2. 2016年8月08日 14:49:19 : TNTtEeSDnk : _aNc6mYDYoc[1]
天皇陛下 午後3時からお気持ち表明
8月8日 12時04分 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160808/k10010626491000.html?utm_int=news_contents_news-main_001
「生前退位」の意向を宮内庁の関係者に示している天皇陛下は、8日午後3時から、ビデオメッセージでお気持ちを表されます。
天皇陛下は、82歳と高齢となった今も数多くの公務を続ける一方で、「憲法に定められた象徴としての務めを十分に果たせる者が天皇の位にあるべきだ」と考え、天皇の位を数年内に皇太子さまに譲る「生前退位」の意向を宮内庁の関係者に示されています。
天皇陛下は8日午後3時から、ビデオメッセージで象徴としての務めについて述べる形でお気持ちを表し、10分程度にわたり国民に語りかけられます。国政に関与しないという憲法で定められた立場から、「退位」という言葉や直接的な意向の表明を避けられるものと見られますが、関係者は、「ご自身の思いがにじみ出るものになるだろう」と話しています。
天皇陛下が、ビデオメッセージの形で国民に思いを伝えるのは、5年前の東日本大震災でお気持ちを表されたのに続いて2回目になります。
ビデオメッセージの映像は、宮内庁のホームページにも、日本語と英語のお言葉とともに掲載され、天皇陛下は、広く内外にお気持ちを表明されることになります。
宮内庁は、「天皇陛下が国民一人一人にお話をされるのは大変重いことで、皆さんに天皇陛下のお言葉をよく聞いていただきたい」としています。
8日は、天皇陛下のお気持ちが表されたあと、宮内庁の風岡長官が記者会見に臨み、所感やお気持ちの表明の経緯などについて述べることになっています。
天皇陛下は、8日は終日、皇居の中で過ごす予定で、朝は、皇后さまと一緒に、ふだんどおりお住まいの御所の庭を散策されたということです。
昼には、皇后さまとともに、宮内庁長官と侍従長との定例のワーキングランチに臨み、午後からは、公務を務められる予定です。
天皇陛下が、お気持ちを表されることについて、宮内庁の職員の一人は、「先月、天皇陛下の生前退位をめぐる報道があったあとも、本当なのかという思いがあったが、高齢での地方や外国への訪問など、公務のご負担がとても大きいと感じていた。今は、固唾を飲んでお気持ちの表明を待つしかないという心境だ」と話しています。
また、別の宮内庁の職員は、「どのようなお気持ちを表されるかはわからないが、それを受けて、政府が今後の対応について方針を決めれば、職員としてはそれに従うだけだ」と話しています。
「お気持ち しっかり聞きたい」
天皇陛下がお気持ちを表される8日、皇居周辺には観光客など大勢の人が訪れています。
20代の男子大学生は「被災地や海外への訪問など、非常にハードな公務を続けてこられ、大変お忙しかったと思います。お姿を見られる機会が少なくなるかと思うとさみしいですが、まだまだお元気ですので、ゆっくり過ごされてほしいです」と話していました。
50代の会社員の男性は「ご自身の体力と周りことも考えられての、ご判断かと思いますのでお気持ちを尊重したい」と話していました。
また70代の男性は「象徴天皇として親しみやすい存在で、これまで懸命に公務をされてきたと思います。80歳を超え、体力的に負担が増すなか、どのようなお言葉で今のお気持ちを語られるか、しっかり聞きたいです」と話していました。
政府としてコメント控えたい
菅官房長官は、閣議のあとの記者会見で、「午後3時から、天皇陛下の、象徴としてのお務めについてのお気持ちの表明が行われるものと承知している。現時点において、政府としてコメントすることは差し控えたい」と述べました。
これまでの政府の反応 生前退位
天皇陛下が、天皇の位を生前に皇太子さまに譲る「生前退位」の意向を宮内庁の関係者に示されていることが明らかになったのを受けて、安倍総理大臣は、先月14日、「事柄の性格上、コメントすることは差し控えさせていただきたい」と述べました。
また、菅官房長官は、翌15日、政府内で生前退位の検討はしていないという認識を示すとともに、生前退位に向けた有識者会議の創設について、「現時点では考えていない」と述べ、重ねて否定していました。
一方で、閣僚からは、公務の負担の軽減を検討すべきだという発言や、天皇陛下がご意思を表明されていない段階で発言するのは慎むべきだ、などといった指摘が出されました。
