11. 母系社会[1318] leqMbo7Qie8 2017年6月29日 16:53:07 : gxBl8Xb6q2 : PEW@8QRnWb0[1]
<意外と賢明な安倍の「加憲論」。安倍を軽く見るべきではない>
●昨年の1月、現代の日本を代表する哲学者の一人である柄谷行人氏は、日本人にとっての憲法9条について、全く新しい解釈を提起した講演を行いました。
この講演で柄谷行人氏は、日本人にとって憲法9条は、後期フロイトの段階での無意識=「超自我」(集団的超自我)であり、この無意識である「超自我」(集団的超自我)は外部=進駐軍からではなく、日本人の内部から出てきたものなので、自民党のプロパガンダでは変更できないものだと提起しました。
要するに、日本人の脳には既に、<憲法9条は変えてはならない>という無意識のレベルでの「天の声」が刻み込まれてしまっていると言うのです。
●もちろん、それでも一部の人は憲法改悪に賛成するでしょう。しかし、何となく変えた方が良いと思っていた人も、実際に投票を行う時がくれば、この<憲法9条は変えてはならない>という心の奥底の「天の声」に従い、国民は必ず憲法9条を守ると予言したのです。
それで、柄谷行人氏は半分冗談で、「是非、国民投票をやりましょう」と呼びかけ、会場から拍手喝采を浴びました(笑)
また、柄谷行人氏は、実は自民党も憲法9条を変えるのは非常に困難と解っているとし、自民党が憲法改悪の旗を降ろすことはしないが、しかし、国民投票も行わない。そして、今回の「集団的自衛権」の解釈改憲のように、憲法9条は変えないまま、実質的に改憲してしまう解釈改憲的策動を、今後も続けると警告し、そうした策動への対応策を真剣に考えるべきと提言しました。
●それで気になるのは、最近、安倍が憲法9条の1項2項をそのままにして、3項目に自衛隊を明記して自衛隊を合憲化する「加憲論」を唱え始め、五輪東京大会が開催される2020年から施行したいと明言したことです。
この「加憲論」の場合だと、自民党は「9条は変えない」と国民を騙しつつ、実質的に憲法9条を改悪することが可能となるので、先の<憲法9条は変えてはならない>という天の声が聞こえる人も、賛成してしまう可能性があります。
しかし、東京外国語大学の伊勢崎 賢治教授は、この安倍の「加憲論」の場合だと、深刻な矛盾が発生すると警告しています。
というのは、憲法9条の1項と2項の「軍」は、英語では「アーミー」(軍)で、しかも、3項の「隊」も、英語では「アーミー」(軍)だからです。つまり、憲法9条の1項と2項では「軍」の保有を否定しながら、3項では「軍」の保有を肯定することになるので、矛盾した意味不明の憲法になってしまうと批判しました。
それで、自民党が本当に安倍の「加憲論」を採用した場合、「軍」とは射程が長いミサイルなど、他国を攻撃する武力も保有する部隊の意味とし、自衛隊は、そのような他国を攻撃する武器を持たないから、「軍」ではなく「隊」だとして、伊勢崎教授の批判をかわすでしょう。
しかし、このような「軍」と「隊」の区別をしている国は日本だけです。PKOでも、自衛隊は「軍」と分類され、PKOでは軍事部門の指揮下で活動してきました。
●自民党の多数派は、自民党独特の国家観=国防思想が盛り込まれていない安倍の「加憲論」は、改憲の成功を重視し過ぎた余りにもテクニカルな構想と見なすでしょう。だから、本当に採用するかどうかは不明です。
しかし、安倍は、柄谷行人氏と同じ根拠ではないにしても、自民党の時代錯誤の多数派よりは賢明なようです。つまり、安倍は、憲法を根本的に変えるような自民党の国家観を盛り込んだ改憲案を実現させるのは不可能と判断している可能性があるからです。
安倍は、この「軍」と「隊」は意味内容も異なるというこれまでの公式見解を利用し、「9条は変えない」と言いつつ、事実上の改憲を行うつもりでしょう。この加憲論だと、柄谷行人氏の説もすり抜ける可能性があるので、安倍を軽く見るべきではありません。
意外と賢明な安倍の「加憲論」には、十分に警戒する必要があり、我々も軍事知識を学び、安倍の「加憲論」に野党は、軍事知識を駆使して反論すべきではないでしょうか。
2016.01.26 市民連合シンポジウム 基調講演 柄谷行人さん(哲学者) <憲法9条の今日的意義>
https://www.youtube.com/watch?v=Co9d4Q0usSk
http://www.asyura2.com/17/senkyo228/msg/240.html#c11