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(時時刻刻)空転国会、折れた野党 議長仲介仰ぎ審議復帰 柳瀬氏「招致」で歩み寄る
2018年5月8日05時00分 朝日新聞
野党が8日の衆院本会議から、19日ぶりに国会審議へ復帰することを決めた。麻生太郎財務相の辞任などを求めて審議拒否を続けてきたが、展望は一向に開けない。与党が強硬な姿勢を崩さない中で、満額回答にほど遠いまま正常化に応じざるを得なかった。▼1面参照
大型連休をはさみ、野党は追い詰められていた。頼ったのは、大島理森衆院議長による仲介だった。
「異常事態の打開に関する申し入れ」。こう題された文書を手にした立憲民主党の辻元清美国会対策委員長は7日午前10時、国会内の衆院議長室に入った。文書の末尾には辻元氏ら6人の野党国対委員長の名前が並ぶ。連休中から野党間で入念に準備を進めていた。
野党が審議拒否を始めたのは4月20日。加計(かけ)学園の獣医学部新設計画をめぐっては柳瀬唯夫元首相秘書官(現・経済産業審議官)の証人喚問を要求し、麻生氏の辞任でも譲らない強気の構えだった。
だが、与党は証人喚問要求を「刑事事件でもない」と一蹴し、麻生氏は続投を表明。政権の不祥事に対する世論の批判を受け、連休前に与党の譲歩を得る狙いが、与党から「ゼロ回答」のまま審議拒否は長期化した。与党幹部からは「19連休」とからかわれた。野党内からも要求が高すぎるとの声が上がり、国会審議復帰への糸口を探らざるを得ないのが実情だった。
局面の打開へ先手を打ったのは政府・与党だった。
加計学園関係者や愛媛県職員らとの面会について「記憶の限りでは、ない」としている柳瀬氏を参考人招致し、学園関係者との面会は認めつつも、同県職員らについて「同席していたかもしれないが記憶にない」と答弁してもらう案の検討に入った。
この動きが表に出ると、野党も飛びついた。「安倍晋三首相と加計学園の関係を追及する糸口になる」。立憲幹部はこう期待感を示した。
議長による仲介は、審議復帰の格好を付けるための最終手段だった。申入書には「麻生財務相の辞任」の要求はなかった。辻元氏は6日、自民党の森山裕国対委員長とひそかに会談し、7日の正常化合意に向けた調整を進めていた。
大島氏は7日午前、辻元氏から申し入れを受けると森山氏を呼び入れ、「民主主義の基本である議論による統治を作る努力をしてもらいたい」と要請。野党が求めた証人喚問ではなかったが、柳瀬氏に対する質問時間を十分に確保することで与党も歩み寄った。
大島氏の立ち会いのもとで合意した後、辻元氏は記者団にこう語った。
「十分ではないが、議長にお出ましいただいて、審議ができる環境が整った。ギアを切り替えて、徹底審議でいく」
安倍首相は7日夜、東京都内のホテルで開かれた石原派の会合で、同派に所属する森山氏の労をねぎらい、「政府としては、しっかりと丁寧に説明をしながら国民のご期待に応えていきたい」と強調した。その1時間ほど後、柳瀬氏は経産省で記者団の取材に応じ、「誠実にしっかりと国会でお話しさせていただきたいと思います」と語った。
(笹川翔平、別宮潤一、斉藤太郎)
■正常化、与党ペースで決着
国会の正常化は、与党ペースで決着した。柳瀬氏の参考人招致を与党が受け入れた背景には、柳瀬氏の主張をこのまま維持し続けても世論の理解を得られないとの判断があった。加計学園関係者との面会に限って認めることで、国会審議の膠着(こうちゃく)状況を乗り切れる、との計算も働いた。
愛媛県の文書には、柳瀬氏が同県職員らと面会し、「首相案件」と述べたと記されており、野党側が首相の関与を追及する事態を招いた。だが学園関係者との面会ならば、柳瀬氏の過去の答弁を撤回することなく平行線に持ち込むことができる、ともくろむ。
さらに与党は、柳瀬氏とともに政府の国家戦略特区ワーキンググループの八田達夫座長の招致も要望。八田氏は過去の国会答弁で獣医学部新設について「決定のプロセスには一点の曇りもない」と発言しており、柳瀬氏と共に呼ぶことで、獣医学部新設には問題がないとの立場を強調することができる。野党は難色を示したが、最終的に与党は両氏に、野党は柳瀬氏のみに質問する形で決着した。
それでも野党が「一歩前進」と受け止めるのは、柳瀬氏が加計学園関係者との面会を認めれば、獣医学部新設計画が「加計ありき」で進んだことへの疑いが強まるとみるためだ。首相が獣医学部新設への関与を否定してきた過去の答弁との整合性も改めて追及することができる。
「5月を『疑惑解明月間』にしたい」。辻元氏は記者団にこう意気込む。野党は今後、首相が出席する予算委集中審議や、森友・加計学園問題、自衛隊日報問題、財務省の公文書改ざん問題を扱う各委員会でも真相究明に全力を挙げる方針だ。
(及川綾子、中崎太郎)
■与野党合意のポイント
・加計学園の獣医学部新設計画をめぐり、柳瀬唯夫・元首相秘書官(現・経済産業審議官)と政府の国家戦略特区ワーキンググループ(WG)の八田達夫座長を国会に参考人招致。野党は柳瀬氏のみに質問する
・安倍晋三首相が出席する衆参両院の予算委員会集中審議を複数回行う
・財務省による決裁文書改ざん問題で、改ざん前の文書を18日をめどに国会に提出
・自衛隊の日報問題の調査結果を今月中に提出
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13483025.html?iref=pc_ss_date
http://www.asyura2.com/18/senkyo244/msg/290.html#c3