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※2025年3月5日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2025年3月5日 日刊ゲンダイ2面
石破政権では打つ手なし…トランプの円安報復関税で庶民はズタズタ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/368582
2025/03/05 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
真一文字に口結んだままの固い笑顔、常にビビリまくり(C)ロイター
案の定、円安に嚙みついてきたトランプ大統領だが、日本政府がいくら否定しようと、この部分においてはアベノミクスの大罪だ。大企業のために円安、物価高を放置してきた「庶民の敵」政権はどう落とし前をつけるのか。トランプ不況で庶民は二度死ぬバカバカしさ。
◇ ◇ ◇
世界の懸念をよそに「報復関税バトル」の火ぶたが切られた。トランプ米大統領は4日、宣言通りメキシコ、カナダの輸入品に25%の関税を課す措置を発動。中国にも2月に課した追加関税に、さらに10%上乗せして20%とする大統領令に署名した。
中国政府は報復措置として米国産の鶏肉や小麦、トウモロコシなど740品目に最大15%の追加関税を課すと発表。10日に発動する。カナダ政府は300億カナダドル(約3兆円)相当の米国からの輸入品に4日から25%の関税を発動させ、3週間以内に1250億カナダドル相当の製品にさらに同率の関税を課す。メキシコ政府も報復措置を検討している。
トランプ関税の無軌道な発動を機に、早くも通商摩擦の激化が顕在化された格好だ。
メキシコ、カナダに生産拠点を置く日本の自動車業界には大逆風となり、各社とも両国生産分をすでに米国内に運んだり、サプライチェーンを見直すなど対応に追われている。トップランナーのトヨタ自動車では、昨年の世界販売台数のうち、米国が233万台と約2割を占め、53万台を日本から輸出。カナダとメキシコ両国の生産分を合わせると44%に上り、ザッと約100万台に25%の関税がかかる計算だ。
上乗せされた関税分を価格転嫁すれば、大衆車はまず買ってもらえなくなり、転嫁を避けて価格を維持すれば利益は上がらない。輸出の牽引役である日本の自動車産業には手痛いダメージだが、トランプは日本の金融・為替政策そのものにまで噛みついてきた。
政財界はこぞって円安後押し策を礼賛
「日本の円であれ、中国の通貨であれ、ドルに対して通貨を切り下げるとアメリカにとって非常に不利な状況をもたらす」
トランプは現地時間3日、日本と中国が通貨安を誘導してきたと主張。発言は関税強化策に関する報道陣の質問に答える流れで飛び出した。
嘘かまことか、トランプは「あなたの国の通貨を切り下げ、弱体化させ続けてはならないと、日本の指導者たちに電話で伝えた」と明かし、「解決策は関税だ。関税で埋め合わせをする」と語った。日本を名指しして「円安報復関税」をチラつかせたのである。
発言直後の米ニューヨーク外国為替市場では、対ドル円相場が1円ほど急騰。一時1ドル=149円台前半まで円高・ドル安が進んだ。その流れを受け、4日の東京株式市場では、関税発動への警戒感などから日経平均の下げ幅は一時900円を超えた。
トランプの恫喝に対し、加藤財務相は4日の会見で「(日本は)通貨安政策は取っていないし、先般の為替介入を見ていただければ、ご理解いただける」と反論。林官房長官も同様の見解を示した。実際、政府・日銀は2022年以降、総額20兆円近い規模で為替介入を計7回実施したが、いずれも通貨切り下げとは真逆の円買い介入で、行き過ぎた円安を是正するためのものだ。
一見するとトランプの批判は的外れだが、道理がないとは言い切れない。「異次元レベル」と称したアベノミクスの大規模な金融緩和で、円安・ドル高を後押ししてきたのもまた事実だからだ。
第2次安倍政権の発足後、新たに就任した黒田東彦総裁(当時)のもとで日銀が異次元緩和を始めたのは13年4月。前年夏まで1ドル=80円を突破していた円高傾向は一気に反転し、15年夏には120円台半ばまで円安・ドル高が進んだ。
