28. 2017年7月30日 19:55:46 : kARnmCxk6M : 3cGdBF0p5co[1]
加計学園問題の”主犯”は石破茂
「石破4条件」の存在自体が「総理のご意向」など無かった証拠
石破茂は農水族の族議員であり平成24年には日本獣医師政治連盟から100万円の献金を受け取っている
石破茂自らが離党しなければ党籍剥奪を
2カ月以上追及してきて総理関与の証拠は1つも出ない
前川喜平は嘘つきの「犯罪者」
2017年7月
まずは次の文章を御覧いただきたい。
<昨日,藏内会長とともに石破茂地方創生大臣と2時間にわたり意見交換をする機会を得た.その際,大臣から今回の成長戦略における大学,学部の新設の条件については,大変苦慮したが,練りに練って誰がどのような形でも現実的に参入は困難という文言にした旨お聞きした>
これは、日本獣医師会平成27年度第4回理事会(平成27年9月10日(木)14:00〜17:00)の公式な「議事録」の一節である。
発言者は、北村直人日本獣医師政治連盟委員長。
元自民党衆議院議員で、石破茂氏とともに親密な「お友達」である。
石破氏はこのところ、安倍政権が加計学園の獣医学部新設騒動で突如急場に乗り上げる中、マスコミで政権批判を繰り返しているが、理解に苦しむ。
石破氏自身がこの問題では、重要かつ相当悪質な立ち回りを演じていることが明らかだからである。
石破氏はいわゆる農水族の族議員であり、平成24年には日本獣医師政治連盟から100万円の献金を受け取っている。
この議事録当時(平成27年9月10日)、石破氏は安倍内閣地方創生担当大臣だったわけだが、北村氏の発言を見ると、石破氏が、いわば規制緩和を受け持つ担当大臣の1人だったにもかかわらず、「岩盤規制をドリルでこじ開ける」安倍総理の政治意図に真っ向から反して、業界団体の「ご意向」のまま、「岩盤強化」をする側に回っていたー議事録はそうとしか読めない。
これは、石破氏の内閣=国民の負託への背信ではないのか。そしてまた、業界保護のために「行政を歪めた」ことにはならないのか。
何しろ、石破氏の尽力で、獣医学部の新設、新規参入は「誰がどのような形でも現実的に参入は困難」になったというのである。合理性があろうと必要があろうと、新規参入だけは絶対許すまじという業界利権墨守の宣言だ。尋常ではない。
断っておくが、私は無条件な規制緩和には強く反対してきた。いわゆる小泉純一郎=竹中平蔵改革のような意味で、規制改革そのものを是とは全く思わない。いかなる業界であれ、独自の論理と非合理は、その分野の成長や安定と不可分である。一時の改革ありきの風潮で、人間社会が多年蓄積してきた非合理を是正するのは、角を矯めて牛を殺す所業だと考えている。
が一方で、各業界と霞が関間の利権=許認可権構造自体は近代150年続いている。これだけ続けば、規制や慣習の中にその業界の成長や安定を阻害し、社会正義や公正の精神に反する害悪が澱みのように溜まっているのも間違いあるまい。
その意味で、適切に判断された上での規制突破は必要に決まっている。
ところが、石破氏の獣医学部新設阻止は、北村氏の文言を見る限り、適切な判断による規制維持というよりは何が何でも規制墨守ーそのようにしか見えない。目的は、端的に業界の既得権益、利権の保護そのものだったのではないか。
◆練りに練った4条件
実はこの理事会に先立つ平成27年6月30日、いわゆる「石破4条件」が閣議決定されている。これは『「日本再興戦略」改定2015−未来への投資・生産性革命ー』と題された39頁に及ぶ戦略立案に含まれた「獣医師養成系大学・学部の新設に関する検討」と題する一節である。
<@現在の提案主体による既存の獣医師養成でない構想が具体化し、Aライフサ
イエンスなどの獣医師が新たに対応すべき分野における具体的な需要が明らかになり、かつ、B既存の大学・学部では対応が困難な場合には、C近年の獣医師の需要の動向も考慮しつつ、全国的見地から本年度内に検討を行う>
文章内の数字は私が便宜上挿入したものだが、確かに4つの条件が付されている。「大学・学部の新設に関する検討」と題されながら石破氏が「練りに練った」この文言は、なるほど、ああ言ってくればこう反論ができ、様々な角度から参入を拒む口実を作れるようにできている。
そしてこうなったのは、むろん、石破氏が自発的に動いたからではなく、日本獣医師会の働きかけに応じてのことなのは明白だ。
この閣議決定直前、平成27年6月22日の日本獣医師会平成27年度第2回理事会においても、学部新設を巡る生々しい政治的攻防を証拠付ける発言が散見される。まず、同じく北村氏の発言から。
<内閣府が取り組んでいる成長戦略特区については,構造改革特区は文部科学省が窓口であるが,成長戦略特区は内閣府が窓口だとして,今回は静観している.いずれにしても特区設置の際は,文部科学省が担当することになるが,これまでの獣医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議においても特区にはなじまないという結論である.
