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※紙面抜粋
初回でハッキリ分かったことがある…日米関税交渉、石破首相じゃ無理だ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/370758
2025/04/19 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
石破首相は「国益を守る」と繰り返すが…(C)日刊ゲンダイ
関税交渉の真相をてんで報じない大マスコミ。格下閣僚が一方的に要求されただけなのに、なぜ「次につながる評価」になるのか。向こうの土俵に乗せられて、右往左往の隷属外交の結末は、さらなる米軍の橋頭堡。
◇ ◇ ◇
想定外だったトランプ大統領の“歓迎”を受け、初回の日米関税交渉を終えた赤沢経済再生相が18日午後、帰国。官邸で報告を受けた石破首相は「次回交渉で具体的な前進が得られるよう、政府内の検討、調整の加速を指示した」と言ったが、暴君タリフマン(関税男)からどんな無理難題を押し付けられたのか。
赤沢は昨夜の会見で「(双方が重視する)おおよそのテーマはつかめた」と言ったが、交渉の詳細はよく分からない。訪米中のぶらさがり取材でも「答えは差し控えさせていただきたい」を連発していた。「可能な限り早期に合意したい」と“意気込み”だけが際立つ。
複数の政府関係者によれば……、という新聞報道によれば、赤沢との会談でトランプは「在日米軍の駐留経費の負担増」「米国製自動車の販売」「対日貿易赤字」を示して改善を要求したという。「日本にはアメリカの車が全然走っていないじゃないか」「農産品も買ってくれない」「対日貿易赤字をゼロにしたい」など、不満をあらわにした大統領執務室での発言は報じられているが、具体的な話はほとんど不明。「おおよそのテーマ」とは何なのか。こんなのが交渉と言えるのか。ご主人に“お伺い”を立ててきただけじゃないのか。そうした真相を大マスコミはてんで報じないのだ。
本当の在日米軍経費は1兆円超
ただ確実なのは、トランプが関税交渉を安全保障と絡めて、日本に圧力をかけてきていることだ。赤沢との交渉への参戦を突然、宣言したSNSでも「軍事支援の費用を議題にする」とわざわざ投稿していた。意味するところは「安保タダ乗り論」である。
トランプは第1次政権時から「米国は日本を守るが、日本は守らない」と繰り返してきた。米国だけが対日防衛義務を負っているのは「不公平だ」として、在日米軍の駐留に必要な人件費や光熱費などの一部を負担する、いわゆる「思いやり予算」の増額を要求。当時の予算の4倍増を払えと突き付けてきた。
第2次政権でもトランプの主張は同じ。赤沢はトランプとの会談で「日本側が年度平均で2000億円規模の駐留経費を負担していることを説明した」と報じられているが、これじゃあダメだ。ハナから交渉に負けている。なぜなら、国際ジャーナリストの春名幹男氏はこう言うのだ。
「2000億円というのは『思いやり予算』こと『特別協定による負担』だけのことで、日本が払っている在日米軍経費は1兆円に上ります。それは防衛省作成の資料を見れば分かる。在日米軍の駐留に関する経費、SACO(沖縄に関する特別行動委員会)経費、米軍再編経費を合わせた防衛省関係経費が計6829億円、特別協定による負担額1737億円、他省庁関係分が2044億円で、総計1兆円を超えているのです。思いやり予算は改定時に金額が新聞にも出ますが、その他の巨額は日米地位協定などに基づく支払いであって、いちいち報道されないため、思いやり予算が在日米軍経費のすべてだとの誤解がある。トランプ氏も第1次政権で『思いやり予算』のことに言及して『20億ドルしか払っていない。80億ドル払え』と言っていましたが、1兆円超もの税金を払っているのに、メディアもメディアにレクチャーした外務省もトランプ氏並みの知識なのでしょうか。これでは対米交渉で勝てませんよ」
