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(1)政府のメンツがコメ不足を覆い隠す…農家「時給10円」の苦境を放置 令和のコメ騒動の深層
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/370135
2025/04/07 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
昨2024年夏は店頭から消えた(C)日刊ゲンダイ
「令和のコメ騒動」が収まらない。政府の「コメは足りているのに流通がコメを隠した」という説明は本当なのか。流通悪玉論で目くらまし、根本原因に目を背け続ければコメ不足は常態化する。国内生産はさらに激減し、安く輸入できる時代が終わった今、日本人が飢餓に直面するリスクは加速していく。これから数回にわたり、深刻な事態の進行を解説する。
◇ ◇ ◇
生産が「過剰、過剰」と言われ、5キロあたり2000円くらいだったコメが昨年から、どんどん値上がりし始めた。主たる要因として@2023年の猛暑による生産減少Aインバウンド需要の増加B海外輸出2割増C南海トラフ地震「注意報」による買いだめ──などが挙げられた。
とりわけ猛暑による減産・品質低下と訪日客急増による需給逼迫が主因と言われたが、筆者は常に「猛暑やインバウンドのせいにして、問題の本質を覆い隠してはならない」と警鐘を鳴らしてきた。
根底には稲作農家の苦境がある。肥料代などの経費を除くと平均所得は1万円。平均労働時間で割ると「時給10円」だ。農家を窮乏に追い込む「今だけ、金だけ、自分だけ」の「3だけ主義」のコメ取引とコスト高に対応できない政策の欠陥こそが、根本的な要因なのである。
政府は「24年産の新米が市場に十分に出回ってくれば、価格は落ち着く。コメは足りている」と繰り返したが、逆に米価は上昇し続けている。この間、筆者は「当面、需給の逼迫が緩和されたとしても、長期的には政策の失敗の是正をしないと、コメ不足が常態化する」と説明してきた。
「令和のコメ騒動」に対応できないワケ
多少の需給変動がきっかけで、大きなコメ不足が顕在化してしまう根本原因は@農家への減反要請A水田の畑地化推進B過剰理由の低米価Cコスト高でも農家を支援しないD政府備蓄の運用の不備──などである。
生産過剰を理由に@生産者に生産調整強化を要請し、A水田を畑にしたら1回限りの「手切れ金」を支給するとして田んぼを潰す。B小売り・流通業界も安く買いたたき、C政府は赤字補填を放置しているから、稲作農家は苦しみ、コメ生産が減ってしまうのだ。
さらに政府がD増産を奨励し、コメ備蓄を増やしさえすれば、その放出で需給調整できるのに、それもやらない。だから、「令和のコメ騒動」に対応できないのである。
しかも90万トン程度の備蓄はあるのだから、放出の用意があると言うだけで、市場は安定化したはず。それなのに、政府は当初、価格対策としての放出を否定。需給調整は市場に委ねるべきだとし、コメを生産過剰時に買い上げて不足時に放出する調整弁の役割を担おうとしなかった。
大きな理由は、まず「コメは余っている」として減反政策を続けてきたのに、備蓄米放出で「コメ不足」を認めたら政策の失敗を認めることになり、政府のメンツが潰れるからだ。さらに、地震など、よほどの事態でないと主食用の放出は実施しない方針が決まっており、「この程度」ではできないということ。要は、とにかく「コメ不足」を認めたくなかったのだ。 (つづく)
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https://www.nikkan-gendai.com/articles/columns/4587
鈴木宣弘 東京大学教授
1958年、三重県生まれ。82年東大農学部卒。農水省、九州大学教授を経て、06年から東大教授。専門は農業経済学。「食の戦争」(文芸春秋)、「悪夢の食卓」(角川書店)など著書多数。
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