内閣府では,4 月末から6月5 日までの間,成長戦略特区の公募をしていたが,愛媛県今治市に新設を望む岡山の学校法人が文部科学大臣にも説明をし,内閣府に申
請したという.藏内会長は麻生財務大臣,下村文部科学大臣へ,担当である石破大臣へは私が折衝を続けている.内閣府では,方針の最終案を公表していないが,藏内会長の強い政治力等により,財務省の担当主計官が文部科学省担当官へ対応のあり方を指摘した.石破大臣は,ライフサイエンスなどは獣医師が新たに対応すべき
分野なのか,その需要があるのか,これら基礎データが示されなければ検討できないとしている.しかし,新設希望側は,5〜10 年間の計画でデータを作り上げるこ
とも視野に置きながら,藏内会長は麻生大臣,下村大臣に,私は石破大臣と折衝をし,一つ大きな壁を作っていただいている状況である.まず,既存の獣医師養成でない構想が具体化すること,次にライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応す
べき分野における具体的な需要が明らかになること,さらに既存の大学で対応が困難であることの3つの壁をクリアして初めて,獣医師の需要の動向を考慮しつつ,全国的な見地から平成27年度中に検討を行うというスケジュールとなる.内閣府としては平成27年度内に規制緩和を実施し,数字を残したいという思いがあり,文部科学大臣も官邸も同様の意向である.今後も強い政治力により,この3つの壁を突き崩すよう論議が展開されることも想定され,気が抜けない状況である.藏内会長も私も進退をかけるくらいの覚悟を持っている>
◆驚くべき議事録の中身
新設希望側が「データ」を作り上げたら、その時も新たに阻むつもりで「大きな壁を作っていただいている」ーつまり、どんなデータがあり、ニーズがあっても、新規参入は認めないという発言に他ならない。藏内会長とは日本獣医師会の藏内勇夫会長のことだが、その藏内氏からも補足説明があった。
<北村委員長の説明のとおり,きわめて厳しい攻防が連日続いている。そこに北村委員長の努力により,石破大臣等からいくつかの規制がかけられた>
そして、結論ありきの言葉で発言は締め括られる。
<新規参入に対して、われわれが大きく反対を表明すると,政治力を使って獣医師に対する悪い風評を流し,獣医師会を悪者にすることも考える必要がある.そのため大学関係者がしっかりと大学での教育は充足しているので,新設には反対する等を明確に表明するとともに,獣医学関係者が獣医師の需給は十分足りていること,たとえば獣医師が地方公務員を志向しないことは,処遇の問題である等を訴えることが重要である>
以上の発言は、「総理のご意向」などという役人の部署内メモとはわけが違う。日本獣医師会の会長と、日本獣医師政治連盟委員長の発言を記録した正式な議事録なのである。
言われている中身は明らかであろう。
日本獣医師会は、獣医学部の新設に頑強に反対しており、対する政権は内閣府を通じて、獣医学部新設を規制緩和の対象と見做している。そこで日本獣医師会は、石破氏、麻生太郎氏、下村博文氏らに働きかけ、政権の規制緩和方針に抵抗した。
この一連の発言が示しているのは、獣医師のあり方に関する理念の追求や合理性や柔軟性とは無縁の、新設に絶対反対の姿勢を貫く業界団体のボスの姿である。「進退をかける」とか「大きな壁を作っていただいている」などの表現を見れば、加計騒動の本質は、この規制緩和派VS既得権益保全派の政治闘争でしかないことは明らかであろう。
その中で石破氏は、多年緊密だった業界の利益のために働き、便宜を図った。斡旋利得に類する何もないと言えるのか。徹底的に調べて埃が全く出てこない関係だと言えるのか。
日本獣医師会平成27年度第4回理事会議事録
日時:平成27年9月10日(木)14:00〜17:00
http://nichiju.lin.gr.jp/mag/06811/a2.pdf
「日本再興戦略」改訂 2015(抜粋)
(平成27年6月30日閣議決定)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/hiroshimaken_imabarishi/imabari/dai2_sankou2.pdf
日本獣医師会平成27年度第2回理事会
日時:平成27年6月22 日(月)10:30〜12:00
http://nichiju.lin.gr.jp/mag/06808/a3.pdf
◆安倍総理が無関与な証拠
論点は2つしかない。
1つは、言うまでもなく、日本獣医師会による参入拒否が妥当なのか、それとも新規増員を主張する側のほうが正しいのかである。
そしてもし、参入拒否が不当であれば、石破氏の政治責任は進退を伴うほど重大だ。なぜなら、当時所管大臣だった石破氏が自らの加計問題への加担を隠しているからこそ、安倍倒閣運動はここまで大きくなったのだからである。
もう1つの問いは、安倍総理大臣がこの新規参入にどこまで関与していたのかである。が、状況証拠から、安倍氏はほぼ確実にこの件には関与していないと私は見る。
もっとも、これも最初に断りから入りたい。率直に言って、仮に総理が強い意向を持っていたとして何が悪いのか。
石破氏を任命したのは安倍氏に過ぎない。だが、安倍氏を総理大臣に選出したのは国会であり、民意である。今回の加計騒動が、無法な報道で安倍スキャンダル化を呈するまで、安倍政権は4年半にわたり、実に支持率50%から65%を維持し続けた。戦後最も国民の信頼を勝ち得てきた内閣だ。
その総理が、仮に業界団体の頑なな既得権益死守に対し、強い姿勢で規制突破を意図したとして何が問題だろうか。
ところが実は、安倍総理自身は総論としての規制突破は主導していても、獣医学部新設に関する政治攻防や石破氏による4条件、「お友達」である加計氏の新規参入を巡る動向の細目などは、詳細には知らなかったに違いないのである。
状況証拠がある。
先ほど来、「石破4条件」が平成27年6月30日に閣議決定されたと書いてきたが、そもそも、もし加計氏という「お友達」に便宜を図るために総理の目がぎらぎら光っていたとすれば、この石破氏による岩盤強化の文言を見逃すはずがないではないか。
加計学園の獣医学部新設のための行政への働きかけは平成19年からで、申請は15回も却下されてきた。総理が「お友達」の事業を個別具体的に応援する気があったなら、後から文科省に「総理のご意向」を無理強いする前に、「石破4条件」に待ったをかけなければ筋が通るまい。
が、もちろん、安倍氏はそんなことはしなかった。
加計氏も総理が友人であることを利用するつもりはなく、総理も事案の細目を知らなかったからだと考える他ないではないか。
◆石破氏の背信行為
そのことをさらに傍証するのは、後記するように、この数カ月、加計騒動で安倍叩きを続けている『週刊文春』の記事である。
