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※2025年4月26日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
“前科”があるだけに…(C)日刊ゲンダイ
立憲野田も消費税減税に舵切りし、自民党も氷河期世代対策などを急いでいるが、これまで騙され、むしり取られてきた庶民はそれほど甘くないぞ。期間、財源、経済効果など、そこにマトモな議論があるのか。バラマキで票の皮算用は有権者を小バカにしている。
◇ ◇ ◇
夏の参院選を見据え、「減税バスに乗り遅れるな」といった様相だ。
立憲民主党は25日、参院選公約に1年限定で「食料品の消費税率0%」を盛り込む方針を決めた。中低所得者の消費税を実質的に還付する「給付付き税額控除」導入までの暫定措置で、経済状況により1回のみ延長も可能とする。
立憲の野田代表は旧民主党政権での首相在任時、消費税率の10%引き上げ方針を決めた「ザ・当事者」(野田)。過去の言動や財政規律重視の立場から減税には慎重だったが、減税を求める党内の勢いに押し切られ、大きく舵を切った格好だ。
25日の会見で野田は変節批判を恐れてか、「臨時的措置」を連呼。深刻な物価高とトランプ関税への不安に触れ「将来世代をおもんぱかる政治を進めてきたが、今を生きる人たちの暮らしも大事」と“君子豹変”の自己演出に必死だ。
実質賃金はマイナス続き。今月も食料品値上げは4000品目を超え、「エンゲル係数」は28.3%と43年ぶりの高水準となってしまった。野田に言われるまでもなく、庶民は「今を生きる」のに精いっぱいだ。消費税は「逆進性」が高く、低所得者層ほど負担が重い。それが「悪魔の税制」と呼ばれるゆえんだけに、食料品高騰に苦しむ庶民にすれば税率ゼロは大歓迎。悪霊退散、神様、仏様、野田様で「立憲に投票するゾ!」──とまあ、そう簡単に事が運ぶほど有権者はバカじゃない。
財源なきバラマキ批判は免れない
すでに日本維新の会は食料品の2年間の課税ゼロ、国民民主党は時限的な税率の一律5%への引き下げをそれぞれ政府に要望。共産党やれいわ新選組も、税率5%や消費税廃止を訴えている。
立憲が食料品ゼロを打ち出したことで、参院選を前に主要野党は消費税減税で足並みをそろえたわけだが、肝心の財源を巡る議論は後回しだ。
野田は会見で「赤字国債に頼ることなく未来世代に負担を及ぼさないようにする」と強調したが、具体的な財源確保策は党政調会長に取りまとめを指示するにとどめた。
2023年度の消費税収は過去最高の約23兆円に上り、法律では医療、年金、介護、子育て支援の社会保障4経費に充てることになっている。一律5%で年間10兆円以上、食料品ゼロで年間5兆円ほど、国と地方の税収に穴があく。まともな財源を明示しなければ、財務省とその御用メディアが「社会保障のサービス低下を招く」と騒ぎ出すに決まっている。
野田は腹案として今年度予算審議で「積み過ぎ」を指摘した政府基金7.8兆円の活用をにおわせたが、1回限りとした延長分は賄えない。明確な財源とワンセットで減税を打ち出さなければ、揚げ足を取られるだけ。「票欲しさ」のバラマキ無責任野党というそしりは免れない。
もっとも庶民は財源なき減税策になびくほど、愚かではない。財政規律も気にかけている。与党内で全国民に一律3万〜5万円程度の現金給付を検討中だと伝わるや、「ミエミエの選挙対策」との批判が沸騰したことでも自明の理。票欲しさのバラマキには敏感だ。
ましてや、野田は政権公約になかった消費税の増税方針を決めた“前科持ち”だ。散々ダマされ、むしり取られてきた庶民はそれほど甘くない。野田が裏付けナシで減税をブチ上げても、国民は「うまい話には裏がある」と身構えるだけだ。
減税バスに乗り遅れた自民は気も狂わんばかり
財源論は置き去りの無責任(C)日刊ゲンダイ
むろん、より国民を小バカにしているのが与党の方であることは論をまたない。
