43. 2016年12月19日 18:25:27 : lh6zNbQ946 : aP7A7WqrvGU[4]
>>42.
核分裂連鎖反応の暴走とはどういうものかを簡単に説明して起きます。
原発では、
核分裂で放出された中性子のうち他の原子核に当たる中性子の内訳を見ると、
1%は遅発中性子(誘発に0.1秒掛かる)で、
即発中性子(誘発に0.0001秒しか掛からない)は99%だけです
例えば、核分裂が次の核分裂を誘発したときの数の増え方が、
一時的に
×1.001
になっても、即発中性子だけでは×0.99099となって1を超えない、
0.1秒も掛かる遅発中性子の後押しが無いと1を超えない、
から、数の増え方が緩やかで済むのです。
具体的には1秒間に2〜3倍にしかならない(理由は後述)。
だからこそ、制御棒の抜き挿しという時間のかかる方法で制御できるのです。
ところが
×1.011
になると、即発中性子だけで×1.00089となってしまい、
1秒間に1.00089の10000乗=7300倍を超える増え方になってしまうのです
(即発中性子だけなら7300倍。遅発中性子による誘発も加わり7300倍超)。
制御棒を挿すのは追いつかず、
2秒後には、7300倍の2乗=53290000倍という感じで増えて行く。
こうなった状態を暴走といいます。
つまり「原発燃料では爆発しない」という説明は、
あくまで×1.010以下を死守できる筈だ、という前提で言ってるのです。
燃料プールには制御棒が無い代わりに、
燃料集合体同士の間隔を広く保つことで、
×0.98
を死守している。
ラックが壊れてちょっと間隔が狭くなっただけで、
×1.011
を超えることは、想像がつくと思います。
燃料プールも核分裂連鎖反応の暴走した奴が起こり得るのです。
「遮蔽板で仕切ってるから間隔が狭くなっても×0.98のままだ」
という考えは間違え。
遮蔽板は1%くらいしか減らすことができない(99%は通す)ので、
燃料集合体同士の間隔がモロに影響する。
それでは、核分裂連鎖反応の暴走した奴が起こったら
核兵器のような爆発をするか、というとそうはならない。
そこにあるウラン235のうち、ほんの一部が核分裂した時点で、
すでに起こった核分裂による熱だけで、
超高温になって膨張してしまって原子核同士の間隔が広がり、
連鎖できる条件を満たさなくなり、核分裂連鎖反応が停まるのです。
つまり、ほんの一部が核分裂した程度の熱量になるのです。
だから、ガス爆発と核兵器の爆発の中間くらいの規模になる、と言ってる。
そのくらいの規模だと、建屋が跡形もなくなる程にはならない。
しかし、燃料を溶かして気化するくらいの熱量は出る。
建屋が跡形もなくなる程の熱量と
燃料を溶かして気化するくらいの熱量
が同じくらいだと考えるのがおかしいのです。
■核分裂が次の核分裂を誘発したときの数の増え方が×1.001だと、
1秒間に2〜3倍になる理由は、
0.0001秒間に1.00009倍になるからです(1.00009倍の10000乗=2.45倍)。
なぜ0.0001秒間に1.00009倍になるかというと、
100000個の原子核が核分裂した場合を例に説明すると、
250000個中性子が放出されますが、増え方が×1.001ですから
100100個の中性子が他の原子核の当たります。
内訳は、
100100×0.99=99099が即発中性子で
100100×0.01= 1001が遅発中性子です。
遅発中性子は0.1秒後に当たるので、
即発中性子が当たる工程が1000回起こったときに、ようやく当たるのです。
当てられる原子核達の立場から見ると、
即発中性子は0.0001秒前の核分裂で放出された物であり、
遅発中性子は0.1000秒前の核分裂で放出された物ですから、
当てられる個数、分裂する個数は、
0.0001秒前に分裂した個数×1.001×0.99
+0.1000秒前に分裂した個数×1.001×0.01 個
になっている筈です。
もし0.0001秒間に1.00009倍ずつ増える状態なら、
0.0000秒 100000
0.0001秒 100009
‥‥‥‥‥‥‥‥
0.0999秒 109407
0.1000秒 109417
という増え方をし、
109407×1.001×0.99
+100000×1.001×0.01 個
=109422 個
となり、
0.0001秒間に1.00009倍ずつ増えるという条件から求めた
109417 個
とだいたい同じになります。
誤差はありますが、
真の値も 1.00009倍 に近い値になることはわかると思います。
つまり、
原発燃料は爆発しない、
1秒間に2〜3倍にしかならない
と言ってる理由が、
他に安全な理由があるわけではなく、
単に、上に書いたような、たった1%の余裕
のことを言ってるだけだとわかると思います。
■なお、
即発中性子と遅発発中性子の内訳は、
核分裂で放出される数は0.6%と99.4%ですが、
即発中性子の方がどれにも当たらない確率が高いので、
当たる内訳は、1%と99%になるのです
「1%ではなく0.6%だ」と突っ込んで来る人が居そうなので
予め説明しておきます。
http://www.asyura2.com/16/genpatu47/msg/111.html#c43