5. 中川隆[-12890] koaQ7Jey 2018年6月04日 23:02:39 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-14932]
悪いのは安倍先生ではなく財務官僚だ
「軽い処分」で幕引きを図る財務省は、やっぱり解体した方がいい
国民が納得するはずナシ
橋 洋一 経済学者 嘉悦大学教授
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55931
文書改ざん等の問題について、先週末、財務省関係者が刑事事件で不起訴処分になることが決まった。また、今週には、財務省による処分も出される。ほっと胸をなでおろしている者も多いのだろうが、はたしてそれで十分なのだろうか。
次官のセクハラ発言も発覚した、問題だらけの財務省だが、出直すためには何が必要なのか。この未曾有の不祥事を受けて、筆者は
を緊急出版したので、その「はじめに」の部分を紹介しよう。
問題噴出の背景にあるもの
おごれる平家は久しからず─。
平安末期に政権を握った平家一族の興亡を描いた『平家物語』は、いかに権勢を誇った者でも、地位や権力を鼻にかけておごり高ぶれば、いつか奈落の底に落ちてしまうというこの世の常を、後世を生きる我々に伝えてくれています。
しかし、先人たちの教訓は生かされないまま、過ちは繰り返されてしまったようです。予算編成権と徴税権を盾に、政治家やマスコミ、他省庁をひれ伏し、最強官庁≠フ名をほしいままにしてきた財務省で、常識では考えられない不祥事が連続しているのです。
財務官僚トップの福田淳一前事務次官のセクハラ発言疑惑が発覚したのは、4月18日の『週刊新潮』の報道がきっかけでした。報道によれば、福田氏は4月上旬の夜に東京・中目黒のレストランに財務省の記者クラブに所属する女性記者を呼び出し、セクハラ発言を繰り返したといいます。
報道直後、財務省は福田氏への聴取をもとに、疑惑を完全否定するコメントを発表しました。麻生太郎財務大臣も調査や処分はしない方向だと述べました。財務省の発表した「女性の接客する店で言葉あそびを楽しむことはあるが、女性記者が不快に感じるセクハラ発言をした認識はない」という福田氏の弁明は、世論のさらなる反発を呼びました。
しかし、『週刊新潮』は16日になって、福田氏のセクハラ発言とされる音声データをネット上で公開。そのあまりに破廉恥な発言の数々に、財務省OBである筆者などは怒りを通りこして呆れてしまいました。同日、テレビ朝日の報道責任者らが会見を開き、「福田氏からセクハラ被害を受けたのは自社社員である」と公表しました。
窮地に立たされた福田氏は18日になって財務事務次官辞任を表明しました。『週刊新潮』の報道内容は「事実と異なる部分がある」として今後裁判で争う意向を示したものの、自らの振る舞いが原因で混乱を招き、業務遂行が困難になったと説明しました。
現役財務官のセクハラ辞任劇≠ヘ、まさに前代未聞。福田氏のセクハラに対する時代錯誤な考え方や、後手になった財務省の危機管理対応は、国民のさらなる怒りを招きました。1990年代に騒がれた大蔵省の過剰接待問題の頃から、財務省は何も変わっていなかったのではないかと批判されても仕方ありません。
これだけではありません。福田氏の辞任の1カ月ほど前には、森友学園問題の国有地売却をめぐる決裁文書の改ざんが発覚し、当時、理財局長として国会対応に当たっていた佐川宣寿前国税庁長官も辞任しているのです。
改ざんはなぜ行われたのか
財務省から国会に提出された資料を見ると、改ざん前と改ざん後で文書の内容が大きく変わっているわけではありませんでしたが、それにしても、一度決裁した行政文書を改ざんするという行為は、官僚としての倫理に大きく反し、決して許される行為ではありません。
森友学園問題をめぐる国会質問において、佐川氏はずさんな答弁を繰り返していました。佐川氏は現場での経験がないため、国有地売却についての専門知識がなく、あやふやなまま答弁していた疑いが濃厚です。
たとえば、佐川氏は国会答弁において、「価格交渉」がなかったと繰り返しましたが、これは嘘であることは各種の情報からすぐにばれてしまいました。随意契約による国有地売買においてトラブル案件になってしまったときには、適正な価格交渉が公平性の担保になるにもかかわらず、佐川氏はそのプロセスすら否定してしまうという、不用意な嘘を繰り返したのです。
改ざんはなぜ行われたのか。筆者の直感で言えば、佐川氏は国有地売買の実務や決裁文書の流儀がわからないまま答弁し、野党議員との質疑で追い込まれてしまった。このままでは、国会審議が乗り切れないと判断し、決裁文書で交渉経緯などを削除し、自らの答弁との整合性をとろうとした。そして、その後は文書を破棄したなど、嘘の上塗りを繰り返した─という見立てです。
森友学園問題をめぐっては、その後、国会で森友学園問題の追及が行われた2017年2月に財務省の理財局職員が、森友学園に売却する国有地のごみの撤去に関して、嘘の説明をするよう学園側に「口裏あわせ」を要求していたことも明らかになりました。
