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2020年06月06日
ムンクの「叫び」が呼吸で色を失いつつあることが判明
https://gigazine.net/news/20200606-humidity-reveal-munch-scream/
ノルウェーの画家であるエドヴァルド・ムンクの「叫び」は、独特のタッチで描かれた人物の顔と血のように赤く染まった夕景が印象的な1枚で、ムンクの代表作として知られています。この名画「叫び」の色彩が少しずつ劣化していると以前から指摘されており、その答えが「呼吸」にあったと最新の研究で判明しました。
「叫び」は1893年から1910年にかけて制作された作品群です。この作品はムンクが見た幻覚を描いたもので、絵の中央に描かれている頬を抑えている男性は、青黒いフィヨルドと血のように赤く染まった空という「自然を貫く果てしない叫び」に対する恐怖に顔をゆがませています。
ノルウェーのムンク美術館には、複数存在する「叫び」のうち、1893年に描かれたパステル画と1910年に描かれたテンペラ画が所蔵されています。テンペラ画の「叫び」が以下。
このテンペラ画の「叫び」は年々色が薄くなっていっていることが以前から指摘されてきました。そこで、ムンク博物館とイタリアの国立研究評議会の共同研究チームが原因を調査したところ、顔料の劣化によってテンペラ画の「叫び」が色彩を失っていたと判明しました。
研究チームによれば、テンペラ画の「叫び」には黄色の顔料として硫化カドミウムを主成分とする顔料が使われていました。しかし、ムンクが使った顔料の一部には、硫化カドミウムの純度が低く質の悪いものも含まれていたとのこと。この質の悪い顔料は湿気に非常に弱く、人の呼吸に含まれるわずかな湿気でも劣化が進む可能性があると研究チームは述べています。つまり、美術館の観客の呼気に含まれる湿気に長年さらされたことで、テンペラ画の「叫び」の顔料は少しずつ劣化していたというわけです。
アントワープ大学の化学者であるコーエン・イアンセン教授は「人が呼吸を行うと湿気が発生し、顔料内に塩化物が発生します。そのため、息がかかるほど観客が絵画に近づきすぎるのはあまりよくありません」とコメントしています。
テンペラ画の「叫び」は2004年にムンク美術館から盗難されたことがありました。そして、2006年にオスロ市内で発見された時、塗られていた黄色の顔料の一部が液体の付着によって剥がれ落ちていたとのこと。この事件もまたテンペラ画の「叫び」の劣化を早めた原因だとみられています。
また、光による劣化の可能性も指摘されていましたが、研究チームは「光による顔料の劣化はほとんどなかった」と報告しています。所蔵するムンク美術館は2020年に改築工事を終えて新装開館する予定であり、研究チームは「テンペラ画の『叫び』は50%よりも低い湿度で管理できる環境で、一般展示から外して管理するべき」と勧めました。
イアンセン教授は、ムンクが質の悪い顔料を使っていたことについて、「ムンクが意図的に質の悪い顔料を使ったのではなく、ムンクの買った顔料の質がたまたま悪かっただけだと思います。1910年時点で、顔料を化学的に生産する工場は存在していましたが、現代と同レベルの品質管理が行われていたわけではありません」という見解を述べています。
https://gigazine.net/news/20200606-humidity-reveal-munch-scream/
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/344.html#c2