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※2025年2月27日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2025年2月27日 日刊ゲンダイ2面
露骨なロシアびいきのトランプ米大統領に右往左往、何をいまさらだ(C)日刊ゲンダイ
露骨なロシアびいきを隠そうともしないトランプ大統領に、日本のメディアは「欧米に亀裂」と大騒ぎだが、何をいまさらだ。関税も含めて、右往左往の官邸・外務省の見方は大甘だったことになる。
改めて問われる、トランプを神のごとくあがめた首相の見識。
◇ ◇ ◇
予想通りの展開ではないか。
ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから3年の節目となった24日、国連安全保障理事会(15カ国)は米国が提出した「紛争の迅速な終結」を求める決議を10カ国の賛成多数で採択。しかし、決議は「侵略」や「全面侵攻」といったロシアを非難する言葉が抜け落ちたことから、米ロが共に賛成した一方、英仏など欧州5カ国は棄権した。ウクライナ支持を打ち出してきたバイデン前政権からトランプ大統領に代わったことで、米国の態度はガラリと変化した格好だ。
安保理に先立って開催された国連総会(193カ国)の特別会合は、ウクライナとEU加盟国が主導した「ウクライナ領土の保全」と「戦闘停止」を求める決議を採択。日本を含む93カ国が賛成したが、米ロなど18カ国が反対し、中国など65カ国が棄権した。
その一方、米国はロシアへの配慮から「侵略」という言葉を使わない独自案を提出。こちらは、採決前に欧州側が文言の修正を提案し、「侵攻」や「ウクライナ領土の保全」が書き加えられた修正案が採択された。ところが、米国の国連臨時代理大使は「我々の狙いから遠ざかってしまう」と指摘。結局、提出者の米国自身が棄権する展開となってしまった。
同日にオンライン形式で行われたG7の首脳会議も、ロシアを非難する表現で調整が難航。侵攻から1年、2年に合わせたG7首脳の会議では、終了後すぐに首脳声明が発表されたのに、今回は出てこない状態が続いている。やはり、米国が「侵略」という文言を入れることに反対したのだという。
プーチン大統領とは蜜月
これに、日本の大メディアは大騒ぎ。露骨なロシアびいきを隠そうともしないトランプに、「欧米に亀裂」「米ロが接近」「亀裂鮮明」などと報じている。しかし、何を今さら、ではないか。トランプとプーチンが「蜜月」関係にあることは、誰もが知っていることだ。
昨年の米大統領選前には、トランプ本人が「ご存じのとおり、私はプーチン大統領とも非常に良好な関係を築いている。我々が勝利すれば、この問題を非常に迅速に解決できると思う」と言っていたほどだ。
決定的なのは、トランプが初当選した2016年大統領選で浮上した、ロシアによる選挙への介入疑惑だ。いわゆる「ロシア疑惑」で、トランプとプーチンの蜜月ぶりが垣間見えた。
例えば、トランプの長男が選挙前、ライバル候補の民主党のヒラリー・クリントン元国務長官に打撃となる情報を持ちかけたロシア人弁護士と面会していた。また、民主党全国委員会のコンピューターがサイバー攻撃を受け、電子メールが流出。ヒラリー陣営に大ダメージとなり、結果的にトランプを利する形になったが、背景にロシアの存在があったことも分かっている。
「トランプを支援」ホワイトハウスに寄せられた重大情報
トランプ米大統領(右)に向き合ったマクロン仏大統領(C)ロイター
この問題を巡っては、国際ジャーナリストの春名幹男氏の著書「世界を変えたスパイたち ソ連崩壊とプーチン報復の真相」(朝日新聞出版)に衝撃的な記述がある。
