1. 2016年10月10日 14:30:34 : 4MyIweHKEY : RHywMCOG4uk[1]
風知草 トモダチ訴訟=山田孝男
毎日新聞2016年10月10日
小泉純一郎元首相の「トモダチ訴訟」支援に触れた先週の当コラムに対し、読者から「応援したい」という申し出、問い合わせをたくさん頂戴した。
他方、間接被ばくと健康被害の関係は依然、未知の領域に属する。「情緒的な支援は無責任」という批判もある。情緒は大切だと思うが、事実をおろそかにはできない。裁判の基本的な事実を整理する。
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舞台は米カリフォルニア州。提訴は2012年12月である。原告は元米兵。当初8人だったが、今や450人を超えた。
11年3月、空母「ロナルド・レーガン」など米艦16隻が、福島県沖で被ばくした。原発事故で出た放射性プルーム(煙霧)の中で救援活動(トモダチ作戦)を展開していた。
訴状によれば、原告は帰国後、白血病、精巣がんなどの発症や、直腸や婦人科系の出血、鼻血、耳鳴り、視力低下などで苦しんでいるという。
被告は東京電力および東芝、日立など日米の原発メーカー。請求の中身は、医療検査や治療のための10億ドル(約1000億円)の基金創設である。
原告は米国での裁判を望み、東電は日本での裁判を求めている。15年6月、裁判管轄権に関する東電の異議が認められ、州控訴審で審査が続いている。
−−以上、原告に会った小泉元首相、外務省、資源エネルギー庁への取材による。東電にも聞いたが、回答は「裁判中なのでお答えできない」だった。
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米国の民事訴訟には<ディスカバリー>という強制的証拠開示制度がある。自己都合で拒めない。拒めば法廷侮辱罪で投獄か、巨額の罰金だ。東電が日本での裁判を求めるのはそのためだと言われている。
東電がディスカバー(発見)されたくない証拠とは何か。原発事故の原因、初動対応、大気中の放射線量測定値−−に関し、従来の説明と違う資料が秘蔵されている可能性があるが、これは推測である。
もう一つ。米国の裁判にはアミカス・キュリエ(ラテン語。法廷の助言者)という制度がある。
控訴審で<日本政府の助言者>が「被ばくは米軍の責任」と述べた−−という雑誌記事を引用した先週の拙稿に対し、元国会議員から「違うのでは?」という電話を頂戴した。
米国の裁判情報専門サイトLaw360を見ると、9月1日の口頭弁論の助言者リストの末尾に、Government of Japan(日本政府)がある。
エネ庁の幹部は「そういう人物を、政府として認識していない」と首をひねっている。被告の免責を探る助言者が存在し、ドライな法律論を展開すること自体は意外ではない。
14年、米議会の要請で原告の主張を調査したウッドソン米国防次官補(健康福祉担当)が、「被ばくで健康被害が生じた客観的証拠はない」と報告。
今年3月13日の「星条旗新聞」(米軍関係記事専門の米日刊紙)は、ウッドソン報告とともに、「被ばくが原因の可能性は残る」という木村真三独協医大准教授(放射線衛生学)の見解を紹介している。
病因解明は遠いが、病人がたくさん出た。
小泉元首相が始めた募金の窓口は東京の城南信用金庫。元首相の、会費1万円の講演会(11月16日夜、東京。病気で苦しむ元米兵に全額を寄付)申し込みは自然エネルギー推進会議03・6262・3623で受け付けている。
http://mainichi.jp/articles/20161010/ddm/002/070/075000c
http://www.asyura2.com/16/senkyo214/msg/233.html#c1