<当初は加計問題を楽観視していた安倍首相。(2017年)4月の時点では余裕の表情で、「森友(学園の国有地売却問題)より楽。手続きは問題ない。俺も自信を持っている。もしかしてと思って一度『加計さん隠し事してない?』とつついてみたけど、こんなのパンと説明したら皆すぐ分るよと言っていた」などと語っていた(『週刊文春』2017年6月22日号)>
語るに落ちるとはこのことであろう。
これがもし産経新聞や読売新聞など、安倍氏に近いとされるマスコミから出たなら示し合せの可能性もあるかもしれないが、この安倍氏の発言を出したのは現在、安倍叩きの急先鋒である『週刊文春』である。
実際、2017年4月頃、安倍氏が事態を楽観していたのは事実なのだ。私もその頃に安倍氏と話した時、やはり「加計は大丈夫。多年の友人というだけで何もないんだから」と聞き、「しかし、会ったことさえない籠池氏でこれだけやられたのだから大丈夫かなあ」と感じたのを覚えている。
油断と言えば油断である。が、籠池氏と違い、加計氏とは付き合いがある。総理の名を利用するような友人ではないし、森友の時の近畿財務局の不透明な処理と違って、今回行政側の処理の瑕瑾はないとの報告があって問題化するはずがない、と判断していたのであろう。
2017年4月の段階で安倍氏が全く警戒していなかったことは、『週刊文春』や私のみならず、多くの証人がいる。極端に言えば、安倍氏には「御意向」はおろか、何ら思い当たる所が無かったということである。
すると、どういうことになるか。
この加計問題では「安倍官邸が行政を歪めた」という主張が執拗になされているが、むしろ石破茂氏こそが行政を歪めたのではないのか。
内閣府と文科省との現場担当職員たちの激しい闘争に、内閣府側の所管大臣であるにもかかわらず、文科省側の立場で業界団体への口利きとして干渉した。それも、閣議決定文書において、安倍総理の大方針に反する文言を、潜り込ませて岩盤を強化した。
これこそは、行政の現場の議論や駆け引き、闘争を、大物政治家の立場を利用して歪めたことにならないか。しかも閣僚としては、部下の良識を信じ切っていた安倍総理への背信行為ではないか。
◆メディアの放火
ところが、この獣医学部新設を巡る役所間の闘争と石破氏や業界が暗躍しての政治闘争が、本来その実態を与り知らなかった安倍総理を焦点とした安倍叩きのストーリーに置き換えられて数カ月経過しているのは、周知の通りである。
いわく、安倍晋三氏と加計学園園長の加計孝太郎氏は古くからの「お友達」である。安倍ー加計の「お友達」の輪は、萩生田光一官房副長官や下村博文元文科大臣のような安倍側近にも広がる。そして、加計氏の人品が云々、金儲けが云々、下村氏への献金が云々・・・。
安倍氏は政権ぐるみで、「お友達」への便宜のために文科省に不当な圧力をかけて獣医学部新設のために「行政を歪めた」ー多くの国民は、連日連夜の報道で、漫然とこうしたストーリーを頭に叩き込まれているに違いない。
が、驚くべきことに、2カ月以上追及してきて、証拠は1つも出ないのである。
「深まる疑惑、逃げる政権」とか、「政府、苦しい説明」とか、「安倍首相、強弁」などという印象操作だけが無限に続く。
「お友達」の人脈地図が一方にあり、もう一方には文科省の内部メモと前文科事務次官・前川喜平氏の「証言」だけがある。
繋ぐ証拠は1つもない。
完全な魔女狩り裁判であり、国民への洗脳である。
◆無視される不都合な真実
そもそも、「総理のご意向」などの文言は、行政文書という厳めしい名称に反し、部内のメモに出ていたに過ぎない。局長など、責任者の裁可を得た文章でも何でもない。
そのような内部のメモに、「総理のご意向」や「萩生田光一副長官御発言」とか「官邸の強い意志」と書かれているのが外部に出るたびに、メモに登場した側に責任や説明が要求され始めたら、国政以前にどんな組織でも、運営も機能も崩壊する。
例えば、トヨタで末端の社員が数人で「社長のご意向」と書いたメモを作った。正式な議事でも裁可でもないそんなメモを巡って、株主総会で社長を糾弾するなどということがあり得るのか。こんなバカげたメモで国政不信を作り出した左派系マスコミ、左派系野党関係者は全員切腹ものだと私は思う。
「火のない所に煙は立たない」という俚諺がある。如何にも正直が身上の日本らしい俚諺だ。
が、火のない所にもいくらでも煙は立つのである。放火すればいいからだ。放火をして火事だと騒げばいいのである。「放火の自由」を認めてしまえば、いくらでも火のない所から煙は出せる。
そして、今や日本では権威あるはずの大手左派系メディアこそが、言論の自由と放火の自由を取り違えている。この数カ月の森友・加計騒動は、もうそう断じる他ない所まで来ているのではないか。
大手左派系メディアの問題点、その第1は、全ての記事から本稿の最初に示した権力闘争の構図が完全に抜け落ちていることだ。業界・族議員・文科省VS内閣府・官邸という図式が隠蔽され、記事や文言の全てが安倍総理と加計氏の個人的な「お友達」関係の「怪しさ」に収斂されている。真相を隠蔽しての印象の捏造である。
第2に、一貫して「現状では獣医は要らないのに、安倍官邸の圧力で不要な獣医学部を新設しようとしている」という筋書きに従っているが、これは虚偽である。
<犬猫牛豚をはじめ国内の動物の数は年々減っており、獣医師の供給が不足している実態がないと言います。そんな状況で新たな獣医学部を新設すればどうなるのでしょうか。私学でも勿論助成金が出ます。その原資は国民の税金です。さして必要でない獣医学部を新設し、税金を無駄遣いするようなことがあっては国民の皆様に説明がつきません。ですから一義的には農水省が獣医師がもっと必要だというデータを示す事が必要です(月刊『文藝春秋』2017年7月号「前川喜平前文科事務次官手記 わが告発は役人の矜持だ」97ページ)>
多くの左派系メディアは、基本的にこの論理を前提としている。
が、本当に獣医は足りており、獣医学部は必要ないのか。半世紀以上も獣医学部新設がないのは、何か異様な力が働いていて、必要ないことにさせられているのではないか。
そもそも前川氏が、「獣医師の供給が不足している実態がないと言います」と伝聞で事柄を主張しているのが怪しいではないか。前川氏は、学部新設の是非を判断すべき文科省の最高責任者だった人である。
最も肝心な論点である「獣医師の供給」の過不足ーしかも政権を揺るがす大スキャンダルを仕掛けている側が、この問題を10行程度の伝聞で済ませ、深堀りを全くしていないのは何故なのか。
◆説得力ある加戸氏の発言
2017年7月10日の国会閉会中審査会における青山繁晴議員と加戸守行・前愛媛県知事(元文科事務次官)の質疑を見れば、前川氏の主張が極めて一方的であることが分かるだろう。
加戸氏は言う。
