていたアルテックやロンドン・ウエスタンのスピーカーにはスクリーンのサウンドホールを通して漏れてきたスクリーン塗料の白い斑点が、吹雪のように着いている物が散見されます。

 しかし15Aホーンでスクリーン塗料の白い斑点がついているものは見たことがありません。15Aはアルテックやロンドン・ウエスタンと一時期並行して使われていたはずですが、なぜ15Aには塗料の斑点が無いのでしょうか。

 「アルテックA4やロンドン・ウエスタン2080A、2090Aは粗末にされていたが、15Aは大切にされており、塗料吹付時には養生されていた」などという文書も見たことがありませんし、どちらも業務用ですから、取り扱いが変わるとは思えないのですが。

 むしろウーハー(515、2080A)の振動板が露出しているA4やロンドン・ウエスタンこそ養生すると思うのです。

 15Aは映画館からお暇を出されたあと、どれも全て再塗装されていたのでしょうか。

 A4やA5の箱は、塗料の白斑点のある方が「映画館で使用されていた証拠だ」と価値が高いとされています。それなら15Aも同じでは。

 ビンテージショップならいざ知らず、好事家が(池田邸スタジオの15Aの様に)映画館から直接手に入れたものなら普通は再塗装はされないでしょう。

 どうして15Aにはスクリーン塗料の斑点がないのか、ご存知の方は、コメント欄にお知らせくださいますと嬉しいです。
https://91683924.at.webry.info/201709/article_5.html
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1074.html#c3

[リバイバル3] ロンドン・ウエスタンの世界 中川隆
4. 中川隆[-11642] koaQ7Jey 2020年8月27日 10:49:40 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[17]
ウエスタンエレクトリック13Aレプリカ&WE555導入記 その7.
2017/09/07
https://91683924.at.webry.info/201709/article_9.html


画像

 (ベンプレ亭書斎搬入目前のWE13Aです。これから最終塗装を経てお輿入れです。それにしても貫禄充分、まるで生物のような有機的な造形ですね)

 シネマスコープの30館を除いた残りの78館、モノラルのシステムを使っていた小屋の相当数は555+15Aだったのではないかと思います。

 WE594、TA4181のシステムは戦前の1936~1937の二年間しか日本に輸入されていませんでしたし、続・音響道中で、伊藤先生はWE594にはほとんど触ったことがないと書いておられるので、モノラル再生の78館の中にミロフォニックシステムは無かったか、あっても僅かであったと思います。

 ただロンドン・ウエスタンの2080A、2090Aは一定数あった様です。伊藤先生はロンドン・ウエスタンが戦後、関西地区と中部地区に設置されたこと、「これらは相当な銘機であって、殊に2080及2090型のステージスピーカーは抜群なものであった」と続・音響道中に書き残しておられます。

 先の1957年版ウエスタンエレクトリック・トーキーシステム使用映画館一覧によれば、同年日本で初めて公開されたシネマスコープの普及は東京地区が優勢で、中部、関西地区はモノラル再生がまだまだ主流だったようです。

 「もみくちゃ人生」にも記載がありますが、やはり戦前、羽振りのよい東京からウエスタンは導入されていき、戦前のシステムはWE555A+15A。

 戦後ようやくウエスタンを入れられるようになった中部、関西の地方都市は1954~1959年の間に導入され、価格がやや安かったロンドン・ウエスタンになったものと思われます。

 日本にウエスタンが再登場した1949年から1956年までは先の「高域WE713-BかALTEC802、低域WE754-AかALTEC803」が導入されましたが(1954~1956はロンドン・ウエスタンと併売)、東京の一流館は既に1929〜1935年にWE555+15Aの導入が済んでいたので、シネスコまでこれらに置き換えなかったものと想像します。

 555の生産本数(7万本?9万本?)から考えても、594を使用したミロフォニックシステムが発表されたあとも、シネマスコープが広まり始めたあとも、555、15Aはかなり長いあいだ現役で使用されていたと思われます。

P.S.1.
 日本で最初の立体音響映画は1957年4月29日、昭和天皇の誕生日に封切られた、新東宝の「明治天皇と日露大戦争」だそうです。新東宝といえば、われわれの世代では日活ロマンポルノと併映される低予算のピンク映画ですが、こんな良い時期もあったんですなぁ。


P.S.2.
 WE754-AはWE755によく似た20cmのウーハーです。これで客席まで十分な音量で音が飛ぶのでしょうか。1949年には既にALTEC803は発表されていますから、754-Aは小さな映画館専用だったのでは。
https://91683924.at.webry.info/201709/article_9.html
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1074.html#c4

[リバイバル3] ロンドン・ウエスタンの世界 中川隆
5. 中川隆[-11641] koaQ7Jey 2020年8月27日 10:53:23 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[18]
ウェスタンエレクトリック・ロンドン2080-Aを導入しました(その1.) 2016/04/11
https://91683924.at.webry.info/201604/article_8.html
 ベンプレ亭書斎のメインシステムは2系統あります。西面がビジュアル用と兼用のバイタボックス・バスビンを中心とした5way、東面がアルテックA4にツィーターを加えた3wayです。

 バスビンは少しずつ弄りながら、もう30年も使っています。A4は導入してまだ日が浅く、2年足らずです。

 2年足らずだと言うのに年寄(?)は先を急ぐ為でしょうか、このほどA4のウーハーを写真のウェスタンエレクトリック・ロンドン2080Aに交換してしまいました。


ウェスタンエレクトリック・ロンドン2080A
https://91683924.at.webry.info/201604/img1_8.146038211354674094180.html

 この導入記を書くにあたり、私の知るウェスタンの断片的知識を少々。

 ウェスタンエレクトリック・ロンドン、後のロンドン・ウェストレックスは米AT&Tの製造部門であるウェスタンエレクトリック直系の英国の会社です。

 ウェスタンはカナダにノーザンエレクトリック、日本にニッポンエレクトリック(現NEC)など直系の会社がありますが、ウェスタンエレクトリック・ロンドンもその一つです。

 各会社の米国ウェスタンエレクトリックとの関係はまちまちな様です。ノーザンエレクトリックの発足は1895年と古いのですが、旧ウェスタンエレクトリック時代(集中排除法で会社が分割される1937年まで)のコピー品は私の知る限り見当たりません。

 1928年からトーキーシステムに乗り出しているそうなので、555、594のコピー品があってもおかしくないのですが、市場でたまに見かけるのはオールド・アルテックの同等品だけの様です。

 1937年のウェスタンエレクトリック分割後、アルテックとIPCが同じものをブランドを変えて販売していたのと同じ様なイメージです。

 ニッポンエレクトリックは設立時に、米ウェスタンエレクトリックが株式の54%を保有していました。設立は1899年なのでノーザンエレクトリックより4年後に設立されたのですが、販売していたスピーカーはウェスタンエレクトリック555Wのコピーのドライバー(レシーバー)で、逆にアルテック時代のコピー品は無い様です。

 その後東洋ウェストレックス社が設立され、ニッポンエレクトリックは傍流になったのでしょう。

 それにしてもNEC、戦前の日本で自社製の555を売ろうなんて、ナカナカのチャレンジャーですね。
 
 余談ですが、NECで555コピー品を製造していた職人さんがYL音響を創立し、更にYL音響の職人さんが独立して、ゴトウユニットが創業したそうです。

 どの会社もルーツはウェスタンエレクトリックなんですね。

 ウェスタンエレクトリック・ロンドンは創立年がネットで調べても判りませんでした。

 地理的にも、当時の市場規模からも、ニッポンエレクトリックより後に設立されたとは考え難いのですが。

 同社も555、594直系のスピーカーを出していたというネット情報も見た事があるのですが、検索しても具体的な製品がヒットしません。現存するならなら必ず評判になり、多少は流通していると思いますが・・・

(※その後、コメント欄から情報を頂き、WE555のウェスタンエレクトリック・ロンドン版、30150を教えてもらいました)

 歴史の舞台に登場するのは1950年、今回私が導入した2080-Aやホーンドライバーの2090-Aが発表されてからです。これらはどちらも最初期のアルテックをベースに改良した物です。

 ノーザンエレクトリックがアルテック515、288をデカルだけ変えてそのまま販売していたのに対し、ウェスタンエレクトリック・ロンドンは英国内の技術者が知恵を絞って、これらの改良版を開発したと思われます。

 やはりジョンブル魂のなせる業でしょう、お国ぶりが感じられて楽しいですね。
https://91683924.at.webry.info/201604/article_8.html

ウェスタンエレクトリック・ロンドン2080-Aを導入しました(その2.) 2016/04/11
https://91683924.at.webry.info/201604/article_9.html

2080-Aのマグネットに貼ってあるデカル
https://91683924.at.webry.info/201604/img1_9.146038232639324707180.html


 写真は2080-Aのマグネットに貼ってあるデカルです。「Western Electric Co. Ltd. LONDON」と書いてある様に、やはりウェスタンエレクトリック・ロンドンが設立当時の会社名なんですね。

 ロンドン・ウェストレックスという名称の方が通りは良いのですが、その社名は少し後の社名の様です。

 少し時代が下がると、同社のスピーカーには「Westrex」のシールが貼られますので、ロンドン・ウェストレックス、あるいはウェストレックス・ロンドンと称されることが多くなったのでしょう。

 なお、デカルの下に打ってある刻印は製造番号だそうです。写真の個体は40番で最初期の2080-Aと思われます。

 入手した4本の2080-A、製造番号は小さい方から36,40,354,355です。36,40は最初期の番号ですので1950年の製造でしょう。354,355も同年の製造では。

 以前、どこかのお店のブログで見た2080-Aのシリアルナンバーは3994と打刻されていましたから、2080-A、年に数百本から1000本は作られていたのではないでしょうか。

 と言いますのも、伊藤喜多男先生の「音響道中膝栗毛」に紹介されているウェストレックス・ロンドンの5010Aスピーカーのイラスト(下の写真。拾ったものでなく、自分の買った本を自分のカメラで写したものなので引用御容赦)が根拠です。


ウェストレックス・ロンドンの5010Aスピーカーのイラスト
https://91683924.at.webry.info/201604/img2_9.146038239761500090180.html


 このスピーカーのイラストは1954年製と書かれているのですが、ウーハーが既に2080-Fというフェライト型に変更されています。

 1954年といえば2080-Aが発表されてからわずか4年後ですから、4年で少なくとも3994本は製品が出荷されているのではないかと考えました。

 但し2080-Aと2080-Fが併売されていたのなら、少し話は変わりますが。

 ウェスタンエレクトリック・ロンドンのスピーカーは日本にも相当数が輸入されていますから、世界各国に流通していたと思われます。ですから2080-Aの出荷数が4000本なら際立って多いとは思いません。

 本家のウェスタンエレクトリック594も3000本が生産されていましたし、555レシーバーは戦前に総計7万本が生産され、そのうち数千本が日本に入って来たそうですから。

 なお、私は2080-Fの実物を先輩の家で見た事があります。フェライトですからマグネットの奥行きが薄く、ハンドルは付いている物の、見た感じでは2080-Aより大分軽いのではないかと思いました。2080-A、余りにも重いので、現場での取回しに支障を来し、2080-Fが開発されたのかもしれません。

 2080-F、持たせてもらって、重さを比べてみればよかったと思います。
https://91683924.at.webry.info/201604/article_9.html

ウェスタンエレクトリック・ロンドン2080-Aを導入しました(その3.) 2016/04/11
https://91683924.at.webry.info/201604/article_10.html

 (写真はウェスタンエレクトリック・ロンドン2090-Aの姉妹品?アルテック288Bです。アルテック288が英国では2090-Aに改良され、米国では288Bに改良されました)


ウェスタンエレクトリック・ロンドン2090-Aの姉妹品?アルテック288B
https://91683924.at.webry.info/201604/img1_10.146038255524643507178.html

 ウェスタンエレクトリック・ロンドンの製品というと、「ウェスタン」の名前の為か、アルテックより旧いパーツだと一部で誤解されている様です。

 しかし2080-Aウーハーも、ウェスタンエレクトリック・ロンドンを代表するドライバーである2090-Aも、アルテックの515、288より後に、これらのモデルを下敷きにしてイギリスで作られたものです。

 515、288は1945年に開発されているのに対し、2080-A、2090-Aは1950年に発表されています。

 米国のウェスタンエレクトリックは独占禁止法(集中排除法)のため1937年にスピーカー製造部門がアルテック、IPCに分離されましたが、独禁法が無ければウェスタンエレクトリックのままで良かったわけです。

 米国の独禁法の権限は、当然海外には及びませんから、英国ではウェスタンエレクトリックの社名でスピーカーが作り続けられたのでしょう。

 ウェスタンエレクトリック・ロンドンの製品が英国のどこの工場で作られたのかは、確定的な話がありません。

同じシアターサプライを手掛けている事からバイタボックスが一枚噛んでいるらしいとか、工場の規模はグッドマンが最大だったのでココだろうとか、いや、創業者のガイ・ルパート・フォンテーンが昔ウェスタンエレクトリック・ロンドンに勤めていた関係で、タンノイが協力したという説もあります。

 私はウーハーに関してはバイタボックスのOEMではなかったかと推測しています。それは1954年に既に2080はアルニコ磁石からフェライト磁石に変更されているからです。

 フィールドコイル磁石の時代が終わるとスピーカーはアルニコ磁石に一斉に変更されました。その磁石が一斉にフェライトへ変更されたのは1970年代末期です。

アフリカ・ザイールの内戦でコバルトが高騰し、アルニコ磁石の材料が手に入り難くなったためだそうです。

 それまでもフェライト磁石のスピーカーはありましたが、ほぼ全て廉価版、高級機はどれもアルニコでした。

 フェライトに変更されるとき、JBLは「いや、フェライトの方が性能は良いんだ・キャンペーン」を打ちましたが、実際聴くと優劣は明らかで、この辺りからJBLは日本で売れなくなったらしいです。タンノイもアルテックもフェライトに変更された時にはファンから悲鳴が上がりました。

 私は当時タンノイを使用していましたが、例えアルニコモデルで一番評判の悪かったHPD385A(私の愛機)であっても新型のフェライトモデル、K3808より断然良い音でした。

 アルテック、JBL、タンノイが当時の海外製スピーカーの御三家でしたが、フェライト化に伴い一気にシェアを失って行ったと記憶します。

 この時代に悠然とフェライトを売っていた高級スピーカーメーカーがありました。英バイタボックスです。バイタボックスのウーハーは最初期こそAK150なるアルニコ磁石でしたが、コバルト高騰とは無縁の早い時期に、AK156/157のフェライト磁石に切り替えられていました。

 CN191コーナーホーンやバイトンメジャーは当時のクラシックマニア・垂涎の的でしたが、ウーハーは以前からフェライトでした。

 ドライバーもアルニコのS2とフェライトのS3が併売されており、どちらの方が上位機種との位置付けはなされてはいませんでした。

 つまりバイタボックス社は早い時期にフェライト磁石の使い方に習熟し、フェライトで美音を再生するノウハウに自信をもっていたのでは。

 ですから2080-AがバイタボックスのOEMなら1954年に早くもフェライト化(2080-F)されていても不思議ではないと考えるのです。
https://91683924.at.webry.info/201604/article_10.html


ウェスタンエレクトリック・ロンドン2080-Aを導入しました(その4.) 2016/04/11
https://91683924.at.webry.info/201604/article_11.html


 写真はアルテック210エンクロージャーに仕込むため揃えた4発の2080-Aです。


アルテック210エンクロージャーに仕込むため揃えた4発の2080-A
https://91683924.at.webry.info/201604/img1_11.146038274984126590178.html

 さて、2080-Aに付いて少々。
 
 と思いましたが、私が駄文を書くよりステレオサウンド社の名文をコピペします。

 『Western Electric London Receiver 2080-A

 塗色と磁気回路に付されたハンドルを除くと、アルテック「515」と外観的にはあまり差異はなく、本設計は明らかに同一と思われる。しかし細部に目を移すと、バスケット(フレーム)の磁気回路への取りつけ方、マグネット・ストラクチャー、コーン・エッジの裏と蝶型スパイダー(ダンパー)の中に柔らかいウール繊維が詰められている、などの差がある。

 それに重量が34ポンド(15.4kg)とまったく違う。カタログによるギャップの磁束密度は13200ガウス、ヴォイスコイル・インピーダンスは16Ωである。ただし、この「2080-A」にも、マグネット外形が「515」様の大型と、「803」様の小型のものがあるので注意が必要。後には「2080-F」というフェライトマグネットの製品まで登場した。

本機を1本から4本まで内蔵する低域バッフルとして、2081-A、2082-A、2084-C〜Fの6タイプがあり、指で押したくらいではピクリとも動かないコーン紙(アッセンブリーで約48gと軽いが、頑丈な造りで、「515」用とは漉き方が異なる。低域共振周波数は55Hz)は、これらの低域バッフルに組み込まれると、イギリス人の英知を思わせる、気品の高い風格ある大人のサウンドをもたらす。

 このヨーロッパ・トーンは、他では決して得られない味わい深いものである。

 数十年にわたる長いオーディオ遍歴の果て、ついに理想とするこのシステムに巡り遭い、その間の苦労について目をうるませながら語った人がいる。

 早速聴かせていただいたが、音楽を愛する「思い」に裏づけされた深い教養がありありと滲み出ており、めくるめく感動を覚えた。 人柄は遂に、音に反映するのである。』
https://91683924.at.webry.info/201604/article_11.html


ウェスタンエレクトリック・ロンドン2080-Aを導入しました(その5.) 2016/04/11
https://91683924.at.webry.info/201604/article_12.html


 ではベンプレ親父の見立てた2080Aに関する追加事項を再掲の写真を見ながら語りましょう。


2080A
https://91683924.at.webry.info/201604/img1_12.146038287075462632177.html

 
 このユニットがアルテック515をベースに作られている事は間違いありません。

 バスケットの形状はアルテック515〜515B前期型と同じでリアマウント方式。バッフルに留めるネジ穴の位置も同じです。

 エッジも515と同じフィックスドエッジ、センターキャップの形状も、エア抜き穴のサイズも同一です(エア抜き穴に裏打ちしてある布の色がオレンジがかった茶色で、ココは黒である515と違います)。

ダンパーも515と同じベークライト製蝶型ダンパー(スパイダー)です。

 コードを留めるターミナルも515と同一のパーツです。

 515との違いは以下の様です。

 まず写真に見る通りアルニコ・マグネットがより大型で、515よりマグネットの奥行きが長くなっています。

 先ほどバスケット形状は515と同様と述べましたが、フレーム前面、バッフルに接する部分の厚みが515より約3mm厚くなっています。ガスケット(515はコルク、2080は黒い綿フェルト)も515より2mm程度厚いため、合計で5mm程フレーム前面が厚く仕上がっています。

 マグネットサイズとフレーム前面の厚みが増している為でしょうか、重量が15.4kgとなり、515Bの11.8kgより3.6kgも増加しています。38cmウーハーとしては破格の重さなので、取扱が容易なように、マグネットカバーにハンドルを付けたのでしょう。

 初めて見た時は「ハンドルとは大げさだなー」と思っていましたが、ユニットをバッフルに取り付ける段になってハンドルに随分助けられました。コレがなければ二人がかりでもユニットの取り付けには難渋しそうですね。

 次にコーン紙が違います。48gと515より軽量ですが、腰の強い丈夫なコーン紙です。

 流石に寄る年波には勝てず、ベンプレ親父が入手した2080-Aは一部エッジの補修がされていますが、繊維の長い特殊な和紙を使って丁寧に補修してあり、追加重量は最小限になっているため音質を損なうことは無いと思います。

 見てすぐ判るのはコーン紙の裏側、フレームとの間に羊毛フェルトが入っている事でしょう。

 これは音を聴いて決められたダンプ材だと思いますが、コーン紙の保護にも一役買っている筈です(未確認情報ですが、後にウレタンでダンプしてあるものも発売されたらしいです)。

 写真ではわかりませんが、中をのぞき込むと蝶型ダンパーの裏面にも羊毛フェルトが入れてあり、ダンプされています。

 同様に音を聴いて仕込まれたのでしょうが、やはりダンパーの保護に役立つと思われます。

 ここから先はベンプレ親父には判りませんが、先輩からの口伝に依りますと、ボイスコイルが違うそうです。ボイスコイルは515より細く、ターン数は515より多いそうです。

 中高音の細かい音を出すためには、このボイスコイル径と巻き方がポイントとの事でした。

 センターキャップの裏側にマス・コントロールリングが入っているとのネット情報もありましたが、これは裏が取れていません。

 アルテック515と515Bもボイスコイルが異なり、音の違いをもたらす要素になっている様です。どちらもエッジワイズ巻きですが、ボイスコイル長が515Bは6mm、515は10mm。

 よく判らないのですが、515Bはシングルターンで515はダブルターンとか。要するに巻き方も違うらしいです。  そのためなんでしょうか、515Bのインピーダンスは公称16Ω、DCR11Ωに対し、515は公称20Ω、DCR8Ωです。

 2080Aのインピーダンスは16Ωとも20Ωとも言われますが、まあ、クロスオーバー周波数でのインピーダンスでなければ意味が無い事ですから、気にしないでおきましょう。
https://91683924.at.webry.info/201604/article_12.html


ウェスタンエレクトリック・ロンドン2080-Aを導入しました(その6.) 2016/04/11
https://91683924.at.webry.info/201604/article_13.html

アルテック210エンクロージャーから515を外し、2080-Aを装填したところ
https://91683924.at.webry.info/201604/img1_13.146038312493556275180.html


 アルテック210エンクロージャーから515を外し、2080-Aを装填したところです。

 この時気が付いたのですが、アルテック515、515Bにはボルトを貫通する穴が8個開けてあるのに対し、2080-Aは4個なんですね。
 
 210側に開いているボルト孔は4個なので、別に困りはしませんが、515(11.8kg)より3.6kgも重い15.4kgの2080-Aが4個とはこれ如何に。別にキッチリ止まるので問題ないですが。

 バッフルへの装着はベンプレ親父、ベンプレ息子、ベンプレ妻の3人がかりで行いました。妻は懐中電灯係り兼ボルト等のパーツ渡し係り。息子はユニット保持係り。私はユニット保持兼ボルト回し係りで作業を勧めました。

 先輩から、「515とは重さが違うのでカクゴするように。手で保持しただけではボルト絞めの最中にユニットを取り落とさないとも限らないので、あらかじめ細いボルトをユニットとバッフル孔に通して仮固定し、作業を進めると良い。一人で作業する事は禁忌」とアドバイス頂き、作業用の細いボルトまで頂きました。

 2080-A、イヤ重かったです。体感上はアルテックの2倍くらいに感じました。先輩のノウハウが無ければ大惨事が起きていたかも・・・

 先に書きましたが、装着時に前面フレームの厚みが515より厚い事に気が付きました。ボルトが210側のナットに少ししか掛からないため、安全のために後日、東京・虎ノ門の三和鋲螺で515装着時のボルトより0.25インチ長いステンレスボルト(0.25インチ径、1.5インチ長)を仕入れて取り換えました。

 ボルト長の調節とユニットのフレーム保護のため、薄いワッシャーも噛ませました。

 これでユニットの装着は更に完璧ですw

 コード類は515使用時のものを流用しました。メインのスピーカーコードはウェスタンエレクトリックの10GA、2080-Aをパラ接続するための内部配線はベルデン8707です。

 どちらもメッキ線ですので、長期使用にも安心ですね。

 2080-Aは古い物なので、ハンドルの留めネジやフレームのネジに一部サビの浮いている所があります。あまり神経質にサビ取りをすると却って調子を狂わしそうなので、CRC5-56で簡単に拭き取る程度にしておきましたが、スピーカーターミナルのコードを咬み込む面だけは綿棒を使って念入りに清掃しておきました。

 さて、2080-A二発を納めるウェスタンエレクトリック・ロンドン製のエンクロージャーは先の伊藤喜多男先生のイラストの様に2084-Cですが、流石にこの箱は探せませんので、515を装着していたアルテックの210を流用しています。サイズは同一だと思われ、ホーンやバスレフダクトも同じ形状です。

 しかし全て同じではないようで、イラストが間違いないとすると、2084-Cには210にあるウィングを固定するための片側2本の腕木が省略されている様です。

 また、210の裏蓋は文字通りエンクロージャーの裏にしかありませんが、2084-Cのイラストでは「SIDE ENTRY」との記載があり、ここにも蓋が付いている様です。もしかするとユニットの取り付けが容易なようにコの字型の裏蓋にしてあるのかもしれませんね。

 イラストでは判りませんが、エンクロージャーの材質も違うはずです。210は当初オール米松合板、後に米松とパーチクルボードの混成になりました。

 2084-Cは英国製ですので、米松ではなく、バイタボックス・バスビンと同じくフィンランドバーチが使われていたのではないでしょうか。

 バーチ合板は米松合板より硬く、重く、響きもコツコツとした高音寄りの音なので、出てくる音もより締まった音だと思います。

 しかし2084-C、現存品が存在するのか否か不明ですし、そこまで望むのも欲が過ぎるでしょう。バーチ材で箱屋さんに作ってもらう事は可能でしょうが、オリジナルでない箱に入れても2080-Aが却ってモッタイナイ気がします。

 なお2084-Cの塗装はアルテックと同じグレーだと思います。ステレオサウンド53号のザ・スーパーマニアのページにジーメンス・オイロダインと一緒にアルテック825タイプのロンドン・ウェストレックス・スピーカーを使っている方が登場されています。

 この箱は825ではない事は確かな様で、ロンドン特有のサイドエントリーが有りますが、その写真を見ると箱の塗装はグレーです。

 写真なのではっきりした事は判りませんが、アルテックより少し明るいグレーの塗装ではないでしょうか。

 但しこの写真のロンドン・ウェストレックスの箱、キレイすぎるので再塗装かもしれません。バスレフポートから覗く吸音材が羊毛ではなく、最近の白いサーモウールの様に見えますので。

 この箱の型番は書いてありませんでしたが、2081-Aでは?