25日は公明党も参院選公約の第1弾を発表。「物価高を克服」「給料を上げる」「社会保障の充実」を3本柱に掲げ、減税や給付を組み合わせて「家計を応援する」と強調した。
減税の具体策は示さなかったが、すでに公明の斉藤代表は「軽減税率引き下げも俎上のひとつ」と明言。「減税の仲間に入れて」とひざまずかんばかりで、ご多分に漏れず財源論は置き去り。政権の一端を担う与党として無責任にも程がある。
いやはや、気づけば「減税バス」に乗り遅れているのは自民党のみ。党内では改選を控える参院議員を中心に減税を求める動きが目立つ。
24日には減税に否定的な執行部に業を煮やし、松山政司参院幹事長ら参院幹部が森山幹事長や小野寺政調会長と面会。全参院議員のアンケートを踏まえ、参院選に向け「公約に盛り込むべき政策」を提出した。その中で「消費税率引き下げを求める意見が大多数(8割)」と記し、食料品の税率を2年程度、ゼロにすべきと求めたという。
それとは別に衆参の若手・中堅ら約70人が参加する「責任ある積極財政を推進する議員連盟」を中心に減税を求める提言をまとめ、署名を募っている。こちらの提言では、食料品の消費税は「恒久的に0%」。財源は「国債の新規発行で対応する」とし、参院自民からは税収の上振れなどによる余剰金を活用すればいいとの意見も出ているようだ。
ちょっと待て。「年収の壁」引き上げの協議で、国民民主が財源の一部に税収の上振れ分を充てると主張したのに対し、「恒久財源ではない」と一蹴したのは自民ではなかったか。支持率はジリ貧。経済対策はガソリン価格の10円引き下げと電気・ガス料金支援という目新しさゼロ。迫る参院選で掲げる目玉政策ナシという焦りから、参院自民は気も狂わんばかり。
与野党ともに「国民ダマシ合戦」のありさまで、そこにマトモな議論があるわけがない。
野党は庶民のための減税を明確に打ち出せ
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)が言う。
「自民は参院選敗北の危機感から尻に火が付き、もはや国民生活は放置できないと減税に重い腰を上げざるを得ないのでしょう。だが、そこまで庶民の暮らしを追い込んだ責任は、過去30年以上に及ぶ自民党政権の失政にある。とりわけアベノミクスの大企業・富裕層優遇策は庶民の暮らしなど二の次、三の次。今さら就職氷河世代の支援とは笑止千万です。選挙の直前だけ甘言を弄してもムダ。勝った途端に平気でひっくり返すことぐらい、有権者はお見通しです。“歩く前言撤回”の石破首相はその象徴で、自民党政治への不信感は一朝一夕には拭えません。まさに自業自得です」
バラマキで票の皮算用の腐敗政党と一線を画したいなら、今が野党の踏ん張りどころだ。消費税減税は給付金のように貯蓄に回る心配はない。経済効果は所得税率引き下げの2倍との試算もある。食料品ゼロの言い出しっぺである立憲の江田憲司元代表代行が率いるグループは、財源に「富裕層や超大企業への優遇税制の是正で所得再分配を強化」などを掲げている。
5年43兆円の防衛費削減や大企業の内部留保課税など、自民が逆立ちしても出せない財源をキチンと示せば、必ず有権者はついてくるはずだ。立正大法制研究所特別研究員の浦野広明氏(税法)はこう指摘する。
「法人税の累進税率導入や所得税の最高税率引き上げなど、大企業や富裕層への応分負担を強めるだけで財源はたちまち出てきます。輸出大手20社に還付される消費税の『輸出戻し税』は年間1兆円を軽く超えます。こうした優遇策はトランプ米政権につけ込まれている非関税障壁でもある。トランプ関税を奇貨として、野党は連携して不公正税制の撤廃を財源に掲げ、『庶民のための減税』を明確に打ち出せばいいのです」
立憲が減税を参院選公約に盛り込んだことに、国民民主の玉木代表はいち早く反応。野党連携の機運を断ち切るように「選挙に有利なものを過去の政策と矛盾する形で出している」と批判した。バラマキ・ポピュリストがよくぞ言えたものだ。誰が庶民にとって本当の敵か。そろそろ有権者も気づいた方がいい。
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