<愛媛県知事時代に一番苦労したのが鳥インフルエンザ、口蹄疫の四国への上陸阻止、あるいはBSEの日本への波及の阻止、言うなれば四国という小さな島ではありますけれど、こういった感染症対策として一番防御が可能な地域という意識もございましたし、そしてアメリカがこの問題で狂牛病の体験を受けて、先端きって国策として、これからはライフサイエンスと感染症対策をベースとした獣医学の教育の充実ということで、大幅な獣医学部の入学者の増加、そして3つの獣医科大学の新設という形で懸命に取り組んでいる姿を横で見ながら、何と日本は関心を持って頂けない国なんだと(思っていました)>
説得力のある議論である。前川氏は反論できるのか。
獣医学部の定員数には、東西での極端な偏差がある。加戸氏の証言によれば、入学定員の8割が東日本に偏り、西日本には2割の入学定員しかなく、四国は実際に獣医師が確保できていないという状況が続いている。
このことは、日本獣医師会でさえ認識している。
<近年、公務員獣医師職や産業動物獣医師職が不足すると言われる中、獣医師の職域や地域偏在を解決する上からも、女性獣医師が継続的に就業できる職場環境の整備を支援し、就業率の向上とキャリアアップを図ることは、獣医療提供体制の整備を促進する上で必要であります>
<現在、獣医師就業状況で大きな問題となっているのは、職域偏在と地域偏在の存在であり、これらを解決するには公務員獣医師の処遇改善が不可欠であります>
(平成26年2月20日「春夏秋冬」・日本獣医師会HPより)
http://nichiju.lin.gr.jp/test/html/aisatsu/shunkashuutou/log07.html
蔵内会長のエッセー「春夏秋冬」の一節だ。加戸氏や青山氏の議会証言と対比するに、日本獣医師会は事態を認識していながら、公務員待遇の改善や女性の活用など、長年実現していない方法ばかり唱え、現状改善の最善の方法と思われる獣医学部新設を回避してきた様が透かして見える。
◆前川証言は「嘘」ばかり
それにしても、いかに安倍叩きのためとは言え、左派系メディアが揃って前川氏をヒーロー扱いしようとしている珍妙さは何と評すればいいのだろう。
極め付けは前川氏自身の手記中、天下りの引責辞任の場面である。
<年明けの今年(2017年)5日に松野大臣に引責辞任を申し出たところ、「次官が辞める事はないじゃないか」と一度は慰留されましたが、決心は変わりませんでした。「そういうわけには行きません、官邸にも報告に行って参ります」と申し上げて、杉田副長官に辞任の意を報告し、「それは役人の美学だよな、こういう時に腹を切るのが次官ってもんだ」と即ご了承頂きました>
私は思わず噴き出した。
何が「美学」であるものか。
前川氏は、自ら国家公務員法違反の天下りに多年にわたって構造的に関与していた実行犯なのである。
ところがこの手記では、前川氏は事態が発覚しかけた報告を部下から受けた時のことをこう書いている。
<私は、すぐにすべてを正直に説明しなければいけない、と言いました。事態がこうなるまで気付かず、監督が行き届いていなかった点も含めて、私に大いに責任があります>
何が「監督が行き届いていなかった」だろう。
文科省内の調査班による「文部科学省における再就職等問題に係る調査報告」(平成29年3月30日)
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/04/19/1382987_04.pdf
を見れば、前川氏は監督責任を問われているのではない。
前川氏自身が、国家公務員法に違反する再就職斡旋の窓口だった上、調査報告は、それらの事案における前川氏の証言を再三「嘘」だと見做して、前川氏を「黒」と判定しているのである。「すべてを正直に説明しなければいけない」が聞いて呆れる。
私が卒読した限り、前川氏が関与していた事案は同報告中、事案6、事案17、事案27、事案29、事案30の合計5事案である。
「再就職斡旋の構造的解明」という記述によれば、
<・W(6)で認定されたとおり、嶋貫氏の再就職あっせんが継続できるよう、前川喜平官房長、伯井美徳人事課長は、それぞれ自ら有限会社国大協サービスへの要請を行う等の調整に動いていた>
<・V(30)、参考資料7(27)で認定されたとおり、前川文部科学審議官は、職員OBに退任の意向確認を行ったり、現職職員に再就職先の提示を行ったりする等、自らが再就職あっせんに関与していた>
これは監督責任ではない。前川氏は自ら「調整に動き」「自らが再就職あっせんに関与していた」と認定されている。
このうち事案6は、前川氏が文部科学省OBである有限会社国大協サービス役員某氏に「再就職あっせんを行わないか」と打診した上、今回の違法斡旋の中心人物である嶋貫和男氏を有限会社国大協サービスに受け入れるよう打診した記述が見られる。
この件について報告書は、「前川官房長は覚えはないと発言している」が、諸々の経緯を勘案すると、「前川官房長は,単に再就職あっせんを行うことを求めただけでなく,嶋貫氏の受入れも求めたと認めるのが自然である」と前川氏の証言を「嘘」と見做し、「法第106条の2第1項に規定する『地位に就かせることを目的として』『役職員であつた者を…地位に就かせることを要求し,若しくは依頼』したものと考えられる」と、違法認定をしているのである。
◆前川氏は嘘つきの「犯罪者」
事案29の「慶應義塾大学への再就職斡旋」でも、前川氏は証言の信憑性に疑義を突き付けられた上、「前川文部科学審議官(略)の行為は、法第106条の2第1項に規定する『地位に就かせることを目的として』『役職員であつた者に関する情報を提供した』ものと考えられる」とされている。
報告書が描く前川氏像をえげつなく表現すれば、前川氏は嘘つきで犯罪者なのだ。
先に引用した『文藝春秋』記載の前川氏の証言さえも、「嘘」である可能性が高い。
関係者複数に取材したところ、前川氏は2017年3月5日には松野文科大臣に辞表を提出しようとしたのではなく、2017年3月の定年退職を2017年6月国会会期末まで延期する次官人事慣行を打診していたというのである。それを聞いた杉田官房副長官が翌日2017年3月6日、「次官自身が天下りに関与しているのに辞職しないのはあり得ないのではないか」と引導を渡したーこれが真相だという。いずれにせよ、ヒーローからは程遠い人物という他はない。
◆石破氏の党籍剥奪を
さて、冒頭、問題発言を紹介した北村直人・日本獣医師政治連盟委員長は、最近の週刊誌インタビューで、自分が石破茂氏と共謀して作り上げた「石破4条件」について、次のような驚くべき発言をしている。
<「今治市が繰り返し特区申請を出していた15年当時、国家戦略特区担当大臣は石破(茂・前地方創生相)氏でしたが、彼は『(特区認定のための)条件に照らすと、新設はちょっと認められないな』と言っていたし、私も『これでは天の声でも降って来ない限り、無理だろう』と考えていました。