大多数が東大法学部を卒業し、国家公務員総合職試験という難関を突破し、官庁の中の官庁≠ニいわれる財務省に入ったエリート中のエリートたちが、なぜここまで稚拙な不祥事を繰り返すのか。多くの人が憤りを感じるとともに、理解に苦しんだことでしょう。
「官僚の劣化」を指摘する声もありました。しかし、財務官僚として長年にわたりその中枢で働いてきた筆者にしてみれば、財務省の「おごり」と「欺瞞」は今に始まったことではありません。「セクハラ、改ざん、口裏あわせ」という不祥事として、ようやく表面化してきたにすぎないです。
決定的なおごり
財務省の「欺瞞」がもっとも顕著なのが、長年にわたる消費増税をめぐる議論です。財務省は国債と借入金、政府短期証券を合わせた「国の借金」が1000兆円を超えたと喧伝し、増税を煽り続けていますが、これは政府の負債だけに着目する実におかしな議論です。
世界標準の考え方に則れば、国の財政状況を正しく見るためには、日銀を含めた「統合政府」としてのバランスシートを元にすることが必要です。それで見ると、日本はほぼ財政再建が終わっている状態で、健全な財政状況だということがわかります。
こうした事実を直視せず、国の財政状況を正しく国民に伝えない財務省の姿勢は「欺瞞」そのものです。経済成長を否定し、歳出権の拡大による天下り先の確保という自らの省益確保のために増税を煽り続けるのは、将来的な国益を損なうものです。
それにもかかわらず、当の財務官僚は自らのことを「悪者になってもいいから、あえて国民に不人気な増税という選択肢を突き進む国士」だと勘違いしているのです。この思い上がりに財務官僚の決定的な「おごり」があるのです。
さて、森友学園問題をめぐっては、官僚の「忖度」が頻繁に取りざたされました。内閣人事局によって、人事権を握られているため、財務官僚は官邸に逆らえないというストーリーです。しかし、財務官僚に限っては、この議論とは無縁でしょう。
財務省は総理、官房長官、官房副長官のすべての役職に秘書官を出しており、強固な官邸ネットワークを保持しています。そのため、官邸をかなりの程度コントロールすることが可能です。事実、内閣人事局ができて以来、天下りを含めて財務省の意向に反した人事は行われていません。政治家サイドはいまだに財務省に手を出せないのが現実です。
そもそも、財務官僚は政治家を恐れていません。むしろ、政治家が財務省を恐れています。政治家は、国税庁がすべての資金の出入りを握っていることを知っていますから、その上部組織である財務省を警戒し、一目置かざるをえないという背景があります。
怖いもの知らずの財務省は、意にそぐわない政策を進めようとする政権に対して、クーデターを起こすことさえもあります。筆者が官邸に勤務していた第一次安倍政権の頃の話です。
当時、安倍政権は公務員改革を進めており、これが官僚には大いに不評でした。天下りが困難になるということで激しい反発があったのです。そこで、事実上の官僚の代表である財務省は、官邸ネットワークを駆使して安倍政権にさまざまな嫌がらせ≠仕掛けてきました。
取り返しのつかないことを…
首相、官房長官の国会での想定問答の差し替えなどは日常茶飯事でした。想定問答の中の肝心な部分を意図的に削除してしまうのです。当然、総理や官房長官は答弁をするうえで困ってしまいます。筆者はそのたびに本来の想定問答を用意し、総理、官房長官に直接上げなければなりませんでした。
そんな時、ある閣僚が「財務省は倒閣運動をしているのではないか」とこっそり筆者に漏らしたのです。この閣僚は、実際に某官邸高官から「財務省をはじめとする官僚組織が倒閣を画策している」と聞いたと打ち明けてくれました。
時の政権をも脅かす財務省。二度目の安倍政権下においても、「財政再建」と「金融緊縮」を至上命題とする財務省は、「経済成長」と「金融緩和」を中心とする安倍官邸と、様々な暗闘を繰り広げています。
こうしたおごりと欺瞞にまみれた財務省が、前代未聞の不祥事を立て続けに起しました。筆者は、信頼回復のためには「財務省解体」という荒業が必要だと考えています。それほどまでに取り返しのつかないことを財務省はしてしまったのです。
財務省解体とは、国税庁を財務省から切り離し、日本年金機構の徴税部門と合併させて、新たに税金と社会保険料の徴収を一括して行う「歳入庁」を新設することです。
他省庁は予算を求め、政治家は徴税を恐れ、マスコミはネタを求めて、財務省にひれ伏しています。世界を見渡しても「予算編成」という企画部門と、「徴税」という執行部門が一体となっている財務省のような組織は例外的です。
この二つの巨大権限が集中してしまっていることが、財務省のおごりを生み出し、欺瞞を許してしまっているように筆者には思えてなりません。
おごれる財務省は久しからず。
今こそ財務省を解体する好機なのです。
http://www.asyura2.com/17/china12/msg/750.html#c5