 という事は、もしかすると210エンクロージャータイプの2084-Cも日本に在るのかもしれませんね。
https://91683924.at.webry.info/201604/article_13.html

ウェスタンエレクトリック・ロンドン2080-Aを導入しました(その7.) 2016/04/11
https://91683924.at.webry.info/201604/article_14.html


アルテック210エンクロージャーの換装が完了した2080-A
https://91683924.at.webry.info/201604/img1_14.146038332219377223177.html


 アルテック210エンクロージャーの換装が完了した2080-Aです。とは言っても外観では殆どアルテック515装着時と区別が出来ません。センターキャップのエア抜き穴を蓋っているメッシュ布の色が茶色であること位でしょうか。

 コーン紙は515よりやや黒っぽい色です。
 
 210エンクロージャーには当初アルテック515B前期型、その後同社515、この度ウェスタンエレクトリック・ロンドン2080-Aと2年足らずで3代目のユニット交換となりました。

 515Bも515も不満があったわけではないのですが、より良い音を求めるうちに2080-Aまで来てしまいました。

 ウェスタンエレクトリックといえば、555、594のドライバー(レシーバー)、597ボストウィックツィーター、ジェンセンのOEM、TA4181ウーハー辺りが一番有名です。私はどれも聴いたことが無いのですが(聴いたことが有るのはWE713だけ。515ウーハーの上に使っておられました)、これらの素晴らしさを語る人は多く、それなりの良さはあるのでしょう。

 しかし私はこれらの米国ウェスタンエレクトリックに少し疑問もあります。

 ジェームス・バロウ・ランシング(JBL)の伝記を読むと、ウェスタンの音響に不満のあったMGM映画が劇場用スピーカーを開発し、ランシング社のスピーカーユニット(15XSウーハー、284ドライバー)を用いたシャラーホーン・システムを完成させました。

 これが極めて優秀で、映画芸術科学アカデミー賞を受賞し、MGM系列の映画館ではウェスタンに取って代わったと言われています。

 してやられたウェスタンエレクトリック社ですが、このランシング社ユニットの優秀性に目を付けたようです。

 ウェスタン後継のアルテック社は、財務担当者が飛行機事故で亡くなって後、経営難に陥ったランシング社を吸収合併し、アルテック・ランシングと社名を変更しました。

 ここでJ.B.ランシング副社長の指揮のもと製造されたのが515や288ですから、これらは旧型ウェスタンより上という論法も成り立たないとも言えません。

 まあ、555も聴いたことが無いのに何を言っても始まりませんがねw

 また耳の良さでは数々のエピソードを残した五味康介氏の実家は戦前戦中に興行師を営んでおり、経営する映画館ではウェスタンを使用していたそうです。

 五味氏が復員した時、「ご自慢のウェスタンも塵埃に化していた」と嘆き、「この様にして失ったものを二度と見たくない」と氏は書き残しています。

 五味氏は戦後、音楽を聴くために小説家になり、当初グッドマン、その後テレフンケン、そしてタンノイ・オートグラフにたどり着きますが、一度として米国ウェスタンに帰ろうとはしませんでした。

 確かに「二度と見たくない」と書いてはいますが、「良い音のためには女房を質に入れても手に入れる。私はそういう人間だ」とも書いています。

 つまり、五味氏はそこまでウェスタンエレクトリックの音を評価してはいなかったのでしょう。

 私は米国ウェスタンエレクトリックの旧型スピーカーよりもウェスタンエレクトリック・ロンドンに興味がありました。

 若いころから英国製スピーカーが好みで、学生の時からタンノイ、その後バイタボックスをメインに使用していましたから。

 米国ウェスタンを打ち破ったランシング社が後にアルテック・ランシング社として開発した515、288をイギリスの技術者が改良したのが2080-A、2090-Aですから、ここに興味が集中するのも私には無理からぬところなんですね。

 実はウェスタンエレクトリック・ロンドンの音響機械は結構日本にも設置されていたらしいです。なんでも米国ウェスタンエレクトリックよりリース代金が安かったからとか。

 確かにイギリス人は吝嗇で、アメリカやヨーロッパ大陸と異なり、カネに糸目付けない製品やバカ値の物は作りませんからね。

 この辺りも私の趣味に会います。

 それから内緒の話を一つ。

 伊藤喜多男先生は「米国ウェスタンよりロンドン・ウェスタンの方が音が良いんだ」と言ってたらしいです。伊藤先生が公式にそう発言すると影響が大きすぎますから、内緒の話です。

 伊藤先生は既に物故されていますので、もはや裏は取れません。伝説です。
 
 氏はウェスタンエレクトリック・ロンドンのスピーカーに関しては誠文堂新光社発刊の「続・音響道中膝栗毛」のp98に『英国のウェストレックスから種々な装置が入って来て、主に関西と中部地区に設置された。これらは相当な銘機であって、殊に2080及2090型のステージスピーカーは抜群なものであった。』と書き残すのみです。
https://91683924.at.webry.info/201604/article_14.html


ウェスタンエレクトリック・ロンドン2080-Aを導入しました(その8.)2016/04/11
https://91683924.at.webry.info/201604/article_15.html

 アルテック210エンクロージャーに2080-Aを装着し、過去に使用した515、515Bの周波数特性と比べてみました。

 計測した日時も、マイクを置いた位置も異なりますので、参考程度にしかなりませんがw


低域アルテック210+ウェスタンエレクトリック・ロンドン2080-A×2、高域アルテックH1505+288Bの周波数特性
https://91683924.at.webry.info/201604/img1_15.146038361193316612178.html

 低域アルテック210+ウェスタンエレクトリック・ロンドン2080-A×2、高域アルテックH1505+288Bの周波数特性です。スピーカーが大きいので測定は軸上1mではなく、約4m離れた聴取位置のF特です。

 アッテネーターの目盛りは515を装着していた時から動かしていませんので、能率は515と変わらないと思います。低域は60Hz辺りまでフラットに再生する様です。


アルテック515+288Bの F特
https://91683924.at.webry.info/201604/img2_15.146038366333476385178.html


 写真はアルテック515+288BのF特です。低域再生は50Hzまででしょうか。

 60Hz辺りにワンピークあるので、それ以前に使用していた515Bより低域が豊かに聴こえていました。


515B+288Bの F特
https://91683924.at.webry.info/201604/img3_15.146038371606528636178.html


 こちらは515B+288BのF特です。低域の再生レンジは40Hzと515より更に下まで伸びており、515の様な低域のアクセントが無いF特ですね。

 F特グラフに示すまでもなく、515BのF₀は25Hz、515は45Hz、2080-Aは55Hzとユニットを変えるたびに低域の再生限界は狭くなっているのですが、再生帯域のフラットネスでは2080-Aが最も優れている様です。

 聴感上は515の低域が一番豊かに、2080-Aの低域が一番自然に聴こえます。

 最初に使用した515Bも凡百のスピーカーと比較すると音の立ち上がり、立下りの速いハイスピードなウーハーですが、レスポンスの速さでは515には敵いませんでした。515を聴いた後では、「やはり電機の音だったなぁ」と思います。

 2080-Aは515以上にナチュラルで、自然の音、生の楽器の音に近いです。楽器の発する音を鳴らすだけではなく、ホールトーンを見事に再現しますので、録音現場に立ち会っているかのようです。もはや反応が速いとか遅いとかを意識させない音です。

 古いスピーカーですから、写実的な音ではなく、油絵の様な音かと想像していましたが、全く違いました。

 濃い味、薄味、柔らかい音、豊かな音、鋭い音を余裕で鳴らし分けます。「再生装置」として、実に完成度が高いスピーカーだと驚きました。
https://91683924.at.webry.info/201604/article_15.html


ウェスタンエレクトリック・ロンドン2080-Aを導入しました(そ9.最終回)2016/04/11
https://91683924.at.webry.info/201604/article_16.html

ウェスタンエレクトリック・ロンドン2080-A×2+アルテック210エンクロージャー、アルテック288Bドライバー+H1505ホーンの外観
https://91683924.at.webry.info/201604/img1_16.146038385575768194179.html

 完成したウェスタンエレクトリック・ロンドン2080-A×2+アルテック210エンクロージャー、アルテック288Bドライバー+H1505ホーンの外観です。

 音が鳴り始めてすぐ、我が家のオーディオ評論家、ベンプレ妻に聴かせましたが、「ビックリする位自然な音ね」、「前のよりずっと良いわ」、「何の調整もしないでいきなりこの音ってのは、凄いんじゃない?」、「いつまで聴いても疲れない音よね、自然だから」と絶賛の嵐です。

 妻は515と2080-Aの交換に立ち会い、帰り道に「二人でゴミの物々交換をしてるのね」と冷笑していましたが、音を聴いて目を丸くしていました。

 「古臭くなんて全然ないわね。濁りの無い音よ」とも。

 妻はオーディオには興味も知識もありませんが、ヘンな先入感や期待感が無い事から、かえって良い物は良い、悪い物は悪いとハッキリ指摘します。

 音の印象が私と異なった事はまずありません。

 今回ほど妻に音を絶賛された事はありませんでした。私も、これはもう、ベンプレ亭書斎で鳴った過去最高の音だと思います。

 特にここまでホールトーンの美しいスピーカーは聴いたことが有りません。余韻の出方が群を抜いていると思います。

 うーむ、こうなるとドライバー、ホーンもウェスタンエレクトリック・ロンドンが欲しくなりますね。
 
 それにしてもウェスタンエレクトリック・ロンドンを私の手で鳴らすことが出来る日が来るとは、夢にも思っていませんでした。これはワルハラ城に住まう神々の世界のスピーカーで、俗人であるベンプレ親父の近付けるものではないと・・・

 先ほどもほっぺたをつねり、夢ではない事を確かめたばかりです。

 もうこれで死ぬまでウーハーはコレ、2080-Aで決まりです。憧れの名器ですから大事に大事に使います。

 一日でも長く聴けるように長生きしないとね。

 それから70歳でリタイヤし、一日中聴ける日が来るまで難聴になりませんように。

 2ペアの2080-A、新品で入手した最初のオーナーはもう鬼籍に入られた事でしょう。

 私の手元にこれらがあるのは、ベンプレ親父がまだクタバッテいないからです。
 以前、茶碗の収集家の話を読んだことが有ります。

 「名器を手に入れるには、所有者が死んだらすぐに駆けつけ、ブツをかっさらって来る事。つまり長生きした者の勝ちだ」

 私も長生きして、もう暫くは「かっさらう」側でいたいです。もちろん私が死んで、私の所有物が欲しい人がおられましたら「かっさらい」に来てくださいね。ベンプレ妻にも協力するように言っておきます。

 これで「ウェスタンエレクトリック・ロンドン2080-A導入記」を終わります。
 なんだかもう、ベンプレ親父は涅槃が見えた気がしますぞ。
https://91683924.at.webry.info/201604/article_16.html
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1074.html#c5

[リバイバル3] ロンドン・ウエスタンの世界 中川隆
6. 中川隆[-11640] koaQ7Jey 2020年8月27日 10:54:01 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[19]
ウェスタンエレクトリック・ロンドン2080-Aを導入しました(その10.追加稿) 2016/04/13
https://91683924.at.webry.info/201604/article_17.html


 一昨日、ウェスタンエレクトリック・ロンドン2080-A導入記、その1.〜その9.をブログにアップしましたが、先輩からメールで追加情報を頂きましたので追加稿としてアップさせて頂きます。


1.ウェスタンエレクトリック・ロンドンの日本導入に関する当方のブログ内容

  「実はウェスタンエレクトリック・ロンドンの音響機械は結構日本にも設置されていたらしいです。なんでも米国ウェスタンエレクトリックよりリース代金が安かったからとか。」


 【先輩の情報】

 『WEロンドンが日本の各地で使われたのは、何と言ってもフィールド型からパーマネント型の15インチと高能率ドライバーと小さな Horn でよりコンパクトなシステムであったため、田舎でも導入しやすかったようです。

加えて、WE時代から引き継がれた故障したら興行収入を全額補償する「安心のレンタルシステム」もあったからと言われています。何せ、県庁所在地の○○市よりより田舎である△△市の方が10館あった中で5館が導入していましたから…』


伊藤喜多男先生の手書きの 1957年12月のウェスタン設営館リスト
https://91683924.at.webry.info/201604/img1_17.146053413831755610179.html
https://91683924.at.webry.info/201604/img2_17.146053415870489288179.html


 音響道中膝栗毛に載せてあった、伊藤喜多男先生の手書きの表(ベンプレ親父の生まれる丁度1年前、1957年12月のウェスタン設営館リスト)を写真に撮ってアップさせて下さい。

 愛知県や岐阜県は特にウェスタンエレクトリック常設館が多かった様ですね。名古屋は嫁入り道具が豪華な事では日本一ですから、映画館も道具に凝るのかな?

 それに引き換えベンプレ親父在住の兵庫県は、神戸の2館だけで恥ずかしいかもw

2.ウェスタンエレクトリック・ロンドン2080のフェライト化に関する当方のブログ内容

 「このスピーカーのイラストは1954年製と書かれているのですが、ウーハーが既に2080-Fというフェライト型に変更されています。」


 【先輩の情報】

 『2080ですが、フェライトの導入はずいぶん後だと聞いております。モデルで言うと2080E,2080F,2080Gで

〜中略〜

不思議なことに2080Hではアルニコモデルに戻されています。』


 どうやら1954年に既にフェライト化されていたというのは間違いの様です。伊藤喜多男先生のイラストに書き込んである年号が誤りなのかもしれません。

2.2080-Aのマスリングに関する当方のブログ内容

 「センターキャップの裏側にマス・コントロールリングが入っているとのネット情報もありましたが、これは裏が取れていません。」


 【先輩の情報】

 『マスリングが装着されていたのは2080EとFだと言われています。
(2080Hは)マスリング、付いていませんでした。』


 2080-Aにはマスリングは付いていないようですね。

3.2080-AのOEM先に関する当方のブログ内容

 「ウェスタンエレクトリック・ロンドンの製品が英国のどこの工場で作られたのかは、確定的な話がありません。

 同じシアターサプライを手掛けている事からバイタボックスが一枚噛んでいるらしいとか、工場の規模はグッドマンが最大だったのでココだろうとか、いや、創業者のガイ・ルパート・フォンテーンが昔ウェスタンエレクトリック・ロンドンに勤めていた関係で、タンノイが協力したという説もあります。

 私はウーハーに関してはバイタボックスのOEMではなかったかと推測しています。それは1954年に既に2080はアルニコ磁石からフェライト磁石に変更されているからです。」


 ※上にも書きましたが、2080が1954年に既にフェライト化されていたというのは誤情報の様です。


 【先輩の情報】

 『Vitavoxのフェライトは、多分、ドイツにルーツがあるように思います。
大戦後、ロシアにもその断片が見られます。(フェライトでも良い音で鳴らせられる)

 2080の設計に関わっていたのは Vitavox,、Wharfedal、Goodmans 辺りでしょうか?
映画館用では BTH がありましたが、競争相手だったので交流は無かったのかと?』

 さらに下の一文も頂きました。

Westrex (London) was born out of the anti trust laws that resulted in ITT acquiring the european divisions of AT&T's corporate empire.

In the UK, Standard Telephone & Cables (STC) continued manufacture of Western Electric products (555, 497a etc) under licence, still badged as Western Electric.

From the 50's on, the sound equipment was badged as Westrex and possibly due to the demise of the field coil and WE getting JBL to manufacture an Alnico version of the 594a, the JBL 2440, Westrex (London) turned to Altec and produced the 2080 and 2090 drivers which were effectively re-engineered versions of the Altec 515 and 288 drivers but with much better build quality.


 どうやらウェスタンエレクトリック・ロンドンも555を生産してたようですね。

 この文章を書いた方もロンドンの2080を515より高く評価していた様で、なんだか嬉しいです。

 さて、米国ウェスタンエレクトリックに比べてウェスタンエレクトリック・ロンドンの情報はとても少ないです。

 このブログをご覧になった方で情報をお持ちの方は、コメント欄に書き込んでいただけますと有難いです。


コメント(4件)

情報、何も持っていないのですが・・・

1.に関して

確かにWE・ロンドンは、結構日本にも設置されていたらしいですね。
「続・音響道中膝栗毛」と同じ文章なのかも知れませんが、以下、伊藤喜多男氏の「うえすたん物語」よりの抜粋です。

「其の他英国のウェストレックスから種々な装置が入って来て主に関西地区と中部地区に設置されたが、これらは相当の名機であって、殊にラウドスピーカーが絶品であった。

東京地区のシネマスコープの増設が終わってから、この英国ウェストレックスが輸入された関係で、東京地区には殆ど英国ものは設置されていない。」

田舎に設置されたのは(笑)、上記のような、遅れて入って来たという理由もあったようですね。

2080-A の評価に関しては、東洋ウェスターン電気に勤務されていた永井克正氏の「ウェスタン・エレクトリック、栄光の系譜〜トーキーの現場から」の中でも、以下のように語られておりました。

「かつての栄光が薄らいだとはいえ、その系譜を受け継いだウェストレックスの名品がある。ウェスタン・エレクトリック・ロンドンである。

イタリアやインドでも作られるようになったウェストレックス・システムであるが、イギリス・ロンドンで作られた 2090-A 中・高域レシーヴァーと 2080-A 低域レシーヴァーは、ウェスタン・シアターサプライの最後の銘器といえるものである。」

shunsuke
2016/04/13 21:49

3.に関して

ヴァイタボックス、グッドマン、タンノイ、ワーフェデールの他にも、ローラ、パルメコ等、諸説ある中、あくまで推測になるのですが・・

ヴァイタボックスやタンノイは必要生産量に対する供給システムがまだ確立されておらず、とりあえず生産に関しては、やはり大規模なラインを有していたグッドマンではなかろうか?と考える方が多いようですね。果たして真実は?


あと、NEC版 555 が 555M であるように、WE・ロンドン版 555 が、T字型アルニコ・マグネットを採用した 3015B、C、E になるのでしょうかね。

「管球王国」Vol.67で 555系振動板を採用したドライバーの試聴テストやってました。ご参考まで。
shunsuke
2016/04/13 21:50


shunsuke様、情報有難う御座います。

先ほど管球王国No.67引っ張り出してみました。
30150B、ウェスタンエレクトリック・ロンドンの 555、出ていました!!

2013年当時は自分がウェスタン物に縁が出来るとは思っていなかったので読み飛ばしていました。
有難う御座います。

記事を見るとずいぶん熱い音の様ですね。それに WE555 の3倍はありそうな巨大なユニットですね。

ベンプレ親父
2016/04/13 22:57


shunske様

済みません。コメント二本頂きましたのに、うっかりして1本しか掲載していませんでした。
伊藤先生の講演、徳島にあったシュミットで一度だけ聞きました。
口は悪いが優しい方でした。たぶんテレ屋だったのでは?

