20. 中川隆[-13365] koaQ7Jey 2018年10月28日 20:38:13 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-19639]
富裕層から突然転落する人々。そのほとんどの原因は金融投資である<不動産執行人は見た16>
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2018.10.26 ニポポ ハーバー・ビジネス・オンライン
一瞬にして金持ちにもなれるが、瞬時に貧乏にもなるリスクがある。それが株式投資である
不動産執行の現場では、債務者が切迫感から精神や生活が崩壊していく例を多く見るが、なかには次のような現場に出くわすこともある。
建物や敷地周りを眺めても細部までが美しく保たれており、内部へと立ち入れば奥さんが客間でお茶を出してくれる。我々はこれらに手を付けることが出来ないため丁寧に断りを入れると、債務者が悠然と室内の案内を開始する。
大抵は債務者がじわりじわりと経済的に追い詰められ、疲弊し心を失い、その結果として家庭や生活が崩壊していくのに対し、彼らは一瞬で経済的破綻に陥ったため、現実感がないのだ。
「いやあ、実は投資に失敗しまして……」
奥さんの前でバツが悪そうにつぶやかれたその言葉が、この状況を招いた直接的な原因のようだ。
案内される室内に目を向けてみる。5年ほど前に大規模リフォームを施したということで細部までが新築のような3階建ての豪邸。
広々と開放感のある玄関から今時珍しい客間、奥には中庭が眺められる温泉旅館のような風呂が備わり、さらに進むと自慢の愛車を見て楽しむことが出来るビルトインガレージの存在が。
とは言えガレージの主役であるはずの愛車は既に不在となっており、どうやら売却された後のようだ。いずれにせよこれだけでも十分に「こだわりの人」であることが伺える。
2階に上がると債務者同様にゆったりとゆらめく魚たちの姿が、広大なリビングの壁面水槽内にあり、奥には仕事場兼書斎。
3階には夫婦の寝室や二人の娘の小奇麗な部屋があり、大きな天窓で採光までが考えられている。
金融投資の危険性は、もっと広く知られるべきだ
豪邸を案内してくれる債務者の口からは時折、自身に言い聞かせるような反省の弁があった。
「最初は株主優待が目当ての可愛いものだったんですがね」
「いつしかホールドしておかないと落ち着かないようになり、ちょっとした値動きで利益を出せない自分に焦りや苛立ちを覚えるようになりました」
「利益を確定できなかったことを損失と考えるようになったのがマズかったですね。それを取り返そうと信用取引や、レバレッジの高い投資に手を出すようになってしまいまして、突っ込みすぎたところに急落が発生し強制決済と追加保証金の連鎖で為す術がなくなってしまいました」
「もう投資からはキッパリ足を洗います」
債権者に相談すればもう少し期間的猶予が与えられたのかもしれないが、債務者も今回の“損切り”に関しては迅速に行動ができたようで、既に自己破産の手続きを開始しているという――。
投資の失敗は人に話せず一人で抱え込み、家族にも隠されたまま家庭崩壊の火種となるケースも多い。自身の判断ミスが原因と負い目に感じているフシがあるのだろう。
今回の債務者は失敗談をわかりやすく人に話せている時点で精神的な強さが感じられるのだが、再起のチャンスに賭ける思いは今の所発生していないようだ。
言うまでもないが彼らを破綻に誘導したのは、ギャンブル依存症だ。
パチンコや競馬に競輪といった我々の身近にあるギャンブル。これらがギャンブル依存症に直結した問題の根源である、病巣であると悪者にされがちではあるが、実際にこれらのギャンブルが不動産を取り上げられるほどの生活破綻に繋がったケースを目の当たりにしたことはない。差し押さえ・不動産執行の現場で出会うギャンブル依存症の事例、その多くは金融投資だ。
この資本主義社会に於いて、経済活動の大きな柱の一つとも考えられている金融投資を悪者にする報道は禁忌に等しい。
しかし、AIを用いたシステムトレードや超高速アルゴリズム取引が横行し、企業すら投資を行わず内部留保に走る昨今、個人投資家にどれだけの勝算があるのだろうか。
知識や経験がなくとも容易に参入できそうな敷居の低さばかりが打ち出されているが、事業計画や将来性に対する応援と言った意味合いを既に失い、勝算の低い丁半博打になりつつある金融投資の危険性を、もう少し広く発信すべきではないだろうか。
このまま破産者を出し続けることが、果たして健全な経済活動と言えるのだろうか。
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