だいぶ以前のことですが、私は環境庁（現環境省）絡みで、ある環境検討委員会の検
討委員を務めたことがあります。その話から共産党に関するエピソードをひとつ。

当該検討会は本来、自然環境を中立的・科学的に評価を検討する場ですがかかわらず
、事務局（行政側）が開発計画など行政側の意向に沿う協議の方向付けを意図して現
実を反映していない調査資料を協議資料として席上に配布しました。そしてその土俵
で協議を進めさせようとしました。

このような事務局の協議を歪める行為は検討委員会全期間にわたりしばしばありまし
た。検討メンバーは大学教授や研究所の専門家が主ですが誰一人としてこのような現
実と異なる不適切な協議資料に疑問を呈して差し戻しを要求する委員がいませんでし
た。彼らは当該案件に関する独自の調査資料を持っていず協議資料に基づいて学問的
に判断するだけだったので、誰かが異議を唱えない限りその土俵で協議が進む様相で
した。

私は当該案件に関する私の調査グループによる綿密な調査資料を持っていたので、調
査データを克明に説明して事務局が用意した協議資料の撤回を強く求めました。この
私の異議に対して各委員の反対はなく、控えめながら私をバックアップする発言をす
る委員も一人二人いました。その後も行政の意向に沿うような協議の進め方をしよう
とする事務局側の不適切な資料に対してはしばしば異議を唱えました。そして十分で
はないがなんとか中立的・科学的評価に近づいた結果で委員会を閉会できました。

委員会閉会後、ある老委員と連れ立って帰る途中、その老委員は私に向かって唐突に
「共産党は優秀な人が多い」と言いました。突然で何のことかと思ったがどうやら私
の委員会での言動を見て私が共産党だとでも思ったようです。私は回答するでもなく
その言葉を黙って聞いただけでその場は過ぎました。

その老委員は、正義感が強く気骨のあるような人物には見えませんでしたが、教養も
あり頭もいい人物でした。そして彼が所属する組織のなかで地位の高い人でした。
どちらかといえば保守寄りの人物でした。
「共産党は優秀な人が多い」というのは私への皮肉かどうかわかりませんが、少なく
ともこの老委員の知的レベルの人から見ると、共産党には「優秀な人材が多い」と見
えるようです。
一般に保守寄りは共産党を卑下しがちですが、この老委員は保守寄りの人ですからこ
の見方はかなりフェアではないかと思います。

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