31. 母系社会[1118] leqMbo7Qie8 2016年1月02日 15:44:30 : 35fw3fTp0Y : FxIdmn1zf2s[1]
●そもそも、労働時間の長さに価値量(価格)が比例する資本主義経済では、高度な資本主義段階に到達している日本のような国の場合は、円は高ければ高いほど、資源やエネルギー、食料が安く手に入るので有利。だから、安倍の円安政策自体が間違い。
つまり、多少円安にしようが、途上国の方が桁違いに安いので、それだけでは輸出は伸びない。しかも、仮に途上国と同じような製品を造り、価格競争をして日本が勝つと、途上国経済が弱体化してしまうので、途上国は高価な日本製品を買う力も無くなり、結果的に日本の輸出産業も弱体化してしまう。
要するに、資本主義経済の場合も、両者共に発展できる国際分業体制の構築が必要。ただし、経済は自立した分野ではなく政治など、あらゆる分野と密接に関係しているので・・・
★このように円高が続き、為替レートが日本に有利な状態だと、日本が途上国の労働者を搾取している状態なので、日本は過度に豊かになるが、一方では途上国からは憎悪されて、日本との自由貿易は制限されるようになるので、この状態も長くは続かない。
●そこで、日本や欧米諸国などの先進国は途上国の政治に介入し、途上国を政治的に支配して属国化したが、現在では、その手段は帝国主義時代のような軍事力の行使ではなく、<金の力>で支配する。
つまり、途上国に先進国が様々な開発・発展計画を提案し、資金は先進国が用意すると提案して、先進国向けの外債を発行させて途上国を借金漬けにした後で、先進国は途上国経済を破綻状態にさせる。
その後、「金を借りたのだから、利息ぐらいは返すのが当たり前だろ」と言って、先進国の手先であるIMFなどが、破たんした途上国に乗り込み、利息だけ払える状態にして、永遠に支配するのである。
★これが新植民地主義で、現在の植民地主義は非効率な軍事力は使わないで、人々を資本主義思想で洗脳し、「借金は返すべき」という資本主義の常識=倫理観=正義観自体を利用する。当然だが、この新植民地主義も、そのカラクリはバレているので、ギリシャの真の左派は、偽左翼政権の新植民地主義的解決策に、最後まで反対した。
★ギリシャの場合、先進国はトルコとの領土紛争を利用して過度の軍事費を貸し付けるなどして、財政破綻させたので、尖閣などを抱える日本も、軍事費の増大には注意が必要。
★先進国が植民地主義=古典的帝国主義を放棄したのは、先進国が「善意に目覚めた」からではなく、軍事費が高くなり、利益がでなくなったから。それで、自由貿易を認める植民地は形式的に独立させて軍事的抵抗を止めさせ、代わりに経済的に支配する新植民地主義に切り替えた。だから、新植民地主義国である米国は、完全な自由貿易体制=TPPを実現しようとしているのである。
●甚だしい場合は、外国人が専門家と称して財政破綻した途上国政府の官僚となり、「生かさず殺さず」の状態にして、その国の主権さえも奪う。そして、イラクやアフガン戦争のように、軍が必要となると、途上国軍を傭兵化して投入する。
現在のウクライナのように、外国人が専門家と称して途上国政府の官僚となり、主権さえも奪う所業は、既に、帝国主義時代にも行われていた。それが19世紀のエジプト。ナポレオンに侵略されたエジプト政府は1862年、早急に近代化を実現しようとして、初めて外債を発行したのだが、またたくまに巨額となり、財政破綻した。
すると、欧米諸国はエジプトを国際管理することにして、イギリス人やフランス人が閣僚となる通称「ヨーロッパ内閣」を組織したのである。しかし、このことがエジプト人に近代的な「民族自決論」的「民族意識」を形成して、エジプト初の民族運動が起きる契機となった。
ところが、この「民族自決論」が、様々な民族、宗派が平和裏に共存していた「オスマン帝国」を破綻させて、各地で対立を生み出し、この対立を利用して欧米諸国が「オスマン帝国」に介入し、更に対立を激化させ、今日まで続く混乱を生み出してしまった。
★欧米諸国の狙いは石油支配もあったが、「オスマン帝国」のような「イスラム(アラブ)の統一国家」阻止である。だから、エジプトの英雄ナセルが、アラブ民族主義と社会主義の大義で、世俗主義的に統一しようとした時も欧米は妨害し、また、現在のように、サウジなどのイスラム主義国が、アルカイダなどの武装闘争派のイスラム主義者を使って、イスラム主義で統一しようとしても、欧米は妨害する。(アルカイダは、既存国家を個々にサウジのようなイスラム主義国にして、最後に連邦化することでイスラム主義の「統一国家」を樹立する戦略で親サウジ。ISはサウジも含めて既存国家の枠組みも無視して徐々にイスラム主義国を広げて行く戦略なので、反サウジ)
●ヨーロッパでは、何世紀も宗教戦争が続き、民族差別も激しく、度々大規模な民族浄化を起こしていた時、トルコ系イスラム教徒が皇帝であった「オスマン帝国」の民衆は、江戸時代の日本の民衆のように過酷な搾取があったが、それでも平和を享受していた。イスラム教徒の皇帝自身が多数派であるイスラム教徒の横暴を制止して、キリスト教徒やユダヤ教徒、古代のゾロアスター教や、三位一体を認めないキリスト教の異端派マロン派まで生き残らせ、トルコ系やアラブ系、ペルシャ系などの大民族だけでなく、ギリシャ系などの極少数派の民族も共存できる世界を、3世紀もの間、維持していたからである。
しかし、江戸幕府のような鎖国政策を採用せず、ヨーロッパへの留学も自由だった「オスマン帝国」に、ヨーロッパ生まれの「民族自決論」や「主権国家論」が流入して、様々な人々が平和共存していた「オスマン帝国」を破綻させたのである。現在でも、尖閣問題などの日本の領土問題のように、「主権国家論」や「民族自決論」自体が戦争の原因となっている。
★かつては、人類に貢献した「主権国家論」や「民族自決論」も、現在では人類を滅ぼしかねない元凶となっているので、これらも根底から再考すべき時代である。
★既に19世紀の段階で、マルクスは「労働者には祖国は無い」とインターナショナルな思想を唱え、レーニンは、支配階級が起こす戦争には民衆は協力しないことを訴え、「革命的祖国敗北主義」=「戦争で死ぬのは民衆だから、負けるが勝ち」を唱えた。だから、マルクスやレーニンこそが、民衆の無駄死にを防ごうとした真の愛国者だった。
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