4. 2017年9月21日 19:05:52 : nJoqv8WftU : y1YkPVzw5yI[1]
私は2だが阪神大震災の復旧工事にも係わった。多くの建築物土木構造物でそれぞれ想定なるものを超える被害が出た。
建築物では、神戸の中心三宮地区で神戸市役所庁舎は4階部分がぺしゃんこになり6階建てが3盾建てに変わってしまった。阪急の出口に立つ交通センタービルも全壊、JR三ノ宮駅の南側の新聞会館ビルも全壊した。
鉄道では新幹線は西宮地区で何か所も桁の落下に加えて高架橋(短いスパンの連続ラーメン構造に単てい桁、一般的な鉄道高架橋の構造)の崩壊もあった。新幹線が運航している時間帯なら確実に死傷者が出る破壊だった。JR在来線も六甲駅が大きく壊れ並行して走る阪神、阪急の私鉄も大きく損傷しいずれの鉄道も運休を余儀なくされ突貫工事をもってしても相当期間運航できなかった。
当時は建設省(今は国土交通省)だったが、そのしばらく前サンフランシスコの地震で高架道路の桁が落下したとき彼ら建設省の関係者は日本では落橋防止装置があるので橋脚と桁が結ばれており桁が落下する事故は起こらないとしていた。しかし阪神高速道路は橋脚の根元が折れ上部ごと橋脚が数百メートル横転するという事態になった。確かに橋脚と桁は結ばれていたが何とそのまま横倒しになった。また桁の支間(=スパン)の大きい部分は鋼材により桁が作られているがこれが一部断面の見える形で破断するということも起こった。建築構造物でも特定階の柱のコンクリートが粉々に壊れる部分があり中の鉄筋が曲がってむき出し圧接部分がほとんど切断されていることも多かった。
この影響は大きくその後構造物の計算基準が@通常の条件での構造の安全性に加えてA構造物の使用期間内における最大級の地震があったときにはある程度の損傷はやむを得ないが致命的な損傷を防ぐという2段構えの検討が必要とされるようになった。
もとより地震時の構造物の安全性は地震でこのようになってこうなるからこうだ、というものではなく仮定した外力が特定の場所にかかった場合どの程度構造物が耐えられるか決められた数式で計算し所定の安全率が確保されているかをチエックしているだけで実際にどの部材にどのような方向から力がかかったのかは誰にもわからない。新しい知見によって基準も改定されているが重要なことは現在まだ地震の力がこのようにかかってこうなるという確実な理屈は誰も持ち合わせていないということだ。今でも地震が起これば想定以上の加速度(ガルで表示する)は観測されている。
この地震が逆断層型(この定義も定かでないが)だからとか縦揺れだから(これもはっきりしない、どんな地震でも縦にも横にも揺れる、程度の差があるだけだ)とかの不確かな理由でことを断定し一気に単純な答えへ持っていく、誰であれそんな思考法は厳に慎まなければならない。
それと前述のように三宮の地区は建築物に大きな被害が出たが、すぐ南の人工島ポートアイランドでは地震による大きな地盤の変動はなかったようで鉄筋コンクリートの共同住宅の建物は一棟も倒壊してない。地盤が長期にわたって沈下している現象はあるがそれは建設時点から想定しているもの。
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