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※紙面抜粋
※2025年4月7日 日刊ゲンダイ2面
トランプの暴挙で恐慌か、戦争か…世界が固唾をのむ今後
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/370131
2025/04/07 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
算出方法もいい加減(C)ロイター
一人の男にたった1日で破壊された世界秩序と歴史の教訓。トランプは手術後の一時的混乱と嘯くが、その真偽と今後を専門家はこう見ている。
◇ ◇ ◇
たった一人の男がたった一日で世界の秩序、市場を破壊してしまう。さながらSF小説のようなことが現実に起こり、世界を揺るがしている。言うまでもなく、狂乱トランプ大統領の絨毯爆撃のような関税政策のことだ。
今月2日(日本時間3日)、トランプは全ての国・地域の全輸入品に対し、一律10%の相互関税を適用し、日本など60カ国・地域に対してはさらに20〜49%を上乗せすることを発表した。
この瞬間、世界はハッキリ認識したのではないか。この男がマトモではないことを。
米国ウオッチャーとして知られる双日総合研究所チーフエコノミストの吉崎達彦氏は「2月28日と4月2日でトランプ大統領の評価は定まった」と言った。2月28日とはホワイトハウスでゼレンスキー大統領をドーカツした日だ。
あのときも全世界が「コイツ、大丈夫か」と思ったものだが、今回で「やっぱりダメか、となった」(吉崎達彦氏)という。淑徳大大学院客員教授の金子勝氏(財政学)は「トランプ大統領は暴君ネロのようになってきた」と言った。
「だって、こうして関税を課したところで、米国経済には悪影響しかないんですよ。巨額の関税を課すことで輸入品の価格が上がれば、物価上昇、インフレは避けられず、景気が後退するスタグフレーションになっていく。それなのに、なぜ、こんなバカげたことをやるのか。民主主義も含めたあらゆる秩序を破壊することによって、絶対的な王国をつくりたいのでしょう。彼は刑事訴追を恐れて、民主党的なものを一掃しようとしている。そこには自由貿易だけでなく、司法の独立や報道の自由も含まれる。まさしく、そこが暴君なのです」
石破首相はトランプ関税を課せられたことを「国難」と表現した。「国難」なんて、敵に攻め込まれたり、天災などの際に使う言葉だ。石破もまた、トランプを「マトモな人間」と見ていない証拠だろう。
この先、世界はどこに向かうのか。その先に何があるのか。相手がマトモじゃないことを前提に、分析、対応することが必要だ。
この程度の株安はまだ序の口
まず、トランプの関税宣言後、世界の市場は大混乱だ。
NYダウは4万ドルを割り、東証は3万4000円割れ。独DAXが5%安、仏CAC40が4.3%安、英FTSE100が5%下落と、世界中のマーケットから悲鳴が上がっている。
それなのに、狂乱大統領はいい気なものだ。
「まあ、(アメリカが)重病の患者である以上、予想されたことだ。アメリカ経済は、6日、手術を受けた病人なんだ。今後、好景気に沸くだろう」などと嘯いていたが、もちろん、虚勢だ。市場関係者は「報復関税合戦になれば、さらに底値を探る展開」(市場関係者)と身構えている。
米金融大手JPモルガン・チェースは「年内に米国および世界経済が景気後退に陥る可能性は60%」というリポートを出した。
みずほリサーチ&テクノロジーズは米国のGDPはマイナス1.3%とはじき、「関税を加味した輸入物価は前年比+26%超。短期的には景気下振れと物価上昇により、スタグフレーション的状況になる」と分析した。
ちなみにドイツのGDPは0.6%減、日本は0.8%減、中国は1%減、ベトナムは3.1%減。ここに報復合戦が始まれば、さらに消費は落ち込み、景気は底割れしてしまう。
さっそく中国が34%の報復関税を宣言したが、そうなれば、米国はさらに関税を上乗せする。報復合戦の連鎖である。そうすれば一層、市場からマネーが引いていく。
