4. 2018年8月18日 03:26:09 : EPw1TZWTFe : ANHoqKwAMSw[1]
フィッシャーの交換方程式の問題は、使われなかった貨幣をどのように扱うのかという問題である。例えば、ある貨幣として何枚かの1000円札を使う経済があって、この中に一度も使われなかった1000円札があったとしよう。すると、この1000円に関してはM=1000であっても、V=0(すなわち、一度も使われなかった)なので、MV=0ということになる。つまり、1000円という貨幣が存在しながら、貨幣としては使われなかったということになる。
しかしながら、この考えを積極的に取り入れると貨幣数量説の考え方に関する矛盾が生じる。貨幣数量説とは簡単に言えば「貨幣を増やせば物価が上がる」という考え方だったが、MV=PTと言う等式において、貨幣量を増やしても購買に使用されない貨幣があると考えると、貨幣量を増やしても物価上昇につながらないということになってしまう。
そこで、使われなかった貨幣の扱い方は2通り考えられる。1つ目は、貨幣数量説では、購買に使用されない貨幣は、フィッシャーの交換方程式にはそもそも含まれないというものである?!(新古典派経済学の限界)
あるいは、2つ目の扱い方として、貨幣が増加したときに、使われなかった貨幣も含むとすると、その分だけ貨幣流通速度のVが低下するというものである。この考え方を積極的に取り入れ、貨幣量を増やしても貨幣流通速度が下がる可能性を考慮してしまうと、MV=PTという方程式のMとPの比例関係が成り立たなくなり、貨幣数量説の考え方に問題が生ずる。
現実には、貨幣が使用されない場合とは、例えば購買を控えたために使用されなかった貨幣や、将来の使用のために退蔵された貨幣、パナマ貯金や内部留保、銀行の当座預金残高積み上げの形で退蔵されたと考えられよう。
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