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新型コロナ禍 11月26日現在の概要 その2(後編)
2020年11月27日
http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-1323.html
児玉龍彦
(24分頃)バイデンがWHO復帰を実現すれば、世界協調で情報を共有して新型コロナ禍に立ち向かう体制ができるが、日本が検査シークエンスも、ゲノム配列も出ていない異常事態というのは、とても恥ずかしいことだ。
「あらゆる犠牲を払ってでもオリンピックを実現する」という政府の方針は、とんでもないことだ。
オリンピックは、人の健康と平和のためという理念がある。オリンピックの意義を損なうようなことを言ってはいけない、やってはいけない。
テレビ会社や電通の都合で、オリンピックをやってはいけない。
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このウイルス病で重症化が起きるのは、ウイルス自体の病毒性で重症化するのとまったく違う。
感染してから16日目くらいに、突然、免疫暴走(サイトカインストーム)で重篤化が起きる。F1が切られて、F2にあるような配列が呈示され、劇症的サイトカインストームが起きることが(最大の)問題。
死亡例のうち、重症例に入っていなかった人が6割を占めている。多くの方が、原因不明で死亡後に初めて新型コロナだったと分かる。
急に悪化して死亡後に検査すると初めて新型コロナだった。これが、もっとも怖いこと。しかも、この死亡例は、最初のクルーズ船のときから現在にいたるまで1〜2%であり、変わっていない。
昨日も東京では4人くらい死亡した。いつも感染早期に軽症者が多いと言われるが、そのうち1〜2%は16日後に重症化して死ぬ可能性がある。
最初にイタリアのベネチア・ベネト州ミラノのロンバルディア州で、病院ばかりを重視したロンバルディアが悪化し、無症状者を検査で抑えたベネト州はロンバルディアの五分の一ですんだ。
金子
大阪では、新型コロナ死者の6割が、重症化の経緯をたどらずに急死している。
児玉
軽症という診断に安心して、自宅で療養しているうちに、突然サイトカインストームが始まり重症化して死に至る。
こういう人は、抗体の産生が中等症の人よりも低い。それなのに、突然ボーンとサイトカインストーム(急性増悪)を発症してしまう。非常に複雑な現象が起きている。
現在、新型コロナの死亡率が漸減している理由は、ステージ別の治療方法が確立してきたことが大きい。
無症状でも、感染が分かれば、すぐにアビガンを服用すれば、ウイルスを早く消失させることができる。
もう少し進めばレムデシビル、サイトカインストーム(急性増悪)が起きたならアクテムラ、それでも悪化するようならエクモ(人工呼吸器)などで対応する。
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ウイルスが軽症化しているのではなく、こうした治療体制が確立されつつあることで、死亡率の低下につながっている。
ワクチンも来年後半から使用可否の目処がつく。だが、「この冬をどう乗り切るのか?」を知るためには、感染が波を描く現象の意味を理解しなければならない。
我々は「悪循環サイクル」と呼んでいるが、夏の間、100名くらいが参加して実証試験を行った……社会的検査の試みを続けているが、そこで分かってきたことは、外国から入ってくるウイルスとか、国内でのエピセンターから比較的少ない数のスプレッダーがわーっと拡散させる。
だから、感染波が起きるたびに、違うタイプのウイルスがわーっと増えてゆく。
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世田谷で見ていると、子供に広がって、学校や保育園で横に拡がり、家庭に持ち帰られて、今度は高齢者が感染する。
それから、介護施設や病院に入って死亡者が増える。自主ケアが始まり、いろいろな対応策がとられる。
なぜか不明だが、ある程度拡大すると、ウイルスが自壊変異を起こすことがあり、感染者が減ってゆくというサイクルを描く。
世田谷区では、このサイクルのどこで止めるかを考え、圧倒的に保育園や介護施設を重視し、これらの社会的検査を、すぐに始めてもらった。
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この社会的検査で、1000名ほど終わった段階で、すでに14名の無症状感染者が確認された。先週末には、介護士さんが10名、無症状感染を起こしていたことが分かった。
誰かスプレッダーがいると、周辺にわっと感染が拡大する。
介護施設にウイルスが入ってしまえば、高齢者が多いことから、すぐに大量死につながる。
これを抑えるには、社会的検査(ローラー作戦)をやるしかない。
世田谷には毎日10名くらいの感染者が入ってくるが、日大八幡山寮では、一度に60名の感染者が出た。
これでは、とうてい追いつかないので、社会的検査の規模を拡大し、2万人の介護士、1万人の教師への検査を行っている。
