30. 母系社会[1279] leqMbo7Qie8 2017年1月31日 00:09:56 : Vv4wMJtihU : wYWbqPK8RAM[1]
資本主義でも人類は国家単位で対立を続け、無意味な軍備増強や戦争を起こす
●タオルなどや工業製品でも鉄鋼などは別だが、自動車などの多数の部品で構成される工業製品の場合は、「工場の海外移転」=自由な資本移動=「グローバリズム」でも輸出は減らず、逆に増える場合もある。
なぜなら、自動車などの場合、工場をアジアなどに海外移転することで、先進国国内で生産するよりも安い価格の自動車が造れるので、欧米だけでなく、低所得のアジアや南米、アフリカなどでも販売数を増やせる場合があるからだ。
そして、実際に販売数を増やすことに成功すれば、進出先の国では、エンジン等の高度な技術が必要な部品まで現地調達できるわけではないので、こうした高度部品を先進国で生産し、輸出する追加需要が生まれ、組み立て工場が海外移転しても輸出額は減らずに済ませられる場合もある。(実際に、ある学者が東南アジアに進出した日本の自動車メーカーのデータを調べたら、その企業の輸出額は減らないことが判明した例がある)
もちろん、移転先の国の生産技術のレベルも上がるので、輸出額を増やしたい移転先国の政府の要請で、高度部品の工場も、徐々に移転するようになるだけでなく、移転先国の「頭脳」を利用するために、設計や研究施設などの企業の核となる施設までも移転させている。だから、将来は先進国の生産減少=所得も減少する可能性もある。
しかし、世界経済が好況である間は販売数を増やせるので、極端な「空洞化」を起さない海外移転が可能となる。それで、「グローバリズム」は、先進国内で「格差問題」を起しながらも、これまでは国内のGDPをそれほど増やすこともないが、減らすことも無く経済を破綻させずにきた。
●しかし、資本主義経済の下では、好況と不況は必ず繰り返すので、不況になれば不満が爆発する。高額な軍事費や海外援助費の負担に忍耐してきたソ連民衆の我慢が限界に達して、一気に「ソ連解体」が起きのと同様に、ついに、「グローバリズム」による「格差問題」で苦しめられてきた米国の民衆=労働者階級の忍耐は限界に達して<トランプ革命>が起きた。
この<トランプ革命>は、ナチスの政権奪取に似た現象であり、質の悪い「民族資本家」であるトランプなどの米国のナショナリズム派と、極端な自由主義のリベタリアン派+シオニスト派との合作革命である。したがって、日米の民主派はトランプだけでなく、ヒラリーなどの「グローバリズム派」=<巨大資本>の戦争勢力にも反対するべきだろう。★1
●「グローバリズム」は二つの大問題を起こす。一つは、先進国の中産階級の減少=家族を形成できない貧困層の増大=人口減少であり、この「格差問題」は「グローバリズム」では解決できないし、そもそも富の源泉である労働力の減少は、資本主義自体を破壊する。
それで、当面は「ベーシックインカム」の導入で「反乱=革命」を引き起こす飢餓は防止できたとしても、家族を持てず、子孫を残せない貧困層の不満は解消できないし、AIの導入で工場労働者の排除が進み、益々サービス労働=低賃金労働や失業が増え、労働者階級の不満は更に増大するだろう。★2
もう一つは技術の海外流出による主権国家の衰弱である。かつては技術の海外流出は国家を衰弱させるので、中国が独占していた生糸や、べネチェアの「ベネチアン・グラス」などの技術の海外流出は、国家が厳しく取り締まっていた。
しかし、<巨大資本>★3が、マスゴミと学者や政治家を買収して統治する<巨大資本>によるソフトな「独裁国家」では、今までの体制ではあり得ないスピードで技術が海外に流出してゆくが、これを保護主義で阻止することは不可能であり、先進国の体力は益々減衰してゆく。
なぜなら、この<巨大資本>が望むことは利益を上げることだけ、つまり際限の無い<資本蓄積>だからである。強欲な富裕層の資本家たちが雇ったサラリーマン経営者たちが指揮する「多国籍企業」は、彼らが巨大な利益を上げている限り、経営者でいられるのがルールだから、簡単に国家の壁を破り、海外に資本と技術を移動させる。
かつて「ハゲタカファンド」が話題になった時に制作された調査報道によれば、強欲な富裕層の資本家たちの投資基準は年率20%の利益であり、この利益を上げられるかどうかが、「ハゲタカファンド」を選択する場合の基準だそうで、当時は、この基準を下回ると別の「ハゲタカファンド」に乗り換えると投資家=資本家は悪びれず公言していた。
●先の大戦は、いち早く帝国主義化に成功して世界中に植民地を建設した欧米の先行「帝国主義国」の<巨大資本>と、後発組の「帝国主義国」である<日・独・伊>の<巨大資本>に支援されたファシストやナショナリストたちとの植民地争奪戦=帝国主義戦争であった。
だから、<巨大資本>は、一旦資本主義世界で形成されると、これを構成する一部となる労働者はもちろんだが、当の資本家自身の意識や運命も支配・左右する<歴史的、社会的環境>になって一人歩きし始め、時には<巨大資本>が生存・拡大するために、先の大戦のような世界規模の戦争さえも引き起こす。