円安効果で自動車業界などの輸出採算は好転し、安倍政権の発足直前には、ほぼ1万円台を割り込んでいた日経平均も、みるみる上昇。15年4月に2万円台を、21年2月には3万円の大台を突破し、昨年3月にはとうとう、平成バブル期を超える4万円台を突き抜けた。
安倍元首相は「アベノミクスが始まって行き過ぎた円高が是正された」と自賛。政財界がこぞって「異次元緩和が円安・株高をもたらし、景気を押し上げた」と喧伝し、アベノミクスを礼賛していたではないか。
130円台に戻らなければ逆鱗に触れる
シワ寄せはぜーんぶ庶民に。物価高に家系は火の車(C)日刊ゲンダイ
しかし円安後押し策は輸出大企業を潤わせた一方、下駄を履かせた分のシワ寄せを庶民生活に押し付けた。
とりわけ、22年のロシアのウクライナ侵攻以降、世界的なインフレショックが起こり、米国は抑制のために、利上げを繰り返した。マイナス金利を維持した日本との金利差により、ますます円安・ドル高が拡大。資材・原油などの輸入コスト上昇で物価はまたたく間に高騰し、実質賃金が一向に伸びない中、家計は火の車に陥って今に至る。
トランプは第1次政権時代にも「通貨やマネーサプライ(通貨供給量)、通貨安誘導を利用し、我々を出し抜いている。日本がこの数年でやってきたことを見てみろ」と名指しで痛烈批判。円安噛みつきは案の定だ。
日本政府がいくら否定しようと、輸出大企業のために円安・物価高を放置してきた部分においては、アベノミクスの大罪は際立っている。安倍以降の歴代自民党政権は「庶民の敵」と言うほかない。経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「トランプ氏はドル高を毛嫌いしています。米国は、輸入が輸出を大きく上回る消費大国。一般的には輸入価格を抑えるドル高の方が好都合です。ところが、トランプ氏は貿易赤字を『負け』と捉え、他国が悪さをして貿易に勝利しているとの偏見に満ちています。その『悪さ』のひとつが日本の金融緩和で、もはや説得を試みても無理。植田日銀は慎重に緩和の手じまいを進めていますが、現状の半年に1度利上げする悠長なペースでは、トランプ氏は納得しない。過去に『1ドルは100円でいい』と語っており、せめて130円台の円高まで戻さなければ、いつ逆鱗に触れ、報復関税を仕かけてくるか分かりません」
虎の子の新NISAも焦げつく報復関税バトル
いざ報復関税を課されれば、アベノミクスで我が世の春を謳歌してきた輸出大企業は暗転。収益は悪化し、株価は下落するだろう。ましてや今後も鉄鋼・アルミ、自動車に加え、非関税障壁も対象にトランプの関税強化メニューは目白押し。その都度、関税の報復合戦が過熱していけば、世界の貿易は次第に滞ってしまう。トランプ関税発の世界不況も現実味を増すばかりで、その余波にいやが応でも庶民の暮らしは巻き込まれ、ズタズタになっていく。
「関税強化は米国内の物価高にはね返り、旺盛な消費意欲は減退の一途です。すでに兆候は表れており、アトランタ連銀は1〜3月期の米国GDPは年率2.8%のマイナス成長と推計しています。要因は個人消費の減少です。昨年12月に4万5000ドル超と過去最高値をつけたNYダウなど、主要株式指標も軒並み下落。問題は昨年スタートした日本の新NISAです。非課税枠の拡大で昨年の口座開設件数は前年比1.5倍、年間投資額は12.8兆円と前年の3倍に膨らみましたが、特に人気を集めているのはETFを含むドル建ての米国株です。米国株急落と円高・ドル安のダブルパンチで、虎の子の資産が焦げつきかねません」(斎藤満氏=前出)
まず円安・物価高放置で、次はトランプ不況で庶民は二度死にかねないバカバカしさだ。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。
「10年以上に及ぶ長過ぎた異次元緩和で、日本の産業構造はすっかり円安に慣れ切っています。その前提を改めるには相当なリーダーシップが必要ですが、今の石破首相に求めるのは酷です。目先の数合わせにあくせくし、長期的視野は著しく欠落。戦術的対応に終始しており、戦略の大転換は後回しでは打つ手なしです」
庶民の敵政権はどう落とし前をつけるのか。
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