それでも、どんどん拡大して行く場合は、精密医療のモニタリングを進め、たくさん感染者が出ている場合は、住民全体のローラー作戦が必要になる。
新宿は検査陽性率が十数%、北海道も大阪も。そんな地域と世田谷では対応が異なる。
感染率はまだら状なので、精密なモニタリングを進める必要がある。これ以上感染率が高くなる場合は、住民の全員検査が必要になるだろう。
田村厚相も、介護施設や病院などでは、定期検査をやるといっているが、政府はPCRローラー作戦に予算をつけない。(32分)
やる気は、田村厚相一人だけ。総理大臣も財務大臣もまるで関心がない。
背景には、PCR検査ローラー作戦に意味がないという政府内部の議論がある。
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世田谷区では大学と連携して、PCR検査のプール化(一度にたくさんの検体をまとめて検査する方式)の実証試験を細かく行っている。
プール化に対しては、感度が落ちるという異議があるが、増幅検査なので感度を上げれば同じシグナルを得られる。
サイクル数を増やせない理由は、40サイクルを超えるとバックグランドノイズがあがるため。感度の高い試薬を使えば、サイクル数が増えてもノイズが上がらない。
ノイズが増える原因は、取扱者の人的なばらつきによる。アメリカの検査関係者から、「日本はまだ人力でやってるのか」ということで、世界は大半が自動化の流れになっている。
(おまけに、PCR自動化機器の多くが実は日本製、厚労省がPCRを軽視してきた自分たちを正当化するため、意図的に認可を遅らせている)
さらに業者を選んで、ばらつきがおきないようにできる。検査精度は落ちない。時間は短縮され、検査数は増える。
遅れているのは日本のマスコミだけだ。
PCR検査否定論のような恥ずかしい議論をやめてほしい。
なぜ、田村厚相だけが検査拡大を呼びかけている奇っ怪な現実があるのか?
理由は、政府側に二重の誤謬があるからだ。一つは、厚労省技官が、PCR検査の物理的な量が不足しているといった。
専門家会議は「無症状の人には検査はいらない」と言ってしまった。(発症前の無症状感染者が、感染爆発の主な原因になっているのに)
これを正当化するため、PCR検査拡大に消極的になっている。
これは太平洋戦争で、物理的に敗北しているにもかかわらず「大和魂」を強要し続けた軍人たちの過ちと同じ姿勢。
精密医療の立場からは、点と線と面ということを言いたい。
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政府は「クラスター潰し」路線で、点の汚染だけを考えた。世田谷方式では、感染経路の線の汚染を考えて介護施設や学校で止めることを考えた。ところが、さらに大規模クラスターが出てくるようだと、面で対応するしかない。
7月に国会に呼ばれたとき、新宿区全体の面の検査(ローラー作戦)をやるべきと言ったところ、新宿区は「風評被害」が出るという理由で協力しなかった。
あのときは、菅(官房長官)が「警察を送り込んで繁華街に立入検査」と言ったところ、新宿の水商売従業員が、こぞって全国の繁華街に逃げ出し、エピセンターが日本中にできてしまい、全国的な感染拡大を招いてしまった。
こうなると、感染源になっている地域を面で捉えて検査を拡大しなければならない。
自分は、エピセンターの核心部は、一貫して都心部の繁華街と考えている。
新宿・渋谷・港区のトライアングル、ここからの感染わき出しが、日本全体に影響を及ぼしている。
もう一つは、外国からの流入と日本の県を超えての移動。この二つの問題が大きい。
感染の深刻な地域にはPCRローラー作戦で安全地帯を形成する。
これは武漢でもやったし、シンガポールの外国人街でもやって、相当な制圧に成功している。
スーパースプレッダーを捕捉すれば、交叉免疫のある日本では拡散スピードが遅いため、パンデミック全体の時間稼ぎができる。
そうすれば、外から流れ込んでくる感染を、再び捕捉できるようになる。
金子
東京オリンピックで、海外からの訪問に対する制限を緩めている。抗原検査のような精度の低い検査に置き換えている。これで大丈夫なのか?
児玉
これは、非常にまずい対応だ。PCRを複数回やるのが、入国検疫の鉄則だ。これを厳格に行って、外国からの変異ウイルスをシャットアウトするのが急務だ。
空港検疫でゲノムタイプの解析をやり、どんどん公表することが大切だ。
現在、病院や学校での感染実態を伏せている(隠蔽している)が、これは非常にまずい。院内で感染が起きたとき、すぐに伝えてくれないため、急な発症をした人が非常に困っている。
食中毒を起こしたレストランの名前を公表するのと同じ意味だ。
仲間として、全員が協力するモラルを作ることが大切だ。
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引用以上
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http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1188.html#c1