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『原子力と日本病からの脱出のすすめ』
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投稿者 なるほど 日時 2003 年 10 月 06 日 00:32:27:dfhdU2/i2Qkk2

『原子力と日本病からの脱出のすすめ』ゲスト 村田 光平さん(東海学園大学教授) インタービュアー中川 雅仁
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原発問題に企業はあまり触れたがらない

中川 今日はお忙しいところ、お時間をとっていただいてありがとうございます。雑誌は見ていただけましたでしょうか。

村田 拝見させていただきました。私は、スイス大使時代に、喘息があったのですが、東洋医学の治療を受けたこともあって、氣という言葉をよく聞きました。スイスでは、鍼とか灸も、本人が希望すれば受けられますし、保険もききます。
 私が心配したのは、私との対談を載せていただいてご迷惑にならなければいいなということでした。
 原発問題は、企業はあまり触れたくないのが本音だと思います。タブーですから。そのタブーをさんざん破ってきた私が、こうした会報誌に出たりすると、そちら様がいろいろと不利益をこうむるのではと思ったわけです。

中川 そういうものですか。そんなことがあるというのは、ぜんぜん知りませんでした。『原子力と日本病』(朝日新聞社)という先生の本を拝見して、もっともなご意見を述べておられるし、こうした情報はたくさんの方に知っていただきたいと思ったものですから対談をお願いしたのですが。

村田 私の本を読んでくださって、その上で対談相手にご指名くださったのだとお聞きして、それなら喜んでお受けしたいと思いました。
 脱原発なんてことを言っていると、いろいろな圧力がかかってくるものですから、ついついあれこれと気を回してしまいます。

中川 具体的にどんなことがあるのですか?

村田 いろいろありますよ。普通、会社の幹部、指導者は原子力についての発言を避けますね。マスコミも、私が書いたような本は取り上げません。
 子どもの就職にも影響があるという話を聞いたこともあります。
 私は、スイス大使時代に、私見として脱原発の発言をしましたが、そしたら見事に「島流し」になりました。「島流し」の行き先が大学だったわけですが、私にとってはありがたいこと限りなしの理想郷でした。
 今はすごく楽しくやっていますよ。

中川 お顔を拝見していればわかります。
 村田さんてどんな方だろうと、いろいろと想像してきました。元大使で、今は原発問題を扱っておられる大学教授ですから、きっと非常に硬いお話をされるのではと心配していたのですが、すごく明るくて、にこやかで、今は安心しています。
 ところで、スイスの大使をやっておられた方が、脱原発をどうして訴えるようになったのか、そのあたりが非常に関心あるのですが。

村田 ヨーロッパは、脱原発が主流になっていますから、普通の感性をもっていれば、自然にその流れになってしまいますね。
 未来の地球や子どもたちに対する責任感を、ヨーロッパの人たちは、普通の感性として備えています。
 ここがアメリカ文明とヨーロッパ文明の違いではないでしょうか。ヨーロッパは、自己規制能力が非常に高いと言えます。

中川 普通の感性ですか。原発を推進している人たちは、普通の感性を持ち合わせていないわけですね。

村田 小学生の知能があれば、原発の危険性はわかりますよ。
 100万キロワット級の原発一基が1年間に燃えカスとして出す放射能は、広島原爆1000発分に匹敵します。そして、国内での原発のトラブルは例えば2000年1年間だけでも50回は起こっていて、犠牲者もたくさん出ているという現実があります。
 原発で放射能をあびながら働く人たちの数は1970年から2000年までの31年間に延べ140万人以上いますが、一般人の被曝許容量の50倍までが認められている。なんと罪深い話だと思いませんか。大変深刻な問題です。
 あるいは、マグニチュード8クラスの地震がくる可能性があるとされている東海地方の浜岡に、どうして4基も原発が作られ、さらに1基が建設中なのか。素直に考えれば、危険だからやめようという答えはすぐに出るはずなのですが。地震と原発事故が同時に発生する「原発震災」となれば「世界を壊す」話となります。
 そうしたことがわからないのは、感性の問題だろうと思います。

唯一の被爆国が原発を熱心に進めている矛盾

中川 原発がなくなると、エネルギーが足りなくなるとよく言われます。私たちの生活に支障をきたすという話をよく聞きますが、そんなことはないということですか。

村田 水力と火力で十分に間に合います。こんなことを言うと、地球温暖化はどうするのかと反論されるのですが、原発は地球の破滅をもたらします。温暖化と破滅とどっちをとるかという選択だったら、どうしますか。
 とりあえずは温暖化には目をつむる。しかし、温暖化を認めるということではないですよ。エネルギー消費を減らすのは当然だし、燃料電池などの未来型のエネルギーを実用化させることも急務になっています。

