74. 2018年12月11日 11:05:57 : kXTqk4STcY : mgpgd8EltEI[1]
▼「黄色いベスト運動」、「抗議しなければ、僕たちはいつまでも羊のままじゃないか!」
パリ在住IWJ会員からの現地レポート! 「黄色いベスト運動」はマクロン大統領退陣まで続くのか!? 「抗議しなければ、僕たちはいつまでも羊のままじゃないか!」 | IWJ Independent Web Journal
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/437412
フランスで2018年11月17日、エマニュエル・マクロン政権による燃料税増税に反対し、大規模なデモが勃発した。
デモの参加者の中心は、地方に住む労働者階級で、フランスのドライバーが車の故障の際、安全のために着用を義務づけられている黄色い蛍光素材のベストを着て抗議を行うことから、「黄色いベスト運動」と呼ばれている。
「黄色いベスト運動」の発端はご存知のとおり、燃料税引き上げです。オランド政権の時に導入された炭素税(※1)をマクロン大統領はさらに引きあげる、と11月半ばに決めました。しかし、これはまさに、公共交通が乏しく車なしでは暮らせない地方に住む中低所得者を直撃する政策でした。
したがって、地方から抗議の声が上がり始め、ソーシャルメディアや署名運動を通じて、「蛍光の黄色いベスト(フランスでは万一事故が起きた時のため車に備えておくことが義務づけられている)をつけて抗議運動をしよう」という呼びかけが、あっという間に全国に広がりました。
11月17日、パリでも抗議行動の第一弾が始まりました。労働組合による動員ではなく、リーダーもおらず、インターネットの情報を見て自主的に集まった人たちですから、整然としたデモではなく、思い思いにシャンゼリゼに集まった、という印象でした。
凱旋門に多くの人が集まりました。シャンゼリゼは大統領府があるだけでなく、パリの観光の中心地なので、ここでデモを行えば、世界中に報道されるから、効果抜群なのです。
この日、全国2000か所以上で、30万人近い人が抗議行動に参加しました。
それでも政府は反対の声に耳を傾けなかったので、翌週の土曜、11月24日にもデモが続き、さらに激化しました。デモはもう「マクロン退陣」の大合唱になっていました。
11月17日から毎週末、デモが3週続いた後の12月4日にやっと、燃料税値上げの6か月凍結を発表。さらに翌5日、6か月では皆が納得しないと思い直したのか、2019年には実施しない、という譲歩を発表しました。
しかしそれは、4週目のデモを回避したいがため、というのが見え見えで、黄色いベストの人たちは「遅すぎる反応だ。信用できない」と行動の続行を宣言しました。
パリの抗議行動で興味深いのは、三色旗と並んでブルターニュやコルシカなど、地方の旗をふる人が目立つことです。現在進行中の貧富の格差拡大は、首都と地方の格差拡大にもつながっており、日本でも見られる「シャッター街」がフランスの地方でも増え続けているのです。
マクロン大統領は、富裕層を優遇する政策をどんどん進めており、燃料税値上げが中止されても、まだまだ反対することがいっぱいあります。年金生活者の税金も上がるので、高齢者がたくさんデモに参加しています。
人々の怒りはもう、政府というより、マクロン大統領一人に向けられている感があります。
炭素税の次に槍玉に上がっているのが、彼が廃止した富裕税です。これまで不動産や金融資産の総体にかかっていた富裕税が、不動産だけにかかる不動産税にとって代わられました。
「不動産を持っている人は個人的に家賃収入を得るだけだから、経済には貢献しない。投資資金を持っている人は、それをビジネスに投資して経済を回せる。よって、富裕税は不動産にだけかかるようにする」という理屈です。
しかし投資資金がフランス国内に残る確証はないし、投機に使われるだけで、実体経済にどれだけの効果があるのでしょうか?
これからもマクロン政権は、パリ空港公団など、フランスの資産の切り売りし、大企業や金融資本の優遇、社会保障費の削減を続けていくことでしょう。なにか、日本の状況と似ていませんか?
「黄色いベスト運動」はもう「燃料税値上げ反対」ではなく、「マクロンやめろ」運動なのです。パリ中心部のヴァンドーム広場やバスチーユ広場にギロチンの模型が運び込まれ、フランス革命のアナロジー(オマージュ)も散見されます。
マリー・アントワネットが言ったとされる「パンがなければ(より高価なお菓子のような)ブリオッシュを食べればいいじゃないの」を下敷きにして、「燃料代が上がったのなら、電気自動車を買えばいいじゃないの」と、電気自動車を買う経費を一部負担する、というマクロン大統領の政策が皮肉られています。
ディーゼル車をなくすため、電気自動車に買い換える人に5000ユーロ(約65万円)の援助をする、と言いますが、それでも買えない人が「黄色いベスト」の人々なのです。
福祉予算を削減した上で、晩さん会用の食器に6000万円以上を費やした(※4)というのですから、ルイ16世とマリー・アントワネットに比定されるのは当然でしょう。
最初は、「若くて賢そうで、貧困や格差を是正すると約束していたので、やってもらおうじゃないか」と思った人も、すっかり幻滅しています。
今回の運動で一番重要なのは、これまで発言しなかった人々、積極的な行動を取らなかった人々が、声をあげ始めたことです。「来週も抗議行動を続けるのか」と聞かれた若い男性の答え、「もちろんだ。抗議しなければ、僕たちはいつまでも羊のままじゃないか」という言葉が印象的でした。
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