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※2025年3月12日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2025年3月12日 日刊ゲンダイ2面
口先だけ(C)ロイター
トランプ大統領は「黄金時代が始まる」とうそぶいたが、早くも狼少年だったことが露呈している。
株価の下落、消費者指数の後退、インフレ懸念の上昇。
バカげた関税のツケは市場の疑心暗鬼を生み、賃上げもままならない日本も共倒れ。
◇ ◇ ◇
国公立大学の合格発表(前期)がピークを迎えている。入学したら、あんなこともこんなこともやりたい。難関入試をくぐりぬけた合格者は今ごろ喜びを噛み締めていることだろう。高校であれ、大学であれ、合格発表の時と登校初日は最も希望に満ちあふれ、ワクワクして楽しいものだが、この人も2カ月前は高揚とした気分を抱いていたのは間違いない。
2期目の政権をスタートさせた米国の第47代大統領ドナルド・トランプのことだ。
「国民の皆さん、アメリカの黄金時代が今から始まる。今日から、わが国は再び繁栄し、世界中で尊敬されるようになるだろう。我々はあらゆる国から羨望の的となるだろう」
1月20日にワシントンの連邦議会議事堂で行われた大統領就任演説は、こんな言葉で始まった。
「過去8年間、私は250年に及ぶ米国の歴史で、どの大統領よりも試練を受けてきた。その過程で多くのことを学んだ。我々の共和国を取り戻すための旅は容易ではなかった」
「近年、わが国は大きな苦境に立たされているが、我々は国を立て直し、かつてないほど偉大にする」
「メーク・アメリカ・グレート・アゲイン」――。列席したバイデン前大統領らが見守る中、顔を紅潮させ、勝ち誇ったように語気を強めていたトランプ。
それが今や世界の首脳だけでなく、世界中がその言葉が戯言だったことに気づき始めているのではないか。
トランプが目指す「グレート・アゲイン」とは
トランプは、大統領就任直後から数多くの大統領令に署名。さらに世界が仰天するような暴論に近い持論を次々とぶち上げた。
<合衆国最高峰の山として知られる「デナリ山」を「マッキンリー山」に改名する><パナマ運河は米国保有とすべきだ><グリーンランドをデンマークから買い取る用意がある><カナダは米国の51番目の州となるべきだ><中東ガザ地区はわが国が占有する>。さらに<温室効果ガスを抑制するパリ協定やWHO(世界保健機関)からも離脱する>
ざっと挙げただけでも、荒唐無稽な話ばかりで、トランプが目指す「グレート・アゲイン」とは一体何なのかと疑問を持つ人は少なくないだろう。
そもそも、多くの戦死者を出した先の大戦の反省と教訓から、「自国の利益を最優先するのではなく、民主主義的な手法かつ国際協調を重視した国家の形成に努める」という近代政治の重要性を最も強調し、世界の牽引役となってきたのはアメリカではないのか。
そのアメリカが自ら率先してルールを破り、放棄し、強大な軍事力を背景に関係国を揺さぶり、圧力をかけているのだから何をかいわんや。これで「アメリカは世界中で尊敬されるようになる。あらゆる国から羨望の的になる」などと、よくぞ言ったものだ。
埼玉大学名誉教授の相澤幸悦氏(経済学、金融論)はこう言う。
「トランプ氏の言うディール(取引)とは相手を脅し、良い条件を引き出すことですが、相手国と関税引き上げを繰り返すような状態になれば最悪でしょう。物価がどんどん上がるのは目に見えているからです。そもそもバイデン前政権も物価高を止められなかったことが失政の始まりでした。そんな状況をトランプ政権はまた招こうとしているのです」
「トランプ関税」で米経済がリセッションに陥る可能性
東京市場もトランプ・ショック(C)日刊ゲンダイ
「国を救う者はいかなる法律にも違反しない」
こんな発言が報じられた今のトランプはまさに中世フランスの絶対王政「朕は国家なり」の感覚なのだろう。
もはや「ならず者国家」の指導者と変わらないが、とりわけ、そのトランプが力を入れたのが「関税」だ。
早速、国境を接するカナダ、メキシコからの輸入品に25%の関税を発動。関税を引き上げれば価格が上がり、競争力が失われるから、嫌ならアメリカに工場をつくればいいという考えのようだが、販売価格が上昇すれば結局は米国ユーザーの負担が増すわけで、これが「黄金時代」の始まりになる経済政策とは思えない。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ、電子版)も「トランプ氏、最も愚かな関税に突入」と題した社説を掲載し、カナダとメキシコに対する関税発動を厳しく批判。関税の影響で米国の自動車価格が上昇する見通しであることを踏まえ、「これが労働者階級の有権者を支援する計画なのか」と苦言を呈したほどだ。
「トランプ関税」は米国のインフレ率を0.1〜0.3ポイント加速させ、中期的なGDP(国内総生産)水準を0.4%押し下げるとの試算もあるほか、アトランタ連邦準備銀行が算出した米国内の1〜3月期のGDP伸び率(年率換算)は前期比マイナス2.4%と見込むなど、「トランプ関税」を巡る不透明さは増すばかりだ。
日本にとってより良いディールにするのが重要
2月の米消費者信頼感指数は2021年8月以来の大幅な落ち込みを記録。10日のニューヨーク株式相場も、「トランプ関税」が景気に与える影響への警戒感から売りが膨らみ、ダウ工業株30種平均は前週末終値比890.01ドル安の4万1911.71ドルで終了し、終値としては今年最大の下げ幅になった。
株価の下落、消費者指数の後退、インフレ懸念の上昇……。バカげた関税のツケは市場の疑心暗鬼を生むだけ。関税政策の影響で米経済がリセッション(景気後退)に陥る可能性を問われたトランプは「やらなければならないのは強い国家をつくることだ。株式市場を見ることなどできない」と平静を装っていたが、どんなに強がって見せても、詰まるところ、「グレート・アゲイン」「黄金時代」はほど遠く、早くも狼少年の正体が露呈していると言ってもいい。
そして、そんなトランプ政権について、「メーク・アメリカ・グレート・アゲインそのものだった」などと感想を漏らしていた石破首相にもクラクラしてしまう。
米国は4月にも25%程度の自動車関税を発動するとみられ、実行されれば日本にとって現行税率の10倍規模に引き上げられるわけで、関連業界への影響も計り知れないだろう。
すでに市場は「トランプ不況」を織り込み始めており、きのう(11日)の東京株式市場も米国のリセッションを懸念して幅広い業種が売られ、日経平均株価は一時前日比1000円超も下落。昨年9月以来半年ぶりに3万6000円を割り込んだが、きょう発動される鉄鋼・アルミニウムに対する25%の関税措置についても、「日本を除外するという話にはなっていない」(武藤経産相)というから、今後もどれだけ下落するか分からない。
物価高に資源高、さらに賃上げもままならない日本も、米国のリセッションが現実味を帯びてくれば共倒れする可能性が高いだろう。
経済評論家の斎藤満氏がこう言う。
「トランプ氏の言いなりになっていては、日本経済も悪い方向に引っ張られてしまう。そうではなく、日本側の強みをうまく使えばいいのです。例えば鉄鋼(薄板)は日本の技術なくして世界の製品は作れないほど、品質が高い。そうした“武器”をトランプ政権に訴え、日本にとってより良いディールにすることが重要です」
無策の石破政権に国民が追い込まれるなんて冗談ではない。
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