こうした中、天皇陛下が、8日、お気持ちを表されることから、政府は、世論の動向を慎重に見極めながら、各界の代表からなる有識者会議を設置するなどして、具体的な対応を検討するものと見られます。
これまでの政府の対応 皇室典範
皇室制度を定めた、今の「皇室典範」は、昭和24年に、当時の「宮内府」(くないふ)の名称を宮内庁に変更することなどを目的に改正されましたが、それ以降、改正されたことはありません。
一方、政府は、小泉政権と野田政権の当時に具体的な検討を進めましたが、いずれも実現しませんでした。このうち、小泉政権当時の平成17年には、小泉総理大臣の私的諮問機関が、女性とその子どもの女系にも皇位の継承を認めることや、女性の皇族が天皇や皇族以外の人と結婚した場合でもそのまま皇族にとどまり、「女性宮家」を創設することなどを盛り込んだ最終報告書を取りまとめました。
小泉総理大臣は、翌年(平成18年)の通常国会で皇室典範の改正を目指しましたが、政府・与党内に慎重論があったほか、秋篠宮ご夫妻の長男の悠仁さまが誕生されたこともあり、改正案の提出は見送られました。
野田政権当時の平成23年には、当時の羽毛田信吾宮内庁長官が、野田総理大臣に対し、女性皇族が結婚で皇室を離れ、皇族の減少につながっている現状の解消が緊急性の高い課題だという認識を伝えました。
これを受けて政府は、改めて、女性皇族が結婚後も皇室にとどまる「女性宮家」を創設することも視野に検討を始めました。そして、翌年(平成24年)に、「女性宮家」の創設を検討すべきだなどとする論点整理を公表しましたが、この年の12月の衆議院選挙で政権が代わり、今の安倍政権が発足したことから、改正案が国会に提出されることはありませんでした。
その後、政府は、総務省や宮内庁、それに、厚生労働省などから関係職員を集めた内閣官房の「皇室典範改正準備室」で検討を進めていて、菅官房長官は、先の記者会見で、皇族の減少には早急に対応する必要があるという認識を示していました。
生前退位 過去の国会答弁
天皇の生前退位は、過去に国会でも議論が行われてきました。
戦後、昭和21年12月、現在の皇室典範の案が審議された帝国議会で、当時の金森徳次郎国務大臣は、皇室典範の案に、天皇の退位に関する規定がない理由について見解を示しました。
この中で、金森大臣は、「天皇おひとりのお考えで、その御位を(みくらい)お動きになることは、おそらくはこの国民の信念と結びつけて調和せざる点があるのではないか」と述べ、退位制度を設けることに否定的な見解を示しました。
また、昭和34年2月の衆議院内閣委員会で、当時の林修三内閣法制局長官は、天皇の退位について、「自発的な御退位の制度というものが果たして天皇の世襲制、天皇の象徴たる地位、あるいは国民の総意にもとづくという国民の信念から見た考え方、そういうところにマッチするであろうかどうか、相当疑問がある」と答弁しました。
平成4年4月の参議院内閣委員会では、当時の宮尾盤宮内庁次長が、退位の制度を設けるうえでの課題などを3点示しました。
具体的には、▽歴史上、退位が認められていた際には「いろいろなことがあった」と指摘したうえで、退位した天皇が上皇や法皇などとなり、弊害が生じるおそれがあること、▽天皇の自由意思に基づかない『退位の強制』が、場合によっては行われる可能性があること、▽天皇の恣意的(しいてき)な退位は、「象徴たる天皇、現在の象徴天皇、こういう立場から考えて、いかがなものであろうかということが考えられる」と述べました。
そして、宮尾氏は、「天皇の地位を安定させることが望ましいという見地から、退位の制度は認めないということにされたと承知している」と述べました。
さらに、平成13年11月、参議院の「共生社会に関する調査会」で、当時の羽毛田信吾宮内庁次長は、今の皇室典範で天皇の退位が認められていない理由について、いろいろな政治的思惑の中で、歴史上見られたような上皇や法皇の存在が弊害を生むおそれがあるなどと、宮尾氏とほぼ同様の説明を行いました。
そのうえで、羽毛田氏は、天皇に心身の疾患や事故がある場合は、「国事行為の臨時代行」や「摂政」の制度があるとして、「現在の段階で退位制度を設けることは考えていない」と述べました。
政府関係者によりますと、退位に関するこうした見解は閣議決定などはされていないものの、戦後、政府内で踏襲されてきたということです。
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