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共和はトランプ氏、民主サンダース氏 米大統領選予備選
マンチェスター〈ニューハンプシャー州〉=佐藤武嗣2016年2月10日11時53分
米大統領選のニューハンプシャー州での予備選が9日、投開票された。共和党は実業家のトランプ氏(69)が勝利を確実にし、アイオワ州党員集会での敗北から巻き返した。一方、民主党は、サンダース上院議員(74)がクリントン前国務長官(68)の得票を大きく上回り、同じく初戦の僅差(きんさ)の敗北から巻き返した。
米CNNの独自集計によると、共和党は開票率37%の段階で、トランプ氏が34%の票を得て、2位に倍以上の差をつける圧勝の勢い。政治経験もなく、既成政治の打破を訴えて「偉大な米国の復活」を訴える姿勢が支持を集めた。過去、ニューハンプシャー州での勝者が同党候補者指名を受けるケースが多く、今回の勝利でトランプ氏が「本命候補」としての足場を固め、今後の選挙戦でも弾みをつけそうだ。
また、2位には下院議員などの政治経験が豊富なオハイオ州のケーシック知事(63)がつけた。アイオワ州で勝利したクルーズ上院議員(45)やブッシュ元フロリダ州知事(62)、ルビオ上院議員(44)が3位争いで激しく競い合っている。
一方、民主党では開票率36%の段階で、サンダース氏が59%で首位となり、クリントン氏の38%を大きく上回っている。これで民主党内の候補者指名争いは1勝1敗となった。
サンダース氏は9日夜、支持者を前に笑顔で手を振りながら現れ、「偉大な我が国の政府は、一握りの裕福な選挙資金提供者のものでなく、すべての人々に属するものだ」と語った。同氏はウォール街など一部富裕層と政治の癒着を指摘。ウォール街への課税強化や貧富の格差是正、公立大授業料無償化、国民皆保険導入など、既存の制度を大胆に変える「政治革命」を訴えてきた。
サンダース氏はニューハンプシャー州に隣接するバーモント州選出の上院議員で、地元での高い知名度も追い風になった。ニューハンプシャー州コンコードの高校に集まった数百人の支持者は、当選確実の速報が流れると拳を突き上げ大歓声をあげた。
一方、米国初の女性大統領を目指すクリントン氏は9日夜、支持者を前に「サンダース氏の勝利を祝福する」と敗北を認めた。2008年の大統領選では、ニューハンプシャー州予備選でオバマ氏に勝利していたが、今回は勝利を逃した。
20日のネバダ州党員集会や27日のサウスカロライナ州予備選では有利とされ、全米でもクリントン氏優位の情勢は変わらないとの見方が強いが、無党派層や若者への浸透で課題を残した。
ニューハンプシャー州は、08年の予備選の際も全米で最高の投票率を記録。今回は、民主、共和両党とも話題の候補が競り合う形となったため、同州は08年を上回る歴史的な投票率になるとの見通しを発表した。(マンチェスター〈ニューハンプシャー州〉=佐藤武嗣)
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