35. 2016年3月10日 17:32:57 : 2gu0t9Rrfw : F@oOKG3TEbo[1]
原発安全性 司法判断で二分 2016年3月10日
日本のエネルギー政策の根幹に関わる原発の安全性をめぐる判断は、これまで裁判所の見方次第で結論が二分する状態が続いている。
福島の事故後、初めて原発の運転差し止めを命じたのは平成26年5月の福井地裁判決だった。樋口英明裁判長は関電大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じ、この裁判は現在、控訴審が続いている。
樋口英明裁判長は昨年4月にも、高浜原発3、4号機について、規制委の新基準を「緩やかに過ぎる」と指弾。想定外の地震が起きる可能性などの理由を挙げ、安全対策が不十分だと強調。災害を引き起こす恐れが万が一にもない「ゼロリスク」を保証しておらず「合理性を欠く」と切り捨て、仮処分による判断としては全国で初めて原発の運転禁止を命じた。
この仮処分については、同じ福井地裁で昨年12月、関西電力の異議申し立てを審理した別の裁判長が、「何らかの程度の事故発生の危険は常に存在し、絶対的安全性を要求することは相当ではない」と「ゼロリスク」を否定し、「世界一厳しい」とされる規制委の新基準に不合理な点はないとして再稼働を認める判断をしている。
高浜原発と同様に再稼働している九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)をめぐる仮処分で、昨年4月に出された鹿児島地裁決定も新基準や規制委の判断を支持し、住民側の申し立てを退けている。
福島の原発事故発生前に差し止め訴訟で住民側が勝訴したのは、北陸電力志賀原発2号機(石川県志賀町)の運転停止を命じた平成18年の金沢地裁判決が唯一だが、上級審で覆り、逆転敗訴が確定した。
*原発の運転差し止めが争われた主な裁判(@対象A地裁B結論C現状)
(A)@北陸電力志賀原発2号機(石川県志賀町)A金沢B差し止め(平成18年3月・判決)C逆転敗訴
(B)@関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)A福井B差し止め(平成26年5月・判決)C控訴審中
(C)@関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)A福井B差し止め(平成27年4月・仮処分決定)C抗告審中
(D)@関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)A福井B差し止め決定取り消し(平成27年12月・異議審決定)C抗告審中
(E)@関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)A大津B差し止め(平成28年3月・仮処分決定)C関西電力が不服申し立てへ
(F)@九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)A鹿児島B住民の申し立て却下(平成27年4月・仮処分決定)C抗告審中
・結論決まっていた印象
(元東京高裁判事の升田純中央大法科大学院教授(民事法))の話
「原発のような高度に科学的な議論を含む争いが、早期に結論を出す必要がある仮処分になじむかそもそも疑問だ。通常の訴訟に比べて提出できる証拠にも制約があるのに、決定は関電側に厳しい立証責任を課した上で『主張が足りない』と判断しており、説得力に乏しい。決定を出すための大前提となる住民への『著しい損害』や『急迫の危険』に関する判断もほとんどない。結論が最初に決まっていたような印象で、分量、内容とも肩すかしだ」
・司法への信頼を損ねる(宮崎慶次大阪大名誉教授(原子力工学)の話)
「外部電源と非常用電源の役割の違いなど多くの点に事実誤認があり、専門的立場から納得できない。原子力規制委員会の判断を無視し、原発事故後の関係者の努力も一切評価していない。原発にゼロリスクを求める内容だが、仮に夏場に電力供給が滞り工場などの稼働が止まれば社会的リスクも生じる。関西電力側の主張も分かりやすさの点で不十分だったのかもしれない。再稼働を認めた昨年末の福井地裁決定と正反対の内容だが、裁判官により判断が二転三転するのは、司法への信頼を損ねるのではないか」
高浜原発差し止め 原発と共生また遮る
