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「がん患者は働かなくていい」三原じゅん子氏にヤジ
2017年5月21日22時21分 日刊スポーツ
受動喫煙防止対策をめぐり、厚労省案と自民党の対案について議論が行われた今月15日の自民党厚生労働部会で、がん患者の立場を考慮した対策を求めた三原じゅん子参院議員に対し、「(がん患者は)働かなくていい」という趣旨のやじが飛んでいたことが、21日までに分かった。
三原氏は、子宮頸(けい)がんの経験を持つ。関係者によると、このやじを飛ばしたのは、過去にもやじや失言が取りざたされた男性議員だという。
この日の部会は、報道陣に非公開で行われた。
出席者によると、三原氏は部会で、がん患者の就労支援の重要性や、がん患者が望まない受動喫煙への配慮を訴えた。男性議員のやじが飛んだのは、この直後だったという。
三原氏は部会後、自身のブログに「怒り!」と題した文章を掲載。「様々な意見があって当たり前です」とした上で、「何を言ってもいいということとは違います」「残念ながらあまりにも心ないやじに、私は心底怒りで震えました」と、怒りの思いをつづった。
三原氏は「皆様のいのちを守る、健康を守るために受動喫煙防止対策法は厳しくすべきと思う」と、自身の立場を表明。がん患者の就労環境にも触れ、「就労を続けることや新たに働く場を見つけるのも困難な場合もあります」「好きなところで働くという選択が許されないほど現実は厳しい」と指摘。「やっと見つけた職場が喫煙可で煙モクモクの中ではたまったものではありません」とも述べている。
政府は、病気の治療と仕事を両立できる環境の実現を目指している。昨年成立した改正がん対策基本法も、患者が仕事を続けられるよう企業に配慮を求めている。今回のやじは、政府の方針にも逆行する内容だ。
一連の流れを受けて、全国がん患者団体連合会も18日付で、「がん患者の尊厳を否定しかねない」とする抗議文を発表した。
15日の部会では、屋内は原則禁煙とする厚労省案と、表示をすれば喫煙を認める自民党の対案をめぐり、議論が対立。2020年には東京五輪・パラリンピックが行われるが、08年の北京五輪以降、五輪開催国の飲食店は屋内禁煙に規制されており、厚労省案はこの流れに沿ったものだ。
ただ、自民党内には厚労省案への反対も根強く、対案も、厚労省案から後退する内容だ。塩崎恭久厚労相は16日、「今の案のままというわけにはいかないだろう」と述べ、厚労省案の緩和を示唆したが、今回の心ないやじ問題は、議論の行方にも影響しそうだ。
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