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出生数70万人割れ目前…想定より15年早く少子化が進んだ一因に自民党の「子ども手当」潰し
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/368361
2025/03/01 日刊ゲンダイ
「子ども手当」潰しに大はしゃぎしていた(C)日刊ゲンダイ
衝撃の数字ではないか。
厚生労働省が27日公表した人口動態統計(速報値)で、2024年に生まれた子供の数が72万988人と、9年連続で過去最少を更新したことだ。前年の速報値から3万7643人(5.0%)減り、70万人割れは目前だ。
国立社会保障・人口問題研究所が23年に公表した将来推計人口では、年間出生数が72万人台になるのは2039年だったから、想定を15年も上回るスピードで少子化が進んでいると言えるだろう。
日本の年間出生数は1975年に200万人を割り込んでから減少傾向が続く。国は昨年、「改正子ども・子育て支援法」を成立させ、児童手当の所得制限を撤廃。支給期間を拡大したほか、第3子以降への加算も倍増するなど少子化対策の整備を急いでいるが、効果は分からない。
世界でも際立つ日本の少子高齢化。国会質疑でも度々取り上げられているが、悔やまれるのは、2009年に誕生した旧民主党政権が少子化対策の目玉として打ち出した「子ども手当」が撤廃に追い込まれたことだろう。
旧民主党は当時の衆院選マニフェスト(政権公約)で、中学卒業まで1人当たり月2万6000円を支給する「子ども手当」の実施を明記。政権交代後の2010年6月から同1万3000円の支給が始まったのだが、その後、紆余曲折を経て制度自体の見直しを余儀なくされた。
石破首相も当時「子ども手当」撤廃を大きな成果とアピール
当時、「子ども手当」を最も強く批判していたのが自民党だ。故・安倍晋三首相は雑誌「WiLL」(2010年7月号)の座談会企画に登場。「子ども手当によって民主党が目指しているのは、子育てを家族から奪い去り、国家や社会が行う子育ての国家化、社会化です。これは実際にポル・ポトやスターリンが行おうとしていたことです」などと発言。
自民党政調会長だった石破茂首相(67)も2011年8月4日付の声明で、「バラマキ政策撤廃の第一歩。」と題し、こう書いていた。
「子ども手当の撤回は、家庭を基礎とする我が国の自助自立の精神に真っ向から反した『子どもは社会で育てる』との民主党政策の誤りを国民に広く示すこととなり、大きな成果であったと考えます」
「子ども手当」の政策をポルポトやスターリンと同じだと揶揄し、民主党政権の誤りを示した――などと誇らしげにアピールしていた結果が今の惨憺たる状況だ。
日本の少子化は想定より15年早く進んでいることが分かったが、「子ども手当」を潰すことに血眼になっていた自民党が15年前、今のように所得制限を撤廃するなどして「子ども手当」の拡充に協力して取り組んでいたら状況は変わっていたかもしれない。
「子ども手当」はバラマキなどと言って批判しながら、水面下ではせっせと裏金作りに励んできた自民党。「今だけ、自分だけ、カネだけ」という腐臭漂う党の体質が、この国から「子育て」の機会を奪い、超少子化を招く要因になった面は否めない。
◇ ◇ ◇
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