中川 確かに、私たちがもっとエネルギーを消費し続けるという前提で、エネルギーの需要予測は立てられています。こんなにエネルギーを使うのだから、原発は不可欠だといった議論がなされていますが、本当はいかにエネルギー消費を抑えるライフスタイルにしていくかということが、もっと論じられる必要があるということでしょうね。
 燃料電池については、私も自動車で実用化されるようなニュースを聞きました。
 いろいろな代替エネルギーが登場して、徐々に脱原発の方向に進んでいくというのは楽観的過ぎますか。

村田 確かに流れが変わっていると感じることもあります。私のところに雑誌社から取材や執筆の依頼が来るようになりました。講演の依頼も増えてきています。柏崎や小浜という原発のある地域から、ぜひ話を聞きたいと言ってきてくださいます。
 ただ、今の経済至上主義を変えないことには、なかなか前へは進んでいかないでしょうね。
 経済の中に環境があるのではなく、環境の一部に経済があるという見方が必要です。

中川 先生は、日本病という言い方をされていますね。それが、世界病になりつつあると。

村田 チェルノブイリ原発の後、日本を除く西側諸国では、原発の建設がゼロです。日本だけが22基も作っている。
 日本は、世界で唯一の被爆国です。被爆国として、原子力の危険性を世界に訴える責任と義務があるはずです。にもかかわらず、もっとも熱心に原発を進めている。それも、浜岡のように地震の可能性の高いところに平気で建ててしまう無責任さです。
 大きな事故も起こっています。
 よく知られているのは、1995年に高速増殖炉「もんじゅ」でナトリウムが漏れ、火災を起こしました。高速増殖炉は、核燃料を繰り返し使う夢のシステムの中心施設です。しかし、アメリカでもヨーロッパでも、大事故の可能性が高いということで断念しています。日本は、実際に事故があっても、まだまだやる気十分です。2005年には青森県六ヶ所村の再処理工場の操業を開始するという目標が掲げられていますが、この再処理工場には、広島の原爆100万発を超える死の灰が集められることになります。最悪の場合、原発1000基分の規模の大事故発生の可能性が指摘されております。
 1999年には、記憶にあると思いますが、JCOの事故がありました。2人の方が亡くなり、1000人以上が被曝しています。
 最近はあまり報道されませんから、終わったような錯覚をもってしまいますが、いまだに苦しんでいる人はたくさんいます。

未来の世代に大きな罪を犯している

中川 私の父はこの真氣光の創始者ですが、チェルノブイリの被曝者にぜひ氣の治療を受けさせたいと、何度もミンスクにある病院に足を運びました。ボランティアを募って、団体で治療ツアーを組んだこともありました。
 たくさんの被曝した子どもたちがいて、とても見ていられなかったのでしょう、被曝した子どもたちを日本に招待したこともありました。
 子どもたちは、甲状腺にダメージを受けていました。体が痛いとかだるいとか食欲がないなどの症状があって、とても気の毒でした。
 何の罪もない子どもたちが、大変な目にあっているわけです。
 病気になり、帰る場所もなくなり、希望ももてない。彼らを見ていると、何とも言えない気持ちになりました。
 そんなことが日本で起こっても不思議ではないということですよね。

村田 現世代は未来の世代に対して、大きな罪を犯していると私は思っています。
 さきほど、日本病ということを言われましたが、具体的には、責任感、正義感、倫理観の『三カンの欠如』だと思います。これをジャーナリストの筑紫哲也さんにお話したら、彼は大いに共感してくれて、『問題を隠蔽する』『問題を先送りする』『だれも責任をとろうとしない』という言い方で日本病を言い表してくれました。原発については、この日本病がもっとも顕著に現れていると思います。
 その日本病が、世界に蔓延しています。どこの国も、未来に対して責任をとる態度、選択が、求められていると思います。

中川 いろいろな問題が表面化していますよね。大企業や大病院の不正が明らかになってきています。
 今は、そんな過渡期にあるのだと思います。
 これまでの、自分さえ良ければいいという考え方が、そろそろ通用しなくなっているのではないでしょうか。