それが昨年、担当大臣が安倍総理に近い山本幸三氏に替わった途端に、加計学園だけに獣医学部新設が認められる流れができた。安倍総理の強い影響力が働いているとしか考えられません」(『週刊現代』2017年6月6日号)
白々しいという他はないが、次のような最近の石破氏の発言を見ると、どうやら2人して安倍総理を嵌めようと示し合せているとしか見えないのは私の思い過ごしだろうか。
2017年6月26日収録のイシバチャンネル(76弾)で、石破氏は「石破4条件」について、第1の条件としては「例えば感染症対策とか生物化学兵器対策とか」「新しいニーズにこたえるもの」として、「アメリカとかイギリスでは獣医の軍人がいる。軍馬だけでなく、生物化学兵器に対処するには獣医軍人がいる」。閣議決定した4条件がある以上は、こうした「新しいニーズに対応するだけの教授陣、施設」が必要で、「東大農学部獣医学科や北海道大学農学部獣医学科でもできないことができるのが条件だ」などと具体的な条件を極度に吊り上げ、まるでそれが「石破4条件」に最初から含意されていたかのように語っている。
まさに石破氏自身が、「練りに練って誰がどのような形でも現実的に参入は困難という文言にした」成果を自ら存分に味わっているわけなのであろう。
石破氏は安倍内閣の地方創生大臣の時に、政権の方針に相反する業界の意向を閣議決定に潜り込ませて総理を裏切ったのみならず、今、加計騒動による安倍氏の窮地がいわれないものであることを誰よりもよく知りながら、左派系メディアによる大々的な倒閣運動に便乗していることになるのだ。
総理総裁候補とは思えない器量の矮小・卑劣に呆れざるを得ない。自民党は、この悪質な政治家から党籍を剥奪すべきである。
いや、石破氏自身が自らの背信行為を恥じ、処分前に進退を決すべきではないか。
こうした時に義の側に立てない人間に居場所はない、それが日本という国の気風だーそれは、日本が日本であるうちは決して変わらぬ原則だと私は信じている。
「石破4条件」の真相はこれだ
「石破4条件」文言案は文科省から出された
学部新設を認めない「告示」の正当性を示せなかった文科省
文科省の学部新設の認可制度は憲法で保障されている営業の自由や職業選択の自由を制限する
2017年7月21日
加計学園問題では、いわゆる「石破4条件」が注目された。石破茂氏が地方創生担当相だった2015年6月30日に閣議決定されたものなのでそう呼ばれているが、石破氏は、本人の名前が付いていることを嫌っているようだ。
何しろ加計学園問題が、安倍晋三政権への倒閣運動の様相を呈しているので、政治家がピリピリするのは仕方ない。
「石破4条件」は、獣医学部新設に関して、
@新たな分野のニーズがある
A既存の大学で対応できない
B教授陣・施設が充実している
C獣医師の需給バランスに悪影響を与えない
という内容で、2016年3月までに検討するとされている。
これらが作られた経緯は、2017年7月17日付産経新聞【加計学園 行政は歪められたのか(上)】に詳しい。それによれば、2015年9月9日、石破氏は、衆院議員会館の自室で日本獣医師政治連盟委員長の北村直人氏と、日本獣医師会会長の蔵内勇夫氏に対して、「学部の新設条件は大変苦慮しましたが、練りに練って、誰がどのような形でも現実的には参入は困難という文言にしました」と語ったという。
これが事実であれば、「石破4条件」は日本獣医師会の政界工作の成果だと言える。
その根本を探すと、文科省が獣医学部の申請を一切認めないとする同省の方針に行き着く。これは、2003年3月の「文科省告示」として書いてある。いわゆる岩盤規制である。これらの規制に基づき50年以上も獣医学部の新設がなかった。
そこで、国家戦略特区の課題として、内閣府と文科省の間で、文科省告示の適否が議論された。交渉の結果として出てきたのが「石破4条件」だった。
筆者の聞くところでは、この文言案は文科省から出されたようだ。
しかし、文科省はここで大失敗をした。前述のように高いハードルを作るつもりで、学部新設をしたい者は条件をクリアして持って来い、と考えた。つまり、4条件の挙証責任は文科省にはないという立場だ。実際、前川喜平・前文部科学事務次官ほか、文科省関係者はそう主張する。
これは誤りだ。文科省の学部新設の認可制度は、憲法で保障されている営業の自由や職業選択の自由を制限するので、挙証責任は所管官庁の文科省にあるのだ。これは2014年2月に閣議決定された「国家戦略特別区域基本方針」にも明記されている。
つまり、「石破4条件」で書かれていることは、文科省が学部新設の申請を門前払いする文科省告示の正当性を2016年3月までに示さなければいけないということだ。それが示せなければ、文科省告示を廃止または改正する必要が出る。
「石破4条件」を検討するためには、農水省などの協力も必要だ。しかし農水省は早い段階で手を引いたらしい。その結果、文科省は2016年3月までに説明できなくなってしまった。
これが真相だ。
●2017.7.17 01:00更新
【加計学園 行政は歪められたのか(上)】
新設認めぬ「石破4条件」は獣医師会の政界工作の「成果」だった! 民主党政権でも献金攻勢…
http://www.sankei.com/premium/news/170717/prm1707170008-n1.html
●日本国憲法
職業選択の自由は、日本国憲法では22条1項で定められている。
日本国憲法第22条第1項
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
営業の自由
憲法学上の通説は職業選択の自由には職業を行う自由(営業の自由)を含むとする。
●国家戦略特別区域基本方針
平成26 年2月25 日閣議決定
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/dai4/sankou_kihon.pdf
23ページでは「規制所管府省庁がこれらの規制・制度改革が困難と判断する場合には、当該規制所管府省庁において正当な理由の説明を適切に行うこととする」と書かれている。
●平成15年文部科学省告示第53号(専門職大学院に関し必要な事項について定める件)
2003年5月1日
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/houka/03050102.htm
前川前次官がまた不可解発言…天下り斡旋の違法性知らないはずない、報告書に記載された「実行者」
2017年6月30日
前川喜平・前文科事務次官が2017年6月23日に日本記者クラブで記者会見を行った。その際、2015年6月の閣議決定における、いわゆる「石破4条件」について、相変わらず「文部科学省に挙証責任はない」と言っている。これは重大な不可解発言だ。
国家戦略特区に関しては、その諸手続きを法律・閣議決定で定めている。中でも「国家戦略特別区域基本方針」はその名の通り特区に関する基本であり、これは2014年2月に閣議決定されている。
