116. 2019年1月27日 21:06:35 : rNq0Gs7yYw : vtz2RDqB6Gk[1]
論文(動物実験):
Chronic Contamination of Rats with 137Cesium Radionuclide,Impact on the Cardiovascular System GueguenY (2008)
Cs137放射性核種によるラットの慢性的な汚染:心臓血管系への影響
著者、所属機関:フランス放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)
論文より抜粋します。
実験動物:ラット♂(Sprague–Dawley male rats (Charles River, France))
対照群:ミネラルウオーター ×3か月
実験群:Cs137、150Bq/ラット/day=150Bq/0.3kg=約500Bq/kg/day ×3か月
(=150Bq/0.5kg=約300Bq/kg/day:3か月後の体重が550gというデータより)
https://www.crj.co.jp/cms/pdf/info_common/62/3971076/survival_data_SD_mar_2009ca.pdf
結果:→は論文中には記載ないが、解釈可能なことを記す。
・血漿濃度においてCKおよびCK-MBが有意に(+ 52%、P <0.05)増加
→ 心筋障害の可能性
https://primary-care.sysmex.co.jp/speed-search/index.cgi?c=speed_search-2&pk=86
・血圧値の概日リズムが消失。
→ 視交叉上核(視床下部)、松果体、副腎などに障害の可能性
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%A6%96%E4%BA%A4%E5%8F%89%E4%B8%8A%E6%A0%B8&oldid=21150,%202013.
・心電図においてRTおよびST間隔は、有意に(それぞれ-9%および-11%)減少。
→ 電解質異常の可能性(KとCsは、元素周期律表で同族のアルカリ金属)
https://www.igaku.co.jp/pdf/1403_resident-01.pdf
・心房において、ACE(P≦0.05)およびBNP(P≦0.05)mRNAレベルの小さいが有意な増加。
→ 心房の病的心肥大の兆候の可能性。
https://tsukuba.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=6540&item_no=1&attribute_id=17&file_no=1 p35図1
結論として、著者らは以下のように論じています。
『上記の結果にもかかわらず、心電図および組織学的分析では、本実験モデルでは構造的、病理的または臨床的障害は示されなかった。
これらの影響はCs137の非常に低い質量濃度によって誘発され、したがってその放射線学的特性に起因する可能性がある。
Cs137に長期間さらされる、または、若い段階から曝露される、そのような実験モデルでは、汚染地域における小児および成人の曝露をよりよく模倣し、心血管系に対するCs137の効果をより正確にモデル化するだろう』
低線量の放射線体内被曝では、心臓への影響を示す結果は出なかったという一方で、長期間被曝した場合はその限りではない可能性があるとも言っています。
ただ、結果の解釈として、不可解な点(臨床上の障害を見落とし?実験モデルの妥当性?など)を6点列挙します。
(続きます)