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(回答先: 漫画原稿の売り払い流出で、弘兼憲史氏や高橋留美子氏が提訴 投稿者 【時事通信記事】 日時 2003 年 10 月 05 日 17:16:34)
http://www.nikkei.co.jp/weekend/news/20031002s16a2000_02.html
手塚治虫500万円は高い?安い?――漫画古書店「まんだらけ」社長・古川益蔵氏
《写真》まんだらけの古川益蔵社長。「希少本に思い入れはない。お金がもうかったほうがいいなあ」と語る
http://www.nikkei.co.jp/weekend/news/20031002s16a2000_02.jpg
サブカルチャーがあふれる東京都中野区の商店街ビル「中野ブロードウェイ」。マニアを集めるのは漫画古書店「まんだらけ」だ。「マニア館」や「カード館」など全17店をビル内に構える。商品は漫画、同人誌、おもちゃが中心。原画・原稿やセル画も扱う。「子どものころに読みたくても読めなかった漫画」「捨ててしまったけれど、もう一度読みたい漫画」を求める客が集まる。
23年前にまんだらけを創業し、株式公開をするまでに店を育てあげた古川益蔵社長に最近の漫画古書事情を聞いた。
――まんだらけの客層は?
「地方に行くほど低年齢化が進み、男性の割合が増えますが、東京では20代後半から30代の男女が中心です。女性客の方が多いくらいですね。20年前は1割にも満たなかったのに急増しました。1970年代に萩尾望都(はぎおもと)らが少女漫画革命を起こしたんです。それまでの単調な少女漫画ががらりと変わり、読者が増加。一時期は少年漫画より売れていました。1970年代以降に少女漫画を読んだ世代が今、大人になって買い求めるようになったんです」
「女性同人誌の需要が高まったのも女性客が増えた一因ですね。有名作家の作品であれば発表された翌日には10〜20倍の値段がついています。これほど需要があるとは僕も読み切れていませんでした。同人誌の漫画を書いた経験がある人が案外多いのだと思います。そのころの熱意は残っていますから、社会人になって改めて同人誌ユーザーになるのではないでしょうか。まだまだ日本には潜在的な需要があると考えています」
《写真》手塚治虫「新宝島」。単行本では初めての作品となる。これを読んで漫画家を目指した人は数多い
http://www.nikkei.co.jp/weekend/news/image/mandarake01.jpg
――1番値段が高い漫画本は?
「手塚治虫の作品『新宝島』の初版単行本です。大阪の倉庫に60年近くしまわれてきたため新品同様。値段は500万円です。今は金庫のなかに大事に保管してあります」
「幻の1冊といわれているのは手塚治虫の作品『モモーン山の嵐』。1947年出版の単行本です。原稿の切れ端が残っているし、作品リストにも掲載されている。存在はわかっているのに誰も見たことがないんです。出てくれば500万円を超える値段がつくでしょう。手塚プロに聞いた話では、資料室に1冊だけ保管していたのに行方不明になったそうです」
「僕は500万円という値段は安いと思っています。国宝級ですよ。ディズニーの作品で同じようなものが出てきたら何千万、何億円という値段がつくでしょう。アメリカは自分の文化を守っているんです。日本は漫画を文化と思わないところから始まってしまった。20年前に『漫画は文化だ』と言ったらマニアからもたたかれましたから」
――まんだらけは米ロサンゼルスなど海外にも店舗を構えていたが、出店コストがかさむためインターネット販売にしぼった。5カ国語(日・英・仏・スペイン・韓)の販売サイトを運営する。海外の人気商品は?
「売れる商品は国や地域によって異なりますが、世界共通で人気があるのは『美少女戦士セーラームーン』や『ドラゴンボール』です。漫画、アニメ、グッズ、原画、セル画、台本――。何でも売れます。子どものころにアニメを見ていた人が、今度は自分の子どもにコスプレをさせたり、カードゲームを買ったりしています」
「漫画は翻訳されないとまず売れません。広まってはいますが、アニメに比べると読者の層が薄いですね。ただ、漫画を読むために日本語を勉強している人は意外と多いんです。翻訳本ではなく原本の注文がきます。日本でもあまり知られていないような古い雑誌の何月号が欲しいと指定されることもあるんですよ。好きな人は本当に詳しい」
《写真》店内にはコスプレをした店員も
http://www.nikkei.co.jp/weekend/news/image/mandarake02.jpg
――世界における日本漫画の位置付けは?
「日本の漫画は世界のトップレベルです。僕は文化が生まれるために最低限必要な条件は『経済的な豊かさ』と『自由性』だと思っていますが、日本の漫画は両者を備えています。特に同人誌は規制が全くない状態で自由な作品を生みだしてきた側面がある。同人誌は漫画の基礎です」
「女性同人誌も今は『性の開放』といわれていますが、女性が自発的に発信している希少な文化です。今はパロディーが多いですが、5年もすれば芸術的な作品が確立すると考えています」
――仕入れの目利きはどこで身に付けたもの?
「もともと18歳で上京して漫画を書いていました。単行本も出しましたが売れなくて、いろんなアルバイトをやりました。漫画古書店を始めたのは、好きな漫画が読めるし店にいるだけで仕入れも販売もできるから。楽だと思ったんです。ところが、これが大当たり。当時は漫画専門の古本屋がなかったので、繁盛して忙しくなりました」
「最初は相場がわからないので、漫画を売りに来たマニアの人に『いくらくらいで売れるかな?』と聞いていたんです。『1万円で売れる』と言われたとすると、今度はいくらなら僕に売ってくれるかという話になります。2000円では駄目ですね。5000円、つまり売値の半分なら『売る』と言うんです。そんなやりとりのなかで相場が決まってきました。だから、普通の古本屋では売値の10%程度で買い取るのに、僕は売値の50%で買い取ってきた。おかげで『ここは高く売れるから』と話題になり、いい商品が入ってきたんです。今でも売値の50%で買い取っていますよ」
「売値の決めてはまさしく『売れるかどうか』ですね。もうひとつは『残存数』。数が少ないものは高く売れますから、その作品が日本のどこに何点残っているという情報を頭にいれておくんです」
《写真》まんだらけ中野店の本店。平日昼間でも客は絶えない
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――今後の構想は?
「まんだらけで取り扱っている商品は全部で約500万種類あります。これらの情報を管理するため販売時点情報管理(POS)化を進めてきました。年内には完了したいと思っています。今は僕と4、5人で売値を判断していますが、アイテムの現存数がわかれば誰でもおおよその目利きができるようになるんです。狙っているのは仙台など地方への出店。全国各地に眠っている宝を掘り起こしたいと考えています」
「古書店チェーンの進出は漫画文化の崩壊をもたらすのではないかと思っています。アルバイトなど誰でも値段が決められる仕組みを作ったわけでしょ。希少性は判断されず、安い値段で取引されています。まんだらけは漫画の価値を正当に示していきたい」
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