ベンプレ親父
2016/04/18 09:50

https://91683924.at.webry.info/201604/article_17.html
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1074.html#c6

[リバイバル3] ロンドン・ウエスタンの世界 中川隆
7. 中川隆[-11639] koaQ7Jey 2020年8月27日 10:54:41 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[20]
趣味の極道 Vintage Vanguard Room3
ランシングとウエストレックスの部屋
http://www.gokudo.co.jp/Vanguard/Westrex/room3.htm


☆1950年英デッカ初のLPレコードを発売(米国内向けにロンドン・レーベルで1949年に先行発売)

この2年後にE.M.I.社からも発売され、英国を中心にHiFiブームが起こる。

ウェスタン・エレクトリック・ロンドン(WEロンドン)、「2080−A」低域用レシーヴァー、
「2090−A」高域用レシーヴァー、および「2081−A」低域用(1基)ホーンを発表

1953年英タンノイのG.R.ファウンテン、「Autograph」開発し、N.Y.のオーディオショーで発表。

画像
http://www.gokudo.co.jp/Vanguard/Westrex/room3.htm

Western Wlectric London Receiver 2090-A

 本機はウェスタン・エレクトリック・ロンドン社製の中・高域レシーヴァー・ユニットで、1950〜55
 年頃に生産された初期モデルである。 基本設計は明らかにアルテック「288」と同一だが、
 マグレット・ストラクチャー、ダイアフラム(耐蝕性を高めるフェノールト塗装が復活している)
 ヴォイスコイル・リードアウト部、バックカヴァー(アルミニウム・ダイキャスト)が真鍮に変更され
 ている)など細部に手が加えられており、独自のホーン(2091−A[8セル]、2092−A[12セ
 ル]、2093−A[15セル]、2094−A[10セル]、2095−A[1セル])と組み合わせると、実に
 しなやかな気品あふれる鳴り方をする。シアター・サプライならではの力強さ、雄大さと高度な
 信頼性を失うことなく、音楽の内声部のデリケートな表現をくっきりと描き出す見事さ。
 酸いも甘いも噛み分けた大人の音で、クラシック音楽、なかでも声楽の再生が特に素晴らしい。
 何代にもわたって音楽を聴き込んでいないと、こういうチューニングはできないのではないか。
 スペックは「288」とほぼ同様。ヴォイスコイルはアルミニュウムのエッジワイズ巻き、カタログ
 では直径3インチ(7.62cm)と表示されているが実際には「288」用と互換性がある。
 インピーダンスは20Ω、ギャップ部の磁束密度は17500ガウスである。ただ重量だけが21ポ
 ンド(9.51kg)から30.5ポンド(13.8kg)と大幅に増加しているのは、ハンドルが付加されて
 いるためだけではない。ホーンも一見華奢なようだが、鳴きは一切感じられない。

Western Electric London Receiver 2080-A

 塗色と磁気回路に付されたハンドルを除くと、アルテック「515」と外観的にはあまり差異はなく、
 基本設計は明らかに同一と思われる。しかし細部に目を移すと、バスケット(フレーム)の磁気
 回路への取りつけ方、マグネット・ストラクチャー、コーン・エッジの裏と蝶型スパイダー(ダンパ
 ー)の中に柔らかいウール繊維が詰められている、などの差がある。 それに重量が34ポンド
 (15.4kg)とまったく違う。カタログによるギャップの磁束密度は13200ガウス、ヴォイスコイル・
 インピーダンスは16Ωである。ただし、この「2080−A]にも、マグネット外形が「515」様の
 大型と、「803」様の小型のものがあるので注意が必要。後には「2080−F]というフェライト
 マグネットの製品まで登場した。本機を1本から4本まで内蔵する低域バッフルとして、2081
 −A、2082−A、2084−C〜Fの6タイプがあり、指で押したくらいではピクリとも動かない
 コーン紙(アッセンブリーで約48gと軽いが、頑丈な造りで、「515」用とは漉き方が異なる。
 低域共振周波数は55Hz)は、これらの低域バッフルに組み込まれると、イギリス人の英知を
 思わせる、気品の高い風格ある大人のサウンドをもたらす。
 このヨーロッパ・トーンは、他では決して得られない味わい深いものである。
 数十年にわたる長いオーディオ遍歴の果て、ついに理想とするこのシステムに巡り遭い、その
 間の苦労について目をうるませながら語った人がいる。
 早速聴かせていただいたが、音楽を愛する「思い」に裏づけされた深い教養がありありと滲み
 出ており、めくるめく感動を覚えた。 人柄は遂に、音に反映するのである。
http://www.gokudo.co.jp/Vanguard/Westrex/room3.htm
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1074.html#c7

[リバイバル3] ロンドン・ウエスタンの世界 中川隆
8. 中川隆[-11638] koaQ7Jey 2020年8月27日 10:55:47 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[21]
趣味の極道
http://www.gokudo.co.jp/Vanguard/index/
http://www.gokudo.co.jp/index2.htm
横須賀に三上さんと言うオーディオマニアがいます。

私も相当な病人ですが、この方も相当な病気です。

某オーディオ雑誌の対談で私と三上さんが話すと言う事になって、ご自宅に行って来ました。

私と違って三上さんはお持ちのスピーカーを全部鳴らされているそうです。倉庫に入れてお蔵入りさせている私より偉いと言うか、凄いと言うか、立派です。甲斐性があるのですね。

聴かせて頂いたのは、WEの555系とJBLのハーツ・フィールド、C31、4350改造、ランシング・シャラーホーン、ロンドンウエストレックス等です。


素晴らしい音でした。

ちなみに私のシステムは

居間 JBLパラゴン初期

オーディオルームはJBLハーツ・フィールド、WE594&4181、タンノイコーナーヨーク モニターゴールド

かがり火ではメトロゴン、WE16A、ローサー、クオード

別荘ではアルテック830(802C&803Cダブル)です。
https://plaza.rakuten.co.jp/romantei1925/diary/201003210000/


▲△▽▼


キット屋コラム「私のオーディオ人生」第28回 オーディオのパラレルワールド
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-028


 今回はオーディオのパラレルワールドになります。テレビで大人気であったドラマ「仁」の中で南方医師が江戸にタイムスリップして現代に戻って来た時にパラレルワールドと云うセリフが出てきました、パラレルワールドとは今の世界と平行したもう一つの世界をパラレルワールドと云います。

オーディオで云うならば皆さんが使っているアルテック、タンノイ、JBLや現代の代表的なスピーカーは一般的な(A)の世界の音ですが(B)の世界はこのようなスピーカーとは隔絶したもう一つの世界の音である。


 私が聴いた限り上手く鳴らされていたウェスタンエレクトリックのカールホーンを使ったホーンシステム、オイロダインやロンドンウェスタン及び直系の音こそ現代のサウンドとは異なる次元の違う(B)の世界と云えよう、

では私が体験したもう一つのパラレルワールドの音の世界をご紹介します。


 

ウェスタン13B 隣りにあるのはウェスタンの25Aホーンシステム
ウェスタン15Bシステムと25Aホーンシステム
正面に設置してあるのが有名なシーメンスオイロダインシステム、
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このサウンドもWEやロンドンウェスタンとは少し系統が違うが見事なサウンドを聴かせて頂いた、

三上先生宅のウェスタン15Bサウンド

 今迄沢山のウェスタンシステムを拝聴させて頂きましたがすべてウェスタンだから良い音とは云えない酷い音も沢山ありますが三上先生宅で聴くウェスタンのシステムは石川県小松市にお住まいの中さんと双璧のお見事としか云いようの無いパラレルワールドの音がしている。

勿論スピーカーだけでこのようなサウンドが出るのではない、15Bを鳴らすアンプはWE−300BPPウェスタンの86Bのオリジナルと昇圧トランスは618Bがこの音作りに寄与しているのは云うまでも無い、

 私は人様のシステムの音を褒めるタイプではないが三上先生宅で聴かせて頂いたチェロの響きと音色は実態感を伴った電気臭くなく木の香りが漂う素晴らしいの一言に尽きる、このサウンドをじっくり聴くと低域がどうだとか高域がどうだとか講釈を垂れる音ではない、また大型のホーンシステムなのに音像は大きくならずホーン臭さも無い、最近のテカテカした派手な喧しいサウンドとは違いこれぞ大人のサウンドと云える。多分低域用のユニットがエルタスの4181を使用しているからこそこのようなバランスの取れたサウンドになるのではないか、

 ウェスタンを上手く鳴らすにはやはり4181を使わないとその良さが出てこないのではないだろうか、このウェスタンを試聴すると現代のサウンドは電気臭い音が蔓延していて何となく人工サウンドに聞こえてくる。

 三上先生宅へは沢山のオーディオ評論家が訪れたり雑誌の取材で紹介されたりもしているがこの音作りこそ三上先生のご自身の「自分の音」と思うがただ高価な機器を接続しただけではこのような音にはならない、暗中模索で大変苦労をされたのではないだろうか、
 
 

正面に鎮座しているWE−15Bホーン
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で聴くチェロは現代のサウンドとは全く異なるこれこそパラレルワールドのサウンドであった、

ウェスタン25Aホーン+4181スピーカー

 二つ目のウェスタンは25Aホーンシステムで低域用は4181になります。先程の15Bとは多少音が異なるのがわかる。音は勿論ウェスタンサウンドであるが音の抜けを比較すると好みとしては15Bのが好きかも、このホーンシステムは福井県の万月氏や石川県小松市の中さん宅でいつも聴いていますからそれ程ビックリしないがパラレルワールドのAの世界の音しか知らないマニアが聴けばおそらく言葉が出なく度肝を抜かれびっくりするだろう、25Aホーンを聴くと大変浸透力のある心地よいサウンドだ、

 特に素晴らしかったのは女性ボーカルの歌声が目の前で歌っているような錯覚に捉われた、この25Aの音は小松の中さんと良い音での双璧であるがこのシステムも低域用の4181が寄与している、

 贅沢な注文であるが私の好みからすると後ほど聴かせて頂いたロンドンウェスタンが好みに合うのとこのようなシステムは一般家庭では置けないのが残念だがこの25Aのサウンドもパラレルワールドの音である。


 
タンノイブラック

 今迄沢山のタンノイシステムを聴いてきましたがこのモニターブラックこそ本来のタンノイサウンドと痛切に感じた、三上先生がおっしゃるにはタンノイはブラックとシルバーがタンノイの音であると云っていましたが私も同感です。シルバーは他で聴くことがありましたがブラックになるとまず聴くことも見ることもできない超が付くレアなユニットになる。

 最近のタンノイのサウンドはこのモニターブラックと比較するとドンシャリ傾向の音になっているのが多い、タンノイのブラック、シルバーのユニットは低域も高域も欲張らず中域から音作りをしているのではないだろうか、特にあの中域の厚みのある心地よい響きと特徴のある音色は最近のタンノイでは聴いたことがない特筆すべき音であった、タンノイブラックを試聴すると現代のタンノイは低域も高域も伸ばしたため中域の薄い(中抜け)不自然な音に感じるがこの音が好みだと云われれば返す言葉も無いが一度でもよいからブラックやシルバーを聴いてみれば私の云っていることが理解できると思う、

 又このモニターブラックも私が愛用しているロンドンウェスタン直系の音と非常に似通った音色が印象に残った、ボックスは多分オリジナルボックスのランカスターを流用されたと思うがユニットとボックスが大変マッチしているからこそ本来のタンノイの響きが出ているのではないだろうか、
 
 

手前に見えるのがタンノイのモニターブラック
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で後方のシステムは珍しいテレフンケンの085aモニタースピーカーでこのシステムは私も始めて見るシステムで音質、音色はカチッと締まった大変心地よいサウンドであった、
 

 

タンノイブラックのボックス内部の写真
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でユニット自体も大変状態の良いもので強力なアルニコマグネットを採用した初代ディアルコンセットリックスピーカーになる。タンノイファンなら一度は聴く価値はある。


 

家庭用のシステムに収めたロンドンウェスタン2080A、2090Aの2Wayシステム
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でこの音を聴くと米国ウェスタンとはベクトルが若干異なるが貴賓と渋さがプラスされた品位の高い音である。音質は一言で云うならば巷でよく耳にする枯れたサウンドとはこの音である。
 

 

ロンドンウェスタンの2080A、2090Aボックス内部の写真でスピーカーは強力なアルニコマグネットが使われている。ボックス内部と可愛いワンちゃんのツーショット写真
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ロンドンウェスタン2080A、2090A

 最後に拝聴させて頂いたのは幻のスピーカーシステムでロンドンウェスタンだ、私が持参したいつもリファレンスで聴いているビバルディのヴァイオリンソナタのレコードが果たして私のシステムの音とどう違うのか本家の音とはどのような音なのだろうか、不安と期待が入り混じっていたのは間違いない、

 自分のシステムと比較した場合まったく異質な音であれば私のユニットはニセモノになってしまうか上手く鳴らせない力量不足になってしまう、

 早速聴かせて頂くと先程聴いたウェスタンの音とは多少音色も異なるのとスケール感も違う、目を瞑ってビバルディのヴァイオリンソナタをじっくりと聴くと音質、音色が同じイメージに重なり自分の家で聴いているような錯覚を覚えた、このロンドンウェスタンの音は言葉では云えない一種独特のサウンドで現代の一般的なHiFiサウンドとは異なりこれこそパラレルワールドの音だ、

 ヴァイオリンの響きは電気臭くない木の香りすら漂ってくるのがわかる。オーディオを追求していくと最後はこの音に魅了されるのは私だけではないはず、

    このロンドンウェスタンのサウンドを聴くと現代のHiFiサウンドは申し訳ないが長く聴いていると時間の経過と共につまらなくなり飽きが来てしまうがロンドンウェスタン系はオーディオマニア、音楽マニアを引き付ける魅力たっぷりのスピーカーと云えよう、ただこのような音を出すには相当レベルの高いアンプと高度なテクニックと肥えた耳を持っていないと上手く鳴らないのではないか、
 


三上先生に想う

 今回はオーディオのパラレルワールドをご紹介しましたが現代のシステムは駄目とは云わないが(B)の世界の音を聴くとオーディオ観も音楽観も変わるような気がする。私もヴィンテージ愛好家ですから先生とは大変意気投合出来たのではと思う、

 三上先生はもうお亡くなりになりました伊藤喜多男先生や池田圭先生と長年交流があったと云われています。またステレオサウンド誌、管球王国などに先生のシステムが紹介されオーディオ評論家も先生宅へ訪問されている。

 三上先生は私より三つ年が上ですが大変(懐の深い)方で私はこの方こそオーディオの師匠、先生、教授と云える「器」を兼ね添えている方だと思う、

 よくネットなどを拝見すると達人とか師匠、教授、先生と呼び名がついているコラム、ブログを時々見ますがこの方たちは本当に音がわかってそのような呼び名でやり取りしているのだろうか疑問に思うこともある。オーディオに関してはレベルの高い方が沢山いますからそのような方が読まれたら馬鹿にされるか笑い者になるだけですからその辺を弁えないと恥ずかしい思いをするのではないだろうか、

 また真空管アンプ等は自由自在に設計製作が出来てオーディオのすべてを知り尽くしてその呼び名が付いているのなら納得する。

 私は小さな「器」しか持ち合わせていないマニアです。先生、師匠、達人、教授と云われている方達がどれ程の「器」なのか見せて頂きたいものである。
 


あとがき

 三上先生宅で特に良かったのは可愛い3匹のワンちゃんが私になつき傍で音楽を聴きながら居眠りをしていたのが音よりも印象に残りました、ワンちゃんも良い音はわかるんですね、

 今回はオーディオのパラレルワールドを題材にしましたが皆さんも是非このパラレルワールドのサウンドを体験されると面白い、

 ヴィンテージショップなどでウェスタンやその他ヴィンテージスピーカーを鳴らして店主は能書きばかりでまともに良い音で鳴っていないのが多いのとすべてヴィンテージスピーカーだからパラレルワールドのサウンドと思ったら大間違いである。やはりマニア宅で上手く鳴らされているのを聴くのがベスト、「百聞は一聴にしかず!」

 確かにオーディオは進歩しているが最終的に判断するのは聴く人の感性と鳴らし方ではなかろうか、またパラレルワールドのサウンドは装置を忘れてじっくりと音楽が聴ける。
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キット屋コラム「私のオーディオ人生」第27回 ロンドンウェスタンの試聴
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-027


 今回は幻のスピーカーと云われるロンドンウェスタンを題材に取り上げます。  


ロンドンウェスタン

 米国がウェスタンエレクトリックなら英国はロンドンウェストレックス、ドイツはクラングフィルムになります。

一口に云ってロンドンウェストレックス(ロンドンウェスタン)はアメリカのウェスタンエレクトリックとは多少異なります。

初期のロンドンウェスタンはアメリカ本国よりシステムを持ちこんでスタートでしたが英国の国策として海外からの輸入に制限を設けたためこのシアターシステムも対象になりロンドンウェスタンのシステムは自国での設計生産になったと思われる。
 

私が聴いた三上先生のロンドンウェスタンオリジナル
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-027


ロンドンウェスタン直系スピーカー

 初期のロンドンウェスタンは多分米国ウェスタンの改良型を使用したシステムでしたが私の憶測と情報ではその後ウェスタンエレクトリックからのシステムの供給はやめてイギリス本国での製品開発が行われたと推測されます。英国はアメリカと違って大変保守的なお国柄で海外から輸入するよりも自国で開発して販売する方法を取っていた、

 日本や米国と違ってロンドンウェスタンの立ち上げに当たってイギリス国内のスピーカーメーカーの第一線級のエンジニアが集まってロンドンウェスタンをスタートさせたと思われる。当時のスピーカーメーカーと云えばシアター専門のヴァイタボックス、民生用のグッドマン、ローラ、タンノイ、パルメコ等メーカーのエンジニアが共同開発に当たったのではないだろうか、この辺が米国のメーカーや日本のメーカーとは事情が異なる。

 開発終了に伴い英国本土のすべてのシアターに供給するには生産量が問題になってくる。当時はヴァイタボックス社やタンノイ社では絶対数の生産ラインの供給システムがまだ確立されていなかった、

 当時のスピーカーメーカーではグッドマン社が大掛かりな生産ラインを有していたから多分ユニットはグッドマン社が中心となって製造していたのではないだろうか、

 当時の技術集団が開発した初期モデル(1950年代)のスピーカーユニットはすべてロンドンウェスタン直系のスピーカーになるので音質音色は同じである。またロンドンウェスタンのシステムには低域用にグッドマン、高域用はタンノイ、ケリー、ヴァイタボックスなどでの組み合わせによる混成システムが多かったのでは、

 実際ロンドンウェスタンの2080,2090Aのシステムとパルメコ、私が所有しているユニット等は音質や音色は良く似ており私が聴かさせて頂いた三上先生宅のロンドンウェスタンと瓜二つの音に安堵感を覚えた、

 また米国のウェスタンエレクトリックはすべて業務用でしか販売されなかったがロンドンウェスタンは家庭用のシステムも販売されていたがほとんど日本には入って来なかったからロンドンウェスタンを含めてロンドンウェスタン直系のスピーカーは幻のユニットと云える。

 ロンドンウェスタンのスピーカーのサウンドは皆さんご存知のアルテック、JBL、タンノイ等のスピーカーと比較してまったく異なる音質、音色を持っているのがロンドンウェスタンの特徴でもある。私も沢山の英国ヴィンテージユニットを聴いてきたが今回手に入れたロンドンウェスタン直系のユニットはこれらの音とは違っていた、

 ロンドンウェスタンのパルメコは初代BBC放送局のモニタースピーカーに採用されていたが有名なアルテックの604Eと外観的に非常によく似ているが音質音色は全く違う、パルメコはもっと浸透力があり音味は大変美味しいエレガントな音ですがアルテックの604Eは残念ながら上手く調教された音を一度も聴いた経験がありませんので比較するのは無理かも知れません。

 またアルテックやJBLなどアメリカのスピーカーはジャズ向きと云われているがスピーカー開発者にとってこれはジャズ向きこれはクラシック向きとして設計はしていないはずですからやはり鳴らし方に問題がありそう、私の個人的な意見としてジャズが鳴ればクラシックも必ず鳴るはず、クラシックが上手く鳴らないのならジャズも鳴らない、ジャズが本当に上手く鳴れば大人のジャズサウンドになるはずだ、
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[リバイバル3] ロンドン・ウエスタンの世界 中川隆
9. 中川隆[-11637] koaQ7Jey 2020年8月27日 10:56:29 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[22]
ロンドン・ウエスタンエレクトリック30150Bドライバーを導入 !! (その.1) 2017/10/16
https://91683924.at.webry.info/201710/article_14.html

ロンドン・ウエスタン30150B
https://91683924.at.webry.info/201710/img1_14.150813893367305862179.html

 写真のブツはブログを通じて知り合いになった方の御厚意で、譲っていただいたロンドン・ウエスタン30150Bです。凄いでしょ。

 よくこんな希少なレシーバー(ロンドン・ウエスタンは英国でも電話をやっていたのでしょうか、レシーバーと銘が入っています)が手に入ったものだと自分でもびっくりです。このレシーバーには、ちょっとベンプレ親父なりの思い入れがあります。

 先日WE13A+WE555導入記を書きましたが、きっかけはWE13Aレプリカを福岡で聴いたことです。

 もちろんWE13A+WE555が素晴らしい音で鳴っていたので欲しくなったのですが、実は、私が最初に13Aに装着してやろうと思ったレシーバーはWE555ではなく、この30150Bでした。

 以前にロンドン・ウエスタンの2080A、2090A導入記をブログに書いた時に、WE555に相当するロンドン・ウエスタンのレシーバーは見当たらないようだと書いたところ、コメント欄から30150という永久磁石仕様の555相当品がロンドン・ウエスタンに存在することを教えていただきました。

 アルテック515、288Bよりロンドン・ウエスタン2080A、2090Aの方が私の好みの音なので、WE555のロンドン・ウエスタン版があれば聴きたいのが人情でしょ?

 ネット情報では30150Aが1933年、改良型の30150Bが1934年の発表だそうで、WE555(1926年発表)より7〜8年新しく、WE594(1936年発表)より2〜3年旧いレシーバーです。

 私は英語がダメなので情報が取れないのですが、WE594が1936年、30150Aが1933年なら、30150シリーズはわずか3年しか生産されなかったのでしょうか?

 30150にはA、Bの後継機としてC、更にEのモデルもありますので、1936年で生産完了はないと思いますが?

 ロンドン・ウエスタンは1947年(一部に1950年と書いた本がありますが、紹介していただいた文献によると1947年が正しいようです)から2090Aドライバーを生産していますが、1933~1946年までレシーバーは30150で押し切ったのでしょうか?

 それともWE594をそのまま輸入して30150と併用していたのか?


 もしかするとWE594の英国バージョンがあったのか?
 
 情報をお持ちの方がおられたら、弊ブログのコメント欄にでもお知らせいただけますと嬉しいです。

コメント(4件)


ロンドン30150AはWesterx30150Eと同じ形をしています。
BとCが十字型です。

ロンドン30150Aが直ぐに555の後継になったわけではなくて、両方が併用されていました。

ロンドンWEが扱っていた555の銘板にはロンドンの名前が入っていて、パテントはWestern Electricであると書いてあります。

なお、WE594の英国バージョンは見たことがありませんが、WE594のパーマネントのものは存在します。
かめきち
2018/01/23 12:41

かめきち様、コメント有難うございます。

御高名は伺っております。さて、AがEと同型のマグネットとは知りませんでした。またフィールド型555のロンドン版も知りませんでした。
有難うございます。
ベンプレ親父
2018/01/23 16:39

30150Aと30150Eは同じ形をしていますが、音色は随分と違います。
2090もシリアル2000番台までは角形ですし、2000番台以降はカボチャ型、3000番台もカボチャ型ですが、4000番台は角形になります。
2090も初期と後期では、それぞれ異なる音ですね。

かめきち
2018/01/24 09:42


かめきち様、コメント有難うございます。

ロンドンWE、同じ2090の型番でも内容がかなり違っているのですね。角形とかぼちゃ型があるのは聞いていましたが、角→かぼちゃ→角と変化したことは知りませんでした。

我が家の2090Aはシリアルナンバーが189番、363番なので初期型の角形と判りました。

有難うございました。
ベンプレ親父
2018/01/24 10:13
https://91683924.at.webry.info/201710/article_14.html


http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1074.html#c9

[リバイバル3] ロンドン・ウエスタンの世界 中川隆
10. 中川隆[-11636] koaQ7Jey 2020年8月27日 10:57:00 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[23]
ロンドン・ウエスタンエレクトリック30150Bドライバーを導入 !! (その.2)2017/10/16
https://91683924.at.webry.info/201710/article_15.html
 
2台の30150B
https://91683924.at.webry.info/201710/img1_15.150813908829340159179.html
https://91683924.at.webry.info/201710/img2_15.150813911419070376179.html


 2台の30150Bです。ロンドン・ウエスタンのお約束で、製造番号は本体に打刻されます。

 アメリカ・ウエスタンは製造番号を打刻したプレートを本体に貼り付けますが、ロンドン・ウエスタンのやり方のほうが信頼性が高いですね。

 30150Bのプレートに書いてある番号はパテントの番号の様です。

 30150B、マグネット部分とダイヤフラム部分の二箇所に打刻があり、部品交換後などの再組み立て時に同じ番号同士を組むようにしてあります。ロンドン・ウエスタンの2094Aホーンもスロートとホーン本体の両方に製造番号が打刻してあり、ペアを間違えないようになっていました。
  
 写真のように30150Bの1台は製造番号974W、もう1台は992Wです。製造時期は近いようですが、末尾にWが付いている理由は不明です。

 555WのWは主任設計技師のウェンテ氏の頭文字Wと聞きますが、30150BのWは555Wのオマージュでしょうか。。

 こちらもご存知の方がおられたら、コメント欄にご一報くだされば幸いです。

 さて30150B、外観は十文字型をしています。なんでもT字型の永久磁石を組み合わせて使っているとか。またこの磁石が大量に使われているためか、555より一回り以上巨大、まさに異形のレシーバーです。

 バスホーン用ドライバーは別ですが、フルレンジもしくはミッドレンジ以上に使用するドライバーでは史上最大ではないかと思います。
 
 管球王国のバックナンバーを紐解くと、Vol.67の特集、WE15Aホーンを使用した「WE555系振動板採用ドライバー12機種の聴き比べ」に30150Bが取り上げられており、嬉しいことにWE555と並ぶ高い評価を得ていました。

 30150BはWE555以上の希少品ですから、私が手にすることはおろか、目にすることも一生ないだろうと思っていましたら・・・

 なんとブログでお知り合いになった方のお宅にお邪魔した時に、WE14A(別名ちりとり)レプリカに装着された30150Bがあるじゃないですかっ !!