一連の株安はまだ序の口と見ていた方がいい。
勝者なき貿易戦争は「いつか来た道」
市場はボー然(C)ロイター
そうなると、今後の世界経済はどうなっていくのか。米国のスタグフレーションは避けられず、世界同時不況、もっと先の恐慌まで行くのか。先の大戦は、世界恐慌、保護主義の台頭、貿易戦争が背景だった。言い知れぬ不安が頭をもたげてくる。
前出の金子勝氏は「世界恐慌になるかは軽々に判断してはいけない」と言いつつ、「世界同時不況には備えなければならない」と断言した。
「今度の関税は中国34%、ベトナム46%、タイ36%でしょう。前回の米中貿易戦争の際、中国は東南アジアへの迂回ルートを拡大させたが、今回、トランプ大統領はその迂回路も封じ込めようとしているように見える。世界の経済圏が分断されることになり、一気にきなくささと不安を感じています」
EUへの関税は20%だが、こちらも完全に「戦闘モード」だ。
仏のマクロン大統領は「20%の関税は残酷で根拠のないもの」と切り捨て、「今後、予定されているアメリカへの投資計画は、問題が解決するまで中止すべきだ」とまで言い切った。フォンデアライエン欧州委員長は「第1弾の対抗パッケージを決定済み。さらなる対抗措置も準備中」と断言。カナダのカーニー首相は「アメリカとの統合を着実に深めてきた古い関係は終わった」とし、自動車への報復関税を明言した。
米国は世界中を敵に回したも同然で、孤立化している。そこにもってきて、自国の経済も揺らいでいるのだから、不安要素ばかりだ。勝者なき不毛な貿易戦争が「いつか来た道」にもなりかねない。
トランプ以上の知恵モノは受け入れられない
大体、トランプ大統領は他国に「略奪されてきた」というが、強欲資本主義の代表者として、一人勝ちしてきたのが米国だ。国内で格差が拡大したのは行き過ぎた新自由主義の必然なのである。それなのに、その代償を外国の関税に求めるなんて、むちゃくちゃな話だ。
しかし、トランプは自分の考え方に共鳴し、自分に忠誠を誓う者しか寄せ付けない。かくして、むちゃくちゃな論理が通ってしまう。
「トランプ大統領は自分の知性を超える人間を寄せ付けないのです。そこにトランプ政権の“知性の限界”ともいうべきものがある。米国の格差解消は米国内での所得の再分配で対応すべきなのに外国のせいにする。トランプ大統領は周囲をそうした考え方の人々で固めている。賢い人は大勢いるのに、あり得ないような理屈と政策が出てくるのはそのためです」(吉崎達彦氏=前出)
いくらマーケットが反乱を起こしても、トランプが自身の非を認めることはないのだろう。ここもまた、悲劇的なのである。
自動車一本足打法の日本は打つ手なし
こうしたトランプ暴挙に対して、石破政権は「日本だけ勘弁してくれ」とトランプとの電話会談を模索している。
その一方で、全国に1000カ所の相談窓口を設置、中小企業の資金繰りなどを支援すると言っているが、付け焼き刃だ。電話会談したところで「土産物は何だ?」と足元を見られるのがオチである。
「安倍派の残党政治家は“安倍さんが生きていたら”などと言っていますが、これも妄想です。2期目のトランプ政権は1期目と決定的に違う。自由貿易の旗手だった米国、民主主義のシンボルだった米国、世界の警察の役割を果たしていた米国、すべてを自ら壊そうとしているのです。日本は気が付けば輸出100兆円のうち、自動車が17.3兆円、それも米国向けが5.8兆円という自動車一本足打法の国になってしまった。歴代自民党政権の経済失政によるものです。そこに関税をかけられたら、凄まじい打撃になる。かといって、安倍政権の時のように武器を爆買いして、取り入ろうにも財政が持たない。ガンジガラメで打つ手なしです」(金子勝氏=前出)
狂乱トランプにカード一枚すらない日本の惨状。歴代自民党政権の失政もまた国難というべきで、国民は踏んだり蹴ったりだ。
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