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※2025年3月27日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2025年3月27日 日刊ゲンダイ2面
石破首相は解散命令に関する取材を拒否(旧統一教会は徹底抗戦の構え=右、田中富広会長)/(C)日刊ゲンダイ
選挙で散々世話になり、教団と二人三脚で歩んできたのが自民党。解散命令に石破首相はコメントすら出せなかったが、いまなお、真相解明に目をつむり、被害者へも寄り添えない政党に公党の資格があるのか。企業・団体献金を巡る対応を見ても、この政党は存在理由を問われている。
◇ ◇ ◇
被害の長さ、大きさ、深刻さを考えれば至極当然だ。文科省が請求を申し立ててから1年5カ月。東京地裁が統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の解散を命じる決定を出した。民法上の不法行為を理由とするのは初めて。オウム真理教など過去2例は、いずれも幹部が起こした刑事事件が根拠となっていた。
「類例のない甚大な被害」「勧誘行為自体が教団の教理の実践」「組織体質を大きく変える根本的対策が講じられたとは言えない」──。116ページに及ぶ決定文には、高額献金被害に対する教団の責任を厳しく批判する言葉が並ぶ。
決定では、教団信者が1980年以降、困難な事情を抱える人たちに「霊の因縁などが原因で、解決には献金が必要だ」と伝え、多額の献金勧誘を全国規模で展開していたと指摘。被害規模は民事訴訟の判決や和解、示談も含めて少なくとも1500人以上、約204億円と認定した。
献金のために借金し生活できなくなる人が続出するなど「深刻な影響を受けた人が相当数おり、結果は重大だ」と糾弾し、違法な献金勧誘によって収入を得て税制上の優遇も受けていることから「法人格を与えたままにしておくことは極めて不適切。解散を命じることは必要でやむを得ない」と結論づけた。
教団側は「国家による明らかな信教の自由の侵害だ」(田中富広会長)と猛反発。即時抗告する方針だ。続く東京高裁が地裁の判断を支持すれば、その時点で解散命令の効力が生じ、教団は宗教法人格を失う。法人税や固定資産税の非課税など税制上の優遇措置も受けられなくなるのだが、遅きに失した感は拭えない。
「もっと早く(解散命令の)請求が行われれば、これだけ多くの被害者が出ることはなかった」
統一教会問題に携わってきた全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の木村壮事務局長はそう苦言を呈していたが、多くの国民も同じ思いではないか。
60年以上に及ぶ「いびつな共存関係」
教団を巡っては80年代から霊感商法や献金強要の被害申告が相次ぎ、90年代前半には著名人の「合同結婚式」参加がワイドショーを賑わし社会問題化していた。全国弁連も90年代から解散命令を請求するよう繰り返し国に申し入れてきたが、国は一顧だにしなかった。
なぜ問題を直視しなかったのか。その理由は既に白日の下にさらされている。長く政権を担い続けた自民党と統一教会の蜜月関係である。
教団が日本で宗教法人として認証されたのは64年。本部を置いたのは、安倍元首相の祖父・岸信介元首相の東京・渋谷区南平台にあった自宅の隣だ。岸は68年に発足した教団の政治団体「国際勝共連合」の発起人にも名を連ねていた。
ルーツは実に60年以上前にさかのぼる自民と教団の癒着関係。背景には「反共」の理念があるというが、タテマエに過ぎない。しょせんは選挙のためで、全国8万〜10万票とされる組織票に加え、無報酬のボランティアたちが熱心になって働く。22年参院選で井上義行参院議員が教団の支援を受け、当選。「投票用紙の2枚目は〜?」「いのうえよしゆき〜!」という集会の熱狂を記憶している向きも多いはずだ。
選挙支援と引き換えに、議員側は具体的な政策について賛同を求められる「推薦確認書」に署名。政治がゆがめられることすら顧みず、恥じることなく進んで教団の広告塔となり、カルト教団の組織ぐるみの違法行為に長年、お墨付きを与えてきたのである。
