117. 中川隆[-8175] koaQ7Jey 2024年12月18日 07:24:31 : HIhM1qZm26 : ay9LcnM3YXl3dVU=[1]
2024.12.18
https://www.thutmosev.com/archives/37878.html
シリアの新たな指導者ジャウラニ
https://www.boersen-zeitung.de/thema/muhammad-al-jawlani
シリアの独裁政権が倒されたが
24年12月7日頃に30年間続いたシリアのアサド独裁政権が倒れて反体制派「シャーム解放機構」(HTS、旧ヌスラ戦線)が暫定政府を主導している
ヌスラ戦線の指導者ジャウラニは国際テロ組織アルカイダに忠誠を誓った人物で米国などが国際テロリストに指定、最近が穏健派になったと主張している
この手の人は権力を握ると国際社会に認めてもらうために「穏健派」を演じるが、一旦世界から認められたら独裁者の本性を現す
中華人民共和国の毛沢東がそんな人で国共内戦に勝って大陸を統一すると、国際社会に認められるために温厚な人物を演じたが実際には自国民3000万人を虐さつしていた
あのアドルフヒトラーもそうでベルリン五輪の時は「穏健な人物」をアピールしていたが、その裏でユダヤ人弾圧の準備を着々と進めていた
シリアの新しい指導者になったジャウラニはシリア人の父が石油関連の技術者として赴任していたサウジアラビアで1982年に生まれた
2000年代初頭の対イスラエル民衆蜂起に感化され、イラク戦争開始後はイラクに渡ってアルカイダ戦闘員となり、米軍に5年間拘束された
11年にシリア内戦が始まるとアルカイダの支援を受けヌスラ戦線設立に関与、16年にアルカイダとの絶縁を宣言したが今も米国からテロ組織指定を受けている
ジャウラニは首都ダマスカスを制圧した8日頃から、アル・カーイダ加入後に使っていた「アブムハンマド・ジャウラニ」から本名のアフマド・アッシャラアを名乗り始めた
2016年にアルカイダと絶縁してから軍服での露出が少なくなり、欧米のインタビューに応じて穏健派をアピールするようになった
シリアは様々な勢力が入り乱れ、分離独立を目指す同国のクルド人勢力とシリアのクルド人勢力が連携しクルド人民兵組織「シリア民主軍」(SDF)とトルコが支援する旧反体制派「シリア国民軍」(SNA)が対立している
「イスラム国」も活動していて米国に協力してイスラム国と戦ったクルド人組織が打撃を受けると、再びイスラム国が勢力を拡大するかも知れない
イスラエルはアサド政権の崩壊にあわせて「国境の安全を確保するため」として、シリアとの係争地「ゴラン高原」の非武装緩衝地帯に軍を展開させている
「シリアの春」は幻に終わるだろう
シリアはアサド政権が倒れたと言ってもジャウラニの新政権が首都を占領して完了というのではなく、国内はロシアの占領地があったり米軍の占領地があったり四分五裂の状態にある
国が外国やテロ組織やイスラム過激派などに細切れ占領されている状態で民主主義は期待できず、強力な独裁政権によってしか統一できないと考えられる
これが中東のアラブ諸国に民主主義国が存在しない理由でアラブに民主選挙をしている国は一カ国もなく、どれも怪しい「王」や独裁者やカルト教団が支配している
民主主義は段階を経ないと機能しないものだがアラブ諸国はその段階に達しておらず、独裁やカルト教団や武装勢力が国民を押さえつける形でしか人々を統治できません
今回のアサド政権崩壊につながったとされているのは2011年にアラブ世界で発生した民主化運動の「アラブの春」だが運動自体は”いつものように”簡単に鎮圧されました
2010年12月のチュニジアで最初に民主化運動が起きてベン・アリ大統領が辞任に追い込まれ「ジャスミン革命」と呼ばれました
チュニジアでの民主化運動の成功は、アラブ各国の民衆に広がり、エジプト、リビア、イエメンなどの独裁政権が倒れました
民主化後のアラブ各国では部族対立や宗教対立が激化し治安が悪化、イスラム過激派の勢力拡大を許してしまうという状況が出現した
ここに「アラブの矛盾」があってアラブは混乱した世界なので独裁者の強力な権力でなくては統治できないのに、民主化されると政府が弱くなってイスラム国やアルカイダのようなのが復活しやすいのです
2012年に入ると政権の打倒が実現した国でも国内の対立や衝突が起きるなど民主化に綻びが見られ始めた
シリアではアサド政権側の政府軍と反体制組織に加え、外国勢力の介入やISILの台頭などによる泥沼の内戦状態に突入した
リビアとイエメンではこれまで続いてきた抗議運動の高まりにより政権を打倒したものの、その後国内が分裂しリビア内戦やイエメン内戦を招いた
結局のところアラブの春は失敗に終わり22年から24年にかけてもイランで民主化運動があったが鎮圧され、サウジアラビアでも民主化は鎮圧された
シリアの政権交代による「シリアの春」も結局は新しい独裁者を迎えて新たな独裁国家を作る事になるでしょう
https://www.thutmosev.com/archives/37878.html
http://www.asyura2.com/12/lunchbreak52/msg/816.html#c117