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(4)多くの農家が潰れるから企業参入促進というおかしさ 間違った「議論の前提」が稲作を崩壊させる 令和のコメ騒動の深層
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/370321
2025/04/10 日刊ゲンダイ
能登の復旧遅れは移住を促しているのか…(C)日刊ゲンダイ
現在の日本は短絡的な目先の効率性の追求を強めており、安全保障や多面的機能といった長期的・総合的視点が失われている。これでは、稲作農家を守り、十分なコメ供給を確保できる見込みが立たない。
今後20年で、基幹的農業従事者数は現在の約120万人から30万人まで激減するため、農業をやる人はいなくなってくるのだから、それに合わせて、企業参入を進め、少ない人数で一層の規模拡大をする必要がある、といった議論がよく展開される。昨年6月の食料・農業・農村基本法の改正でもそうだった。
大多数の農家が潰れることを前提に、規模拡大、スマート農業、輸出、海外農業投資などを展開するために、農業法人における農外資本比率の条件を緩和する(50%未満→3分の2未満)などの企業参入促進のための規制緩和を進める、といった議論だ。
一部の儲けられる人たちだけが儲かればそれでいいという議論には、国民全体へのコメ供給の確保という安全保障の観点や、地域コミュニティーや伝統文化、洪水防止機能などの維持という長期的・総合的な視点は考慮されていない。
そもそも、出発点が間違っている。基幹的農業従事者が120万人から30万人になるというのは、今の趨勢を放置したら、という仮定に基づく推定値であり、農家が元気に生産を継続できるようにする政策を強化して、趨勢を変えることができれば、流れは変わる。それこそが政策の役割ではないか。
日本全体の人口問題も同じである。日本の人口はやがて5000万人になるのだから、それに合わせた社会設計をしよう、無理に住むのが非効率な地域に住むのはやめればよい、という議論は前提が間違っている。今の出生率の趨勢を将来に伸ばしたらそうなるという推定であり、出生率が少し上向くだけで将来推計は大きく変わる。これを実現するのが政策の役割だ。
しかし、今、懸念される流れが強まっている。能登半島のボランティアに行かれたらわかるように、復旧は遅々として進んでいない。まるで、そこに住むのをやめて移住するのを促しているかのようにも見えてしまう。実は、全国各地の豪雨災害で被害を受けた水田の復旧予算を要求しても、なかなかつかなくなっているという声も聞いた。
そういえば、消滅可能性市町村のリポートもよく読むと、消滅可能性市町村に住むのは非効率だから、もう無理して住まずに、各都道府県ごとに拠点都市を定めて、そこに移住してはどうか、と書いてある。人が減るから学校もなくし、病院もなくし、公共交通もなくしていったら、悪循環になるだけだ。狭い目先の効率性と短絡的な歳出削減で、日本の地域社会が壊され、国民へのコメ供給も確保できなくなる流れをこれ以上許すわけにはいかない。 (つづく)
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鈴木宣弘 東京大学教授
1958年、三重県生まれ。82年東大農学部卒。農水省、九州大学教授を経て、06年から東大教授。専門は農業経済学。「食の戦争」(文芸春秋)、「悪夢の食卓」(角川書店)など著書多数。
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