産経新聞 3月10日(木)7時55分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160310-00000054-san-soci
定例会見で記者の質問に答える原子力規制委員会の田中俊一委員長=9日午後、東京都港区(緒方優子撮影)(写真:産経新聞)
■関電「受け入れられない」 地元も困惑
原発に求められるのは「百パーセントの絶対安全」か、最新の科学技術に照らした厳格な管理か−。関西電力高浜原発3、4号機の運転差し止めを認めた9日の大津地裁の仮処分決定は、再稼働を阻む“司法リスク”が顕在化した形となった。原告側からは喜びの声があがる一方、関電からは「到底承服できない」「極めて遺憾だ」と不満があふれ、“原発との共生”を目指してきた地元自治体や経済界には困惑が広がった。
「到底受け入れられない」。決定を受け、大阪市の関西電力本店で行われた会見に出席した関電幹部は不満をあらわにした。
3号機は1月29日に再稼働し、既に営業運転に踏み切っている。稼働中の原発運転差し止めを認める初の仮処分決定は昨年4月に同じく差し止めを認めた福井地裁の仮処分決定と比べても「大変厳しい」と表情を曇らせる。
関電は高浜再稼働などの情勢を受け、5月1日に電気料金の値下げも予定していたが、「改めて検討したいが、(値下げは)極めて難しくなった」。予期せぬ決定に言葉をつなぐのがやっとの様子だった。
原子力規制委員会の定例会見では、田中俊一委員長が、東京電力福島第1原発事故後に策定した原発の新規制基準について「見直す必要はない」との考えを示した。
会見は大津地裁の決定の約1時間後。報道陣からは新規制基準や規制委による審査の妥当性などを問う質問が飛んだが、田中委員長は「まだ(決定文の)中身を承知していないので、今の段階で申し上げることはない」と淡々と話し、内容についての言及を避けた。
今後の規制のあり方については「常に新しい知見を取り入れて、より安全を追求していくという姿勢、原則に変わりはない」。その上で、新規制基準について「これまで世界最高レベルに近づいていると申し上げてきたが、その認識を変える必要はないと考えている」と改めて強調した。
一方、高浜原発3、4号機が立地する福井県高浜町。人口約1万人の町は、多くの住民が原発関連の仕事に従事している。
「福井、大津と裁判所ごとに判断が違い、立地自治体がもてあそばれている状況だ。驚いたし、残念だ」。野瀬豊町長は報道陣を前に険しい表情で切り出した。ばらつく司法の判断には「しっかりとした基軸で判断をしてくれないと、地元は困惑するばかりだ」。
昨年3月、2基の再稼働に対する町議会の同意を議長としてまとめた元町議、的場輝夫さん(71)は「安全対策や避難計画などをきちんと細部まで確認して判断したのか。地元にとっては相当深刻な事態だし、怒りすら覚える」と憤る。高浜町商工会の田中康隆会長(59)は「ようやく将来を考えられるようになったところだった。こんな形で原発が止まるのなら、ある日突然仕事がなくなることもありうる。納得できない」。さらに「訴える権利はあるが、電力生産地のことも少しは考えてはどうか」とこぼした。
2016.3.9 17:08
【高浜3、4号機差し止め】
運転差し止め命じた裁判長、前回は差し止め申請却下
http://www.sankei.com/west/news/160309/wst1603090087-n1.html
関西電力高浜原発3、4号機の運転差し止めを命じた山本善彦裁判長(61)は民事裁判を主に担当し、平成26年4月に大津地裁に着任した。同年11月には今回とは反対に、再稼働前の高浜3、4号機をめぐる同様の仮処分申請を「再稼働は迫っておらず、差し止めの必要性はない」と却下していた。
京都府出身。昭和63年に大阪地裁で判事補になり、福岡、鹿児島両地裁や大阪高裁などを経て、平成23年4月から26年3月まで山口地裁で判事を務めた。
山口地裁では24年12月、中国電力の上関原発(山口県上関町)予定地をめぐり、住民側が山林の入会権確認を求めた訴訟の差し戻し審判決で請求を退けた。大津地裁に異動後は、いじめを苦に自殺した中学生の遺族が大津市に損害賠償を求めた訴訟も担当し、昨年3月に市が和解金1300万円を支払うなどの内容で和解が成立した。
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/228.html#c35