その23ページでは「規制所管府省庁がこれらの規制・制度改革が困難と判断する場合には、当該規制所管府省庁において正当な理由の説明を適切に行うこととする」と書かれている。
文科省は機会があったにもかかわらず、これを実行していない。悪いのは文科省だ。前川氏が辞めてから文句を言うのは卑怯だ。
これは許認可をもつ規制官庁なら当然であるので、わざわざ書く必要もないことだと思っているが、国家戦略特区に関わる省庁には、文科省のような「非常識官庁」もあるために、念のために書いたのだろう。
このほかにも、会見では天下りに関して、信じられない発言があった。前川氏は、天下り斡旋(あっせん)の違法性について知らなかったというのだ。
この天下り斡旋禁止を企画立案したのは、第1次安倍晋三政権時代の筆者である。このため、筆者は霞が関全部を敵に回したともいわれた。
天下り斡旋禁止は、霞が関全体で天下りについてどのように対処するかと各省人事部局が集まり協議した「有名な法律」である。それまでの天下り規制とまったく異なっていたために、キャリア公務員で知らない人はまずいない。
そもそも官僚は法律の執行を行うのが仕事だ。それなのに天下り斡旋を禁止する法律を知らないというなら、官僚失格である。前川氏は、事務次官、文科審議官、官房長という重要ポストを歴任しているので、知らなかったでは済まないはずだ。「知っていたが、必要悪としてやってしまった」というのが普通だろう。
前川氏は、官僚失格または、とんでもないウソをついていることになる。なお、その2つを兼ねていることも排除されない。
ちなみに、前川氏が現役時代に行っていた違法行為は、文科省における再就職等問題に係る調査報告に詳しい。この報告書では、50回程度前川氏が登場しており、多くの事例において、前川氏は違法行為の実行者として記され、文科省天下り問題の中心人物であり、「天下りキング」ともいうべき人物である。
その調査により、前川氏は停職処分を受けたが、その処分前に辞職が認められており、6000万円程度の退職金を手にしたようだ。
天下り斡旋の実行者であったのであるから、懲戒免職処分で退職金なしであっても不思議ではなかっただろう。今回の騒動において、前川氏をかつて天下り問題で「ゲス官僚」とこき下ろしたのに、いまや「正義の告発者」のように扱う識者もいるらしいが、二重基準にもほどがある。
2017.7.17 01:00更新
【加計学園 行政は歪められたのか(上)】
新設認めぬ「石破4条件」は獣医師会の政界工作の「成果」だった! 民主党政権でも献金攻勢…
http://www.sankei.com/premium/news/170717/prm1707170008-n1.html
「学部の新設条件は大変苦慮しましたが、練りに練って、誰がどのような形でも現実的には参入は困難という文言にしました…」
平成27年9月9日。地方創生担当相の石破茂は衆院議員会館の自室で静かにこう語った。向き合っていたのは元衆院議員で政治団体「日本獣医師政治連盟」委員長の北村直人と公益社団法人「日本獣医師会」会長で自民党福岡県連会長の蔵内勇夫の2人。石破の言葉に北村は安堵の表情を浮かべながらも「まだまだ油断できないぞ」と自分に言い聞かせた。
石破の言った「文言」とは、会談に先立つ6月30日安倍晋三内閣が閣議決定した「日本再興戦略」に盛り込まれた獣医学部新設に関わる4条件を指す。
具体的には
(1)現在の提案主体による既存の獣医師養成でない構想が具体化
(2)ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき分野における具体的な需要が明らか
(3)既存の大学・学部では対応が困難な場合
(4)近年の獣医師の需要の動向も考慮しつつ、全国的見地から本年度内に検討
の4つ。要するに
▽新たな分野のニーズがある
▽既存の大学で対応できない
▽教授陣・施設が充実している
▽獣医師の需給バランスに悪影響を与えない
という内容だ。
このいわゆる「石破4条件」により獣医学部新設は極めて困難となった。獣医師の質の低下などを理由に獣医学部新設に猛反対してきた獣医師会にとっては「満額回答」だといえる。北村は獣医師会の会議で「(4条件という)大きな壁を作ってもらった」と胸を張った。
× × ×
愛媛県と今治市が学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部誘致を計画したのは平成19年に遡る。相次ぐ家畜伝染病に悩まされ「獣医師が足りない」という畜産農家の切なる声を受けての動きだった。
だが構造改革特区に何度申請しても却下された。ようやく構想が動き出したのは21年9月に民主党の鳩山由紀夫が首相となった後だった。
民主党愛媛県連副代表で衆院議員の白石洋一は民主党幹事長室で「今治市に獣医学部の枠を取れないか」と陳情した。幹事長の小沢一郎は自民党から業界団体をいかに引きはがすかに腐心していた。資金力のある獣医師会を揺さぶるにはちょうどよい案件に映ったのだろう。22年3月に特区申請は「対応不可」から「実現に向けて検討」に格上げされた。
慌てた獣医師会は民主党衆院議員城島光力と接触し城島を会長とする「民主党獣医師問題議員連盟」を発足させた。22年7月の参院選では民主党の比例代表の候補1人を推薦した。民主党議員に対する政治献金もこの時期に急激に増えている。
ところがその後の民主党政権の混乱によりまたも構想は放置された。それがようやく動き出したのは24年12月自民党総裁の安倍晋三が首相に返り咲いてからだった。
× × ×
安倍は25年12月、「岩盤規制をドリルで破る」というスローガンを打ち出し、構造改革特区を国家戦略特区に衣替えした。27年6月、愛媛県と今治市が16回目の申請をすると、国家戦略特区ワーキンググループ(WG)が実現に向け一気に動き出した。
絶体絶命に追い込まれた獣医師会がすがったのはまたもや「政治力」だった。
北村と石破は昭和61年の初当選同期。しかも政治改革などで行動をともにした旧知の間柄だ。日本獣医師政治連盟は自民党が政権奪還した直後の平成24年12月27日、幹事長に就任した石破の「自民党鳥取県第一選挙区支部」に100万円を献金している。
蔵内も、長く福岡県議を務め、副総理兼財務相で自民党獣医師問題議連会長の麻生太郎や、元自民党幹事長の古賀誠ら政界に太いパイプを有する。
北村らは石破らの説得工作を続けた結果、4条件の盛り込みに成功した。
実は北村には成功体験があった。26年7月、新潟市が国家戦略特区に獣医学部新設を申請した際、北村は「獣医学部を新設し、経済効果が出るには10年かかる。特区は2、3年で効果が出ないと意味がない」と石破を説き伏せた。石破も「特区にはなじまないよな」と同調し、新潟市の申請はほどなく却下された。