村田 その通りですね。これからは、専門家ではなくて市民が主役にならなければなりません。それに技術ではなく直観が重視され、権力でなく哲学が必要とされ、知性でなく感性が求められる時代になっていきます。
 経済も、これまでのGDP経済では、絶対に問題は解決しません。GDP経済は、分量さえ多くなればいいという考え方です。豊かさの基準が量に置かれている。だから、工場が爆発すればその修理にお金が動くからGDPはアップするし、離婚が増えれば弁護士の収入が増え、犯罪率が上がれば新しい牢屋を作るので経済にいい影響を与える。社会が良くなるかどうかは問題にされない。ただ、お金の動きさえあればよしとする経済です。こんなことが長続きするはずがありません。
 まずは、そこを変えていくことです。
 私が提唱しているのは、足るを知る「知足経済学」です。仏教経済学ともガンジー経済学とも言えるものです。
 幸福というのは、物質的豊かさを欲望で割ったものだとよく言われています。これは仏教の思想に通ずる考えです。もう物質的豊かさは限界にきています。そんな中で幸福度を上げていくには、欲望を小さくするしかない。
 また、知足経済学では、計量化されない価値を大切にしますから、家族や地域共同体、治安、健康、空気、水といった、人間にとって心地いいものの価値が尊重されるようになります。
 原発は、GDP経済学では、とにかくお金がかかりますから、優等生ということになりますが、知足経済学になると、たとえば安全性という価値を重要視すれば、ない方がいいということになってきます。
 そうした新しい価値観に基づいて人が生きていける社会を作っていくことが急務だと思います。

日本の次の役割は文化大国になること

中川 先ほど先生が言われた、専門家ではなく市民、知識ではなく直観、権力ではなく哲学、知性ではなく感性というのは、私も実感しています。
 理屈はわからなくても、これは危険だとか、これはすごいとか、感じるところがありますよね。そうした感性を高めていくことが大切だと思います。
 ハイゲンキの読者の方々は、今回の先生のお話に触れ、『原子力と日本病』という本を読むことで、何とかしなきゃいけないと感じてくださるはずです。
 私たちは、知らないことが多すぎるような気がします。
 こんな大切なことが、あまり報道されずにいるというのは恐いことです。
 日本病と先生はおっしゃいましたが、日本人は、知らないからのんきにしているというところもあると思います。もし、事実を知れば、行動をするのではないでしょうか。
 でも、先生のように、わかりやすく、それににこやかに、こうした種類の話をしてくれる方は少ないんじゃないでしょうか。それに、具体的に、方法論の提案もなさっている。
 今日は、大変な問題がテーマになっているにもかかわらず、大らかな気持ちで対談ができました。

村田 そう言っていただけるとありがたいですね。少しでも多くの人に関心をもっていただきたいので、だれにでもわかる言葉で話すことは注意しています。
 私は学者ではないので、感性で話しています。それがいいのかもしれません。
 会長が言われるように、私たちは真実を知らされていません。
 日本には、いいところもたくさんあります。
 私は、神道、儒教、仏教などを日本独自のものに変質させ、文化に組み込むという日本の柔軟性はすごいと思います。この柔軟性が世界をひとつにまとめる可能性をもっていると期待しています。
 かつては軍事大国、その次は経済大国、次に日本が目指すのは文化大国です。
 そのためには、原発の真実をまずは知っていただきたい。
 何かがあったら、すべての努力が水の泡になってしまうほどの大問題を抱えているのですから。

中川 今日は本当にありがとうございました。いい勉強になりました。
 それに、私は先生のお人柄にすごく感銘を受けました。外務省のエリートという立場から、「島流し」に遭いながら、逆に自分のやりたいことができるということに喜びを見出しておられる姿はすばらしいと思います。さまざまな圧力がありながらも、それをエネルギーに変えておられるようにお見受けしました。
 幸福のお話をされていましたが、どんな状況に置かれても、それをどうとらえるかで幸福度は決まってくると思います。  まわりから見ればみじめだと思われることでも、本人が幸せをそこに見出せば幸せだと思います。
 脱原発の運動も、悲壮感を漂わせていては、なかなか人は集まってこないのではないでしょうか。先生のように、明るく前向きに取り組んでおられるからこそ、たくさんの人の共鳴を得られるのでしょう。
 私どもの会員の皆様にも、先生の本を読むようすすめておきます。

村田 こちらこそ、楽しい時間を過ごさせていただきました。
 原発の問題に関心をもってくれる方は確実に増えてきています。
 会長のような理解者が登場したのも、私にとっては頼もしい限りです。
 これからもよろしくお願いします。

中川 今日は、お忙しい中、ありがとうございました。これからのご活躍、心よりお祈りしています。

http://shinkiko.com/interview/talk21.html
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★関連URL

「ムラタ教授の世直しサイト」
http://homepage.mac.com/kurionet/murata.html
著書『原子力と日本病』村田 光平
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4021000658/qid%3D1063047301/sr%3D1-1/ref%3Dsr%5F1%5F0%5F1/250-9668203-6391452
「東海地震に備え浜岡原子力発電所をなんとかしよう」
http://www.geocities.jp/stop_hnps/ 

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