 心臓が止まるほどビックリしました。この30150Bを譲っていただけることになり、同時に13A制作者の笹本さんをご紹介頂き、WE13A導入大作戦がスタートしたというわけです。

 その方のブログの受け売りですが、30150Bにはロンドン・ウエスタンエレクトリック時代の物とロンドン・ウエストレックス時代の物があり、前者が黒色、後者がグレーだそうです。譲っていただいた30150Bは黒色ですのでロンドン・ウエスタン時代のものです(ちなみに管球王国67号に掲載してあったのはグレー、ウエストレックス時代の30150B)。

 WE555と30150Bを15Aに装着しての比較視聴も30150B前オーナーのブログ内にありますが、「華やかで明るい、音離れの良いWE555」、「重厚で渋い、低域の伸びた30150B」との評価でした。

 前オーナーはジャズ寄りの方ですからWE555をメインシステムの15Aに装着して聴いておられるようです。私はクラシック寄りなので、30150Bが向くかもしれません。

 クラシックでもモーツァルトならWE555、ブラームスなら30150Bなんて想像するのも楽しいですね。

 繰り返しになりますが、30150B、よく入手できたなぁと。

 ネット上で私が見つける事のできた国内の30150は、私の黒のウエスタン・エレクトリック・ロンドン製30150Bが1ペア、グレーのウエストレックス・ロンドン社30150Bが1ペア、30150Cが一本です。他に雑誌の管球王国にグレーの30150Bが一本でていました。以上で合計6本です。

 もちろん雑誌やネット上に出ていない30150も国内にはあるでしょうが、せいぜい10本あまりではないでしょうか。よくもまあ、ベンプレ亭書斎にやって来てくれました。

 本当に欲しいモノがあると、モノの方がその人に寄って来るそうですが、今回もそれでしょうなw

P.S.
 1936年発表のWE594がまだ励磁型磁石であるのに対し、1933年発表の30150Aは既にパーマネント磁石になっています。

 ベンプレ親父得意の妄想的推測ですが、英国はオーディオ用フェライトマグネットの開発も米国に先行していましたし、スピーカー用磁石の開発では最先端を行っていたのでは。

 これは伝説の類ですが、対戦車爆弾(歩兵が塹壕に隠れていて、上を通過する戦車の下部に磁石付きの爆弾をくっつけて爆破する、戦争映画でお馴染みのヤツ)を開発する過程で永久磁石の性能は急速に上がっていったとか。

 英国は島国なので、自国内に戦車で攻め込まれたことはなかったと思いますが、北アフリカ戦線でロンメル率いるドイツ軍と激しい戦車戦をやりましたよね。


コメント(3件)

戦前の英国の鉄は世界一だったのではないでしょうか?

日英同盟があったときに、英国の巡洋艦が呉に補修に寄港したときに鉄板が堅くて、リベットが打てず、リベットの機械が壊れたとの論文があります。
パーマの磁石製造にも自信があったのでしょう。

ちなみに米国の古いマグネットには減磁が激しいものがありますがロンドンWEのSPは現在も当時の規格と変わらないのが凄いと思います。

かめきち
2018/01/23 13:13


かめきち様、コメント有難うございます。
ロンドンWE、確かに減磁しないようですね。

私はそれほど経験はないですが、2080A4発、2090A2発、30150B2発、何れも全て能率が揃っており、減磁はありませんでした。

ベンプレ親父
2018/01/23 22:07

ロンドンWEの豊かな低音の秘密は鉄の純度が高いという、部材の品質の良さにあると思っています。
今日では過剰品質とされるので、作りたくても作れない世界でしょうか。

かめきち
2018/01/24 10:10
https://91683924.at.webry.info/201710/article_15.html
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1074.html#c10

[リバイバル3] ロンドン・ウエスタンの世界 中川隆
11. 中川隆[-11635] koaQ7Jey 2020年8月27日 10:57:32 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[24]
ロンドン・ウエスタンエレクトリック30150Bドライバーを導入 !! (その.3)2017/10/16
https://91683924.at.webry.info/201710/article_16.html

ロンドン・ウエスタンエレクトリック30150Bドライバー
https://91683924.at.webry.info/201710/img1_16.150813926481864966179.html


 (30150Bは譲っていただいた方のオ−ディオルームで、WE14Aレプリカに装着されていました。WE14Aはスタックに組まれてモノラル仕様になっていました。)

 30150B前オーナーは私のようなニワカ・ビンテージマニアとは違い、ご自身でレシーバーの分解掃除までされます。この30150Bは入手時よりオリジナルの振動板が修繕されていたようで、しかも二本の振動板が異なっていたために(一本は振動板が白く、もう一本は銀色に塗装してあったそうです)、氏御自身で二本ともに、国産のエール音響の555用振動板に交換し、揃えてあります。

 オリジナル振動板で状態の良い物があればそれに越した事はないでしょうが、とにかく30150Bはタマが無く、選択の余地はありません。振動板がオリジナルじゃないからと迷っていても仕方がありません。

 「チャンスの女神には前髪しかないっ !!」という事で、Goですw

 30150Bは随分旧いユニットですから、アルニコマグネットの保磁力がどうかという話題はあります。しかしアルニコマグネットの減磁は実際のところ、硬い床に落とすなどの機械的衝撃があった場合と、極端に高熱になった場合に限られるそうです。

 前者は別として、後者はハイパワーが連続して入り、ユニットがチンチンに熱を持つと起こるらしいです。

 しかし30150Bの耐入力は555の6Wよりさらに低く、わずか3Wです。3Wを超えて連続信号が入り続けるとボイスコイルが飛ぶのだと思います。

 30150Bのボイスコイルのインピーダンスは15Ωですから、3W入力時の電流値は0.4〜0.5Aくらいでしょう。つまり0.4〜0.5Aのヒューズが付いてるみたいなものですよね。

 3Wやそこいらで、この大きなユニットのマグネットが高熱を持つとは私には思えません。
 
 その上、映画音響はロックコンサートのPAとは違います。どんなミュージカル映画であろうと、アクション映画であろうと大音量の連続は数分でしょう。耳をつんざくような爆音が2時間も続き、ユニットが高温になるヘヴィメタルのコンサートとはわけが違うと思います。

 だから、30150Bの減磁は問題にならないのではと、ベンプレ親父は自分に都合よく考えていますw

P.S.
 そもそも私は英国製品が好きみたいです。過去使ってきたスピーカーもタンノイHPD385A、バイタボックスBASS BIN、ロンドン・ウエスタン2080A、2090A、2094A。

 電蓄もHMV3000で、オマケに自宅の車は平成元年登録のジャガーディムラーW6です。

 英国製品はどこか「足るを知る」ところがあって、米国製品のように物量投下で押し切ったり、ドイツ製品のように質実剛健一辺倒でもありません。どこか優美です。

 この辺の感覚は父親の趣味であった狩猟と散弾銃で教わった気がします。父が最も愛した猟犬はスポーティーで短毛のイングリッシュ・ポインター、散弾銃は英国製ボスの水平二連。

 ボスは精密な彫刻が施されてはいるものの華美ではなく、重さも程々、肩に当てる木部もスマートでした。

 ドイツのメルケルは重く、ゴツい。イタリアのベレッタは金色の象嵌があり、如何にもバチカン風。アメリカのウインチェスターは実用本位で味気ないです。おまけにガスオートで何発でも打ててしまい、スポーツ狩猟とは違いましたね(スポーツ狩猟では散弾は二発まで。それで仕留められなければ鳥の勝ちなのだそうです)。

 父は狩猟をやめた時に散弾銃も全て処分しましたが、英VITAVOX BASS BIN、米ALTEC A4、独、Klangfilm Eurodyn を触ってみると、子供の頃、父の散弾銃に触った感覚を思い出しましたね。
https://91683924.at.webry.info/201710/article_16.html


ロンドン・ウエスタンエレクトリック30150Bドライバーを導入 !! (その.4)2017/10/16
https://91683924.at.webry.info/201710/article_17.html

 30150はモデルAが1933年、B(ベンプレ亭書斎のブツ)が1934年の発表ですから、どちらもホーンはWE15A(17A)の時代です。

30150Bはエール振動板、WE13Aはレプリカと、どちらも突っ込み所はあるのですが、30150BとWE13Aの組み合わせでの音出しは世界初かもしれませんね。
 
 ところでベンプレ亭書斎の30150Bはエールの振動板に交換してあります。この振動板はWE555の前期モデル、斜め引き出しタイプのコピーですが、30150Bのオリジナル振動板とはボイスコイルがかなり違うかもしれません。

 30150Bの公称耐入力は3W、WE555は6Wです。30150Bの方が弱いので、コイルの線が細かったのか、材質が違うのでは。ボイスコイルそのものがWE555より軽量だったのかも知れません。ですから音はかなり異なると思います。

 それでも、その辺で四の五の言ってたらビンテージものは容易に進みません。特に30150Bなんて超レアですからな。


画像
https://91683924.at.webry.info/201710/img1_17.150813945050543504179.html


 この写真はクラング・クンストというドイツ系ビンテージショップのブログから、拝借致しました。

http://www.klang.jp/index.php?f=&ci=10139&i=10217


 ウエスタン・エレクトリックのアルニコマグネット式WE597だそうですが、このマグネット、30150Bのそれとそっくりです。多分同じものでは。
 
 下の写真は、以下の一文と同時にネットで見つけました。

 Found a pic of the 30411-A that was on a certain auction site recently. It is an intruiging adaption of the 30150 motor.

画像
https://91683924.at.webry.info/201710/img2_17.150813949427225051179.html


 ですからクラング・クンストのブログの597もロンドン・ウエスタン製30411Aじゃないかとベンプレ親父は予想します。おそらく振動板は30150Bと同じものではなく、WE597のそれを模したものでしょう。

 マグネットはマグネットでしかありませんから、磁界にコイルを持つダイヤフラムが入って電流が流れれば、当然音が出ます。WE597類似の振動板で良い音が出るのなら、WE555の振動板のレプリカだって上手くなるんじゃないかな。

 ハイ、今回も屁理屈でーすw


30150B 画像
https://91683924.at.webry.info/201710/img3_17.150813955525629388179.html

P.S.
 こちらもネットで拾った写真ですがWESTREX30150-Eレシーバーです。30150-Cまでは十文字型のマグネットですが、Eモデルはマグネットの形が随分モダンになりました。この辺りまで来ると2090Aドライバーに似てきますね。

 やはり30150の後継モデルは2090Aだったのかな?


コメント(3件)


30150の後継が2090ではないと私は思っています。

2090が登場した時代にはアルテック288がありましたから
555をロンドンWEの技術者が気に入らなかったのと同様に
288の改良である2090を作ったようです。

ただ、ご存知のことだと思いますが初期の2090の振動板は
ロンドンWEのオリジナルで、アルテック288の初期のものとは色やベースの材質が異なります。

音の差はさすがにプロ機なので大きな差はありません。

かめきち
2018/01/23 12:58


かめきち様、コメント有難うございます。

私は2090A+2094Aの前はアルテック288B+H1505で聴いていました。ホーンが違うので断定できませんが、私も288Bより2090Aの方がナチュラルというか、HIFIだと思いますし、好みです。

ベンプレ親父
2018/01/23 22:16


2090の良さは555よりも振動板の違いの影響が少ないことにあります。
これは2090の作り込みが素晴らしいからだと思っています。

アルテック288や515の1.5倍の重さがある2090や2080はアンプの個性にあまり左右されないのが魅力ですね。

かめきち
2018/01/24 10:21
https://91683924.at.webry.info/201710/article_17.html
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1074.html#c11

[リバイバル3] ロンドン・ウエスタンの世界 中川隆
12. 中川隆[-11634] koaQ7Jey 2020年8月27日 10:58:11 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[25]
ロンドン・ウエスタンエレクトリック30150Bドライバーを導入 !! (その.5) 2017/10/16
https://91683924.at.webry.info/201710/article_18.html

WE13Aレプリカに装着したロンドン・ウエスタン30150B
https://91683924.at.webry.info/201710/img1_18.150813966806020997179.html


 本やネット上に既にある情報を切り張りしたベンプレ親父風味の薀蓄はさておき、オーディオは音が出ないと始まりません。いざ我が家のWE13Aレプリカに勇躍30150Bを装着して音を鳴らそうとしましたが・・・

 ナントナント、スロートアダプターのネジ山がシックリ合わず、ネジが途中までしか入りません。インチネジにも規格が二つあるそうで、旧規格なのかもしれません。そうなるとWE555用スロートアダプターがWE555用と30150B用の二つが必要になり厄介ですな・・・

 仕方がないので、30150Bの開口部を少しだけWE13Aのスロートに噛ませて、ジャズのSACDをサワリだけ鳴らしてみました。30150Bがズッコケて落ちたりすると大変なので、すぐに取り外しましたが、なんだか良さそうです。WE555より柔らかくて豊かな感じの音ですね。

 パリッとした感じはWE555の方が出ている様ですが、少なくともダメな音ではないですよ。

 WE555も30150Bも、どちらも振動板がエール音響の555振動板で同じなので、大きく音が変わることはないと思いますが、ニュアンスは違いそうです。俄然ヤル気が出ましたw

 結局、30150Bを金属加工のできる方に預けて、WE13Aレプリカのスロートをもう一つ作ってもらうことにしました。なかなか終着駅にたどり着けませんなぁ。
https://91683924.at.webry.info/201710/article_18.html

ロンドン・ウエスタンエレクトリック30150Bドライバーを導入 !! (その.6)2017/10/16
https://91683924.at.webry.info/201710/article_19.html

WE13Aレプリカに装着したロンドン・ウエスタン30150B 画像
https://91683924.at.webry.info/201710/img1_19.150813989571679535179.html

 (WE13Aレプリカに装着したロンドン・ウエスタン30150Bです。随分と巨大なレシーバーなのですが、WE13Aもデカイので違和感はないですね)

 30150Bのスロートのネジが入り難かったのはネジ山の一番先端が潰れていて、引っかかっていたそうです。ピッチも山の高さも同じで、ネジの規格はWE555と同一でした。

 ネジ山の潰れた所を研磨してもらうと綺麗に入るようになりました(^−^)/

 ようやく30150BをWE13Aに装着、ついに30150B+WE13Aで音出しです。
 WE13AレプリカからWE555を取り外し、30150Bに装換しました。当然ですが励磁電源のコードがありませんから、レシーバー周りはスッキリしましたな。
 
 前回WE13Aのスロートに少しだけ30150Bの開口部を突っ込んで音出しした感じでは、クラシックが合うように思います。合わなきゃ困りますw


 試聴用機器は以下のとおりです。

カートリッジ  デンオンDL102
アーム     グレイ 108C
ターンテーブル マイクロトラック740
MCトランス  アルテック15095A
フォノイコ   東京サウンドPE-100
ラインミキサー マンレイ 16×2 Tube Mixer
パワーアンプ  是枝ラボ 6550p.p.
スピーカー
 サブウーハー エラック SUB2090 
 フルレンジ  WEロンドン 30150B+WE13A
 ツィーター  エレボイ T350


 最新録音盤は後で聞くとして、時代が近いカザルスの無伴奏チェロ組曲、モノラルLPレコードで初演としました。

おおっ、良いですよ。落ち着きのあるどっしりした音で、WE555よりクラシックよりの音ですね。

ベンプレ低書斎ではWE555も30150Bもどちらもエール音響の振動板なので、当然良く似た音です。LP片面を聴き終える頃には30150Bのエッジもアタリが付いてきたようで、しなやかさが増してきた様です。

 次はジャズLPで、オリバー・ネルソンのThe Blues and the Abstract truthを。
ウッドベースの弾むような低音も、ドラムスの皮の弾ける音もよく出ます。確かにWE555より少し低域よりのピラミッドバランスだと思います。

 更にLP数枚を聴き終える頃には細かな音も一段と良く出てきました。
 WE13Aの相棒はしばらくこれで様子をみましょう。30150Bは確かに良いですよ。

 WE555がオリジナル振動板、アルテック振動板なら様子は変わると思いますが、いっぺんには出来ませんしね。
https://91683924.at.webry.info/201710/article_19.html

ロンドン・ウエスタンエレクトリック30150Bドライバーを導入 !! (その.7最終回) 2017/10/16
https://91683924.at.webry.info/201710/article_20.html

 少々測定も。いつもの日本オーディオRC-2でF特を測定してみました。


30150B単独 + WE13A の F特
https://91683924.at.webry.info/201710/img1_20.150814020991883885179.html

WE555単独 + WE13A の F特
https://91683924.at.webry.info/201710/img2_20.150814023970036138179.html


 上が30150B単独、下がWE555単独のF特、ホーンはどちらもWE13Aレプリカです。測定日が異なるのでマイクの位置も多少違います。まあ目安程度の測定です。

 振動板が同じエール音響なので、マグネットの違いだけでは測定上の差は出ないかなと思っていましたが、少々差がありました。

 400HzあたりのピークはWE555が強く出ています。WE555は1KHz付近にディップが出ますが、30150Bは1.4KHz辺りにディップが出ますね。

 400Hz以下の周波数帯域では30150Bの方がフラットです。70~80Hz辺りが少し持ち上がっていて、この辺りが30150Bの方が低域が豊かに聞こえる理由かもしれません。

 二つのレシーバーに大きな差はありませんが、敢えて言えば、WE555がカマボコ特性、30150Bの方が僅かにワイドレンジでは。ここもWE555がジャズより、30150Bがクラシックよりの音となっている原因かもしれませんね。


エラックSUB2090サブウーハー、30150B+WE13A、T350ツィーターの3wayでの F特
https://91683924.at.webry.info/201710/img3_20.150814033272951934179.html

30150BをWE555に変更した F特
https://91683924.at.webry.info/201710/img4_20.150814036668795993179.html

 上がエラックSUB2090サブウーハー、30150B+WE13A、T350ツィーターの3wayでの特性、下は30150BをWE555に変更した特性です。

 ツィーター、サブウーハーのレベルは変えていませんので、30150BはややWE555より能率が低いと思われます。

 30150Bの方が低域が持ち上がって聞こえますので、ツィーターのレベルはこのままで様子を見ましょう。

 振動板もホーンも、付け加えるサブウーハー、ツィーターも同じなのに、WE555は米国調の中域の張ったカマボコ特性、30150Bにすると英国調のドンシャリになるのが面白いですね。

 我が家のオーディオ評論家、ベンプレ妻に聴いてもらったところ、「前の(WE555)より音に広がりが出て、後ろの方からも音が聞こえるわね」というお褒めの言葉を頂きました。

 これでロンドン・ウエスタン30150B導入記は終了です。この計画の実現には多くの方のお力をお借りしました。 皆様に深く感謝いたしますと共に、今後とも宜しくお願い申し上げます。 
https://91683924.at.webry.info/201710/article_20.html
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1074.html#c12

[リバイバル3] ロンドン・ウエスタンの世界 中川隆
13. 2020年8月27日 10:59:35 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[26]
>>8 に追記

趣味の極道 Vintage Vanguard Room3
ランシングとウエストレックスの部屋


ロンドン・ウェストレックス 20/80 を鳴らす
http://www.gokudo.co.jp/Vanguard/room3/room3.htm


 WESTREX COMPANY LTD.・ ACOUSTILENS 20/80 {1950}


故浅野勇さんが72年のステレオ芸術8月号で『我がいとしの銘器たち』と初めて日本に紹介したスピーカーです。

「1950年代の我国では高嶺の花であった英WE社の2ウェイHi-Fiシステムで、当時の価格で£170.である。

英ウエスターンの38cm低音コーン・ユニットとアコースティック・レンズ付きHFホーンユニットとの組み合わせでクロスオーバーは675Hzに取られている。

 [ウェストレックスのプロフェッショナル・ユースの令名は世界的に知名度が高いが民生機用として唯一の入手可能なハイグレードのシステムであった。」

と書かれています。


Westrex Acoustilens 20/80

★20/80 Low Frequency Unit.: 15-in.paper corn with damped surround and spider. 

Voice coil 3 in. of edgewound copper ribbon.
Gap flex 13,200 gauss. v.c.i.16 ohms.

H.C. 30 watts.F.R. up to 800 c/s. r.c.f. 675 c/s.

★High Frequency Unit: with acoustilens coupling unit.

Horn loaded.

Alloy dome on 3-in. voice coil of edgewound aluminium ribbon.

Gap flux 17,500 gauss. H.C. above 500 c/s. up to 30watts. F.R. 500 to over 15,000 c/s.r.c.f. 675c/s.

★Crossover 675 c/s. Response below 30 c/s.-above 15.000 c/s.

★Size 44×33×191/2 ins. ★Weight approx 160 lb. 

