12. 2017年10月24日 08:54:41 : 547u4baTC2 : qvQ66gysyu8[1]
★東電 炉心溶融基準気付かず 第一原発事故危機管理甘さ露呈
東京電力、福島第一原発事故発生時に核燃料が溶け落ちる炉心溶融(メルトダウン)の社内基準があったにもかかわらず、存在に気付かなかったと発表した。基準に従えば事故発生から3日後には炉心溶融状態と判定できた。当時は「判断基準がない」としており、極めて深刻な事態と公式に認めたのは約2カ月後だった。東電の危機管理体制や情報公開の不備があらためて浮き彫りとなった。
基準は「原子力災害対策マニュアル」に盛り込まれていた。基準は「炉心損傷割合が5%を超えていれば炉心溶融と判定する」としていた。
福島第一原発では平成23年3月14日に原子炉格納容器内の放射線量を測定する監視計器が回復し、3号機の炉心損傷の割合が約30%、1号機が約55%に達していることを確認したが当時、東電は国や自治体に対して極めて深刻な事態の「炉心溶融」の前段階の「炉心損傷」との説明を続けていた。
基準は11年に茨城県東海村で起きたJCO臨界事故を受けて15年に作成された。東電柏崎刈羽原発の安全確保について協議する新潟県技術委員会が炉心溶融公表の遅れを指摘したことを受けて社内で調査し、今月になって基準の存在が判明したという。
東電は24日に記者会見を開き、マニュアルの中に炉心溶融の基準があったことが分からなかったと説明。東電は会見で陳謝し、「基準を社内で共有できていなかった。今後、調査を行い、気付かなかった経緯を明らかにしたい」とした。
■求められる説明責任
東京電力は基準を作成しておきながら、福島第一原発事故に生かさなかった。
福島第一原発事故直後、経済産業省原子力安全・保安院は炉心溶融の見解を示していたが、東電は「炉心溶融の定義がない」として前段階の「炉心損傷」と説明し続けた。
しかし、実際には判断基準が存在していた。震災から3日後の平成23年3月14日には基準を大きく超える割合で炉心が損傷しており、炉心溶融はその時点で判断できたはずだった。
基準は事故前に防災訓練で使用しており、事故当時に存在を誰も指摘しなかったとは信じ難い。東電は公表遅れによる影響はなかったとするが、的確に使われていれば県民への正確な情報発信につながったはずだ。
東電の情報公開の在り方に対する県民の不信感は根強い。今回の炉心溶融も極めて重大な事態で、原発を抱える電力事業者が今まで存在に「気付かなかった」というのは理解し難い。東電が明確に説明責任を果たさなければ過小評価のための隠蔽(いんぺい)と受け止められかねず、県民の新たな不信を招く。