1. 中川隆[-14304] koaQ7Jey 2022年1月06日 06:23:37 : bGtd9kpmQw : aXc0Sk9WblpRcjI=[1]
MMT的な視点ではインフレ予測は出来ない
金融緩和・財政出動してから実際にインフレが起きるのは5年ないし10年後になる。
1980年代は1970年代に始まる物価高騰と引き締めのサイクルの後に大幅な利下げと財政出動が行われた時代である。
この期間にドルはどうなったか?
財政出動と利下げはともに1981年頃から行われているのだが、この期間においてドルは大幅に上昇している。1985年からは下落に転じているのだが、緩和とドル安の時期は一致しておらず、ドル安に向かったのは緩和開始から4年が経過した後である。アメリカは莫大な政府債務を負っており、しかも財政赤字も経常収支も増え続けている。アメリカはドルが基軸通貨であったことによってこの状況を維持出来ているが、維持出来てしまっているがためにアメリカの負債は膨れ上がることになった。
アメリカがまだハイパーインフレになっていないのはドルが基軸通貨であるからで、基軸通貨であればドルを買う需要が一定数いつも存在するからである。しかしそれでも限界はある。だから今アメリカではインフレが起こっているのであり、インフレが起こった(つまり貨幣価値が毀損された)にもかかわらずドルの為替レートが長期的に影響を受けないということは有り得ない。ドル円は株価に従って上昇しているが、これは短期的な動きである。
アメリカでは年間6%物価が上がっている。これはドルの価値が実質的に6%落ちたということであり、これはいずれ為替レートに適用される。だがそのタイミングは数年のラグがある。
一方、日本政府の莫大な借金にもかかわらず日本円が暴落しないのは、対外的には負債ではなく資産を持っているからである。
言うまでもなくこの資産は高度経済成長期の産物であり、この対外資産は利子などの形で外貨を稼ぎ、日本の経常収支を押し上げている。
だがこの資産はどんどん使われてゆくだろう。家計の持つ資産の多くは高齢者が持つものであり、その大部分は相続税という形で日本政府が徴収し、日本政府はそのお金を好き勝手に使うだろう。資産保有者の高齢者への偏りを考えれば、日本に経常収支をもたらしていた資産は20年もすればかなり減っているはずだ。
つまり現状では政府債務が膨大でも対外資産があれば日本円はそれほど下落しなかったものが、20年ほどで莫大な政府債務と対外負債をかかえる国になる。
日本円はまだ無事である。しかし政府債務が167%の状態で高度経済成長期の遺産を食い潰したあと日本がどうなるか、MMT論者には考えてほしい。
しかし東京オリンピックとGO TOトラベルにもかかわらず自民党を再選させた日本人には何を言っても無駄だろう。日本国民は殴られても次の日には忘れている民族である。
http://www.asyura2.com/21/ban10/msg/228.html#c1