駐留経費の負担増について、中谷防衛相は18日の会見で「変更する理由はない」と否定し、石破も18日の参院本会議で「適切に分担されている」「わが国の防衛費の在り方は、わが国が主体的に判断する」と強調していた。
しかし、常識の通じないトランプ相手にきちんと主張できるのか。交渉は国益にかかわる。「どういったテーマが俎上に載ったかは、しっかり情報開示してほしい」と日本維新の会の前原共同代表が苦言を呈していたが、その通りだ。
安全保障と通商問題を「両輪」として交渉する危うさ
政府代表の矜持が問われる(米トランプ大統領のSNSから)
赤沢がトランプと会談後に自身を「格下」と表現したことにも野党から批判が出ている。「自分で言っちゃいけない。国を代表した矜持というものがある」と立憲民主党の野田代表が言ったが、確かに、政府代表という覚悟が感じられないのだ。
今度の日米交渉は、そんな格下閣僚が一方的に要求されただけなのに、石破は「次につながる協議だった」と評価しているのだからおめでたい。
政府内では「防衛省幹部を連れて行かなくてよかった」と安堵しているらしいが、交渉に安保を絡められたことや、日米双方で「可能な限り早期に合意を目指す」となった時点で、完全に向こうの土俵に乗せられている。
米側の狙いは「相互関税」の上乗せ分を一時停止している90日の期限内に結論を出すことだ。通常の通商交渉は何年もかけてやる。それなのに急ぐのは、トランプの“関税爆弾”が市場に嫌気されて米国債が売られ、株安、通貨安の「トリプル安」を招いたことで、景気悪化懸念が広がり、焦っているからだ。
トランプが「日本との交渉は最優先」だとして格下とも面会したのは、米国の軍事力の傘を振りかざせば頭を下げる、くみしやすい交渉相手だと思われているからだろう。なぜ、トランプの「ディール成功」を世界に喧伝させるために日本が協力しなけりゃいけないのか。最初のいけにえにならなきゃいけないのか。
台湾有事になったら日本も戦え
ジャーナリストの山田惠資氏は今回の日米交渉をこう見る。
「日本側にとって大きな目的は相手の出方を探ることだったと思います。トランプ氏が会談に出てきたのは焦りの裏返しだということが分かった。ただ、短期決戦を日本側も認めてしまったことで相手のペースに乗せられてしまいました。石破首相が早期に訪米すると言っているのも、焦っている米国に合わせてしまった印象です。そして、安全保障面。政府関係者に聞いたところ、防衛費をGDP比3%にという要求が出なかったのは良かったと言っていましたが、今後どうなるか。安全保障と通商問題は本来、別モノであり、安保の土台の上に通商交渉があった。しかしトランプ氏は安保と通商を『両輪』として扱おうとしている。これは深刻です」
ここで譲歩すれば青天井で防衛費をむしり取られる。トランプに促されるままに米国製兵器を爆買いした安倍元首相が悪しき前例だ。右往左往の隷属外交の結末は、さらなる米軍の橋頭堡である。
「安保と通商を両輪とする悪い例をつくってしまったら、通商交渉なのに、やれ兵器を買え、防衛費を増やせという話になり、台湾有事になったら日本も戦え、ということに発展しかねません。安保と通商は両輪という前提で日米関係が動くとすれば非常に危険です」(山田惠資氏=前出)
前出の春名幹男氏もこう言う。
「石破首相は『国益』という言葉をよく使いますが、そもそもトランプ大統領は日本の国益に反するようなことを要求してきているわけで、それに対して抵抗しないといけない。ヘラヘラしていたのでは損をするばかりです」
トランプ関税に対抗するため、EU(欧州連合)はTPP(環太平洋連携協定)加盟国との連携の検討を始めた。自由貿易を重視する国・地域と協調を進める狙いだ。日本もTPP加盟国である。対米従属一辺倒ではない独自の外交を歩む、もうひとつの道があるはずだ。
真相が報じられない日米交渉だが、初回ではっきり分かったことは、石破じゃ無理だということだ。
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