4. 母系社会[1242] leqMbo7Qie8 2016年11月08日 13:11:17 : iAykAVt6GY : hRwx5vI4VbM[1]
>>3さん
2008年に、精華大学で教授をしているダニエル・A・ベルと言う人が出した著書「中国の新たな儒教」では、中国共産党の幹部には、既に「儒教社会主義」という用語を使っている人もいて、「マルクス主義」から、「儒教社会主義」に移行することを提唱しているそうです。★
しかも、中国では新左派の論客として有名な清華大の汪暉教授や崔元之教授も、支持しているそうです。実際に、その兆候もあります。というのは、胡錦濤(温家宝)政権は2002年の就任時からスローガンとして「和諧(調和)社会」という言葉を掲げ、成長と公平な分配、人間と自然の調和などを重視することを提唱しましたが、この「和諧社会」(調和社会)の「和諧」とは「大同」とセットを組む儒教の用語だからです。
「和諧社会」とは、儒教の究極の理想社会である「大同社会」が実現する前段階の社会のことです。胡錦濤(温家宝)政権は、沿海部と内陸の格差是正のために西部大開発を展開し、あるいは「三農問題」解決のために農業税の廃止など農民負担軽減策を進めましたが、既に15年も前から、中国共産党では、正式に儒教の用語を使用しているわけです。
更に、胡錦濤国家主席は2005年、「孔子は『調和を追及すべきだ』とおっしゃった」と述べて孔子に対する尊崇の念を表明したそうです。また、2004年から、中国の国策として世界各国の大学などに中国文化の紹介や中国語教育のためとして、2010年の段階で、世界約100ヶ国に、約330校の「孔子学院」と、その分校が約370もあり、日本にも17校もあります。中国はこれを、2020年までに世界中の1000か所に孔子学院と孔子学級を設置しようとしており、奨学金も出すそうです。日本の右翼には、将来はこのが「儒教社会主義」を宣伝する機関になるのではないかと疑う者もいます。
もちろん現代では、古代の儒教思想をそのまま全て肯定するわけにはいきませんが、どうも近代の日本人や中国人は、儒教イコール封建思想と誤解してきたようです。儒教は中国でも日本でも長い間、その時々の政権に都合が良いように解釈され、政権の正当化のために使われてきたようです。
まぁ、ほとんどの宗教・思想は、それぞれの開祖のオリジナルの思想を、その時々の権力者に都合が良いように、意識的・無意識的に「捏造」=「誤解」されてきたわけで、その点ではキリスト教も、仏教もマルクス主義も、全て同じです。
★実は、中国共産党は旧ソ連製の実体主義的=本質主義的で、科学主義的に改変されたマルクス主義(スターリン主義)をマルクス思想と勘違いしているので、中国ではマルクス主義は不人気なのです。
しかし、この勢力は江沢民の指令で、中国の全大学に学部(学院)を保持している強大な勢力ですから、共産党の幹部が儒教社会主義に移行したいと思っても、簡単には移行できないでしょう。
しかし、中国では北京大学や清華大学と同じ国家重点大学に指定されている南京大学には、日本の廣松渉派の関係主義的なマルクス主義派の拠点があり、現在、廣松の著作を中国語で出版する事業をしていて、日本の廣松渉派の学者たちが支援しています。
ですから、将来中国で共産党が主導する民主化が起きれば、中国の左派は、現在の主流派である@科学主義派が主流のマルクス主義派政党、A儒教社会主義派政党、B毛沢東主義派政党、C社会民主主義派、D環境政党などに分裂し、この5つの左派政党が選挙で争うことになるかもしれません。しかし、残念ながら、廣松渉の関係主義的マルクス主義は超難解な思想なので、@の中で科学主義派を圧倒して主流になるには、かなりの時間が掛かるでしょう。
おそらく、共産党が主導する上からの民主化では、台湾の国民党のような右派政党は認められないでしょうが、右派政党も合法となる本格的な民主化が起きるなら、それは第二の中国革命ということですが。