16年大統領選の約3カ月前の同年8月、米情報機関CIAからホワイトハウスに、ある内容を記した「アイズオンリー」(閲覧して返却する機密性の高い)文書が届いた。その中身は、@プーチン大統領は米大統領選への介入を自ら指示した。サイバー攻撃で混乱を起こして、選挙に対する信頼性を失わせるよう命じたAプーチン大統領の目標は民主党候補、ヒラリー・クリントン前国務長官を打倒するか、ダメージを与えて、トランプ候補の当選を支援すること──、という2点である。米紙ワシントン・ポストがスクープしたという。
この重大なCIA情報は、クレムリン(ロシア大統領府)の中枢に潜む米国側のスパイからもたらされた。プーチンの机上にあった文書をのぞき見るなどして得た情報をCIAに通報したようだ。
NATO(北大西洋条約機構)の拡大を阻止したいプーチンとしては、「NATO脱退」を示唆するトランプに大統領になってもらった方が好都合というわけだ。
「民主党全国委員会へのサイバー攻撃以上に威力を発揮したのが、SNS工作です。虚偽の陰謀説をSNSに書き込み、大量に拡散する、一種のプロパガンダです。ロシアは米大統領選の2年前の14年から工作を開始。女性工作員2人が米国に入り、多数のSNSアカウントを立ち上げ、『ドナルドはテロの打倒を求める。ヒラリーはテロのスポンサーだ』といった偽情報を流し続けたのです。主導したのは『インターネット・リサーチ・エージェンシー(IRA)』という工作機関。創設者は、ロシアの民間軍事会社ワグネルを設立し『プーチンの料理人』の異名をとった故エフゲニー・プリゴジン氏です。IRAが設けた20のフェイスブックのページは3900万の『いいね』、3100万の『シェア』が付き、約1億2600万人に届いたといわれます」(春名幹男氏)
事実上の“選挙支援”を受けていたトランプが、プーチンに配慮するのは当然の流れだろう。
石破首相で「ディール」に勝てるのか
要するに、今回の国連安保理や国連総会での決議を巡り、米ロが接近したのは当たり前の展開というわけだ。分かり切っていたはずなのに、大騒ぎの大メディアはどうかしているが、さらに情けないのは石破政権だ。
石破首相は表向き「いまだにロシアによる侵略が継続していることを改めて非難し、戦いを継続しているウクライナの勇気に心から敬意を表したい」と言ったが、内心は大慌て。右往左往しているようだ。
26日の朝日新聞によると、G7首脳会議の首脳声明の取りまとめが難航していることに、外務省幹部は「どうなっているのか分からない」と困惑。国連安保理での関連決議が「米中ロ」対「欧州」という結果になったことに、外務省内から「これまで聞いたことがない構図」と驚きの声が漏れているという。
石破は今月7日の日米首脳会談に向け、官房長官以下、政権幹部らが集まって「トランプ対策会議」を連日開いていたとされる。なのに、今回の一件は読み切れなかったというのか。まるでお笑いである。
元外務省国際情報局長の孫崎享氏はこう言う。
「石破首相は本来、ウクライナ問題についてトランプ氏の本音がどこにあるかを探るべきでした。ところが、トランプ氏に嫌われないためにはどうすればいいか、ということで頭がいっぱいだったのでしょう。ほとんど探れなかったから、今回、右往左往しているのだと思います。関税の問題にしても、今さら鉄鋼・アルミニウム製品への25%の追加関税の対象から日本を除外するよう求めていますが、遅きに失している。見立てが甘すぎたのではないか」
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)が言う。
「トランプ氏のもとで『世界の警察』でなくなった米国とは、多くの国が一線を引いて向き合っています。代表的なのはフランスです。24日にマクロン大統領がワシントンに乗り込み、『我々が望む平和は、ウクライナの降伏を意味するものであってはならない』とトランプ氏に釘を刺した。ところが、石破首相は『神様から選ばれた人物』と、あがめる始末。これでは、今後足元を見られ、トランプ流のディールで日本はむちゃを言われかねません」
こんな調子では先が思いやられる。
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