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[政治・選挙・NHK219] 日米同盟は「不変の原則」という安倍演説にトランプ演説が浴びせたパンチ力−(田中良紹氏) 赤かぶ
29. 母系社会[1276] leqMbo7Qie8 2017年1月25日 17:24:27 : O2rK95giTE : IxIAOO1NkNg[1]

●社会を形成して生活をする人間には、<信頼されること>が最も重要であり、この<信頼>なくして、人間社会ではまともな生活をすることはできない。だから、政治は国内政治でも国際政治でも、どちらも「信なくば立たず」であり、<信頼>が最も重要である。

アメリカや中国、ロシア、ドイツとのその時々の柔軟な「合従連衡」政策で生き延びようとするような生き馬の目を抜く「マキャベリズム」的戦略には、それなりの強国であり続けるという前提=条件がある。だから、強国である間は「合従連衡」政策でも通用するが、力で戦う限り負ける場合もあるので、いつかは破綻してしまうのである。

その証拠が、戦前の単なる利害的同盟の日独伊の枢軸同盟であり、また単なる欧米列強の被害者同盟的な理念無き「アジア主義」=「大東亜共栄圏」構想である。それで、一回でも戦争に負けて弱体化すると、その後、復興しても従米の政治弱者であり続けなければならなくなる。

それが現在の日本であるが、真に「普遍的な理念」があれば、負けても「普遍的な理念」による新しい同盟が可能となり、復活は可能である。そして、<信頼>とは、究極的には人間に対する信頼だから、人間観に依存して生成消滅するものなので、人間という存在を、どう考えるかがポイントとなる。

●初期の現生人類はアフリカで、数千から数万家族からなる集団で生活をしていた時期があったという。だから、この頃の人類は、同じ言葉を話す一つの黒い肌をした血縁集団=黒人の部族として、協力し合いながら暮らしをしていたはずである。

しかし、その後アフリカ内でも拡散し、更にアフリカを出て世界中に拡散して世界各地に定住すると、人類は各地の環境に適応することで、言葉や文化・宗教だけでなく、肌の色も異なる集団になって、人類は互いに、かつては同じ部族であったことも忘れられてしまい、戦争が頻発する世界となった。しかし、近親相姦のタブーや肉体には善や悪などの様々な「質」を持つ<魂>=<人格>=<自我>が宿っているという人間観は世界共通であった。

(ただし、日本の縄文神道=古神道のように地獄という概念が無い「アミニズム」では、悪いことした人も丁寧な葬式をすれば、「あの世」に行けると考えられていたので、「アミニズム」の善や悪の概念は、善人は天国に行き、悪人は地獄に行くという天国や地獄という思想が生まれた後の、絶対的な善や絶対的な悪の概念とは異なっていた)

ところが、アジアの知識人たちは、このような人間観を修正する新しい人間観を提唱してきた。その典型が<自我>さえも否定した「関係主義」=「非実体主義」の仏教であるが、「衣食足りて礼節を知る」という儒教や、陰と陽の力関係で人間も含めて全ての現象を説明する道教も、「生まれながらの悪人や善人」というような固定的な<魂>を持つ生物という人間観を否定する人間観を提唱した宗教だった。それで、アジアの知識人や民衆には、この新しい人間観を、意識的・無意識的に信じている人が多い。(イスラム教の哲学も、仏教と同じ「関係主義」)

●ところが、神が創造した人間には生まれながらの原罪があるという「実体主義」のキリスト教が蔓延してアジアと同じ「アミニズム」の人間観を駆逐した欧米社会には、釈迦や孔子、老子、そしてムハンマドのような人間観を持つ知識人は誕生しなかった。

それで、もともと欧米人には血統主義者=人種差別主義者が多い社会だが、トランプの選挙運動は、この血統主義を解き放ってしまった。ただし、欧米人にはトランプ本人も含めて無意識的な血統主義者=人種差別主義者が多く、明確に自覚している人は少ないと思われる。

(トランプは、正規手続きでアメリカ人となった人まで追い出すとは言っていない。それで、正規手続きでアメリカ人となったスペイン系やアフリカ系アメリカ人からも、かなりの票を集めて勝利した)

また、近代になると、アジアでも宗教が没落して釈迦などが唱えた人間観は衰退したため、そして資本主義のイデオロギーである実体主義に基づく「個人主義」が浸透したために、アジア人にも、日本のネトウヨのような明確に自覚していない無意識的な血統主義者=人種差別主義者が多い。

だから、北朝鮮の金王朝のように、アジアでもトランプのようなカリスマが生まれやすいのは欧米と同じである。しかし、アジアには釈迦や孔子、老子、そして、日本の縄文神道=古神道などが唱えた伝統宗教の非実体主義的な人間観があり、この人間観は今でも、多くのアジアの人々の心の底で生きている。

日本は、この非実体主義的な人間観に基づき、人間同士の<信頼>に基づく生活の実現を目的にした<新たな連合・同盟>をアジアの諸国を中心に創設すべきである。この<新たな連合・同盟>の政治理念は、生まれながらの「悪人」も、また、生まれながらの「悪人」から成る「悪の帝国」も存在しない。だから、破壊も殺人も必要はなく、国内社会と国際社会の「環境」を変えれば良いという<関係>を変えることを主眼にした<かくめい>を提唱する<新たな連合・同盟>にすべきである。
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