3. 2017年4月16日 14:09:08 : trY2KTQMKc : p1iFKfdRv1s[14]
春、木の芽時です。Take・・・氏の〔偏執性地震予測・自己顕示・強烈願望症候群〕の再発について、“お大事に”と、まずは申し上げておきます。
以下は、ブログ:「法螺と戯言」からの転載です。以下は村井俊治氏の著書「地震は必ず予測できる」(集英社出版、2015)冒頭での著者の主張への疑問です。そこで、著者は2011年3月11日の巨大地震について半年も前からその前兆を掴んでいたと書きます。以下は、それについての疑問が書き連ねられています。
%%%%%ブログ記事抜粋
http://c23.biz/uk8h
(前半部省略)六回にわたった村井俊治氏の地震予測についての私の疑問を以下にまとめます:
(1) GPS観測の時間変動図は、尖った形状です(impulsive、前回記事3月29日GPS変動時間変化 図1 )。読者への“印象操作”の意図でこうした作画がなされたのやもしれません。実際には刻々の変化をいわば(多分一週ごとに)積分して得た、つまり一種のフィルタ作業を通じて変化を滑らかにする作業であったと想像しています。この想像が正しければ、図はもっと丸みを帯びてくる。しかし、そうはなっていない。つまり10月23日に急激に何かがあったせいで、移動平均、積分などのフィルタリングを演算してもこのimpulsiveな形状を取除けなかったのではなかろうか?
(2) 村井俊治氏はGPSに見出した異常信号が、あの巨大地震とは同期せず、二ヶ月前或いは半年前に出現したことに注目します。この異常信号は地下での岩盤の前駆的スベリであろうと主張します。尤も氏はこの主張を物理的に検証はしません。前回記事で私は岩盤内で起きるかもしれないスベリについて書きました。スベリと言うからには地震を伴わないはずであるとの思い込みが村井俊治氏にはあると、私は考えています。スベリは岩盤内に生じた亀裂に沿う、岩盤面の相対運動です(岩盤内が静水圧からずれているため)。そうとすれば 岩盤の亀裂が鏡のように滑らかであるはずは無いので、そこに小破壊が発生するはずです。それが微小地震です。しかし、今記事でも書いたようにそれは検出されません。
つぎに考えられるのが岩盤そのものの地下応力によるヒズミです。このヒズミは岩盤の破壊強度をこえれば、これもまた微小地震として発現するはずです。本記事で書いたような微小地震よりももっと小さい極微小地震に帰することも出来るでしょう。その小破壊が空間的に移動する。それをスリップとして観測する、とも考えられます。しかし、上記記事でも書いたようにそのスピードはcm/secのオーダ、 きわめて低速です。こうした低速のスリップから、あのようなimpulsiveな信号発現は考え難いのです。
と、なるとこれは一体何であるのか?
(3) よしんば、岩盤内のプレスリップであったとしても、遠く200kmの地でのスリップが宮城県などの遠地の観測点に数cmもの大きさを持って達するであろうか(この大きさが積算、つまり積分値であったとしても)。弾性体物理学では、弾性体内の静的変動は距離の三乗で減衰するからです。そして三陸海岸の観測点近くでは微小地震活動が活発では無かったことは上記の図4又は3が明示しています。従って、異常信号をスリップ源に帰することは出来ないと思います。
(4) もっと重大な疑問は、このGPS異常が日本列島全般にほぼ同時刻で発現していることです(本ブログ記事内の図1)。弾性体内部で発生する事象の伝達はP波の伝播速度を超えることはできません。従って例えば高知観測点にほぼ同時刻で異常が出現したとすれば、それはp波で伝わったことになります。P波をgenerateするには発生源で岩盤の脆性破壊、つまり地震の発生が必要となります。しかし、村井俊治氏はGPS異常の発生源は地震の前兆ではあっても、それ自身は地震で無いとするのです。これは矛盾です。。
(5) 上で書いたように日本列島でほぼ同時に出現する異常、どうやらプレ・スリップでは説明できないと思えます。とするならば、これはむしろ計測器、又は計測環境に帰せられるのではないか?GPS観測では大気圏外の人工衛星と地上の受信機との電波のやり取り過程での信号の伝達時間・精密観測から電波の位相差を検出し、それでもって位置を測定します。この電波は当然の事ながら電離層を通過します。通過する際に電離層大気中の電荷の偏在などにより、通過する電波に何がしかの影響を与えれば、電波の伝達、或いは位相に何がしかの変化を及ぼすのではなかろうか。ひいては、この変化が位置計算に影響するのではなかろうか。このように考えるならば、村井俊治氏が計測していたのはむしろ電離層の異常をGPS測定を通じて計測していたのではなかろうか。と、私は考えています。そう思うと2011年1月に東北と高知、2010年10月にほぼ全国でほぼ同一時刻で異常が検知されたことの説明が可能となります。 311地震の前に電離層で異常な荷電粒子の偏在があったことは良く知られているからです(2011年5月23日記事311前の電離層異常)。
このように考えるならば村井俊治氏の観測事業は早川正士氏とcollaboratively に推進してこそ、真に国民の地震への不安に応えられる仕事となるのではなかろうか、と私は思っています。
以上6回にわたった村井俊治氏の地震予測議論を終えます。村井俊治氏の地震予測に傾ける情熱を多とすることは言うまでもありません。実際の地動の計測を続ける限りでは、必ずや何がしかの新知見がそこから生まれてくるであろうことを私は確信しています。例えば、焦眉の急とも言うべき“中央構造線は動いているのか、動かずにいるのか?”、そして「動いているとすれば何処が動いているのか?」と言った国民の差し迫った関心に応えることが出来る可能性は自由度を多く持った村井俊治氏のプロジェクトにあるのではなかろうか。大いに今後の活動に期待したいと思っています。
現ブログ管理人にとっては、東日本太平洋側に北東ー南東の向きに走る断裂帯の吟味、また巨大地震の相互連関の話題を中途半端のまま放置してきました。これらを放り投げたわけでは無く、近日中に記事にして掲載いたします。
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http://www.asyura2.com/15/jisin21/msg/804.html#c3