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(耕論)「他よりよさそう」? 武田砂鉄さん、飯田健さん、永井愛さん
2018年8月24日05時00分 朝日新聞
自民党総裁選で3選を目指す安倍晋三首相。各社世論調査で、安倍内閣を支持する理由で最も多いのは、政策でも、所属政党でもなく「他よりよさそう」だ。それって、どういうこと?
■政権、はぐらかし放免作戦 武田砂鉄さん(ライター)
「うちのラーメンは、向かいの店よりマシです!」とあおって客を呼ぶラーメン屋はありません。でも現政権は、そうした呼び込みをひたすら続けてきたように見えます。
2016年に民主党(当時)の蓮舫議員から、子どもの貧困率が高いことを問われた安倍首相は「(その資料は)民主党政権時代の数値」といって、はぐらかしました。あの時に比べれば今はマシだ。そう言って終わらせては、議論は始まりません。
安倍政権支持の理由に「他よりよさそう」が多いとすれば、この作戦が奏功しているのでしょう。「モリカケ」疑惑や前財務事務次官のセクハラ問題があっても、南北首脳会談や米朝首脳会談が開かれれば、支持率はなぜか微増する。案件が多すぎて、有権者が追いつけない。政権は、まともに議論するより、次の大きな議題を待ち、前の議題を忘却させる方が、成果を出したかのような印象を手っ取り早く残せると踏んでいる。
人と話していると、個人と社会を切り離して考えることが多いと感じます。保育園に入れなかった時、理由を考えれば、政治や社会の問題にたどりつく。でも、うちは落ちたのに、あの家はなぜ入れたのか、という恨み節で終わってしまう。この姿勢は政治家にとって、ラッキーです。
有権者が、無難な方に身を置きたがっています。違和感を持っても、「ええ、そっちの事情もわかります」と受け止めた方が、コミュニケーション力があると評価される。怒りをぶつけると、除外される。だから、野党に対しても「批判ばかりでいいのか」となる。メディアも似ています。「野党も決め手を欠いた」と、両論併記で逃げる。
「他よりよさそう」というのは、そんな「空気」あるいは「気配」を読んだ結果ではないでしょうか。現政権と別の選択肢とを、事細かに比べたのではないと思います。
政府・与党は、成功体験を重ねて自信を持つ。自民党の杉田水脈(みお)議員が同性カップルを念頭に「子供を作らない、つまり『生産性』がない」と寄稿しましたが、完全なレッドカードです。でも二階俊博幹事長は「人それぞれ政治的立場、いろんな人生観もある」と述べた。せいぜいイエローカードと甘く見ている。
こんな放免が続くと、やがて「この道しかない」という方向に引っ張られる。確かにもろもろよくないんだけど、他よりマシだよね、に落ち着く。もろもろよくないのに。
はぐらかしに対する処方箋(しょほうせん)があるわけではない。だからこそ、「イヤなやつ」になって、ひとつひとつ思い出すように、もの申したいと思います。(前財務事務次官の)福田さん、裁判で争うと言っていたけど、どうなったんですか? こちらは忘れていませんよ、とか。
(聞き手・岸善樹)
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たけださてつ 1982年生まれ。出版社勤務を経て、2014年からフリー。著書に「紋切型社会」「日本の気配」など。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13648364.html
http://www.asyura2.com/18/senkyo249/msg/627.html#c2