★Price £1969

音の逸品館 (1926~2026) vol.79

Westrex London Acoustilens 20/80

1950年代に登場したウェストレックス ロンドン製のハイファイ再生用スピーカーシステム。

当時タンノイオートグラフより 1ポンド高かった。


低域用に38cm径の[2080A] ウーファー、
高域用に[2090A]コンプレッションドライバー+音響レンズ付きホーン

を採用した2ウェイ構成で、クロスオーバー周波数は 675Hz

小原由夫さんがSS誌の取材で聴いてくれました。
http://www.gokudo.co.jp/Vanguard/room3/room3.htm
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1074.html#c13

[リバイバル3] ロンドン・ウエスタンの世界 中川隆
14. 中川隆[-11633] koaQ7Jey 2020年8月27日 11:02:58 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[27]
私のオーディオ人生 第30回パルメコスピーカーとウェスタン13A
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-030
 今回はロンドンウェスタン系パルメコスピーカーと米国ウェスタンの13Aの試聴と超ド級アンプ845PPとの鳴き比べのコラムになります。

また比較したメインアンプはメーカーのプライドがあるため○○○製としか書いていませんのでご了承していただきたい、

奥様が経営されている美容院の一角にウェスタン13Aが鎮座されている。
長いスロートの先にウェスタンの555ドライバーが付いている。


この13Aレプリカはオリジナルとは音質、音色ともまったく遜色がない、
ホーンの造りと仕上げのブラック塗装は素晴らしく美容室のインテリアとしても大変マッチしている。


メインのシステムの部屋にはアンティークなデザインのスピーカーボックスが置いてありこの中に幻のユニットのパルメコが入っている。ニッパー君が上から覗いて見ているのが今回持ち込んだPP5/400シングルアンプ

パルメコスピーカー

 パルメコスピーカーはBBC放送局の検聴用に使用されたスピーカーで製作本数は数百本しか作られなかったと云われる数の少ない幻のユニットになる。ほとんどの方は音も勿論だがパルメコスピーカーの存在すら知らない方が多いのではないだろうか、ウェスタン系をやっている方やオーディオを長くやっている方はパルメコスピーカーを知っているはずだがこのユニットは巷には出てこないのでほとんど聴く機会は少ないと思う、

 私が知る限りでは名古屋では西山氏、関西では今田氏と今回ご紹介する笹本氏の三人がこのユニットを所有していますが全国を探せばまだ使っている方は沢山いると思う、

 本来このスピーカーにロレンツのツィーターとリークのアンプを内蔵したシステムでBBC放送局に納入されていたらしい、パルメコスピーカーは写真でもおわかりですがコアキシャルタイプですが外観はアルテック604Eのホーン部分が大変似ておりますが振動板はウェスタンと同じものを使用しています。

 このユニットのホーン部分の形状が似ているのは皆さんご存知のアルテック604Eですが音味はまったく異なります。604Eは上手く鳴らされていない方が多いので残念ながら比較はできません。アルテックの604Eは38cmのコアキシャルですがパルメコはもう一回り大きい40cmのコアキシャルになります。またマグネットは強力なアルニコマグネットを使いクロスオーバーは多分1KHZぐらいと思われる。このパルメコのエンジニアもロンドン・ウェストレックスの開発に協力したと思われそのサウンドは本家のロンドンウェスタンと瓜二つの音色、音質を持っている。

正面から見たパルメコスピーカーで中音はマルチセラホーン

ウェスタン13A

 笹本氏はパルメコ以外にウェスタンの13Aのホーンシステムもお持ちでこのホーンはオリジナルを真似たレプリカですが本人の説明によりますとオリジナルとはほとんど変わらない音と云っていました、事実この13Aを聴きますと神奈川の三上先生宅で聴かして頂いたウェスタンと同じ音色でドライバーは勿論WE−555にタンガーバルブを使ったものです。

 音は木の香りが漂うシットリ感を伴った音作りでホーン臭さはまったくありません。ロンドンウェスタンと比較しますと若干音が煌びやかと云うか明るいサウンドになる。振動板がアルミ系にも拘らず冷たさもありません。ウェスタンサウンドのよさをたっぷり味合うことができる。

笹本氏の人柄

 笹本氏は大阪府にお住まいで関西では笹本氏を知らない方はいないほどオーディオに関しては知名度と面倒見のある方で以前のコラムでご紹介した神奈川の三上先生とも交流があります。オーディオ以外では素敵な奥様とのジャズライブ演奏を趣味として楽しまれています。

 笹本氏はオーディオに関しては長い遍歴があり人並み以上に苦労をされて最後は現在のシステムに落ち着いて装置を忘れて音楽を楽しまれている。聴く音楽はジャズ、ボーカル、クラシックでアナログとデジタルCDになりますが特に録音に関しての機器には人一倍拘りを持っている。

 録音時のテープデッキはスチューダーよりもアンペックスのが音が良いとか、事実私が小松の中さん宅で聴かせていただいたアンペックスのプロ用デッキと2トラ38のオリジナルマスターテープのジャズはアナログやデジタルとは違う恐ろしい音であった、

 スピーカーシステムは勿論ウェスタン555とウェストレックスのアンプだ、アンペックスのプロ用テープデッキで再生された音は国産のテープデッキで満足されている方がアンペックスのデッキで再生された音を聴くと哀れな物になってしまう程その差は歴然、このマスターテープの所有者が笹本氏とは相当恐ろしい耳の持ち主で今までのマニアの中では音に対して厳しいが人当たりの良い紳士で技術レベルも高く手強い相手である。

笹本氏の現有システム

 メインシステム

CDプレーヤー CEC TL−0
コンバーター LAVRY

アナログプレーヤー ガラード 301
トンアーム オルトフォン RF−297
カートリッジ オルトフォン SPU−A

プリアンプ マッキントッシュ MX−110

メインアンプ ○○○製 845PP 100W
球は多分RCAかセトロンと思われる

スピーカー ロンドン・ウェストレックス系パルメコ
ツィーターのみエレボイのT−350

以上がメインシステムになります。

CEC製CDプレーヤーTL−0


ガラードとオルトフォンのアーム


プリアンプはマッキントッシュのMX−110
このアンプはチューナー付きですがアメリカではC−22より人気があるそうです。

笹本宅への訪問

 笹本宅には1年前に一度訪問しています。この時は小松から中氏と同じ関西にお住まいの今田氏と私の4人でのOFF会になりました。この時初めて笹本氏のサウンドを聴かせていただいた、中氏は時々コラムに登場して頂いている石川県のオールウェスタン愛用のスーパーマニア、今田氏は笹本氏と同じパルメコスピーカーの愛用者です。


ジャズライブで歌っているのが笹本氏の奥様、左側でウッドベースを弾いているおじさんが 笹本氏です。

奥様の録音されたCDを聴かせて頂きましたが大変魅力的なジャズシンガーで甘い歌声はアマチュアとは思えないです。主人と一緒にライブを楽しまれているのは羨ましいですね、


笹本氏がライブ演奏に使っている愛用のウッドベース


笹本宅への訪問

 パルメコスピーカーは西山宅で聴いていましたからそれ程の驚きはなかったのですが此処で鳴らされているパルメコはお見事しか云いようがない不満点のない音で鳴っていた、

多分スピーカーのエンクロージャーと使用している○○○製のアンプがこの音を決めているのか、あまり褒めると笹本節が始まるのでここは控え目に、

ボックスはアメリカ製の立派な作りで箱の響きが大変心地よく浸透力のあるサウンドだ、ただ残念な事にこのボックスは1本しかなく(現在探しているとのこと、)

ツィーターはエレクトロボイスのT−350を使い繋がりは不自然ではなくフルレンジ一発で鳴っているように感じ大変コクがあり中域の押し出し感は見事で大人のサウンドだ、

 オールウェスタンで統一されている中氏もこの音には少なからずショックを隠しきれないのと私もこの音のまとめ方が上手いと感じた、早く名古屋に帰って私の音の違いを比較したい衝動に駆られてくるのは当然である。

 オーディオマニアがよく云う低域、高域どうだとかピアノがハンマーで叩く音がどうのと講釈をたれる方がいるがこの音を聴くと馬鹿馬鹿しくなるぐらい音楽を楽しく聞かせてくれる。勿論ジャズ、ボーカル、クラシックも不満がないオールマイティーでパルメコスピーカーは上手く鳴らせば本当に恐ろしいスピーカーの一つでもある。

 笹本氏はこの音を出すまでは長い年月をかけて大変苦労されて今に落ち着いてオーディオを忘れて楽しんでいますが音と云うものには必ず不満点や悩みが出てくるはずだが今の状況では大きな不満点がないが現在ユニットは2本あるがボックスがないためモノラル再生のみであるがこれがステレオ再生になればもっと苦労するのではないだろうか、

笹本氏、中氏、今田氏と私を囲んでのパルメコの試聴とオーディオ談義、

笹本氏は今田氏にスピーカーボックスの重要性を説明していた、


二度目の訪問(道場破り)


 前回の訪問では笹本節をたっぷり聞かされた、笹本氏曰く「この845PPは今まで使った中では最高のアンプでこれ以上のものは無い!価格も2台セットで○○○万円はする海外製の品物だから自作アンプならいつでも相手になる!」と豪語していた、

 また笹本氏は「今まで沢山の自作アンプを持ち込んで鳴らしたがどれ一つ良い音のアンプはなかった、今度のアンプも音が悪ければ一刀両断で評価してやるぜ」と名古屋から来る私たちを待ち受けていた、

 今回は同じパルメコ愛用の鋭い耳の持ち主でもある西山氏を連れての道場破りだ!音源はCDとアナログで特に録音の悪いのを選んで持ち込んだ、録音の良いのは良い音で鳴って当たり前、悪い録音をいかに上手く鳴らすかがポイントだ!

 本来はアンプ同士の鳴き比べ対決はしたくないが世界の一流アンプが相手では負けて当然かも?しかもオーディオ雑誌ではこのアンプを評論家が力強くエネルギー感のある最高の真空管アンプと評価していたがこちらも英国の名出力管PP5/400の直熱三極管でしかも交流点火を採用、パーツ類は拘りを持って製作、出力は845の10分の1しかないがアンプは出力や価格がすべてではない!出てきた時の音の勝負だ!相手がメーカー製なら負けても苦にならないがもし負ければ後ろに御大将のもう一台のアンプWE−300Bの91Bタイプで交流点火が控えているから何時でも受けて立つ!今度こそはギャフンと言わせたいなぁ〜
大阪春の陣


 今年の四月にPP5/400アンプを持参して西山氏と再度笹本邸の訪問であるが私はアンプを持ち込むのは正直良い気持ちではないがあの素晴らしいサウンドを聴けるのであればアンプの他流試合や道場破りなどはどうでもよいのだが・・・・・・

 早速、笹本氏自慢の超ド級の845PPアンプでの試聴になった、聴くソースは私が持参したバッハの無伴奏パルティータで演奏はチョン・キョンファである。前回お邪魔したときよりもパルメコの良さが前面に出ているのがわかるが若干ではあるがヴァイオリンの胴鳴りが少し物足りない部分があるのと少しではあるが中域が薄い感じがしないでもない、多分トリタンの845アンプの特徴かコアキシャルの宿命かもしれない、

 でもこのサウンドを聴くと他のマニア宅ではここまで鳴らしきっている方は少ない、ネットなどのコラムでジャズ喫茶、マニア宅の訪問を読むことがあるがよく読むとすべて誉め言葉ばかりか社交辞令なのか本当に音がわかっているのか疑問に思う、昔はジャズ喫茶と言えばアルテック、ジムランが多いが今はマニアのがもっと良いスピーカーで鳴らしているので魅力がなくなっているのとジャズ喫茶のオーナーもただシステムを置いて鳴らしているだけの所が多すぎる。

 今回の大阪(春の陣)は誉め言葉だけでなく音の不満点を探して指摘したい、(どうせ俺は嫌われ者)笹本氏は常々「俺はオーディオを忘れて音楽を聴きたい」と口癖に云っていたが果たして?どうだろうか、

845PPの音をじっくり聴いた後いよいよPP5/400の出番である。接続終了後先ほどのチョンキョンファのパルティータを聴く、出てきた音は中域が大変膨らみを持った豊かな響きで音楽のエキスが前面に出てくる。先程のバイオリンの胴鳴りもふくよかに再現され高域も透明感のある聴き疲れしない、しかも重心が下がったためパルメコが生き返ったように躍動感に満ちた説得力を持って鳴り出した、笹本氏、西山氏もこの違いに驚いた、笹本氏もたかが5Wのアンプがこれだけ鳴るとはショックを隠せない、

笹本氏の言った言葉「オーディオはエンドレスだ!」

自分のアンプを自画自賛してしまったが私だけの評価ではなく笹本氏、西山氏の共通の評価は私と同じである。私の好みは91Bタイプの300Bのがより音楽の聴かせ所が優れているのだがこれはあくまで好み・・・・・

 オーディオは一流メーカーの高額なアンプを使えば音が良いと思いがちだが現実は違う、その辺を弁えないと高い買い物になるから目利き、耳利きが重要である。


あとがき


 今回はWE−13Aとパルメコの試聴と道場破りがメインでしたが欲を云えばパルメコをステレオで聴いてみたかった、モノラルの場合はどうしても広がりに少し不満が残るがボーカル、ピアノ、バイオリンなどはモノラルの 方のが定位が良く奥行き感もリアル感も出ていたような気がします。

パルメコも素晴らしいがこれを収納しているスピーカーボックスを笹本氏が自慢するだけあって見事にマッチしているからこれだけの素晴らしい音が出てるのではないだろうか、笹本さん今度は名古屋でお会いしましょう

※写真の一部分は笹本氏のブログから拝借させていただきました。
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-030


▲△▽▼

VAITAVOX も AXIOM80 も特徴のあるロンドンウェスタン系のサウンドでよく似た音には間違いない。
AXIOM80 の中高域の音色はロンドンウェスタン系の特徴のある個性のある音で、巷ではこのスピーカーの虜になるのがわかる。

音色を一言で云うならセピアカラーの音とHMVの蓄音器に近い一種独特のサウンドと云える。特にバイオリン、ピアノの響きと音色は特筆すべき良さが感じ取れる。


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私のオーディオ人生 第35回 GOODMANS AXIOM−80を鳴らす。
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-035


 このコラムももう35回目になりました、35回の節目としてマニアの間では究極のユニットとか伝説のユニットと云われているGOODMANS社のAXIOM−80フルレンジスピーカーを取り上げます。

 今回ご紹介するユニットはレプリカではなく1950年製の最初期オリジナルユニットになります。巷ではAXIOM−80はマニアを引き付ける麻薬的なサウンドで魅力的な音だとかこのスピーカーで聴く弦楽器の再生はこれ以上ない!とか云われ一度このスピーカーの虜になるとタンノイ、アルテック、JBL等では味わうことの出来ないスピーカーと云われていますが果たしてどれ程のユニットなのか実験を行いながら試聴しましたので興味がおありの方は最後までお付き合いください。

1950年前後の超レアなユニット、状態も大変よくコーン紙の補修もありません。

AXIOM−80

 AXIOM−80をネットで検索しますと色々な方が評価していますからあえて私が詳しく述べる必要はないのとAXIOM−80に関して自分はそれ程詳しくはありませんが使われた方のコメントを読みますとAXIOM−80は大変気難しく簡単には鳴らないと云われている、

 私のコラムでも以前に書きましたが故瀬川冬樹氏がこのユニットを使っていたと紹介しましたがこのユニットはオリジナルと復刻(レプリカ)がありその違いを比較したわけではありませんが今はないヒノオーディオでヒノ製のボックスに入ったレプリカのAXIM−80を聴いたことがあります。その時の印象として大変指向性が強よくて高域は耳に付くきつい音でこれが噂のAXIOM−80の音かとがっかりした覚えがある。

 皆さんもAXIOM−80を聴かれた方はオーディオショップがほとんどと思われますがショップの場合は適当にセッティングして展示してあるアンプを繋いでの音出しがほとんどですから本来の実力は見えてこないのとこのような簡易的な鳴らし方ではAXIOM−80が可哀そうに思える。ショップで鳴らすAXIOM−80は魅力が乏しく他のスピーカーのが良く聴こえて来る。

残念ながら適当に接続してセッティングしたAXIOM80は本来の音とは程遠いサウンドでこれがAXIOM−80の実力かと思われるとこのユニットは哀れである。

AXIOM−80のオリジナルBOXは存在しない!


 色んな方のAXIOM−80のコラムを読みますとAXIOM−80をオリジナルボックスに入れて楽しんでいる方が沢山いますがGOODMANS社はユニットを装着したオリジナルボックスは存在しません。当時GOODMANSはシュロリ貿易が輸入元でこのユニットをヤマハがGOODMANS社からライセンスを受けて製作されたと聞いています。

 ヤマハボックスはAXIOM−80の図面を元に後面がコーナーになっていて前面にARUを取り付けて販売されていた、時々写真で見るオリジナルボックスはすべてヤマハが製作したものですがこのボックスは評判が悪く本来のAXIOM−80の良さが出ないボックスと云われている、 もう一度はっきり云わせて頂くとAXIOM−80のオリジナルボックスは存在しません。仮にオリジナルと称して本国からユニットを装着した物が入荷したのであれば英国の箱屋が作ってユニットを入れたものと思われる。

 タンノイの様なオリジナルボックス付きの場合100%失敗はしないがグッドマンズ社の場合はユニットだけの販売では一部マニアでしか使えない欠点がある。

 私が高校生の頃名古屋の納屋橋にありましたヤマハビルのオーディオ売り場にこのAXIOM80がヤマハボックスに収納されて展示してあったのを覚えています。またシュロリ貿易が出していたGOODMANSの総合カタログがありこれを目に通すと一風変わったユニットが載っていました、これが現代でも幻の名器と云われるAXIOM80で真っ赤なマグネットを装備した見た目にも高級感があったのを覚えています。当時の販売価格は1本26,000円ぐらいだったと記憶しています。またこのユニットを装着したヤマハボックスに入れたのを聴いていますが当時の耳のレベルでは凄いとは思わなかったが国産品しか知らない私でしたから外国製と云うことで魅力はありました。

センターのサブコーンは薄いベークライトのような素材を使ってあるのが本来のオリジナルになります。

AXIOM−80のレプリカ


 オリジナルとレプリカ、確か真空管の名器でマッキントッシュのC−22、マランツ#7もレプリカがありましたね、良質なオリジナルが無い為やむを得ずレプリカを購入された方が沢山いますがルックスは同じでも音質的にオリジナルとは似ても似つかない音ですがこれは仕方がないかも知れません。

 AXIOM−80もオリジナルとレプリカタイプが存在しますが今の時代良質なオリジナルを手に入れることは至難の業かも、ヤフオクで時々AXIOM−80が出品されていますがユニット単体で30〜40万ぐらいで落札されているのを見ますといかにこのユニットの人気があるのか伺えます。

良質なオリジナルが手に入らなければレプリカになりますがこのレプリカも曲者で外観はAXIOM−80と同じ作りですが音質的にはまったく違います。


またオリジナルの場合も初期型、後期型が存在する事がわかりました、

私が所有していますAXIOM−80は1950年代の初めのユニットですから完全な初期型になります。


AXIOM−80の使いこなし

 今までステントリアン、ワーフェデール、グッドマン、パイオニア、コーラル、ヴァイタボックスなどのフルレンジユニットを使ってきましたがスピーカー遊びはフルレンジが一番面白いのとボックスに入れれば即鳴るのが魅力でしたがフルレンジ程上手く鳴らせないユニットはありません。

オーディオはフルレンジ派もいればマルチ派もいます。あるマニアが云っていた事ですがマルチを追求して鳴らしている時に俺は音を聴いているのか音楽を聴いているのか自己不信に落ちいって最終的にフルレンジに戻したと云っていましたが、

確かに3Way、4Wayの大型ホーンを使ったスピーカーの音を聴いていますと歪感の少ない良い音に聴こえますがじっくり聴きますと音の定位がバラバラで一つにならないのと楽器や人の声を聴きますと音像が大くなり不自然感は拭えません。

音楽を楽しむと考えたらフルレンジ型やコアキシャルスピーカーが自然体で音楽が楽しめる。どちらも一長一短があるからオーディオは面白いのではないだろうか、


 早速ですが私なりにAXIOM−80の使いこなしになりますが良いスピーカーほど簡単には鳴らない、特にこのユニットは箱を選びアンプを選ぶ傾向があるのがわかった、ヤマハが販売したGOODMANSの指定箱では正直低域の量感が乏しくバランスがすべて上に行ってしまい高域がきつく疲れる傾向の音になってしまう、

 また解決策として低域の量感を増やす為ウーファを追加して2Wayでやられている方がいますが理論的には正しいのですがウーファとAXIOM−80の繋がりに問題があるはずです。

AXIOM−80はフルレンジですからこのユニットを低域のみカットして使えば何処かの部分でディップが生じるのと音色が同じでない為不自然になってしまう、

では同じGOODMANSのユニットを低域で使用すれば解決するのかと云えばこれは難しくカット&トライで挑戦するしかない、

GOODMANSでもAXIOM−80は特別な音色を持ち合わせていますから音色は一致しない、


 今回は私の所有しているタンノイGRFタイプのボックスにこのユニットを実装して試聴しました、このボックスの容積は約250?、ボックスの材質はフィンランドパーチで板厚は19mmでバスレフタイプなります。

他の方が書かれたブログを読みますと

AXIOM−80はバスレフ、バックロードではスピード感がなく付帯音がくっ付いて鳴らない

と書いてありましたがそれは本当なのか実証してみたいと思いますがその辺はカット&トライでやって見たいと考えています。

マグネットは17000ガウスもある強力マグネットで現代のスピーカーでは考えられない強力なアルニコマグネットを採用しているのは脅威でもある。

AXIOM−80音出し

 早速このユニットを実装しての音出しですが取りあえずユニットのみ裸の状態で音出ししてみました、最初に出てきた音はどこにでもある特別な音ではなかったがこれをボックスに実装したらどんな音になるのか胸がわくわくしてくるのがわかる。世界の名器と云われたユニットが果たしてどんなサウンドを奏でてくれるのかスピーカーマニアならこの気持ちは理解していただけるのではないだろうか、

折角鳴らす以上比較対照するものがなければ評価のしようがない、

ここで片側の左側はAXIOM80を装着し右側をVITAVOXのDU−120コアキシャルを取り付けての比較試聴なら私の様な阿呆耳でもはっきりわかるはずだが未知の体験であるがため試聴には慎重にならないといい加減なレポートでは参考にならないとお叱りを受ける。

またこのAXIOM80は真空管アンプを選ぶらしいがWE−300Bを使えばきっと鳴るはずだが果たしてどうなのか、

早速であるが巷では最高の球と云われているWE−300Bシングルで試聴開始した、


試聴のシステム

プレーヤー ヤマハ GT−1000
トンアーム GRACE G−565 ロングアーム

カートリッジ オルトフォンSPU−GとSL−15E
昇圧トランス ゼンハイザー 1950年代のヴィンテージトランス

ブリアンプ マランツ#7

WE−300B シングルアンプ、メトロアンプ


試聴レコードとCD ビバルディのバイオリンソナタその他

以上のシステムでの試聴になります。

全体で聴くAXIOM80は高域の透明感は見事なのだがいかんせん低域の量感が薄くバランスが上に持ち上げた音になる。シングルアンプの場合はトランスの磁化の影響で低音が出にくいのかもこれは300Bアンプが悪いとは思えない、

 答えはこのスピーカーにはシングルアンプは合わないではないか、

250リッターのボックスを使っても低域不足は不満が残るが
中高域の音色はロンドンウェスタン系の特徴のある個性のある音で巷ではこのスピーカーの虜になるのがわかる。

音色を一言で云うならセピアカラーの音とHMVの蓄音器に近い一種独特のサウンドと云える。特にバイオリン、ピアノの響きと音色は特筆すべき良さが感じ取れる。

ケフェレックのバッハのピアノ曲はスピード感のある付帯音の付かない切れ味の鋭い日本刀のようなサウンドだが長い時間聴いていると低域不足の不満が見え隠れしてくる。

 次にVAITAVOXのDU−120に切り換えると中高域はほとんど同じ音質と音色だが低域から中低域にかけてAXIOM80では出なかったふくよかさが出て品位の高さで差が出た、低域の量感は25pユニットでは難しいかも知れないがAXIOM80はVAITAVOXに劣らず品位の高い音でタンノイ、アルテックでは味合う事のできないマニアを虜にするサウンドだが大編成のオーケストラの場合は口径が小さい分無理の様な気がするがジャズトリオをかけるとあのクソ喧しい一般的なジャズサウンドとは違うしっとりとしたコクのあるサウンドに変身する、ジャズもボーカルもグッドだが低域がもう少し出れば文句なしだ、またバッハなどの室内楽、器楽曲を聴くとこれ以上望む必要がないぐらい味のあるサウンドになる。

サブバッフルを取り付けての試聴

メトロアンプで鳴らすAXIOM80


 WE−300Bシングルアンプで鳴らしたAXIOM80だがこのユニットを使っている方は良質のアンプを繋いで鳴らされていると思うがプッシュプルアンプを使うとどんな音になるのか、早速アンプを交換して再度試聴を試みた、

 このメトロアンプは前回のコラムで紹介したトランスは米国製のシカゴ・スタンダード(スタンコア)トランスを使った自分では最高のアンプと思っているがAXIOM80はアンプを選びトランスまでも選ぶスピーカーでこんな気難しいユニットは聞いた事が無い、今回は出力管はGECのKT−66に交換しての試聴になる。

接続後最初に出てきた音はWE−300Bでは出なかった低域の量感が豊かになり中高域は刺激のない味のあるサウンドでピラミッドバランスに変身したのは驚きであった、やはりこのユニットはシングルアンプでは簡単には鳴らないことを痛切に感じた、

多分このサウンドこそ本来のAXIOM80のサウンドかも知れない、AXIOM80はダブルコーンのため高域がきつくなるのが当たり前ですがこのメトロアンプではトランスの影響で長時間聴いていてもまったくきつくならずに疲れない、

その後VAITAVOXに切り換えて試聴したが好みとしてはVAITAVOXのが自分には合うように思えるのとVAITAVOXのDU−120は日本には10セットぐらいしか入って来なかったスピーカーですからある意味AXIOM80より貴重に感じる。

 最後に色々切り換えて試聴したがどちらがVAITAかAXIOM80かわからなくなってきた、どちらも特徴のあるロンドンウェスタン系のサウンドでよく似た音には間違いない、

 最後にAXIOM80を上手く鳴らすには容積の大きなボックスで材質はフィンランドパーチ、米松合板辺りを使い吸音材を調整しながらバスレフでの使用がベスト、またアンプはプッシュブルが適合で出力トランスは有名なトライアッド、ウェスタン、シカゴ、スタンコア辺りを使用すれば本来のAXIOM80の良さが出てくるような気がしますが国産のトランスを使ったマニアが作った自作のアンプではまずは簡単にならないことをご報告しよう、名ばかりの国産のトランスではAXIOM80の良さを十分に引き出すのは難しいのと世界の名器に対して失礼である。

