181. 2016年3月20日 11:23:16 : ZMdur9gvoQ : AYjZilEDBM4[1]
2016.3.20 11:05
【新聞に喝!】
行政糾弾に主眼 全国紙は福島の復興を望まないのか ノンフィクション作家・門田隆将
http://www.sankei.com/column/news/160320/clm1603200006-n1.html
新聞は、福島の復興を促進しているのだろうか。それとも、妨げとなっているのだろうか。
震災5周年を迎え、溢(あふ)れるばかりの震災記事の中で、私はそんなことを考えさせられた。
私は福島関連のノンフィクションを何冊も出しているので、福島の地元紙にも目を通しており、さまざまな記事が印象に残った。
毎日には、福島県郡山市から新潟市に中学生の娘2人とともに避難している41歳の主婦が登場していた(11日付)。夫を郡山市に残したままの“家族別居”の避難だ。
長女が原因不明の鼻血を繰り返し、「被ばくに無知だった」という彼女は、新潟へ自主避難したものの、あと1年で自主避難者に対する「住宅無償提供」を福島県が打ち切ることを嘆く。「パートを掛け持ちするか自宅を手放すか」の悩みに直面しているという。そして、「自分も原発事故被害者であること」を訴えるために東電への集団賠償訴訟に参加するという決意が紹介された記事だ。
同じ紙面には、「支援続けるフリーライター」が登場し、「国や福島県は仮設住宅から避難者を追い出し、早く事故を終わらせたいのでしょう。改めて彼女たち一人一人の声に耳を傾けて考え直してほしい」と住宅無償提供打ち切りを批判している。
また、朝日には、妊娠していたことを知らずに「放射線量の高い地域に入った」という女性ドキュメンタリー映画監督が登場し、「原子力の平和利用という『公』の間違いに、私は無自覚に加担していました」と語る(12日付)。両紙は、福島が元に戻ることよりも、行政糾弾に主眼が置かれている。
一方、地元紙は違う。一刻も早く元の福島に戻ってほしい、という願いが伝わってくる。福島民友には、毎朝の紙面に必ず県内全域390カ所での放射線量の測定数値が載っている。
同紙には、客観的データこそ「風評被害」に打ち勝つ力がある、という信念が感じられる。全国の他の地域と福島の線量の数値を客観的に比較することによって、いかに福島県が「すでに安全になっているか」を分かってもらえるからだ。
ちなみに3月11日の郡山市の線量は、市内17カ所とも、0・05〜0・18マイクロシーベルトという正常値だ。
2日前(9日付)の同紙の紙面には、「コープふくしま」による「家庭調査」の結果も掲載されている。これは、家庭で食事を1人分多く作って放射性物質を検査する陰膳調査のことだ。放射性セシウムが2年連続不検出になり、「生産者の努力や検査体制の充実」が確実に成果を上げていることを報じている。
風評被害を一刻も早く脱し、前進していこうという地元紙と、自主避難者への住宅無償提供を尚(なお)も税金負担で続けろ、と主張する全国紙−さて、真の意味で「福島復興」に寄与するのは、どちらなのだろうか。
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【プロフィル】門田隆将(かどた・りゅうしょう) 昭和33年、高知県出身。中央大法卒。ノンフィクション作家。新刊は、迷走を続ける邦人救出問題の実態を描いた『日本、遥かなり』。
http://www.asyura2.com/16/genpatu45/msg/313.html#c181