10. 母系社会[1268] leqMbo7Qie8 2016年12月29日 18:29:25 : jPjq0SgwpY : j4BpqcI_QtM[1]
<市場社会主義を「実証」した「モンドラゴン協同組合企業グループ」>
2012/09/11 に公開
映画「スペイン モンドラゴンの奇跡」の予告編(日本語字幕)
mondragon trailer jp subtitle OK
https://www.youtube.com/watch?v=f3-Ifn5f1ao
●モンドラゴン協同組合企業グループ
スペイン・バスク地方の小都市モンドラゴンには、260以上の協同組合等からなる「モンドラゴン協同組合企業グループ」という世界最大級の協同組合企業の連合体がある。
約93000人の組合員から成るこのグループには、生協や銀行、共済組合、大学も併設している教育協同組合、そして、自動車や機械、電子、ロボット産業などの最先端分野の労働者生産協同組合まである。
このグループは、労働者協同組合の連合体なので、「〇Xホールディングス」というような持ち株会社を中心にした株式会社の連合体のように、株主が出資株式数に応じて決定権を持つと企業集団ではなく、各組合の労働者が一 人一票の投票で、民主的に諸問題への決定に参加し、民主的運営と効率的経営を両立させながら、半世紀に渡って拡大・発展してきたスペインで9位に入る産業集団である。
日本では農協や生協は巨大だが、一般的に協同組合の多くは福祉や介護、清掃、食品製造や販売などの分野の小規模組合が多い。しかし、現代の世界経済は、複数の大規模な多国籍企業が経済システムの中枢に存在し、経済を統御している。
だから、資本主義的な経済体制から社会主義的な経済体制に変革 しようとする場合、現在の多国籍企業に替わる大規模な労働者生産協同組合の在り方を究明することが、非常に重要となる。
●スペイン最大の家電メーカーになった「ファゴール」(FAGOR Electrodomesticos)
その点で、かつて、この「モンドラゴン協同組合企業グループ」に存在した「ファゴール」(FAGOR Electrodomesticos)という労働者生産協同組合は、こうした大規模な労働者生産協同組合の在り方を究明する上で、貴重な経験を残してくれた。残念ながら、2013年のリーマンショックで、スペインやヨーロッパ経済は未曽有の大不況に襲われ、倒産してしまったのだが、未来社会を構想する際には、貴重な手掛かりを残した労働者生産協同組合であった。
と言うのは、この「モンドラゴン協同組合企業グループ」の起源は、カトリックの補助司祭により、1943年に開設された技術系学校の卒業生によって設立された小さな有限会社で、この有限会社が労働者生産協同組合に改組され、倒産した「ファゴール」(FAGOR Electrodomesticos)を中核的協同組合として、組合員により民主的に運営されながらも、効率性も実現して持続的に発展・拡大し、グローバルに事業を世界レベルで展開する生産体にまで成長したからだ。
尚、現在、日本でも「ファゴール・インダストリアル」の食器洗浄機などが販売されている。これは倒産した「FAGOR Electrodomesticos」から分離・独立した別の労働者生産協同組合であり、「ファゴール」ブランドで製品を製造していた全ての協同組合が倒産したのではなく、「ファゴール・インダストリアル」以外にも、「ファゴール」ブランドを使用している協同組合がある。
(労働者生産協同組合だったから倒産したとは言えない。リーマン・ショックの打撃は巨大で、普通の株式会社も多数倒産したからであり、また、「モンドラゴン協同組合企業グループ」自体はリーマン・ショックも乗り越えて組合員も増やし、発展しているからである)
Fagor Industrial社 紹介ビデオ
https://www.youtube.com/watch?v=ORFLA4rRThI
●労働者生産協同組合でありながら、先端技術を駆使する「多国籍」労働者生産協同組合「ファゴール」」(FAGOR Electrodomesticos)
倒産した「FAGOR Electrodomesticos」は労働者生産協同組合でありながら、先端技術を駆使するスペイン最大手の家電メーカーとなり、製品の半数を世界各地に輸出していた。中国など世界各地に系列工場やオフィス、販売店を保有する「多国籍」労働者生産協同組合であり、日本にも輸出していた。
現在、日本でも製品を販売している「ファゴール・インダストリアル」も「モンドラゴン協同組合企業グループ」の一員で、1963年に設立された。この労働者生産協同組合も現在、世界7カ国に工場を持ち、16カ国にオフィス、世界90ヶ国に販売店を有する世界第10位のグローバルな厨房機器メーカーである。
●労働者自主管理型市場社会主義=初期社会主義の実現可能性を示した「モンドラゴン協同組合企業グループ」と「ファゴール」
この「モンドラゴン協同組合企業グループ」と「ファゴール」の奮闘は、労働者生産協同組合であっても、先端の多国籍企業のような展開も可能であることを示した。もちろん、倒産したので、多くの反省や教訓・課題も残したのだが、労働者生産協同組合でも、効率的な運営も出来るのである。
労働者生産協同組合の集合体は、資本主義経済システムに替わり得るのである。つまり、「モンドラゴン協同組合企業グループ」は、初期の社会主義的な経済システム=労働者自主管理企業から成る市場社会主義システムが、資本主義の生活水準を維持できることを「実証」した。
モンドラゴン協同組合企業
モンドラゴンの創造と展開―スペインの協同組合コミュニティー 単行本 1991/6
ウィリアム ホワイト (著), キャサリン ホワイト
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%B4%E3%83%B3%E3%81%AE%E5%89%B5%E9%80%A0%E3%81%A8%E5%B1%95%E9%96%8B%E2%80%95%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%81%AE%E5%8D%94%E5%90%8C%E7%B5%84%E5%90%88%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC-%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%A0-%E3%83%9B%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%88/dp/4818804649
ユニオン化学株式会社(日本の代理店)
http://union-chemical.co.jp/index.html
日本協同組合連絡協議会(JJC)「もし...だったら」
ー協同組合がよりよい社会を築きます
https://www.youtube.com/watch?v=4neqspCjNzI
非営利・協同総合研究所いのちとくらし主任研究員石塚秀雄氏のサイト
「石塚秀雄のページ」
http://e-kyodo.sakura.ne.jp/ishizuka/mondoragon.htm
日本協同組合連絡協議会(略称:JJC)
http://jccu.coop/info/announcement/2016/20160126.html