あとがき


 今回はAXIOM80を取り上げての試聴でしたが私個人に云わせると巷で云う名器とは思わないのとこのユニットは価格がべらぼうに高くなってしまったがそれだけの価値は無いと思うがAXIOM80に恋こがれた方なら価格の問題ではない、AXIOM80もそうだが長年英国スピーカー遊びをしてきた私ですから特別凄いとは感じなかったが一般的に見ればこのユニットも名器の一つかも、
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-035


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ヴァイタボックスのサウンドはロンドンウェスタン系の渋い枯れた音でバッハを聴くならこの音しかない、それだけ素晴らしいサウンドで欠点が中々見当たらない、
ウェスタンエレクトリックの555ドライバーを使ったシステムはどちらかと云えばクレデンザの蓄音機の延長線上にある音だが、ヴァイタボックスはロンドンウェスタンの流れを組むHMV蓄音機に近い独特な響きで素晴らしい、

タンノイが英国サウンドと云われるが、本当の英国サウンドはタンノイではなくこのヴァイタボックスとグッドマンではなかろうか、

英国の1930年代のHMV蓄音機は電気臭くなく、ヴァイタボックスによく似たサウンドで、蓄音機なのに音圧レベルが高く遠くまで音の浸透力には脅威に感じる。


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私のオーディオ人生 第39回 VITAVOX CN−191で鳴らす喫茶「フィガロ」
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-039


 今回のコラムはオーディオマニア、音楽マニアも一目置く英国VITAVOX社のCN−191コーナーホーンシステムを使ったクラシックがメインのミュージックカフェ「フィガロ」を紹介します。

(中川隆 註 : ミュージックカフェ「フィガロ」は既に廃業しています)

この階段を上に上がりますと2階がお店になります。

ミュージックカフェ「フィガロ」

 今まで沢山のジャズ喫茶、音楽喫茶、ヴィンテージショップやマニア宅で色んなシステムを聴かせて頂きました、遠い昔京都の「ヤマトヤ」で聴いたVITAVOXのCN-191コーナーホーンまた東京は吉祥寺にもありますクラシック専門の音楽喫茶「バロック」でもこのCN−191コーナーホーンを聴きましたが本来のVITAVOXサウンドとは程遠く中々このスピーカーを上手く鳴らすのは難しい、

真空管アンプなら何でもなると思ったら大違い、このスピーカーはアンプを選びトランス、球まで選ぶ大変気難しいスピーカーシステムだ、

店内の全体の様子


スピーカーはヴァイタボックスCN−191コーナーホーンが左右に鎮座しています。
ヴァイタの横にあるのが珍しいRCAの電蓄で1930年代

男の隠れ家「ミュージックカフェ・フィガロ」

 中部地方にも沢山のジャズ喫茶、音楽喫茶がありますが今回ご紹介する音楽喫茶「ミュージックカフェ・フィガロ」はオーナー自らオーディオマニアでもありレコードマニアでレコードは3000枚所有とのこと、また此処のオーナーで夏目店主は音楽も好きでオーディオも大好きな気さくな店主ですから是非行かれてオーディオ談義、音楽談義をされることをお薦めしたい、フィガロの場所は名古屋市千種区の東山公園の近くにあります。

ここのシステムは凄い

 メインシステムがヴァイタボックスCN191コーナーホーンでここで鳴らされているヴァイタサウンドはおそらく日本ではトップクラスのサウンドでこのようなシステムが名古屋にあるとは気が付きませんでした、

以前のコラムでご紹介したジャズ喫茶DAYSもヴァイタボックスのコーナーホーンでしたが同じヴァイタでもこんなにも違うサウンドでフィガロは特にクラシックがメインですがお客様のご要望で歌謡曲ありジャズあり勿論自慢のアナログレコード及びCDを持ち込んで聴かせてくれます。


プリアンプはマッキントッシュ20とマランツ#7を使っている。
モノラルはマッキントッシュでステレオが#7を使い分けている。
下側にマランツ#9が2台あります。

プレーヤーはガラードの301が2台でモノラル用とステレオ用

フィガロのシステム

 メインシステムはヴァイタボックス191コーナーホーンですが
この隣に設置してある1930年代のHMV蓄音機と、
同じ1930年代のRCAの電蓄、

 プレーヤーはガラードの301が2台、

モノラル用はSMEのアームにオルトフォンのモノラルカートリッジと
オルトフォンのアームに同じオルトフォンのSPU−Aが実装されている。

 アンプはすべて真空管アンプで

プリアンプはマランツ#7と
メインアンプは同じマランツの#9が2台
すべてオリジナルとのこと、

MCカートリッジの昇圧トランスは、夏目マスターは秘密と云っていましたが
私が見たところ一般のアナログマニアでは聴けない WE製618B を使って昇圧しているが

このようなシステムを揃えたレベルの高い喫茶店を私は見たことも聞いたこともない、

フィガロのサウンド

私が訪問した時ヴァイタボックスからシゲティのバッハ無伴奏が流れていました、

一聴してこのサウンドはロンドンウェスタン系の渋い枯れた音でバッハを聴くならこの音しかない、それだけ素晴らしいサウンドで欠点が中々見当たらない、

またこのお店の雰囲気がヴィンテージシステムにピッタリで壁には色んなアナログレコードのジャケットが並べられている。

トータルで考えるとマランツ#7と#9の実力が発揮されているようだ、

ヴァイタボックスのサウンドこそ英国を代表するサウンド、

タンノイが英国サウンドと云われるが本当の英国サウンドはタンノイではなくこのヴァイタボックスとグッドマンではなかろうか、

私の所有しているヴァイタボックスDU−120と比較しますと低域の量感は38センチのウーファを使っているためスケール感には差が出るが家庭で使うには30cmのDU−120で十分である。

ウェスタンエレクトリックの555ドライバーを使ったシステムはどちらかと云えばクレデンザの蓄音機の延長線上にある音だがヴァイタボックスはロンドンウェスタンの流れを組むHMV蓄音機に近い独特な響きは素晴らしい、

次に聴かせて頂いたのは英国の1930年代のHMV蓄音機、

レコード盤はすべてSP盤であるが、この音は電気臭くなく先ほど聴かせて頂いたヴァイタボックスによく似たサウンドで蓄音機なのに音圧レベルが高く遠くまで音の浸透力には脅威に感じる。

このようなサウンドを聴かされると現代のハイエンドオーディオは歪み感のない綺麗なサウンドだが必ず飽きが来るはずだ、特に現代のハイエンドは上も下も伸ばしたため中域が薄くなりがちで不自然に思う、

HMV蓄音機を聴かせて頂いた後は1930年代のRCAの電蓄だ、また特に良かったのは美空ひばりの子供の頃のSPレコードでこの歌声を聴くとタイムスリップしたような錯覚にとらわれる。


男の隠れ家ミュージックカフェフィガロの場所

車で行かれるのなら広小路線を東に向かって東山動物園の近くになります。 動物園の近くまで来ますと道路の反対側にスーパー「コノミヤ」がありますからこれを目印にして行けばすぐにわかります。コノミヤの隣の2階がフィガロです。駐車場は確か2台ぐらいあると云っていましたができれば近くのコインパーキングに置かれた方のがよいかも 遠方から電車で行かれる方は名古屋駅から地下鉄東山線に乗って東山公園で下車して徒歩で少し戻ればすぐにわかります。

是非仲間やご夫婦で訪問してください。店内は広いですから時間をかけてヴァイタボックスサウンドやHMV蓄音機の音楽性豊かなサウンドを満喫できます。

フィガロは日本でもトップクラスのサウンドを聴かせてくれますからY下のブログを読んだと云っていただければすぐに打ち解けると思います。

またフィガロから車で10分ぐらいの所に本山の交差点を北に行きますとジャズ喫茶DAYSもあります。

同じヴァイタボックスでも音の系統は違います。

二つのヴァイタボックスが聴けますからこちらも訪問すると面白いかも

あとがき

 今回はミュージックカフェフィガロをご紹介しましたが、今まで色んなシステムをマニア宅、ジャズ喫茶などで聴かせて頂きましたが、マニアなら一度は聴きに行くべきです。

マランツ#7とマランツ#9の組み合わせは極上でまったくもって不満は感じないがメインアンプは西部電気の300Bより英国製の直熱3極管を使って良質のアンプで鳴らしたらより英国サウンドが満喫できるように思える。勿論出力トランスはパートリッジならグットだ、
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-039



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私のオーディオ人生 第22回 20pフルレンジスピーカーを鳴らす!
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-022

今回のコラムは私が最近購入した英国の名門スピーカーで20pダブルコーンスピーカーWharfedaleのSuper8−RS/DDをご紹介します。


私の友人で究極のオールウェスタンとウェストレックスのアンプで楽しんでおられる石川県の小松市に住むスーパーマニアの中さんが久しぶりに名古屋に来られて早速このスピーカーを厳しいウェスタンの耳で評価をして頂いた、

 中さん曰く

「20pのダブルコーンとは思えない豊な響きと枯れた音色が魅力的だ、
特にピアノと声楽が素晴らしく他のスピーカーではこの音は出ない、

同じイギリスのタンノイとは音色的な傾向と出音は随分違うけどこれこそが紛れもない英国サウンドの音ではないだろうか」

また

「自分が使っているウェスタンに近い音色を持ち合わせているから今後はワーフェデールを見習ってウェスタンも同じようにしっとりとした(いぶし銀)のサウンドを出したい」

とウェスタンレベルの目線で評価して頂いたがやはり当時のワーフェデールもHMV蓄音機やロンドンウェスタンの流れを汲む音色の一端が見え隠れするような気がする。


 スピーカーに関しては今迄色んな英国ヴィンテージスピーカーを購入して聴いてきましたが

現代のハーベスやスペンドール等の同じ英国スピーカーのブックシェルフタイプはどちらかと言えばフロアータイプと比べるとこじんまり纏めた鳴り方で能率も低く個性のない無色透明なスタジオのモニター的な音が特徴ですが

同じ英国のヴィンテージスピーカーは一応に能率が高くメーカーのサウンドポリシーが前面に出て個性が主張されているのが面白い、
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-022


http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1074.html#c14

[リバイバル3] ロンドン・ウエスタンの世界 中川隆
15. 中川隆[-11632] koaQ7Jey 2020年8月27日 11:03:29 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[28]
London Western Electric 2042アンプの音質
https://open.mixi.jp/user/8290003/diary/1901974820


London Western Electric 2042
https://open.mixi.jp/show_diary_picture.pl?owner_id=8290003&id=1901974820&number=92
ロンドンウエスタンは、アメリカのWestern Electricの関連会社で、イギリスの映画産業の音響部門を担ったとされています。


今のようにテレビもなく、ナチスドイツが典型ですが、アメリカでも映画が国威発揚らにも用いられた時代で、映画産業は国家産業でもあった時代のようです。


どういう経緯か知りませんが、アメリカからシアター機材を輸入すればいいものを、イギリス独自にアンプもスピーカーも開発しています。


他方でイギリスの業務用スピーカーメーカーの雄としてヴァイタボックス社 あのスピーカーのタンノイのKT88 PPの業務アンプも見たことがあります。


いつもの仲間のお宅に、自作長野オーディオクラブで知り合った方が最近購入された London Western Electric 2042アンプが持ち込まれて。チョークトランスのうなりを取るため試行錯誤されていました。


トランスはコアのみならず、巻き線までほとんど剥き出しは、ドイツ クラングフィルム シーメンスらの業務用アンプら欧州独特で、アメリカではせいぜい合わせカバーが付きますよね。


今でも巨大なコアのトランスで、ヒータートランスが別も日本にはあまりないものの、欧米アンプでは不思議ではなく、音質的理由があるのかもしれません。


電源に放電管も使われた安定化電源回路が設けられているのは、仲間のカナダ ノーザンエレクトリックの同タイプも同様です。


https://open.mixi.jp/user/8290003/diary/1901974820


今や音質的メリットはないですが、当時の電圧不安定な電源事情が推測されます。


オリジナルと違うのは初段 前段のST ガラス管の6J7Gが6J7メタル管となっていること、内部の一部抵抗が、A&Bに交換されている以外はそのままのようです。


https://open.mixi.jp/user/8290003/diary/1901974820

本日、手持ちにちょうどいい、同じイギリス製 STC社 6J7Gがあるので、初段に差し替えて音質差の実験ができるかもしれません。


ハーネスは、さすがはプロ用。合理的な配線技術と、メンテナンスや保守点検がしやすい構造に、いつも配線の教科書になるものですね。


ここで基本的にモノラル6L6Gパラプッシュプルで構成が酷似しているWE118Aと比較試聴という、当時でもできない、雑誌管球王国並みの体験ができました。


フラット&ワイドレンジで、高域に艶のあるWE118Aに対して、LONDONは低域たっぷりに浪々と鳴ります。


同じ構成でもアメリカ カナダ ロンドン そうして、さらに別の仲間はオーストラリアの同構成のを持っています。
 

いずれにしても今日レベルのスピーカーも鳴らす能力が自分が産まれるより前にアメリカとイギリスで開発されていたことに驚きます。

お値段は118Aは今や200万を超え。いずれも100万は楽に超える価格だそうです。

大変貴重な経験で、自作アンプの音質や配線、部品選択の参考になります。


コメント

mixiユーザー 2013年05月15日 09:13

Westrex Londonの2042は確か6L6GのPPで残り1本の6L6Gはモニター用に使用されていたように記憶しています。内部写真を拝見するとモニター用の6L6Gシングル出力トランスが見当たらないので、その1本は単に飾りかもしれません。目がハート


mixiユーザー2013年05月15日 12:17

> mixiユーザー 回路図をちらりと見て勘違いしてしまいました。たしかに3本しかないですね。
6L6 PPとすれば、今でも余裕綽々な大型トランスに驚きます。 手前の使っていない真空管チェック用スイッチに抵抗を入れて、ゲイン切り替えをするようなことを言われていました。 ゲインはちょっと高すぎで、入力トランス 6J7 →CR →6L6でいいのかもしれません。

mixiユーザー2013年05月16日 02:21

> mixiユーザー 本日もありましたので確認しました。やはりPPアンプでご指摘のとおりです。ではなぜ6L6が3本かというと、1本は安定化電源回路を担っているようでした。

音質は118AがメルセデスAMGとすると、LONDONは大型ダンプのような・・・・

https://open.mixi.jp/user/8290003/diary/1901974820
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1074.html#c15

[リバイバル3] ロンドン・ウエスタンの世界 中川隆
16. 2020年8月27日 11:04:38 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[29]
ウエストレックスT530−A 2017/3/31
https://blogs.yahoo.co.jp/wanwan129/64771077.html

ウエストレックスT530−A 画像
https://blogs.yahoo.co.jp/wanwan129/GALLERY/show_image.html?id=64771077&no=0


やっぱり2インチドライバーですか?!

ですよね〜・・・・・・

1インチでは味わえない音の厚みったらないですもんね〜

ウエストレックスが1956年にWE594Aの変わりになるドライバーをJBLに発注した事から始まる

JBL2インチドライバー

つまり

375の原型がウエストレックスT530−Aな訳です


ジムラン375との音の違いはさておいて
ウエストレックと言う名前の響き

心をくすぐる何かが有るとは思いませんか
ましてや375の原型ともなれば尚更

所有して使ってその真価を知る
一つの究極のスピーカーシステムを構築する上でカギになるユニット

・・・・・・でしょう。
https://blogs.yahoo.co.jp/wanwan129/64771077.html

http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1074.html#c16

[リバイバル3] ロンドン・ウエスタンの世界 中川隆
17. 2020年8月27日 11:07:01 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[30]
TK邸訪問(その7):ロンドンウエスターンでLPを・・・(^^; 2011/08/08
https://mtt2.blog.fc2.com/blog-entry-1150.html


さて、TK邸での驚きの連続の体験・・・アクースタットの巨大なコンデンサーSPで、浴びるようなサウンドを・・・オイロッパジュニアで、瞬時に引き込まれる音楽をと・・・

既に、ここのところ、自分が出そうとしていた再生音とは、全く異なる次元の再生音楽を、たっぷり楽しませていただいたわけですが・・・

まだ、これで終わりではありません・・・(@@;

お茶タイム(とっても美味しいお抹茶をいただきました)の後で、お次は、もう一つの再生系・・・


【ロンドンウェスターンSP(2080A+2090A)】
https://blog-imgs-32-origin.fc2.com/m/t/t/mtt2/2011080706471980d.jpg


ロンドンウェスターンのSPでの再生です・・・

TKさんは、いずれ、このウーファーを後4本揃え、片チャンネル4発としてバッフルを組んで・・・との計画をお持ちだそうですが、今はその途中の段階で、床置きなのだとのこと・・・

で、片方のチャンネルの調子が良くないので、ちゃんと鳴るかどうかと仰りながら、オーディオリサーチのアンプ(アクースタット用より大分小振りな別のアンプ)を接続し、準備完了・・・

まずは試しにと、先程のメニューインのバイオリンコンチェルトを少しかけられた・・・

オイロッパジュニアの時とは、随分違った雰囲気で、低域はユニットが裸なので少ないものの、非常にフラットなレンジの広い印象・・・逆に、オイロッパジュニアには、独特の個性があったんだなと、改めて感じました・・・

と言うか、ロンドンウェスターンでも、かなり濃く厚い方だと思うんですが・・・オイロッパジュニアを聞いてしまうと・・・(^^;

印象の違いとしては、オイロッパジュニアに比べて、レンジが広く感じる分、ロンドンウェスターンでの音の方が線が細く薄い感じが・・・その原因の1つは、アンプ・・・片や、オイロッパジュニアを鳴らしたのは、劇場用のアンプだから・・・

それともう1つは、カートリッジが、オイロッパの時はモノラル用だったのが、今はステレオ用で鳴らしたと言う事も・・・やはり、エネルギー感が随分違って、さっぱりとしてしまった感じで・・・

とは言え、接触の不調も今は、辛うじて出ていないようなので、ロンドンウェスターンでの再生を続けましょうと言うことで・・・大さんのリクエストで、オスカーピーターソントリオのプリーズ・リクエストのB面1曲目をかけていただいた・・・

ほ〜!・・・オイロッパジュニアに通じる中域の厚みや濃さはあるものの、その鳴り方は、σ(^^)私の知る普通のSPの鳴り方に近い気がする・・・これがソースによるものなのかSPの鳴り方の傾向によるものかは分からないけれど・・・

ただ、そうは言っても、厚みを持ちながら中域〜中高域が全くストレスなくふわっと広がる、何とも不思議な、それでいてとっても心地良い鳴り方には、非常に好感を持った・・・どうもこの独特の12セルのホーンによるもののような気がするんだけど・・・どうなんでしょうか?(^^;

ウーハーはそのままで、クロスは600Hzくらいとのこと・・・

お次は、マイルスディヴィスのマイファニーバレンタインを・・・

ほっほ〜!・・・ピアノの音色を聞くと、このホーンの感じが出ているような気がするんですが・・・バッフルなしのウーハー側の音かな?・・・ハハハよう分かりません(^^;

でも、ミュートトランペットの音は、正しく!って感じで・・・グイッと迫ってくる・・・これは、オイロッパのときとはまた違った印象で、凄く良いなあ!・・・あっ!ピアノのソロのところを聞くと、やっぱりこのホーンの感じのような気がする・・・このストレスなくふわっと鳴る感じ、良いなあ(^^;

そして、お次は・・・ホプキンソン・スミスで、デュフォーのリュート組曲?・・・

【ホプキンソン・スミスのリュート】


う〜ん、この音の密度濃さは、凄く生々しさを感じるなあ・・・この軽々と音が立ち上がるのは、このホーンドライバーと、このホーンならではなんでしょうかねえ・・・それに、凄く澄んだ音色で、空間の響も凄く綺麗に聞こえるんですね・・・

これにウーファーが4発になって、バッフルがつくと、どんなバランスになるんでしょうかね?(^^;

っと、それでは次はSPをかけましょうかと・・・遂にあれを!・・・

ハハハ、先に勘違いでフライング紹介した・・・


【ウエスターンのプレーヤー】
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ウエスターンのプレーヤーが、遂に登場です・・・が、またまた今日は時間切れ・・・

ってわけで、つづきは明日・・・いよいよラストか?・・・

いつものごとく、余り期待せずに、お楽しみに!

デハ ^^)/~


コメント


London Western 2080は良いユニットだと思います。

当時の劇場用システムの完成度には昔の技術を感心させられました。

この時代の方が音楽の原点に近い鳴り方をしていると感じる人も多いでしょう。

Mt.T2さん良い体験が出来ましたね!