そして、戦後も切れ目なく続く大規模な戦争の多くは、戦後世界の矛盾・弱点を利用したこの<巨大資本>=<モンスター>が、御用学者やマスゴミを利用して引き起こした戦争なので、<巨大資本>や、ファシスト・ナショナリスト勢力を解体しなければ、戦争は無くならない。
そのためには「資本主義経済」から離脱し、さしあたりは中国のような「国家資本主義」へと移行し、次にスペインの「モンドラゴン協同組合企業グループ」★4のような世界規模で展開している「労働者生産協同組合型企業」=「社会的企業」が主体となる経済=市場社会主義経済=へと移行すべきだろう。
★1:国内産業保護に成功すると国内外での物価差が生まれて密輸がはびこり、一国保護主義=トランプ経済は破綻するし、トランプの恫喝に負けずに、世界中が対抗的な保護主義を採用すれば、やはり経済は衰退する。しかし、グローバル経済でも景気交代は起こるので、世界恐慌の可能性は残る。
どちらでも、経済破綻による戦争の危険性があるが、戦争のロボット化で<巨大資本>は戦争でも、最も危険な潜在的な<かくめい>勢力である「失業者」を減らすことはできない。だから、賢い政党が誕生して主導すれば、今回のような選挙による<かくめい>も実現する蓋然性が高い。
★2:清王朝では二男や三男は一生、結婚ができなかったが、共産党政権は中国を二男や三男でも結婚ができる国にした。それで、中国の共産党政権は様々な失敗をしながらも、これまで維持できてきた。現在では、中国国民の半数は都市に住み、中国を世界第二位の経済大国に押し上げたので、北京政権は80%以上もの圧倒的な支持を得ている。
日本では結婚を諦めている若者が多いが、彼らが結婚自体に問題があるのではなく格差社会が進み、年収200万前後の非正規社員が増えたことに問題があると気付けば、日本も変わるだろう。
★3:ヤフーの孫氏のように、オーナー経営者=資本家自身が指揮しているように見える巨大企業の場合でも、孫氏は社外から得るデータやヤフーの参謀役である高級企業官僚たちが提示する選択肢に依存して指揮しているに過ぎない。
★4:マルクスは協同組合型企業による経済システムを提唱していたが、スペインの「モンドラゴン協同組合企業グループ」には、約93000人の組合員や260以上の協同組合が参加する世界最大級の協同組合企業の連合体。このグループには、生協や銀行、共済組合、大学も併設している教育協同組合、そして、自動車や機械、電子、ロボット産業などの最先端分野の労働者生産協同組合まである。
労働者生産協同組合型の企業は資本家ではなく、その企業で実際に働く組合員(労働者)の投票で経営者が選ばれる民主的企業である。だから、マルクスが提唱していた協同組合型企業による経済システムは、正に社会主義企業=「労働者自主管理企業」による経済システムである。
残念ながら、リーベルマンショックによる大不況で倒産したが、それまでは、スペイン最大の家電メーカーは、この「モンドラゴン協同組合企業グループ」に属していた「ファゴール」という協同組合で、日本でも製品が販売されていた。しかし、この協同組合から派生した別会社の「ファゴール・インダストリアル」は、現在日本でも食器洗浄機などを販売しているが、世界7カ国に工場を持ち、16カ国にオフィス、世界90ヶ国に販売店を有する世界第10位のグローバルな厨房機器メーカーである。
それで、協同組合型の企業では、せいぜいが生協や農協止まりという評価を覆し、協同組合型の企業でも、世界規模で活動する企業体も可能であることを実証している。この企業は労働者により民主的に運営されながらも、効率性も実現して持続的に発展・拡大し、グローバルに事業を世界レベルで展開する生産体にまで成長したので、基本的には非営利の社会主義型企業である協同組合型企業でも、現在の高度な資本主義型企業に替り得ることを実証し、社会主義の一種である「市場社会主義」が可能であることを実証した。
そして、こうした非営利企業が増えてゆけば、資本主義時代の性悪説的な人間観も変化し、真の「共生経済」である狩猟採取時代の「互酬経済」が、現在のような高度工業化社会でも復活可能となるだろう。
(競争はスポーツやゲームに限るべき。経済に競争を持ち込むと生物である人間は24時間は戦えないので、電通の女性社員のように過労で死ぬ。人間は性悪でも性善でもない。そもそも環境適応型の生物である人間には、そのような抽象的な格別の本質などは無く、生物学的定義以上の一般的な定義は不可能な「関数的存在」が人間である)
2012/09/11 に公開された映画「スペイン モンドラゴンの奇跡」の予告編
(日本語字幕)
mondragon trailer jp subtitle OK
https://www.youtube.com/watch?v=f3-Ifn5f1ao
Fagor Industrial社 紹介ビデオ
https://www.youtube.com/watch?v=ORFLA4rRThI