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※2025年4月10日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2025年4月10日 日刊ゲンダイ2面
狂乱大統領によって世界経済は混乱の極み(C)A P =共同
「狂乱大統領によって、世界経済は混乱の極みだが、庶民に防衛策はあるのか。今後の景気、雇用、物価の行方、振り回される個人投資家の備えなど、専門家はどう見ているのか。ハッキリしているのは石破政権には何も期待できないこと。
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狂乱大統領によって、世界経済は混乱の極みだ。
トランプ米政権が9日、相互関税の第2弾を発動。5日に導入した10%の一律関税に続く措置だ。貿易が不均衡だとみなす約60カ国・地域に税率を上乗せした。
その結果、世界同時株安の様相である。日本時間の9日夕時点で、独DAXは前日比2.32%安で、英FTSE100は2.25%下落。仏CAC40も2.48%のマイナスだった。
日経平均株価も9日の終値は、前日比1298円安の3万1714円。1876円高となった前日から一転して全面安の展開となった。トランプ政権が中国への関税政策を強化することで、米中貿易摩擦がさらに顕著になると不安視され、前日の米株式市場は主要株価指数が軒並み下落。この流れを受け、日経平均も取引開始直後から幅広い銘柄が売られた。午後1時過ぎに相互関税が発動されるや下げ幅が拡大し、一時1700円超も下落する場面もあった。
一体、トランプ暴落はどこまで進むのか。日経平均を巡っては、大和証券の坪井裕豪日米株チーフストラテジストが、共同通信の取材に「現状では3万円が底値だと思うが、市場のセンチメントがさらに悪化すれば2万7000円までの下落も可能性としてはあり得る」と答えている。
日経新聞が今後の株価見通しについて聞いた緊急アンケートで、第一生命経済研究所シニア・フェローの嶌峰義清氏は5月前半に「2万9000円台半ば」になると予想していた。
マネー評論家の新田ヒカル氏は「2万〜2万5000円に下落する展開もある」と言い、こう続けた。
「現状、日本は株式のみならず不動産も含めて割高になっており、バブル状態です。今回のトランプ関税か、それに準ずる何かをきっかけに一気にはじけてもおかしくありません。その場合、今の日本経済の実態から言って、2万円台前半に落ち込んでも不思議ではない。それに、トランプ大統領自身が株価暴落を容認しているフシもあります。世間には、トランプ関税について『意味不明』といった声が上がっていますが、私は将来的な中国との戦争を見据えたものとみています。戦時中に必要になる鉄鋼製品を自国で生産するため、関税で鉄鋼業の国内回帰を狙っているのではないか。だとしたら、株価の下落はそこまで気にかけないでしょう」
株式評論家の杉村富生氏はこう言う。
「日本への関税は、9日に発動した24%の相互関税で全て出尽くした感があり、影響は既に織り込んだ可能性があります。そのため、基本的には現状の3万円台前半が大底でしょう。ただ、不安要素はある。石破首相が、米国の関税措置を巡る交渉の担当閣僚に側近の赤沢経済再生相を選んだことです。赤沢氏の交渉相手のベッセント財務長官は米国のヘッジファンドの“親玉”のような人物で、相当なくせ者。政治家の赤沢氏より、民間の経済人を起用すべきでした。交渉で、関税引き下げの見返りに極端な円高容認といった条件をのまされれば、日経平均は3万円割れという事態もあり得ます」
もはや「安全資産」は存在しない
バラマキを検討…て、急場しのぎしか浮かばないのか(C)日刊ゲンダイ
恐ろしいのは、ここまでの混乱を招いて批判されても、トランプに基本方針を変える気配がないことだ。
大統領選前にトランプが全米公開阻止に動いて話題になった映画「アプレンティス」によると、トランプは米国で悪名高い有名弁護士に「勝つための3つのルール」を伝授され、妄信したという。そのルールは、@攻撃あるのみA非を認めるなB劣勢でも勝利を主張して負けを認めるな--、だった。今まさにトランプは関税で他国を「攻撃」し、全米50州で1200以上の反対デモが起きているが「非を認めない」状況である。この先、各国の経済を容赦なく破壊した上で「勝利を主張」するのだろうか。考えるだけで恐ろしい展開だ。
今後、日本も景気停滞は避けられず、失業者があふれてもおかしくない。物価高も止まる気配がない。庶民に防衛策はあるのか。また、振り回される個人投資家はどう備えるべきなのか。
前出の杉村富生氏は「個人レベルでの対策は基本的に難しい」と前置きした上でこう言う。
「米国に集中している投資マネーは、関税をきっかけに一気に逃げていくでしょう。そのため、米国株の構成比率が高い投資信託で運用している個人投資家は、銘柄の入れ替えを検討すべきです。現状、トランプ関税への対抗姿勢を示している欧州株の方が手堅いと思われます。日本株なら、輸出企業から内需関連株への切り替えを視野に入れた方がいい。トランプ米国はドル安誘導を良しとしていますから、円が高くなる可能性があります。すると、輸出企業は業績を落としかねません」
前出の新田ヒカル氏も「完璧な防衛策を見いだすのは困難」と言い、こう続けた。
「最低限の対策として必要なのは、投資先を分散させることです。これまで投資先として定番だった株式や不動産、海外通貨は、何かをきっかけに一斉に暴落してしまう恐れがあります。そのため、定期預金や国債への投資まで視野を広げるべき。投資先を1つに絞るのは避けた方がいいでしょう」
そもそも、安全な投資先などないと絶望的な見方をしているのは、慶大名誉教授の金子勝氏(財政学)だ。
「税率の算出方法の根拠にすら疑義を向けられているトランプ関税は、いつ、どのような結果を招くのか全く想像がつきません。悪影響は全世界に広がりかねず、安全資産と呼べる投資先はなくなってしまうでしょう。庶民が防衛策を講じるのは難しいと思います」
「輸入に頼らない国」に変わるしかない
専門家3氏が「対策は困難」と口を揃えるほどの異様な惨状ということ。こういう時は、国民生活を守るため、政府が対策を講じるしかないが、石破政権に何も期待できないのは明らかだ。
目下、政府・与党が検討しているのは、現金給付のバラマキである。与党内では高関税や物価高対策の一環として、一律3万〜5万円の給付案が浮上しているというのだ。
自民党の小野寺政調会長は「さまざまな意見を聞きながら、与党内でしっかり議論を進めたい。政府に一定の要請をすることは出てくる」なんて言っているが、参院選へ向けて国民の歓心を買おうとしているのは明らかだ。
石破首相も全閣僚で構成する「総合対策本部」で、国内産業への資金繰り支援など必要な対策を実施するよう指示を出した。
こんな“選挙対策”のバラマキや小手先の支援に意味があるのか。
「一時的な危機をしのぐ程度なら、給付や支援の意味はあるでしょう。ただ、トランプ関税は今後、大統領任期の4年間も続く可能性があるわけで、急場しのぎに効果があるとは思えません。本来、中長期的な視野でこの国の経済のあり方そのものを見直すような対策が必要です。関税の影響を避けるには、『輸入に頼らない国』に変わるべきでしょう。そのためには、エネルギーや、食料となる農産品の自給率を上げるしかない。同時に、外貨を稼げるような新たな産業を育てる。途方もない話に聞こえるかもしれませんが、そこまでしなければ日本の未来はないでしょう。政府は『日本だけ関税の対象から外して』とお願いしていますが、全く次元の違う話です」(金子勝氏=前出)
政府がこんな体たらくでは、国民は救われないだろう。
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