99. 2017年9月23日 17:49:26 : bpif64EHNs : ybTe97cd2Fk[1]
理由その8 牛乳は、発癌作用を促進する食品のため。
乳製品は有益・有害と結論の割れる論文が数多ある中、両方を査読し評価。
【有害との結論に至った論文】
・国際比較研究、40か国の乳・乳製品の消費量と乳癌の発生率の関係を調査した研究
論文タイトル:The possible role of female sex hormones in milk from pregnant cows in the development of breast, ovarian and corpus uteri cancers
著者:Davaasambuu Ganmaa a,b, Akio Sato a,*
a,山梨大学医学部、b,ハーバード公衆衛生大学院栄養学科
https://www.academia.edu/31230588/The_possible_role_of_female_sex_hormones_in_milk_from_pregnant_cows_in_the_development_of_breast_ovarian_and_corpus_uteri_cancers
結論:
「乳製品の消費量が増加するほど、乳癌、卵巣癌、子宮体癌の発生率が多くなる」
方法:
IARC(International Agency for Research on Cancer)、WHOの外部組織の癌の登録データとFAO(国連食糧農業機関)の食糧消費量のデータを用いて、横軸に1人1日当たりの乳・乳製品消費量(1961-1997)を、縦軸に乳癌発生率(1993-1997:年齢調整済)を40の国ごとにプロット(リンク論文中Figure2参照)。
1961年から1997年までの様々な食品の消費データ、Mt / 1000人/年 ⇒ g /人/日に変換。一人当たり食料摂取量=(生産+輸入+在庫の変化 - 輸出 - 摂食 - 種子 - 加工 - 廃棄物 - その他の用途)/人口。この研究で使用した食品は、動物性脂肪、バター、卵、肉(牛肉、豚肉、家禽、羊肉、ヤギ肉)、牛乳(バターを除く)、全乳、穀類(ワインを除く)、豆類、大豆、エンドウ豆、果物(ワインを除く)、野菜、コーヒー、紅茶、酒類。
結果:
リンク論文中Table1転載
女性の癌発生率(1993-97)と食品消費(1961-97の平均値)との相関係数
乳癌 卵巣癌 子宮体癌
動物性脂肪 0.650 0.717 0.713
バター 0.584 0.576 0.543
チーズ 0.751 0.697 0.787
卵 0.660 0.589 0.703
肉類 0.827 0.575 0.782
魚 0.055 0.226 0.115
牛乳 0.817 0.779 0.814
穀物 -0.467 -0.520 -0.422
豆類 -0.438 -0.465 -0.437
果物 0.297 0.357 0.297
野菜 0.222 0.068 0.211
植物性脂肪 0.515 0.396 0.580
酒類 0.517 0.399 0.497
コーヒー 0.537 0.621 0.626
茶 0.322 0.045 0.126
●強い正の相関関係 ≒ 癌の発症を促進する可能性
乳癌:肉類、牛乳、チーズ
卵巣癌:牛乳、動物性脂肪
子宮体癌:牛乳、チーズ、肉類、動物性脂肪、卵
○負の相関関係 ≒ 癌発症を抑制する可能性
乳癌:穀類、豆類
卵巣癌:穀類、豆類
子宮体癌:豆類、穀類
所感:
実際の個人の栄養調査に基づいていないものの、世界の文化的、地域的または伝統的な差による各国の各食品消費データの相違と癌の罹患率を俯瞰して見た際には、もっともらしく全体的な関係には説得力があります。
【有益との結論に至った論文】
・8万8691人の看護師の乳癌発生を16年追跡した大規模調査
論文タイトル:Intake of dairy products calcium and vitamin d and risk of breast cancer
著者:Myung-Hee Shin Michelle D. Holmes Susan E. Hankinson Kana WuGraham A. Colditz Walter C. Willett
掲載雑誌:Journal of the National Cancer Institute(アメリカ癌研究所雑誌)
https://academic.oup.com/jnci/article/94/17/1301/2519873/Intake-of-Dairy-Products-Calcium-and-Vitamin-D-and
論文内容
結論:
「低脂肪の乳・乳製品をたくさんとると更年期前の女性は乳癌になりにくい」
方法:
1980年、自記式食品摂取頻度調査から得られた乳製品摂取量に基づき、調査対象を少量群(2万2180人)、中量群(2万7330人)、多量群(1万8446人)の3群に分け、2年ごとに1996年まで乳癌発生を調べた。
結果:
16年間に更年期前の女性に827件、更年期後の女性に2345件、計3172件の乳癌が発生した。
欠陥1)本来のコホート研究(前向き研究)なら、乳製品を取っているグループと取っていないグループの間で乳癌の発生率を比較しなければならない。
欠陥2)乳癌が発生しなかった8万5209人の食生活を全く検討していない。
欠陥3)調査に記載されている食品の摂取量と頻度を自己記入して郵送する方式は、正確に記入していない可能性が高い。
欠陥4)リンク論文中Table1、
摂取カロリー(kcal/日):少量群1398、中量群1593、多量群1841に対し、
平均BMI(18歳時):少量群21.4、中量群21.4、多量群21.4、
平均身長(cmに変換):少量群163.6、中量群163.8、多量群164.1、
身体活動度≧4 METs/day:少量群27.3、中量群29.7、多量群29.1であり、
摂取カロリーとBMIに相関もなければ、18歳時のBMIしか記載がない。更年期後の女性に乳癌発生が多かったのであれば、16年前は30代前半が調査開始時期とならないのか、データが不完全である可能性が高い。
欠陥5)乳製品は、牛乳としてだけでなく、バター、チーズ、ヨーグルト、クリーム、粉ミルク、練乳、など多種多様の食品に使用されているため、個人の乳製品摂取量を推定するのは、非常に難しい。
所感:
一流の癌学術雑誌に掲載されたにしては、不完全なデータにより誤った結論に至った可能性が高く再現性に乏しいと考えられます。
この結果を踏まえただけでも、予防原則に基づき乳製品の摂取は取り止めるべきと思いますが、乳製品が乳癌などの癌を誘発するメカニズムについて動物実験などから得られている知見や何故、この類の情報が公に報道や教育されないかについても考察します。
http://www.asyura2.com/13/genpatu33/msg/403.html#c99