[2011/08/09 15:46]


大佐、コメントありがとうございますm(_ _)m
軽く適度な減衰で、耳障りな振動音を出さない振動板で、高能率な遠達性の高いスピーカー
そんなユニットと箱が・・・おっと、そのサウンドを活かす部屋も・・・

この後、おおよそ2週間後に、またひとつ、貴重な体験を・・・

そんな体験が、自分の周りのそこかしこで、つながり始めれば、更に充実した世界が?・・・なんて思いを持ちつつ、音の不思議を色んな点で、楽しんで行きたいです\(^^)/
[2011/08/09 18:15]


私は最初はビンテージに浸かってましたから、ハイエンド系は苦手だった。

聴いていても情報量が多くても楽しくない音に感じて、これならビンテージのまままで

良いと30年過ごしてました。

しかし今のシステムで両立出来た気がします。 それぞれの軌跡を得て今があると思います。

Mt.T2さんも良い方向を進まれていると感じますよ!
[2011/08/09 18:41]


大佐、再レスありがとうございますm(_ _)m

アンテナ高くセンス良く判断の速い方、信念やポリシーをお持ちの方、育った環境など影響で、早くに自分の音楽観やイメージをお持ちの片なら、方向性の振幅は大きくなく、直ぐに収束して行かれるのでしょうが・・・
残念ながら、素質や育ちも縁遠いところで蠢いておりますので・・・いつまで経っても、右往左往の振幅は大きく、毎度行き過ぎないと方向転換できないわけで・・・

まあ、あれもこれも欲張って、何度も失敗を続ければ、そのうち少しは、学習効果も・・・
そんな、気の長〜い歩みを続けることで、いつか少しは進歩があるかも・・・
せっかくやるなら、楽しくと・・・おまけ的気持ちで書いているのがこのブログ・・・

焦らず、時折振り返って、またぼちぼちと歩いていくことにしますわ・・・v(^^

[2011/08/09 19:28]


https://mtt2.blog.fc2.com/blog-entry-1150.html

▲△▽▼
【1098】110703 TK邸訪問(最終話):SPの電気再生とクレデンザ・・・(^^; 2011/08/09
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さて、巨大コンデンサーSPのアクースタットからかぶりつき席で、浴びるように聞かせていただいたロリンズのぶっとく厚く、めっちゃ熱いサックス・・・

励磁型のヴィンテージSPのオイロッパジュニアで、瞬時に、気持ちを鷲掴みにされたように入り込んでしまったシュタルケルのむせび泣く様なチェロの深い響・・・

あまりに厚く濃く、ストレートに迫ってくる音楽のエネルギーに圧倒されたもんだから・・・

熱さも濃さも持ちながら、独特の暖かく柔らかくふわっと包み込むように、囁くマイルスのトランペットが、クールに?聞こえたロンドンウェスターン・・・

【ロンドンWEのSP】1096-05
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いよいよ今度は、同じウェスターンのプレーヤーで、SPを聞きましょうと・・・

【ウエスターンのプレーヤー】1097-02
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SPの電気再生の1曲目は・・・カールエルプの君を愛す・・・

シャープチプチプチっという古いSP盤をかけた時のイメージの音から始まったんですが・・・

高域の無い詰まった音をイメージしていると・・・思いの外、中高域が伸びている・・・

更に、曲が始まると、突然信じられないほど、シャープチプチプチって音が消え、ピアノの伴奏と男声の響が聞こえ出す・・・ああ!やっぱり音の厚み、密度が凄く、声のエネルギーが、驚くほどドバッと迫ってくる・・・

オイロッパジュニアのようにほとばしるように音のエネルギーの塊が次々ぶつかってくるのとは違い・・・一応演奏している空間が少し感じられ、そこから歌が押し寄せてくる感じで・・・より実体をイメージしたところから、声が迫ってくる感じ・・・

お次は・・・セゴビアのソルテーマ・・・

おお?今度のトレース音?は、かなり高い音でショワーって感じで、結構盛大・・・

っと、またまた、この音は聞こえてるものの、ギターの演奏が始まった途端、このショワーって音が、ガクンと音量が下がったかのように、ギターの演奏がクリアに聞こえ始めた・・・弦を指で弾く瞬間の音と弦が震える音もはっきりと・・・

続いては・・・ゴールドベルグ、クラウスのモーツアルトVnソナタK378から冒頭を・・・

ピアノの音色が艶っぽく暖かく響くなか・・・何とも生々しい実在感で、バイオリンが・・・目を瞑れば、なお更そこで演奏しているような感じが増す・・・今のソースや機材の音に比べれば、帯域もかなり狭く、シャープチプチとノイズも盛大に聞こえているんですが・・・演奏のエネルギー感と実体感は、信じられないほど高い・・・正に中域の密度とエネルギー感の違い・・・モノラルの威力?(^^;

それじゃオーケストラをと・・・ワルターウィーンフィルで田園第5楽章前半を・・・

ああ!・・・シャーの中なのに、ホールの響と言うか、空間に音が広がる感じまで・・・よく、オーディオ機器の試聴で、ベールを1枚はいだように・・・なんて表現がありますが・・・確かに、シャープチプチって音は、粗い織りのレースのカーテン越しに聞いているようではあるんですが・・・粗い目の向こうは、実際の演奏現場って感じで・・・ある種、生々しさや実体感を感じるんですよね・・・

っと、貴重なSP盤を電気再生で聞かせていただいてきたんですが・・・

いよいよ最後に・・・蓄音機でと・・・


【クレデンザで】
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一際、その存在感を示していた、家具のような蓄音機・・・クレデンザでの再生・・・

まずは・・・コルトー:ラヴェル水の戯れ・・・

へ〜!電気再生の時は、あれだけ盛大にシャーって聞こえてたのに・・・微かにシャーって聞こえる程度で、ほとんど気にならない・・・

で、流れ始めた、優しく繊細なピアノの調べ・・・思いの外柔らかく、優しい感じ・・・でも、その分細かな音の表情が聞こえるような・・・

針が、真鍮の針だそうで、波状の特殊な構造の針だからなのだとか・・・

と、最後は・・・エリカモリーニのVn小品をと・・・

う〜ん、何とも暖かく思いやりに満ちた、優しい演奏・・・ピアノを後に、バイオリンが情感たっぷりに、ある種の切なさも伴って・・・それにしても細かな音までよく出るんだなあ・・・

いやあ、素晴らしい!・・・パチパチパチ

コンデンサーSPから、不調で最近鳴らしていないので、ちゃんと鳴るかどうか・・・鳴っても寝起きの音しか出ませんよとのことでしたが・・・嬉しいことに、何とか鳴ってくれて、完調ではないにせよ、圧倒的に厚く濃く、トンでもない音楽のエネルギーを感じさせていただきました・・・

普段、聞いている音楽やそのサウンドも、それはそれなりに好きなんですが・・・今日聞かせていただいた音楽は、全く別次元のもの・・・ソースの持つエネルギーもあるのでしょうが、ヴィンテージ機器の驚くほど、音楽のエネルギーをストレートに伝える力・・・

帯域や特性とかスペックには全く関係なく・・・音楽のエネルギーと実体感、何より、中域の厚く濃く、完全に中身の詰まったサウンドで・・・演奏の熱気と思いをダイレクトに受け取る素晴らしさ・・・

スペックに現れない、音楽の大切な要素に気付かせていただきました・・・

TKさん、長時間に渡って貴重な体験をさせていただき、大変ありがとうございましたm(_ _)m

おちゃらけた音遊びからは、まだ卒業できそうにありませんが、お聞かせいただいた素晴らしい音のエッセンスを心に留め、あらたな観点も加えた、自分の音作りをして行きたいなと思います・・・

今後とも、よろしくお願いいたしますm(_ _)m

ってわけで、こま切れ度が増し、少々長くなってしまったこのお話も、ここで一旦お終い・・・

明日からは・・・多分、またおちゃらけ音遊び?(^^;

ま、いつものごとく、余り期待せずに、お楽しみに!

デハ ^^)/~


コメント


Mt.T2さん、長文の試聴記をありがとうございました。多少なりともお役に立てたならば幸いに存じます。また宜しければいつでもお越しください。
[2011/08/09 23:05]


TKさん、こちらこそ、長々とお付き合いいただき、大変ありがとうございました。
レコードというソースと、ヴィンテージと呼ばれる機器、アナログでの音楽再生の持つ、強烈な魅力を再認識させていただきました。
ただ、そのソースも機材も、今からは入手も維持も多くのノウハウと労力、コストが必要ですので、σ(^^)私には、その世界に入り込むことは難しいとも、感じました。
でも、この体験を通して感じたアナログならではのエッセンスや、アドバイスいただいた考え方を参考に、今後のσ(^^)私のシステムの調整や音作りに、少しでも取り込んでいけたらと思っています。
ま、今のところは、その思いだけで、何をやればどう変わるのか、その術は、全くありませんので、また、ぼちぼちと経験値を上げるべく、右往左往を繰り返し、続けて行きたいと思っています。

今後とも、よろしくお願いいたしますm(_ _)m
[2011/08/10 04:10]

オーディオの王道

TK邸の詳細レポートありがとうございました。Mt.T2さんの異次元のサウンド体験の印象が十分に伝わってきました。
TK邸のこれだけのシステムをそれぞれうまく鳴らせるのは、並みの努力、並みの力量ではできないと思います。また、SPからPCオーディオまで、幅広く楽しんでおられるのですが、SPやLPを極められているからPCオーディオの良さも分かり、PCオーディオをやっているからSPやLPの良さも再認識できるということでしょう。
それに比べて、昨今のオーディオは少し底が浅いと言うか、代わり映えしない新製品の羅列とか、アクセサリー遊びなど、本質からずれているように思います。

酒仙坊さん、コメントありがとうございます。
レスをつけたはずが、上手く更新されていなかったようで、遅い返信になり、申し訳ありませんm(_ _)m
さて、TK邸で体験させていただいたサウンドは、以前、単身赴任で神奈川にいた時、先輩に連れて行っていただいたお宅・・・思い返すと、かなりのお宅が、いわゆるヴィンテージに入るシステムをお使いで、その頃から、何か気持ちを捉えて離さない魅力を感じてはいたのですが、まだ、音に対する経験が浅く、充分その良さを理解出来ていなかったように思います。
そんな背景もあり、TKさんのお宅では、その魅力を色濃くストレート出されていて、σ(^^)私の感覚でも感じとりやすかったような気がします・・・そのようなサウンドに調整されているTKさんの情熱のおすそ分けをしていただいたような感じです(^^;

> それに比べて、昨今のオーディオは少し底が浅いと言うか、代わり映えしない新製品の羅列とか、アクセサリー遊びなど、本質からずれているように思います。

う〜ん、耳の痛いお話・・・でも、その違いも、一度は体験して見ないと、本質に辿り着けないような気もするのですが・・・と言いつつ、まだ本質がよく分かっておりませんが・・・足掻くしか方法を思いつかなくて(^^;

[2011/08/11 05:04]


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▲△▽▼

TK邸訪問(その1):驚きの連続・・・(^^; [2011/08/0207:00]
https://mtt2.blog.fc2.com/blog-entry-1144.html
酒仙坊邸のオフ会でお会いした、酒仙坊さんご愛用のStream Playerと言う再生アプリの作者でもあるFさんから、きっと惹かれるものがあるんじゃないかと、ご紹介いただいたTKさんのお宅へ伺ったお話を・・・

ただ、若輩者のσ(^^)私には、機器の名前さえ聞いたこともない珍しい・・・多分、お好きな方には、お宝の山なんでしょうが・・・珍しい機器ゆえ、そのいわれも何も分かっていないと言う、もったいない状況でして・・・

ま、とにかく、のっけから驚きっぱなしの、衝撃的な体験でした・・・

まず、お部屋に置かれた機材・・・広さは、12〜13畳だと思うんですが・・・巨大な機材が、所狭しと置かれていました・・・

更に、その周りは、入り口以外の3面が、別の部屋に隣接していまして、そこに膨大なライブラリが・・・SPやLPなどレコードとテープも・・・そのコレクションの数は、千の単位を遥かに超える膨大な量だそうで・・・(@@;

一方で、インフラノイズの機器を使ったPCオーディオもされているそうですが、残念ながら、今回は時間の関係で聞けませんでした・・・

さて、その膨大なレコードを聞かれるメインの送り出しは・・・


【EMTのターンテーブル】
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送出しは、EMTのターンテーブルで、奥がモノラル用、左がステレオ用、手前は自作?のアームのようでした・・・カートリッジは・・・ステレオ用はオルトフォンのSPU・・・スミマセン良く分かってませんm(_ _)m

で、最も興味深く、驚きだったのが・・・その設置方法・・・中が丸見えですが、これも音のために外側のパネルを外しておられるのだそうで(これはσ(^^)私の勘違いのようで、もともとこれをコンソールに入れて使うんですね)・・・それより、一番下のボードからミルフィーユのように何層にもなっているのは、米松の合板を重ねて接着したボードの間に、カーペット使い古しのウール毛布あるいは綿毛布を数枚挟んで、浮揚?されておられるようで・・・この組み合わせで、音の調整をされているのだそうで、長年の試行錯誤の積み重ねで、そのノウハウを、文字通り積み重ねられてのセッティングだとか・・・(@@

で、こちらは、更に分かりませんが・・・昇圧トランス・・・

【積層浮揚セッティングの昇圧トランス】
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こちらも、積層浮揚セッティングされた昇圧トランスで・・・一番奥一番手前のもので聞かせていただいたようです・・・

それから、プリアンプは、マランツの#1で・・・

【プリはマランツの#1】
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これは、左右チャンネルに2台をいれているのだったと思いますモノラルを左右チャンネルに各1台を使われてました・・・(汗

でもって・・・パワーアンプは・・・


【巨大な管球式パワーアンプ】
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Audio Researchの巨大な管球式のパワーアンプで・・・6550が何十本も使われていて、片チャンネル250WをBTL接続?されて、500WのモノラルアンプAcoustat#6が#3を上下2台連結していて、入力端子が2台分あるので、これにそれぞれ接続して使われているそうです・・・

で、この巨大な超度級管球式アンプ2台で、左右のそれぞれのSPを駆動されていると・・・

でもって、このアンプが支えているのが・・・AcoustatのコンデンサーSPのサウンド・・・

【超巨大モニュメントのようなSP】
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それにしても・・・なんて巨大なSPなのでしょう!・・・2.5m位あるんじゃないでしょうか?・・・もう天井スレスレです!(@@

と言うことで・・・これが、冒頭、聞かせていただいたシステムで・・・

っと、残念ながら、今日はここで時間切れ・・・

ってわけで、つづきは明日・・・いつものごとく、余り期待せずに、お楽しみに!

デハ ^^)/~

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TK邸訪問(その2):これ、コンデンサーSP?・・・(^^; [2011/08/0307:00]
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さて、いよいよ、TK邸で初めて見る機器達・・・その背景にあるものを、全く知らないと言うもったいない訪問だったのですが・・・何より、まず目が行ったのが、その設置方法・・・

丁度、ゲル浮揚実験で、機器を浮かせて聞ける音の不思議に夢中でしたから・・・ウール毛布や綿毛布と米松合板の積層浮揚という設置方法には、興味津々!(^^;

果たして、どんなサウンドを聞かせてくれるんだろう?・・・

巨大なモニュメントのようなSPは、後の壁からは1mほど離れたフリースタンディング・・・

リスニングポジションは、部屋の中央を中心とする1辺2m強の三角形の頂点・・・

SPとの距離は、拙宅と似たようなものですが・・・さすがにこの大きさの板状の物体があると、圧巻ですね・・・まるで、その部分には、壁か柱が立っているような感じです(^^;

で、最初におかけいただいたのは・・・ソニーロリンズのサキソフォンコロッサスから、2曲目のYou don't know what love is.

うわっ!!(@@;・・・冒頭から、めっちゃぶっといサックスに、思わず体がビクッと浮いた!

まるで、ラッパの口に耳を近付け、直接、リードの振動板の振動する音も逃さず聞こうって感じ・・・

リードの音の直接音と、そこからラッパの開口部までの金属パイプを息が通り抜けて広がる音・・・

そのぶっといサックスの後方に、暖かく包み込むようにベースとドラムのリズム・・・

ブラシで叩くシンバルの音も生々しく、優しくそっとサポートするピアノの音も軽やかに・・・

なんとも鮮烈なサックスの音を、正にかぶりつきで浴びるように聞かせていただきました・・・

何とエネルギッシュで、鮮烈な音なんだろう!

この巨大なモニュメントのような平面から・・・中身は極々薄いフイルムなのに・・・

何とも不思議な鳴り方!・・・座って聞いても、正面に中央に・・・立って聞いても正面中央に・・・

音像の出来方も何とも不思議・・・

コンデンサーSPも、こんな、鮮烈でエネルギッシュに鳴るものなんだ・・・(@@

単身赴任中・・・2年半ほど前に、千葉の通称クオードを聴く会で、初めて体験した、コンデンサーSPのエネルギッシュな鳴り方・・・


【186】090124 クォードを聴く会 Part3(DECCAのSPを聞く@) [2009/01/28]
https://mtt2.blog.fc2.com/blog-entry-206.html


以降6話・・・

この1話目の中のリンク先にある通り、ESL-63ProやESL-57をフリースタンディングで、少し離れた位置から、聞かせていただいて、膜のSPが、非常にパンチ力のあるサウンドが出るんだ・・・って事を体験したことがあったんですが・・・

今回お聞かせいただいたのは、振動板の面積が、2倍以上ある上、ほぼかぶりつきのニアフィールドだからと言うのもあるのでしょうが・・・

また、全く違った鳴り方の印象・・・ホント、ビックリでした!(@@

っと、面食らって、しばし感心していると・・・

次にかけていただいたのは・・・ブラックコーヒーを・・・

どひぇ〜!・・・めっちゃ近い!(^^;

最前列のテーブルで、マイクなしに直接、歌を聞いているようなかぶりつき状態・・・ミュートトランペットも時折、耳の近くまでやってくる・・・

熱く妖艶なボーカルに見つめられながら・・・目の前で聞いている・・・そんな感じ・・・

っと、ここで一旦お茶タイム・・・

ここで、ご一緒させていただいた大さんが、以前のプレゼントのお返しで・・・っと、ヴァンゲルダーがカッティングまでしたレコードをプレゼント・・・入手して、クリーニングもしていないと・・・

じゃあ早速・・・っと、残念、今日は、ここで時間切れ・・・

ってわけで、つづきは明日・・・いつものごとく、余り期待せずに、お楽しみに!

デハ ^^)/~

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TK邸訪問(その3):一体何を聴いているの?・・・(^^; [2011/08/0407:00]
https://mtt2.blog.fc2.com/blog-entry-1146.html


さて、のっけから、コンデンサーSPって、こんな鳴り方するの?と、驚くばかりのエネルギッシュで鮮烈なサウンドを聞かせていただき・・・

演奏の熱気・・・歌の思い・・・何か、この曲の一番熱いところはここなんだよ!・・・って感じで、ストレートに迫ってくる・・・そんなサウンドに、ああ、音楽ってこんな風に感じれないと面白くないんだなと、ハッと気づかせていただいた気がします・・・

っと、冒頭の興奮状態をクールダウンするかのように、お茶タイムに入り・・・

ご一緒した大さんが、持参された・・・ヴァンゲルダーがカッティングまでしたレコードのお話から・・・ジャケットのない特殊なレコードで・・・ノーマングランツが起こしたクレフやノーグランの音源に近いものとのこと・・・

っと、先程の再生系のお話があって・・・SPUのGシェルから、384を通ってマランツ#1のフォノイコを使っての再生とのことでした・・・

それから、ウェスタンのプレーヤーとフェアチャイルドのプレーヤーのお話になりまして・・・じゃ、ちょっとかけましょうかと・・・


【フェアチャイルドのプレーヤー】
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フェアチャイルドのプレーヤーで、エラフィッツジェラルドをモノラルで・・・

う〜ん・・・声の存在感が凄い・・・バックの演奏を聞くと、古さを感じさせる録音って感じなんですが・・・歌の生々しさと言うか存在感は、全く古さを感じさせない・・・

【カートリッジは225A?】   
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 【ユニークな駆動方式】
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回転速度を、上部のレバーで切り替えると、下のモーターのところのコックドベルトを切り替える仕組みになっているのだそうです・・・

それはそうと、σ(^^)私には・・・ステレオでも、モノラルでも、立っても、座っても・・・目の前あたりに声の主がいるようななり方が、不思議で・・・

アクースタットのコンデンサーSPの鳴り方に、何か、パネルの位相を変えているとか、仕組みがあるのか?と伺ってみたんですが・・・上下3枚ずつのパネルを、フルレンジとして、同一位相で鳴らしているのだそうで・・・なお更、不思議な鳴り方だなあと・・・トーンゾイレのSPみたいなものかなあ?

っと、今度は、先程の大さんが持参されたレコードをかけてみましょう・・・後で、クリーニングもやってみましょうと・・・

送り出しを再びEMTに戻して、かけられたレコードは・・・オスカーピーターソン?

ここまで聞かせていただいたレコードは、ほとんどスクラッチノイズがしなかったんですが・・・こちらは、結構スクラッチノイズが聞こえます・・・

古い録音らしい、中域中心の暖かなサウンドで、柔らかなピアノの演奏に、とっても心地良く響くクラリネット・・・ブラシもベースも控えめにリズムを刻んでいる・・・とても軽快に楽しい演奏・・・

っと、それじゃあ、ちょっとクリーニングをやってみましょうと・・・

【クリーニングを】
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まずは、TKさんオリジナルの洗浄剤にオリジナルのブラシを使って、粗洗いで、溝の汚れを浮かして・・・別の液で別のブラシで表面の汚れを濯ぐ・・・で、洗った液をバキュームで吸い取る・・・

ざっと、片面のクリーニングを見せていただいて・・・この間、ほんの5分程度・・・

まだ、充分乾いていませんが、ちょっと再生をと、再び再生・・・

おおお!・・・凄い!全く別のレコードを聴いているみたい!(@@

スクラッチノイズは、少し残っていますが、冒頭のピアノの音が・・・クリーニング前は、音が丸く、酷く曇った感じだったのが明らかに・・・ホントに、同じ曲か?と疑うほどに抜けのよい軽やかなサウンドに、大変身!・・・ピアノの打鍵の瞬間の音が非常にクッキリ・・・クラリネットも数倍、演奏に力と抑揚がついてクリアに抜けのよい感じに・・・

いやいや・・・これほどまでに変わるもんですか!(@@

っと、次にかけられたのは・・・西田佐知子の女の意地・・・

は〜!・・・冒頭のサックスがドッと飛んでくる・・・っと、ボーカルの何と存在感のある歌声!

「ことば」が「詩」として、はっきりと迫ってくる!・・・

間奏のギターも、音にもの凄いエネルギー感が・・・ああ、でも、やっぱりサックスの存在感が強烈に印象に残ります・・・(^^;

こんどは、クラシックをと言うことで、ジネットヌヴーでショパンノクターンを・・・

【ジネットヌヴーでショパンノクターンを】


ああ、なんて物悲しく切ない演奏!・・・セピア色の雰囲気ではあるんですが・・・なんと言うか・・・あっという間にバイオリンの調べに、気持ちが引き込まれ、思わず胸が熱くなる・・・気がつくと、手のひらをギュッと握り締めていた・・・

う〜ん・・・じわっと来るショック・・・自分は普段、何を聴いているの?・・・

音じゃなく、音楽って、こう言う事・・・っと、今日は、ここで時間切れ・・・

ってわけで、つづきは明日・・・いつものごとく、余り期待せずに、お楽しみに!

デハ ^^)/~

コメント

やっぱり出ましたか。

西田佐知子がやっぱり出ましたか。TKさんのお宅は以前に訪問させていただきました。システムは若干違っていますが、「オーディオの極道」いや「オーディオ道の極み」といった印象でした。通常のオーディオが安物のTVドラマか、映画とすれば、TKさんのオーディオは、歌舞伎か京劇といった印象で伝統の重み、文化の香りがします。この道にはまりかけているのが、年は若いが大さんでしょう。
[2011/08/04 11:47]


酒仙坊さん、コメントありがとうございますm(_ _)m
現代オーディオとは一線を画す、全く別の音楽再生という感じで・・・
この曲、この演奏の、ここを聴かずして・・・と言った感じで、σ(^^)私の感覚では、究極のクローズアップサウンドの方向ってことになる気がします・・・このサウンドに嵌ったら、もう他は・・・(^^;
ただ、ふと思ったのは、このオーディオ再生を堪能するには、この音に合うソースも充分持っていればこそなのかなと・・・

[2011/08/04 12:32]


忘れてはならないのは
ものの価値です。
オイロッパ系のシステムは
現代のハイエンドスピーカーと
比較して特性で劣るものは
ありません。かかっているコストは
とんでもないものです。
国の威信をかけたものですから
オーディオメーカーが営利目的
で開発するものとは
かかるコストも桁が違います。

凝縮した音のものだと片付けるのは
せっかくの経験がもったいない。
レンジの不足感があるならツイータを
加える方法がありますが、
音楽の本質に気づくべきです。
[2011/08/06 02:36]


スタジオマンさん、コメントありがとうございます。
レスが遅くなってスミマセンm(_ _)m
このSPの素性を全く知らないもので、特性やその実力については、分かりませんが、聞かせていただいた音楽に、強く引き寄せられたのは確かです。
仰る通り、現代録音のソースを再生すれば、その実力を知ることが出来たのかも知れませんね。
ソースや駆動系も近い世代のもので聞かせていただいたわけですが、その中に時折聞き取れる微細で繊細な音と澄んだ音色が、その片鱗だったのかもと思っています。
それとは別に、気持ちが強く惹きつけられたのは、演奏そのもののパワーが大きいとは思うのですが、それをキチンと伝えられるシステムだったからだと思うのですが、それが、一体どういう部分なんだろうと言う興味が強く湧いてきます。
そういう部分をしっかり受け取れる感性と、キチンと再生できるオーディオ的ノウハウを身に付けたいなと思います・・・道のりは長く、険しそうですが・・・(^^;
[2011/08/07 09:51]


極道

一言で極道だと思います。
料理でも、お酒でも
極めていくとそうなっていくと
思います。知れば知るほど、
いい物を見れば見るほど
深みにはまっていく。
結局はその人の情念にかかわる
こと。

Mt.T2さんがいったい自分は
なにを求めているのかに
早く気づかれて、枝葉の部分を
調整するのでなく、自分自身を
見つけられることを期待します。
高額なヴィンテージを使わなくて
ご使用中の機器で、ヴィンテージが
持つ本質を出すことは可能です。
ただし物理的な差を縮めることは
必要です。いくら数百万する現代の
ハイエンドスピーカーでも
オイロダインのドライバーの
振動板のエネルギーには負けます。
物量というのはやはり必要です。
でも他の方法である程度は
カバーできるのです。

インシュレーターや、ケーブルなどで
後からつじつまを合わせるより
つじつまを合わせる必要のない方法を
探してください。
[2011/08/08 10:54]


スタジオマンさん、コメントありがとうございます。

> Mt.T2さんがいったい自分は
> なにを求めているのかに
> 早く気づかれて、枝葉の部分を
> 調整するのでなく、自分自身を
> 見つけられることを期待します。