今治市の案件も4条件の設定により、宙に浮いたかに見えた。再び動きが急加速したのは、28年8月の内閣改造で、地方創生担当相が石破から山本幸三に代わった後だった。
× × ×
獣医学部は、昭和41年に北里大が創設以降、半世紀も新設されなかった。定員も54年から930人のまま変わっていない。この異様な硬直性の背景には、獣医師会の絶え間ない政界工作があった。「石破4条件」もその“成果”の一つだといえる。石破の父、二朗は元内務官僚で鳥取県知事を務め、鳥取大の獣医学科設置に尽力したことで知られる。その息子が獣医学部新設阻止に動いたとすれば、皮肉な話だといえる。
石破は、加計学園の獣医学部新設について「(4条件の)4つが証明されればやればよい。されなければやってはいけない。非常に単純なことだ」と事あるごとに語ってきた。ところが「石破4条件」と言われ始めると「私が勝手に作ったものじゃない。内閣として閣議決定した」と内閣に責任をなすりつけるようになった。
一方、石破は産経新聞の取材に文書で回答し、新潟市の獣医学部新設申請について「全く存じ上げない」、獣医師会からの4条件盛り込み要請について「そのような要請はなかった」、平成27年9月9日の発言についても「そのような事実はなかった」といずれも全面否定した。=敬称略。いずれも肩書は当時
加計学園問題の経過
昭和41年(1966年) 北里大の獣医学部(畜産学部)発足
昭和50年(1975年) 愛媛県今治市が大学誘致を目指す学園都市構想を表明
平成15年(2003年)3月31日 文部科学省が獣医学部新設を認めないとする告示
文科省は「大学、大学院、短期大学及び高等専門学校の設置等に係る認可の基準」を定めた告示を盾にして、大学獣医学部の新設を長年にわたって認めてこなかった。告示は法的根拠を持たないのに、参入規制として立ちはだかってきた。
平成19年(2007年) 愛媛県と今治市が構造改革特区を活用した獣医学部新設を政府に提案
平成22年(2010年)3月 鳩山由紀夫内閣で提案が「実現に向けて対応を検討」に
平成24年(2012年)12月 第2次安倍晋三内閣発足
平成25年(2013年)12月 国家戦略特区法成立
平成27年(2015年)6月4日 今治市が国家戦略特区を活用した獣医学部新設を提案
平成27年(2015年)6月30日 政府が獣医学部新設の4条件(石破4条件)を定めた「日本再興戦略」を閣議決定
平成27年(2015年)12月11日 日本獣医師会理事会の議事概要には、日本獣医師会の政治団体である日本獣医師政治連盟委員長の北村直人元衆院議員の発言が掲載されている。
北村氏は、平成27年11月27日の国家戦略特区諮問会議で平成27年中に特区の第3次指定を行う方針を決定したことについて「非常に危機的な状況が生じている」と発言し、日本獣医師会からの国会議員を誕生させる必要性を訴えた。
これに対し、日本獣医師会会長の蔵内勇夫氏はこう応じたと記述されている。
「これまでに官邸は全国農業協同組合中央会、日本医師会等の組織が反対する事案を強行してきた。われわれは地方獣医師会とともに、大学新設はきわめて非論理的であると、総会、理事会で反対を議決し、意思統一を図ってきたが、強行的に活動すれば官邸から抵抗勢力とみなされる。今後とも、慎重さを失わず、大学新設の阻止に最善を尽くしたい」
国家戦略特区諮問会議の民間議員を務める八田達夫氏(公益財団法人アジア成長研究所所長)は2017年7月11日付のダイヤモンド・オンラインで、告示による参入規制と獣医師会との関係をこう説明する。
「この参入規制は、競争を抑制し、既存の獣医学部および獣医師に利益をもたらす。実際、獣医師たちは、日本獣医師政治連盟を持ち、この規制の維持のために政治に隠然たる力を発揮してきた」
平成27年(2015年)12月15日 今治市が国家戦略特区に決定
平成28年(2016年)3月24日 関西圏国家戦略特別区域会議で提案
http://www.pref.kyoto.jp/seisakuteian/documents/280608_32.pdf
・先端医療技術開発を⽀える獣医師を関⻄で育成し、製薬業界、⼤学等研究機関で活躍することを⽬的とする獣医学教育機関(獣医学部・大学院研究科)を新設する。
・獣医学部の新設・定員増は、⽂部科学省により抑制されているため、上記目的のための獣医学部設置について、この抑制解除を求める。
▶「大学、大学院、短期大学、高等専門学校等の設置の際の入学定員の取扱い等に係る基準」
(平成15年3月31⽇⽂部科学省告⽰第45号)
実施主体︓ 京都産業大学
実施場所︓ 京都府綾部市(新設キャンパス)、京都市北区(既存キャンパス)
連携施設︓ 京都府農林⽔産技術センター畜産センター(綾部市)、碇⾼原牧場(京丹後市)
平成28年(2016年)9月16日 国家戦略特区ワーキンググループで、獣医学部新設方針が事実上決定
平成28年(2016年)9月26日 文科省内で「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」などとするメモが出回る。「官邸の最高レベル」という文書の日付は「平成28年9月26日」。
平成28年(2016年)11月9日 広域的に(複数の市町村に、という意味)獣医学部がない地域に獣医学部新設を認めるとの条件が追加
平成28年(2016年)12月8日 日本獣医師会が1校に絞るよう要請
平成28年(2016年)12月22日 「1校に限り」が決定
平成29年(2017年)1月4日 文科省と内閣府が、1校に限り認めるとする告示
平成29年(2017年)1月20日 国家戦略特区事業者に加計学園を認定
加計学園問題は反安倍倒閣運動だ
2017年7月20日
愛媛県今治市に加計学園の獣医学部を新設する問題で2017年7月10日、国会閉会中審査が衆参両院で行われた。
この日の審査について「朝日新聞」や「毎日新聞」は、今や彼らの習い性となったかのような徹底した偏向報道を行った。
両紙は、官邸の圧力で行政が歪められたと繰り返す前川喜平・前文部科学事務次官の証言を主に伝え、前川喜平・前文部科学事務次官とは反対の立場から「安倍晋三首相の国家戦略特区が歪められた行政を正した」のだと主張した加戸守行・前愛媛県知事の証言は、ほとんど報じなかった。こうして両紙は一方的に安倍首相を悪者に仕立てた。
大半のテレビ局の報道も同様に偏向しており、報道は今や、反安倍政権・倒閣運動の様相さえ帯びている。
2017年7月10日の国会閉会中審査で証言したにも拘らず、殆ど報じてもらえなかったもう1人の参考人、公務員制度改革も手掛けた内閣府・国家戦略特区ワーキンググループ(WG)委員の原英史氏が憤る。2017年7月14日、インターネット配信の「言論テレビ」で開口一番、こう語った。
