1. 2015年12月18日 09:13:00 : 6FYEW6f2UY : VpNitA1FUIU[1]
発信箱
二つの協定=青野由利
毎日新聞2015年12月18日 東京朝刊
これほどみんなが「よかった」と言っているのを見るとちょっとあまのじゃくな気分になる。温暖化防止の「パリ協定」だ。
もちろん、「全員参加」による温室効果ガス削減の合意も、気候安定のための長期目標も画期的。でも、この間まで対立していた先進国も途上国も、辛口の環境保護団体までも評価しているのを見ると、「協定の中身を都合よく解釈しているだけではありませんよね」と念を押したくなる。
同じ協定でも、「自分に都合のいい解釈」があからさまなのは日本からインドへの原発輸出を可能にする日印原子力協定だろう。インドは核拡散防止条約(NPT)に加盟していない核保有国で、こうした国に原発輸出はしないのが日本の立場だった。にもかかわらず、安倍晋三首相は「インドが核実験を実施したら協力を停止する」という口約束で原則合意してしまった。
「不拡散体制にインドを実質的に参加させることにつながる」と言っても、それは都合のいい解釈。日本が輸出した原発の使用済み核燃料から核兵器が作られないという保証はないはずだ。
被爆国であり、福島原発事故を経験した日本が、そうまでして原発輸出に走る背景には原発ビジネスの世界的構図の変化があるのだろう。互いに手を組む日米仏の原発企業は低調で、先進国市場も頭打ち。なんとか途上国でビジネスを広げたい米仏の思惑も日印協定に影響しているはずだ。
「温暖化防止には原発」という声も根強いが、ひとたび事故が起きれば元も子もないことは日本で実証済み。ビジネス優先の原発輸出は核不拡散だけでなく、パリ協定も台無しにしかねない。(専門編集委員)
http://mainichi.jp/articles/20151218/ddm/005/070/017000c
http://www.asyura2.com/15/senkyo198/msg/317.html#c1