訪問時のおさらいを、最後までわりましたが、まだσ(^^)私には・・・
中域の重要性とモノラルのエネルギーなんて辺りを、今後、自分のシステムにどのように反映させるのかを考えていこうかとは思っておりますが・・・

ちょっと、道を極めると言うところを目指すつもりはなくて(^^;
最後に振り返った時に、自分なりにやり切った充実感が得られれば嬉しいですね・・・

> 高額なヴィンテージを使わなくて
> ご使用中の機器で、ヴィンテージが
> 持つ本質を出すことは可能です。

これには興味津々です!・・・が、その前に、本質を知ることが先ですが(^^;

> ただし物理的な差を縮めることは
> 必要です。いくら数百万する現代の
> ハイエンドスピーカーでも
> オイロダインのドライバーの
> 振動板のエネルギーには負けます。
> 物量というのはやはり必要です。
> でも他の方法である程度は
> カバーできるのです。

この辺りが、ノウハウとして身に付けられればと、憧れます!(^^;

> インシュレーターや、ケーブルなどで
> 後からつじつまを合わせるより
> つじつまを合わせる必要のない方法を
> 探してください。

う〜ん、経験として、今のσ(^^)私には、これも必要なんだと思っているのですが・・・
やっぱり、道のりは長そうですね・・・
[2011/08/09 17:57]

https://mtt2.blog.fc2.com/blog-entry-1146.html

▲△▽▼

【1094】110703 TK邸訪問(その4):これがオイロッパジュニア?・・・(^^; [2011/08/0507:00]
https://mtt2.blog.fc2.com/blog-entry-1147.html


さてさて、じわじわ感じ始めた焦り・・・自分は今まで、何を聴いてきたのか・・・って、過去、何度かこのパターンになったことがあるんですよね・・・(^^;

良い音って何?・・・

元々は、映画や音楽を鑑賞して、ハッとしたり、グッと来て感動したくて、そんな体験が、少しでも多く出来ないか?ってのが始まりだったような気がするものの・・・

それが、いつの間にか、機器やアクセサリーを変えた時の音の変化に一喜一憂して・・・結局、何がなんだか分からないまま・・・

でも、そんな事とは、全く関係無しに、聞かせていただいた曲は・・・こんなにエネルギッシュに、ストレートに、その歌や演奏の思いや熱気をぶつけてくる・・・音楽って、こんなに楽しく、凄いものなんだよって・・・

そんな思いが、徐々に体中に染み込んできた頃・・・TKさんから、Mt.T2さんはどんな曲が?とリクエストを求められたんですが・・・このジワジワ来るショックのため、半ば放心状態の頭には、全く何も思い浮かばない・・・慌てて、何でも聞きますのでと答えるのが精一杯・・・(汗

と、それじゃあ今度はポピュラーを・・・そうだ、オーディオ的にポピュラーなこれを、さわりの部分だけと・・・かけられた曲は・・・ドナルドフェイゲンのナイトフライ・・・

【ドナルドフェイゲンのザ・ナイトフライから】
1094-01ドナルドフェイゲンのナイトフライ.jpg

あっ!・・・こう言うことなんだ・・・・

レンジも広く、抜けがよく、非常にタイトに、極めて歯切れの良い、シャープにリズミカルにカッコいいサウンド!・・・フュージョンらしいサウンド・・・そう、これはそのまま、そういう風に鳴るわけなんですよね・・・

膜のSPなので、微細な音は得意で、アタックの時の立ち上がりが早く、シャープで、ドラムの制動も素早くドスッと・・・量感、重量感と引き換えに、素晴らしいトランジェント・・・なんて感想が、直ぐに頭に浮かんでくるわけです・・・

こうじゃないんですよね・・・ここまでに聞かせていただいた曲は、何か、頭に、気持ちに、ガツンって来るんですよね・・・

何てσ(^^)私の思いはともかく・・・この時、話題は、先のクリーニング前後の音の変化を聞くと・・・ひょっとすると、レコードを掃除すれば、勿論全部とは行かないものの、半分位は、このサウンドに近付けるんじゃないかって、思ってしまう・・・なんて話題で大ウケ!大盛り上がり・・・(^^;

更に、Gシェルで、こんなにトランジェントが良いのは凄いってコメントがあり・・・実は、ここにもTKさんならではのチューニングが施されているとのことで・・・一同、感心して納得・・・(^^;

さてさて・・・次は、更なる驚きの体験へ・・・

TKさんは、片チャンネルのアンプの調子が悪いので・・・それに、最近鳴らしていないので、寝起きの音しかでませんからちょっと・・・って感じだったんですが・・・

是非にと、お願いして聞かせていただきました・・・(^^;

まず、送出しは・・・ウエスタンのプレーヤー・・・あれれ?ここではまだ使われてなかったかな?・・・この後のもう一つの再生系の時に使われたのかも?・・・もう記憶になくって・・・m(_ _)m
⇒やはり、このプレーヤーは、SP専用で、この後のもう一つの再生系の時に聞かせていただいととのこでしたm(_ _)m

【ウエスタンのプレーヤー】
https://blog-imgs-32-origin.fc2.com/m/t/t/mtt2/20110805062338d98.jpg


これは、演奏前なので、ターンテーブルの上にカバーが乗ってますが、演奏時には、このかバーがどけられ、綺麗なターンテーブルシートが姿を現しました・・・

おそらく、ご存知の方々には、珍しいものなのだろうと思うのですが・・・無知ゆえ、こんな、コメントしかかけないんです・・・スミマセンm(_ _)m

でもって・・・今度の主役はこちら・・・

【オイロッパジュニア】
https://blog-imgs-32-origin.fc2.com/m/t/t/mtt2/201108050623370fc.jpg


えっと、こちらも、全く、知識がなくて・・・オイロダインという名前を聞いたことがあるだけで・・・その小型バージョンなのだろうとは思うのですが・・・オイロッパジュニアというSPだそうです・・・ これは、全く逆で、クラングフィルムオイローパジュニアはクラングフィルムオイロダインより前のモデル(オイローパジュニアの小型版がオイロダイン)だとのことでしたm(_ _)m

励磁型のSPだそうで・・・要は、今のSPユニットの後のマグネットの部分が、電磁石になっているってことですよね?(^^;

なので、このユニット・・・通常は上のホーンのドライバと下のウーファーの2つ、左右では計4つの励磁電源が要るのだそうで・・・本来はそれぞれ別々に電源を当てておられるそうですが・・・この時は、1組が貸し出し中とのことで、左右、各1台の電源で・・・

で、このSPを駆動するアンプは?・・・多分、ウエスタンのプレーヤーの右にあった黒い大きな2つの箱がそうなんでしょうが・・・画像撮るのを忘れました・・・多分、ウエスタンのアンプだったような・・・スミマセンm(_ _)m このパワーアンプは、同じくクラングフィルム製のKL401dと言うアンプだとのことでしたm(_ _)m

ってわけで、不調ながらに、無理を行って聞かせていただいた・・・っと、ここで時間切れm(_ _)m

ってわけで、つづきは明日・・・いつものごとく、余り期待せずに、お楽しみに!

デハ ^^)/~

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▲△▽▼

TK邸訪問(その5):驚きのオイロッパジュニアのサウンド・・・(^^; [2011/08/06 07:00]
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えっと・・・月末月初の輻輳状態のために、帰宅が遅くって・・・おさらいの進みが悪い上、今回聞かせていただいた機器について、全くと言って良いほど知識がないということもあって、記憶が乏しくて・・・どの機器が、どの系統の時に使われてたのかがさっぱり・・・(^^;

そんなわけで、昨日のお話しで、ウエスターンのプレーヤーをご紹介しましたが・・・あれは、まだ、この後の再生系で登場したということが判明し増した・・・(^^;

で、多分、この時の送り出しは、EMTだったと思われます・・・m(_ _)m

ま、それはともかく・・・この珍しい、励磁型のSP、オイロッパジュニアのお話に・・・

っと言うのも、送り出しがどうこうと言う事はどうでも良くなる、驚きの体験だったからです・・・


【オイロッパジュニアを】
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片チャンネルのアンプの調子が悪く、最近ならされていなかったとのことで、寝起きの音しかしないのでと、乗り気でないTKさんに、是非にとお願いしたわけですが・・・

その準備に少しかかって・・・やはり、片チャンネルからは、プチ、ジリジリ、ギャーと、時折ノイズが出ますが、一応、両チャンネルとも鳴ることが確認でき・・・

いよいよ、このオイロッパジュニアを聞かせていただいたわけで・・・


【ベートーベンの第九】


おかけいただいたのは・・・フルトヴェングラー:バイロイト第九第4楽章の前半を・・・

おお、おおお!・・・ガ〜ン!!・・・やっぱり来ました!(@@;

レコードに針を下ろされた瞬間は、溝をトレースする音も盛大に、ゴ〜ッと・・・冒頭、太鼓や管、弦の音からは、古い録音なりのナローなサウンドが・・・

ところが、すぐさま太鼓のパンッと飛んでくる音に、緊張と熱気の塊のような管と弦・・・深々と地面ごと救い上げて押し寄せてくるようなコントラバスの低い音色・・・

そのダイナミックなコントラストに、ノイズやレンジのことなど、一瞬にしてどこかへ・・・グングン、ドラマチックな演奏の波に飲み込まれ、溺れて行く・・・息継ぎをどこでして良いのかさえ分からなくなるほどに・・・

っと、演奏の隙間に聞こえた、会場の咳払い・・・鳥肌!!!

その咳払いの周辺の音の澄み方に、驚きの感覚!・・・ノイズ交じりの音の向こうに、澄んだ巨大なホールの空間が広がったような気がして・・・

と、その巨大なホールの空間・・・地の底を思わせる低く太い弦の音色が、お馴染みのメロディーに・・・相変わらず、目の前の世界では、プチパチとノイズが聞こえているんですが・・・オイロッパの向こうに見える巨大なホールの空間には・・・バイオリンが優しく澄んだ空間にたなびいていく・・・次第に金管も交えた壮大な演奏に・・・

っと、スリル満点のジェットコースターの頂上に止まったかと思った瞬間・・・男声の歌が正面から搾り出されるように飛び出してくる・・・なだらかなうねりから、コーラスが入って、再び静かに盛り上がり始め・・・女声が伴ってグングン高みへ・・・コーラスと共にずっと登り詰める・・・

プチパチのノイズだけの空間に戻って・・・思わず、口から出たのは・・・う〜ん、素晴らしい!

アンプ不調のノイズや寝起きの音?・・・レンジが狭くナローな音・・・そんなの全く関係ない!・・・意識は、あっという間に、向こうの空間に入り込んだかのように、演奏を全身で感じ、受け止めようと集中し、手前の空間が消え去っていた・・・

ふと気がつくと手前の世界に戻りって・・・いやいや、凄い!いや〜参りました!・・・って状態に

正に、現代オーディオとは、全く異なる次元の音世界・・・

素晴らしい演奏のソースがあって、大切な部分だけは確実に伝える力のあるシステムがあればこその、とびっきりの感覚を体験させていただきました!・・・

っと、次にかけられたのは・・・園マリで夢は夜開く・・・

どっひぇ〜!(^^;・・・ギターの伴奏にベースが下支え・・・録音が新しいからか、中高域が先程とはガラッと雰囲気が違う・・・ああ、中高域の見通し?透明感?・・・ボーカルが、熱く目の前で歌いだした・・・ことばを大切に語るように歌う・・・詩の重みがずっしりと・・・

何とも実体感のある演奏・・・音の密度が桁違いに高い気がする・・・でも、何より、曲のイメージの伝わり方が違う気が・・・

耳から脳へ、なんて無粋なイメージでなくて・・・直接、胸が熱くなるような・・・

それこそ、胸ぐら掴まれ、これが分からんのか!って、凄まれているみたいな・・・(^^;

っと、お次は、再びクラシックで・・・ありゃ、残念、夜が開ける・・・今日はこれで時間切れ・・・

ってわけで、つづきは明日・・・いつものごとく、余り期待せずに、お楽しみに!

デハ ^^)/~

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▲△▽▼

TK邸訪問(その6):オイロッパジュニアで次々と・・・(^^; [2011/08/07 07:00]
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突然、胸元をグッとつかまれたように、驚きつつも、身動きできなくなるような、迫ってくるサウンドを聞かせてくれたオイロッパジュニア・・・アンプの不調から、最近、聞かれていなかったので、寝起きの音だからと・・・いやあ、とてもそんな風には・・・いきなり気持ちを鷲掴み状態ですから(^^;

で、お次は、モノラル盤で、奥行きが良く出るんですと・・・


【こちらがモノラル用のアーム】
https://blog-imgs-32-origin.fc2.com/m/t/t/mtt2/20110807064721f10.jpg


バーンスタイン:ウエストサイドストーリーをかけていただいた・・・

ほー!今度は、随分レンジが広がった感じが・・・録音が新しいんでしょうか?・・・

クラリネットやドラムやホーンセクションが・・・指パッチンが綺麗に響く・・・それぞれの楽器が個々に自分のパートをキチンと聞かせ、とってもカッコいいサウンド・・・だったんですが、ちょっと高域がキツイので、そこそこで中断・・・

こっちをかけましょうと、シュタルケルのコダーイ無伴奏チェロソナタ第1楽章を・・・

【シュタルケルのコダーイ】


チェロの中高域あたりが、ちょっと切ない感じに聞こえて・・・中低域の深い表現と交互に・・・それにしても何て滑らかで澄んだ響なんでしょう!

深い悲しみのシーンから心が入り乱れ葛藤するようなシーンへと・・・怒り?はたまたやるせない悲しみに?・・・という感じに、次から次へと思い浮かぶ情景が変わって行く・・・

しかし、その澄んだ深い響と悲しく切ない中域の綺麗な響、やるせない悲しみのように澄んだ中高域の響と・・・目まぐるしく変わるイメージを簡単に思い浮かべられるような熱く鬼気迫る演奏・・・

いやあ、良かったです!素晴らしく引き込まれる演奏ですね・・・

お次は、フルトヴェングラー:ワーグナータンホイザー序曲を・・・

【フルトヴェングラー:ワーグナータンホイザー序曲】


豊かなホルンの調べから、静かにドラマチックな弦の盛り上がり・・・ホーンと太鼓が加わって壮大な雰囲気に・・・バイオリンが不安で悲しげな雰囲気に・・・また穏やかなホーンの調べ・・・バイオリンの明るい音色でシーンが変わり目くるめく世界に・・・やがて再び勇壮なシーンへ・・・って感じに

この曲も疎くて、どんな曲なのか良く分かりませんが、映画を見ているように、情景が次第に変わっていく感じで、ついつい引き込まれていきました・・・

次は、フルトヴェングラー指揮ミュンヒメニューイン(Vn)でベートーベンのバイオリンコンチェルト・・・

【メニューインのバイオリンコンチェルト】

穏やかな弦の調べから繊細で綺麗な音色のバイオリンがクラリネットと交互に・・・バイオリンの繊細に澄んで滑らかに伸びる中高域が何とも心地良いく・・・何か、このどことなく儚いようなバイオリンの音色に、気持ちが吸い寄せられるような感じが・・・

う〜ん、なんなんでしょう?・・・何を聴いても、直ぐに引き込まれてしまいますね・・・

っと、ここまででオイロッパジュニアでの演奏は終了・・・

で、再びお茶タイムに・・・同時に、TKさんは次の準備を・・・

【ロンドンウェスターンSP(2080A+2090A)】
https://blog-imgs-32-origin.fc2.com/m/t/t/mtt2/2011080706471980d.jpg


お次はこちらのスピーカー・・・ロンドンウェスターンのSP(2080A+2090A)だそうです・・・

さて、一体どんな演奏を聞かせてくれるのか?・・・

おっと、外が明るくなってきた・・・なので、今日はここで時間切れ・・・

毎度、こま切れですみませんm(_ _)m・・・なかなかおさらいが進まないもので・・・(^^;

ってわけで、つづきは明日・・・いつものごとく、余り期待せずに、お楽しみに!

デハ ^^)/~

https://mtt2.blog.fc2.com/blog-entry-1149.html


http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1074.html#c17

[近代史3] ブリティッシュサウンドとは HMV蓄音機とロンドンウェスタンの音の事 中川隆
10. 中川隆[-11631] koaQ7Jey 2020年8月27日 11:08:43 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[31]
ロンドン・ウエスタンの世界
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1074.html
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/477.html#c10
[リバイバル3] ロンドン・ウエスタンの世界 中川隆
18. 2020年8月27日 11:09:25 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[32]
真空管アンプと喜多さんの音響道中膝栗毛 伊藤喜多男 Western electric 禁断のKRELL
シーメンスのオイロダインとロンドン・ウエスターンの5010型システム
https://ameblo.jp/507576/entry-12562178616.html
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1074.html#c18
[近代史3] 昔のテレビ・ドラマは面白かった _ 安達祐実 ・内藤剛志 家なき子 (日本テレビ 1994年) 中川隆
13. 中川隆[-11630] koaQ7Jey 2020年8月27日 12:29:23 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[33]
家なき子 (日本テレビ 1994年) は中高生向けドラマだね

大人が見てもアホらしいだけ
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/1004.html#c13

[近代史3] 昔のテレビ・ドラマは面白かった _ 安達祐実 ・堂本光一 家なき子2 (日本テレビ 1995年) 中川隆
8. 2020年8月27日 13:22:55 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[34]
家なき子2 9話



http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/1006.html#c8
[近代史3] 昔のテレビ・ドラマは面白かった _ 安達祐実 ・堂本光一 家なき子2 (日本テレビ 1995年) 中川隆
9. 中川隆[-11629] koaQ7Jey 2020年8月27日 13:30:22 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[35]

家なき子2 9話 360p




家なき子2 10話 360p



http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/1006.html#c9
[番外地8] DNA解析したアイヌ人は全員純血なんだよ 中川隆
1. 中川隆[-11628] koaQ7Jey 2020年8月27日 14:22:21 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[36]
狩猟民の時代のアイヌ人は産児制限をしていたんだよ
昔は人口が増えなかった、明治以降は日本人との混血で人口が激増した
しかし、DNA解析したアイヌ人は全員純血なんだよ:

遺伝子調査
近年の遺伝子調査では、アイヌとDNA的にもっとも近いのは琉球人で、次いで和人/本土日本人であり、本土日本人とアイヌ人の共通性は約30%程である。


他の30人類集団のデータとあわせて比較しても、日本列島人(アイヌ、琉球人、和人)の特異性が示された。これは、現在の東アジア大陸部の主要な集団とは異なる遺伝的構成、おそらく縄文人の系統を日本列島人が濃淡はあるものの受け継いできたことを示している。

アイヌ集団にはニヴフなど和人以外の集団との遺伝子交流も認められ、これら複数の交流がアイヌ集団の遺伝的特異性をもたらしたとされる。

アイヌにはATLのレトロウイルス(HTLV-1)が日本列島内でも高頻度で観察される事から、縄文人の血が濃く残っていると考えられる。

アイヌ人の父系系譜を示すY染色体ハプログループの構成比については、日本列島固有のハプログループ D1a2a が 87.5%(うちD1a2a*が13/16=81.25%、D1a2a1aが1/6=6.25%)と大半を占める。

ハプログループ D1a2aは日本列島以外ではほぼ確認されず、縄文人特有の系統であったと考えられている。これは琉球人で50%弱、本土日本人で30%ほどであるため、アイヌ人は現代日本人の中では縄文人の遺伝子を最も色濃く引き継いでいると言える。

他に北方シベリアから樺太を経て南下してきたと考えられる C2 が2/16=12.5%と報告されている。
______

現代日本人のYHg-Dのうち多数派はYHg-D1a2a1(旧D1b1)ですが、これまで「縄文人」で詳細に確認されていたのは現代日本人では少数派のYHg- D1a2a2(旧D1b2)のみでした。これまで、「縄文人」ではYHg-D1a2a1が確認されておらず、YHg- D1a2a2のみだった
https://sicambre.at.webry.info/202004/article_41.html

アイヌ人の父系系譜を示すY染色体ハプログループの構成比については、日本列島固有のハプログループ D1a2a が 87.5%(うちD1a2a*が13/16=81.25%、D1a2a1aが1/6=6.25%)と大半を占める。

現代日本人のYHg-Dの多数派は YHg-D1a2a1 なので、アイヌ人で日本人と混血しているのは僅か 6.25%
http://www.asyura2.com/20/ban8/msg/286.html#c1

[近代史3] 昔のテレビ・ドラマは面白かった _ 安達祐実 ・堂本光一 家なき子2 (日本テレビ 1995年) 中川隆
10. 中川隆[-11627] koaQ7Jey 2020年8月27日 14:37:29 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[37]
これは苛め問題を正面から取り上げた児童文学なんだ

http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/1006.html#c10
[近代史3] 昔のテレビ・ドラマは面白かった _ 安達祐実 ・堂本光一 家なき子2 (日本テレビ 1995年) 中川隆
11. 2020年8月27日 16:45:14 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[38]
家なき子2 11話



http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/1006.html#c11
[近代史3] 昔のテレビ・ドラマは面白かった _ 安達祐実 ・堂本光一 家なき子2 (日本テレビ 1995年) 中川隆
12. 2020年8月27日 18:35:54 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[39]
家なき子2 12話 360p



http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/1006.html#c12
[番外地8] 最新の縄文人ゲノム解析で、本州縄文人はアイヌのクラスターに含まれた 中川隆
1. 中川隆[-11626] koaQ7Jey 2020年8月27日 20:24:05 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[40]
最新の縄文人ゲノム解析で、本州縄文人はアイヌのクラスターに含まれた。この結果は北海道縄文人の全ゲノム解析と一致し、アイヌ民族が日本列島の住人として最も古い系統であると同時に東ユーラシア人の創始集団の直接の子孫の1つであることを示している。

2020/08/25
縄文人ゲノム解析から見えてきた東ユーラシアの人類史
覚張 隆史(金沢大学人間社会研究域附属 国際文化資源学研究センター 助教)
太田 博樹(生物科学専攻 教授)
古くから縄文遺跡として知られる伊川津貝塚遺跡から出土した女性人骨(図1)の全ゲノム・ドラフト配列を詳細に解析し、縄文人骨(IK002)のゲノムは、東ユーラシアのルーツともいえる古い系統であり、南ルートに属し、北ルートの影響をほとんど受けていないことを明らかにした。


アフリカ大陸からユーラシア大陸の東端までのホモ・サピエンスの拡散は、後期旧石器時代に相当する。石器など考古遺物はヒマラヤ山脈以北および以南どちらからも見つかるので、拡散の経路として北と南の2つのルートがあったはずだ。近年劇的に蓄積されている人類集団ゲノム情報を解析すると、現在ユーラシア大陸の東側に住んでいる人々は、南ルートで来たことを示す。

IK002の系統は東ユーラシア人(東アジア人、北東アジア人)の“根”に位置するほど非常に古く、東ユーラシア人の創始集団の直接の子孫の1つであった。そして、IK002は日本列島にたどりついた最初のホモ・サピエンスの直接の子孫である可能性が高いことが判明した。

また、先行研究(Jinam et al. 2012)で発表された北海道アイヌの人々のデータなど日本列島周辺の人類集団との関係を分析したところ、本州縄文人であるIK002は、アイヌのクラスターに含まれた。この結果は北海道縄文人の全ゲノム解析(Kanzawa-Kiriyama et al. 2019)と一致し、アイヌ民族が日本列島の住人として最も古い系統であると同時に東ユーラシア人の創始集団の直接の子孫の1つである可能性が高いことを示している。

図2:東アジア人類集団の形成史をモデル化した図
http://www.asyura2.com/20/ban8/msg/282.html#c1

[近代史3] 昔のテレビ・ドラマは面白かった _ 安達祐実 ・堂本光一 家なき子2 (日本テレビ 1995年) 中川隆
13. 2020年8月27日 20:49:27 : 84g9nuhfWg : cVpXQXpGOS9odDY=[41]
家なき子2 13話



http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/1006.html#c13

   

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