53. 母系社会[1101] leqMbo7Qie8= 2015年12月10日 02:43:51 : hHu7nrW72r : 5SXLr9r8wQI[1]
●確かに、「イスラム国とはCIAによって作られたものだ。」と言えなくもないが、「イスラム国」の指導的幹部から最前線で戦う兵士まで、全て丸ごとCIAの要員や傭兵で、CIAの完全なコントロール下にある謀略機関という意味でなら、間違いだろう。
中田考氏によれば、「イスラム国」のイスラム主義は、13世紀から14世紀に活動したイスラム主義の法学者や、18世紀のイスラム法学者アブドゥルワッハーブらが、<イスラム法に基づく「イスラム統一国家」>を建設するように呼びかけた思想を核とする運動で既に長い歴史がある。またイスラム主義者は全世界に1千数百万人以上もいるし、サウジや湾岸諸国が密かに支援しているという。
だからCIAでも、「イスラム国」を丸ごとイスラム主義の組織としてデッチあげることなど不可能である。つまり、それなりの経歴のある人物たちが幹部となっていなければ、イスラム世界では偽のイスラム主義組織であることは直ぐにバレてしまうはずで、そんなこともわからないほど、イスラム教徒は愚かではない。
●しかし、「イスラム国」が出現できたのは、米国や英国、イタリア、日本などが、世俗的モザイク国家イラクに因縁をつけて、イラクをカオス状態にしたことが背景として大きい。また、シリアでも、米国はトルコやサウジ、湾岸諸国と共に、世俗的モザイク国家シリアでの政治対立を利用して介入し、シリア政府に過剰反応を起こさせて反政府運動を武力弾圧させた。その結果、反政府派は幅広い陣形を構築する前に、勝算の無いままで蜂起ー内戦へと導かれ、シリアもカオス状態になってしまい、「イスラム国」が出現できた。
米国やトルコは、アルカイダ系組織や「イスラム国」に武器が流れることを知りつつ、反政府派に武器援助をしてきたし、ロシアや多くのジャーナリストが指摘したように、CIAと連携しているトルコが「イスラム国」の石油を買うことで資金援助していたことも明白。
だから、確かに「イスラム国とはCIAによって作られたものだ。」と言えなくもない。しかし、「イスラム国」が丸ごと、CIAの完全なコントロール下にある謀略機関という意味でなら間違いで、「イスラム国」とCIAは共通の敵であるシリア政府を打倒するために、お互いに相手を利用してきたと言うのが実態だろう。
反政府側は、米国やトルコ、サウジ、湾岸諸国など国外勢力に支援されているのが明白だったので、シリア政府だけでなく反政府側も、シリア国民からの支持が得られなかったと思われる。
●確かに、武装蜂起でしか政府を倒せない場合もあるのだろうが、その場合反政府派は、幅広い陣形を構築して一撃で政府を倒し、犠牲を最小限にすべきである。そのためには、治安機関や軍にも浸透して味方にしたり、せめて中立にさせて置かなければならないのに、離反した軍兵士は、全体の10分の1ぐらいだったという説もあり、反政府側の蜂起は失敗だったと言う他ない。
国民の半分が国の内外で難民化した以上、長い間シリア政府が反政府活動家への過酷な弾圧をしてきたとは言え、一般のシリア国民にとっては、まだ蜂起前のシリアの方がマシな状態だったはずだからである。
このような状態でも両派が内戦を続けるということは、両派ともシリア国民の幸福を無視しているということ。だから、シリア政府だけでなく反政府側も新しい統治主体としての資格や大義を失い、国民からの支持も失っている可能性が高い。外部勢力はシリアへの介入を停止し、シリアの反政府勢力とシリア政府は無条件で交渉し、一日も早く停戦の合意をすべきである。