「加計学園についての真の問題は、獣医学部新設禁止の異様さです。数多ある岩盤規制の中でも、獣医学部新設の規制はとりわけ異様です。まず、文部科学省の獣医学部新設禁止自体が異様です。通常の学部の場合、新設認可の申請を受けて文科省が審査しますが、獣医学部に関しては新規参入計画は最初から審査に入らない。どれだけ素晴らしい提案でも、新規参入は全て排除する。こんな規制、他にはありません」
内閣府・国家戦略特区ワーキンググループ(WG)委員の原英史氏は憤懣やるかたないといった趣きだ。
「異様の意味はもう1つあります。既得権益の塊のようなこの岩盤規制が、法律ではなく文科省の告示で決められていることです。国会での審議も閣議決定もなしに、文科省が勝手に決めた告示です」
◆獣医の絶対的不足
文科省の独断の表向きの理由は、獣医の需給調整、即ち獣医が増え過ぎるのを防ぐためと説明されている。だが実際は、競争相手が増えて既得権益が脅かされることへの公益社団法人日本獣医師会側の警戒心があると見られている。大学も同様だと、内閣府・国家戦略特区ワーキンググループ(WG)委員の原英史氏が語る。
「獣医系学部・学科があるのは現在16大学です。志望者は多く、入試倍率は平均で15倍、学生はどんどん来ます。定員は全国で930人ですが、実際の入学者は1200〜1300人と、水増ししています」
定員の50%増で学生を受け入れる程ニーズがあるのに新設させない理屈は何か。日本獣医師会側はあくまで、獣医は余っている、これ以上要請する必要はないと主張する。
加戸守行・前愛媛県知事は、知事として愛媛県の畜産農家の実情を見詰めてきた。その体験から、獣医師は絶対的に不足していると主張する。
「私の知事時代、鳥インフルエンザが発生しました。感染拡大を防ぐために獣医という獣医に集合してもらいました。県庁職員の産業動物獣医には、獣医の絶対的不足の中、定年を延長して働いてもらっています。70代の獣医さんを掻き集めても、それでも足りない。獣医学部新設を許さない鉄のような岩盤規制をどれだけ恨めしく思ったかしれません」
内閣府・国家戦略特区ワーキンググループ(WG)委員の原英史氏は語る。
「現場はおよそどこでも獣医不足です。現場を見ることなしに発言して欲しくないと思います」
実際に何が起きていたのか。内閣府・国家戦略特区ワーキンググループ(WG)委員の原英史氏が異様だと非難した実態は如何にして生まれたのか。こうした問いの答えにつながる情報を、2017年7月17日の「産経新聞」がスクープした。その中で日本獣医師会と自民党・石破茂氏との会話が報じられている。
2015年9月9日、地方創生担当大臣だった自民党・石破茂氏を、元衆院議員で政治団体「日本獣医師政治連盟」の北村直人委員長のと、「日本獣医師会」会長で自民党福岡県連会長の蔵内勇夫氏が訪ね、自民党・石破茂氏がこう語ったという。
「(今回の成長戦略における大学)学部の新設条件は大変苦慮しましたが、練りに練って、誰がどのような形でも現実的には参入は困難という文言にしました」
絶対に獣医学部新設を阻むべく、規制を強めたと言っていることが窺える。具体的にはそれは「石破4条件」を指すとされ、獣医学部新設のハードルを上げて極めて困難にしたと報じられた。
自民党・石破茂氏とは連絡がつかず、この点について直接確認できなかったが、産経新聞の取材に、自民党・石破茂氏は先述の発言も含めて全面的に否定した。ただ先述の言葉は日本獣医師会のホームページに自民党・石破茂氏との対話として公開されている。
こうした中で、加計学園に獣医学部の新設が認められたのはなぜか。
内閣府・国家戦略特区ワーキンググループ(WG)委員の原英史氏が説明した。
「獣医学部新設は、平成26年(2014年)からWGで議論していました。当時議論していたのは、新設の提案があった新潟のケースです。しかし、肝心の大学(新潟食料農業大学、2018年開学予定)がついてこず、具体化しませんでした。他方、今治の提案は平成27年(2015年)末に受け入れられました」
◆天下りの土壌
加戸守行・前愛媛県知事が語る。
「私は知事になって2000年頃からずっと、今治市と協力して地元の熱意と夢を担って、獣医学部新設を働き掛けてきました。私たちの特区申請は何回も門前払いを食らい、一番強く反対したのが日本獣医師会でした」
加戸守行・前愛媛県知事は特区申請を認めてもらえるように教授陣を充実させ、ライフサイエンス分野で新しい研究を進めること、感染症対策にも積極的に取り組むことなどを盛り込み、提案を練り上げた。
加戸守行・前愛媛県知事が語る。
「四国4県のどこにも獣医学部はありません。今治市だけでなく四国全体の夢として準備を重ねましたから、今治が最適だという自負があります。安倍首相と加計さんが友人であることは全く無関係です」
内閣府・国家戦略特区ワーキンググループ(WG)委員の原英史氏が加えた。
「獣医学部新設の提案は、新潟市、今治市と京都の綾部市からありました。綾部市は京都産業大学を念頭に置いていたのですが、7月14日に京産大が正式に提案を撤回しました。新潟は申請自体が具体化していません。結局、充実した案を示したのが今治市と加計学園のチームだった。熱度が全く違いますから、彼らが選ばれるのは当然です。安倍首相の思いや友人関係など個人的条件が入り込む余地など全くありません」
先述のように、加戸守行・前愛媛県知事は国家戦略特区で今治市と加計学園が認められたことで、歪められた行政が正されたと語り、官邸が行政を歪めたという前川喜平・前文部科学事務次官の主張を真正面から否定した。行政を歪めた張本人は、前川喜平・前文部科学事務次官の言う官邸ではなく、加戸守行・前愛媛県知事が指摘したように日本獣医師会と文科省ではないのか。
その動機に天下りがあるのではないか。強い規制は天下りの土壌を生む。大学は文科官僚が大事にしなければならない絶好の再就職先だ。加計学園問題は今や事の本質から離れ、文科省、前川喜平・前文部科学事務次官、朝日新聞などの思惑が渦巻いて反安倍政権と倒閣の暗い熱情で結ばれているのではないか。
加戸前愛媛県知事の発言をどれだけ取り上げたか(2017年7月11日朝刊各紙)
http://www.sankei.com/politics/photos/170712/plt1707120010-p1.html
@一般記事A詳報
産経@50行A53行
読売@68行A4行
東京@11行A5行
日経@9行A−
朝日@0行A20行
毎日@0行A19行
*日経は詳報を掲載せず。朝日は今治市長の記者会見記事で加戸氏に触れた
2017.7.10 23:01更新
【閉会中審査・詳報(5)】
原英史氏「獣医学部新設規制はあまたの岩盤規制の中でもかなり異様」「規制改革のプロセスに一点の曇りもない」
http://www.sankei.com/politics/news/170710/plt1707100066-n1.html
http://www.asyura2.com/17/senkyo229/msg/787.html#c28