17. 2018年8月01日 10:48:04 : yLQX6Z3aLQ : abRHBv1FHFc[1]
いい加減「安倍を支持する者は愚民である」という硬直した見方から脱却しませんか。
以前から自民党政権を支持していた人々はともかくとして、いわゆる「浮動票」と呼ばれる人々が広く安倍を支持してきたからこその安倍長期政権なわけです。野党はその浮動票の人々を今度は逆に自分たちの側に取り込んでいかないと、政権奪還は無理です。
それなのに、その大切な「お客様」に向かって「愚民」だの「洗脳されている」だの「B層」だの、好き放題な言い様で日頃の鬱憤を晴らしても、それは単に「八つ当たり」です。あなた方が現在安倍を支持している「愚民ども」をいかに軽蔑しようとも「そんな愚民どもの票は要らねぇや!」とは言えない筈です。政権を奪還するには今は安倍を支持している彼らにこそアピールしていく方策を考えださなければ、次もまた負けるだけです。
安倍は彼らにアピールして、それは成功したわけです。いわゆるアベノミクスです。とにかく金融緩和をしてお金をじゃぶじゃぶ市中に出して人工的に景気を浮揚させる、すべてはそれからなのだ!という政策ですよね。インチキ臭い政策ですが、でもそれなりにそのインチキはある程度成功したんです。これは安倍が好きとか嫌いとか以前の話です。
もちろんアベノミクスにも批判されるべき点はたくさんあって、それは経済的弱者への手当てがお粗末なことだったり、教育や福祉、医療や介護などの分野にこそお金をつぎ込んで成長させることで経済全体の成長を狙うべきなのにそうしてない、など色々あるわけですが、それにしても、例えば雇用の面では昨年や今年などはずいぶん改善されてきています。学生の就活も売り手市場なわけで、氷河期世代からすれば隔世の感ですよ。実際に仕事の口にありつける人々が現政権を支持するのは当然です。
「雇用が改善したのは安倍の功績ではない」という意見もあるでしょう。もしかしたらそうなのかも知れません。でも少なくとも、それが安倍の功績でないのなら、野党の功績でもないこともまた言うまでもないことです。当然、まだ非正規雇用などの問題も深刻ですが、何よりも目先の雇用状況は間違いなく改善しています。
そのアベノミクスも、最近はトーンダウンしてきて、緊縮経済的な財務省の意向に沿ったような政策に変わろうとしてきています。しかし、その安倍政権よりも、経済規律を重んじて緊縮経済を志向しているのは、枝野さんなどの旧民主党の人々だったりします。本来の野党の立場ならば「アベノミクスは生ぬるい!もっとじゃぶじゃぶ金を出せ、財務省が何を言っても言うこと聞くな!今は財政規律より経済弱者救済と景気浮揚だ!介護や医療の分野を急成長させろ」と言えばいいのに、野党は誰もそんなことは言ってくれません。最近ようやく小沢さん(というか山本太郎さん)の所がそう言い始めていますが、彼らもまだ他の野党にまでその政策を働きかけてはいないようです。仮に経済政策でバラバラな野党が選挙で連合しても、それは安保政策がバラバラなのと同じくらいに頼りないと感じてしまいます。
要はアベノミクスを批判してその「逆張り」をするのではなく、アベノミクスの更に上をいくような経済政策を打ち出せばアピールになるのに「財政再建を優先する」というような優等生的なもっともらしい事しか言ってきてこなかった野党が支持を広げられないのは、ある意味で当然ではないかと思います。まだ失われた20年からまったく立ち直れない状況で財政再建を言うのは、それだけで結果的に財務省の操り人形に堕してしまっていることになると思います。次の世代にツケを残すな、という意見はもっともらしく聞こえますが、放っておくと「次の世代」が育たない世の中が続いてしまいます。少なくとも今の野党には経済政策を大きく見直してもらわないと不安です。
安倍がダメだから安倍以外ならだれでもいい、という意見も聞きます。そう言わなければならないほど状況は切迫しているのがお前には判らないのか、とも言われます。しかし「安倍以外なら誰でも」などという政権選択で経済が今より上向く筈はありません。政策には色々な分野がありますが、基本はまず経済です。食べられなければ平和や教育やLGBTの権利擁護を語っても意味がありません。次の政権はまず経済問題で浮動票の層へどうアピールしていくかが課題になるはずです。
野党は安倍の失点を責める戦術に徹しているようにも見えます。確かに安倍政権にはどうしようもないダメな部分が山のようにあります。その地金が凶暴なスーパー右翼志向なことも今や全く隠そうともしません。本当に危険な政権だと感じます。
しかし、その一方で、本来なら野党や労組が言うべき労働者の賃上げなどを言う自民党政権の首相は、いままでいませんでした。それがどんな目的だろうが財界との出来レースだろうが、実際に労働者の賃上げを財界に訴えて雇用も改善した政権だ、と評価されてしまっても仕方ありません。野党はそれに対して「オレたちの方が頼りになる」と言ったとしても、今は説得力が何もないのが現状です。「アベノミクスなどインチキだ!」うん、そうかもしれない。でもそれは負け犬の遠吠えにも聞こえてしまいます。安倍の失点を数え立てる算数に磨きをかけるより、自分たちがもっと良い未来を描けるように今の野党は図画の練習を必死でするべきです。絵筆は良い経済政策でお願いしたいところですけどね。
>>9さんがお書きになったように
>リベラル勢は本来支持してもらうはずだった勢力から見放されているともいえるだろう。
>弱者を救うはずのリベラルが、弱者からは支持されていないのだから。
矛盾と言うか、皮肉な話だとは思うね。
>>9さんのお書きになった意図とは別か知れませんが、私もそう思います。
そして、その責任はリベラル勢の政策の選択の仕方にあると思います。本当に弱者の救済に目を向けるなら、この状況下で政権奪還を目指す野党の主要な政治家が「私は財政規律論者だ」なんてオソロシイことは言えないはずだと思うのでした。
http://www.asyura2.com/18/senkyo248/msg/528.html#c17