22年7月の参院選の最中、教団に恨みを持つ山上徹也被告が放った銃弾により、安倍が横死していなければ、今なお「いびつな共存関係」は続いていたに違いない。
カルト放置の重い責任に反省なし
あの凶弾がなければ…(山上徹也被告)/(C)日刊ゲンダイ
歴代の自民党政権は、教団に虐げられてきた被害者の上により立っていた--。違法カルト教団との癒着を国民は許さず、当時の岸田政権の支持率は急落。世論に押される形で、今回の解散決定に至る調査を始めたが、身内にはとことん甘い。
統一教会との癒着・もたれ合いが一挙に明るみに出ても、自民党内の総点検調査は1回こっきり。当時の所属議員の約半数にあたる180人が接点を認めたものの、あくまで自己申告どまり。その後も新たなつながりが表面化するたび、追加報告でお茶を濁し、再調査に応じる気配はゼロだ。
そもそも、最もズブズブだった安倍は調査の対象外。教団票を差配したとされる安倍の役割は闇の中だ。組織的カルト集団を長く放置してきた政治責任の重さを痛感し、反省しているそぶりはみじんも感じないのだ。
しかも今回の解散命令はまだ一里塚。被害者救済にはなお課題が残る。地裁は判決文で、22年度末時点での教団の「総資産」を1100億円余りと認定。うち7割ほどが現預金だったが、抗告後に教団の財産隠しや韓国本部への流出も懸念される。いざ解散が確定し、清算人が教団の金庫を開けたら、もぬけの殻。被害者の弁済に充てる資金が底をつく事態だってあり得る。解散後は財産目録などの書類を所轄庁に提出する義務もなくなるから、なおさら危うい。
また解散しても法人格を失うだけで、宗教団体としては存続できる。オウムが悪い例で現在も後継団体が活動中だ。統一教会の傘下に無数に存在する関連団体を通じた悪質な献金勧誘を許せば、元のもくあみである。
中毒を治すには大本から断たなければダメ
だからこそ、全国弁連などは被害者救済や監視強化の立法措置を政府に求めているのだ。さあ、ボールを投げられた石破政権はどう動くのか。その意気込みを語る石破首相のコメントを全国紙の隅から隅まで探したが、一向に見つからない。それもそのはず。解散命令決定を受けて内閣記者会が取材を申し入れたが、日程の都合を理由に断られたという。ア然だ。
「問題意識が低すぎます。統一教会を巡っては元信者やその家族の救済、『宗教2世』の人権侵害など問題山積です。立法措置と不断の監視が必要なのに、石破首相は人生の大半を奪われた被害者の苦しみに寄り添うつもりはないのか。安倍政権時代に教団の名称変更を認めた経緯など、真相を究明する気もない。長年世話になった以上、とことん追い詰めるわけにはいかないのがホンネと疑われても仕方ありません」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
目下、国会で焦点となっている企業・団体献金の見直しについても、石破は後ろ向きだ。公明・国民民主両党がまとめた受け皿を政党本部と都道府県連に限定する「規制強化案」に難色を示し、あくまで自民提出の「公開強化案」に固執。自民案では年1000万円超の寄付をした企業・団体名を公開するが、その対象は国会議員関係政治団体のみ。自民の政党支部のうち7000を超える地域・職域支部は公開対象から外れるという抜け穴だらけのザル法を取り下げようともしないのだ。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)は、こう言った。
「統一教会も企業・団体献金も『票』と『金』とその力に違いはあれど、政治を歪めている点では同じです。自民党の政治資金団体『国民政治協会』に対する業界団体・大手企業の献金額は毎年24億円台に上り、さらに政党支部への献金額は約18億円。合わせて約42億円に達する企業・団体マネー中毒に、自民党はむしばまれています。この問題も統一教会との癒着と同様、ノラリクラリと風が過ぎるのを待つだけで、自浄能力は期待できません。カルト教団も企業献金も権力に近づいてくる。中毒を治すには大本から断たなければダメ。権力の座から退いてもらうのが最も効果的です」
いよいよ、自民党も百害あって一利なし。この政党に公党の資格はあるのか。解散するべきは統一教会だけじゃない。
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