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※2025年2月18日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2025年2月18日 日刊ゲンダイ2面
密室協議ばかりで裏交渉、これが民主主義といえるのか(C)日刊ゲンダイ
大軍拡、がん患者切り捨てなど、刹那の手取りや教育無償化以外の部分が完全スルーの異常国会。
大メディアは今週が予算案通過のヤマ場などとお気楽報道をしているが、国会審議ではなく、与野党の政調や税調が密室で値段交渉の党利党略が果たして民主主義なのか。
◇ ◇ ◇
これが石破流の「熟議」なのか。
2025年度予算案を巡る与野党の攻防が注目されているが、目につくのは国会審議ではなく、与野党の政調会や税調による「密室協議」「裏交渉」ばかりだ。
石破政権は衆院で半数割れの少数与党の立場にある。そのため、予算成立のためには野党の協力が欠かせない。一方の野党は、そうした状況を受け、自らの要望を盛り込んだ予算案の修正に躍起になっている。
最も分かりやすいのは、高校授業料無償化を掲げる“ゆ党”の日本維新の会だ。現行の就学支援金制度では、年収910万円未満の世帯について公立、私立を問わずに年11万8800円が支給され、私立に関しては年収590万円未満の世帯に対し最大39万6000円が支給される。維新はかねて、所得制限の撤廃と、私立については支給上限引き上げを求めてきた。
17日の衆院予算委員会の集中審議では、維新の前原共同代表が質問。所得制限撤廃を行うのかと問うと、石破首相は「全世帯を対象に、年11万8800円の支援金支給について25年度分の収入要件を事実上、撤廃する」と答弁。支援金の上限についても「引き上げる方向になる」と、ほぼ“満額”回答している。
高校授業料無償化について、自公維3党の政調会長はこれまで、水面下で何度も協議。前原と石破が阿吽の呼吸だったのは、既に話がついていた案件だからだ。
「密室」に入った政党が増えただけ
弥縫策で取り繕い、幕引きを画策(福岡資麿厚労相)/(C)日刊ゲンダイ
自公はもうひとつの“ゆ党”である国民民主党とも「密室協議」を展開している。国民民主が求める「103万円の壁」の「178万円」への引き上げについて、昨年末から始まった自公国の協議は、自民が提示した「123万円」に対し、国民民主が不十分だとして突っぱねたため、ストップしていたが、ここへきて再開が決まった。
18日の午後、3党の税調会長が協議する。妥協案として「150万円」程度への引き上げが浮上しているという。
どいつもこいつも密室で「値段交渉」というわけだが、こんなやり方が許されるのか。「教育」や「税制」は国民生活を左右する重大事のはず。本来、国会という開かれた場所で審議し、その是非を問うべきではないのか。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「自公政権が少数与党になったことで、オープンな国会審議が活発化するとみられていましたが、結局は『密室』に入った政党が増えただけ、というのが現状です。維新も国民民主も、与党から『仲間に入れてやるからこっちに来い』と誘われて、喜んで密室に入ってしまった格好です。しかし、本来、議事録が残る場で議論すべきでしょう。密室では、本当に国民生活に資する施策が議論されていたのか、事後検証ができないからです。要するに、野党は参院選に向けたアピール材料が欲しく、自公は予算成立にこぎつけたい、ということ。国民不在もいいところです」
安倍1強時代と違って、活発な国会論戦が行われると期待されたが、フタを開けたら国会の景色はまったく変わっていないのだ。
永田町の論理に乗っかって与野党協議の行方を垂れ流すだけの大メディアも、どうかしている。
予算案を年度内成立させるには3月2日までに衆院を通過する必要がある。予算案の修正作業に1〜2週間かかるとされるため、「与野党協議は今週がヤマ場」などと報じているのだから、お気楽なものだ。本当は「密室協議」の是非を問うべきではないのか。
高校無償化と「103万円の壁」は小さい話
そもそも、“ゆ党”が掲げている刹那の手取り増や高校授業料無償化は、バナナの叩き売りのように、「123万円だ」「いや150万円」と決めるような話じゃないはずだ。この国の「教育」をどうするのか、「税制」や「富の再配分」をどう考えるのか。大きな議論をすべきではないか。それこそ「熟議」だろう。
確かに103万円の壁見直しで手取りは増える。しかし、年収別に減税額を比較すると、年収200万円の場合の減税額は約8万6000円だが、1000万円だと約22万8000円となっており、所得の高い人ほど恩恵が大きい。“金持ち優遇”などといわれるゆえんだ。
高校授業料無償化にしても、自治体独自で先行実施している東京都や大阪府では、公立の志望者が減少する「私立シフト」が起きている。新たに設ける支援が私立の多い大都市圏に偏ってしまう恐れもある。
もちろん、壁見直しも高校授業料無償化も実現するに越したことはないだろう。施策によって救われる人もいるに違いないからだ。しかし、議論しなければならない問題は他にもあるのではないか。
その筆頭は、がん・難病患者の負担増につながる「高額療養費制度」の見直しだ。政府は、自己負担上限を2年かけて段階的に引き上げる方針で、中所得者の場合、最終的にひと月当たりの負担が現行から5万8500円も跳ね上がってしまう。引き上げ率は70%超だ。
言うまでもなく、自己負担上限の引き上げは、がん・難病患者にとって、治療断念に追い込まれかねない死活問題。なのに、政府はロクに当事者の声も聞かず、社会保障審議会でたった4回議論しただけで決めてしまった。これも文字通りの「密室協議」と言えるだろう。
批判の高まりを気にしてか、福岡厚労相は今月に入って2回、がん患者団体などとアリバイ的に面会。長期治療が必要な患者への負担軽減を盛り込んだ修正案を示したが、どう見ても弥縫策である。直近12カ月以内に療養費制度を3回利用した患者が4回目以降は負担軽減される「多数回該当」という仕組みについて、上限額を現行から引き上げず、据え置きにするだけだ。
この程度で幕引きにしたいのだろうが、少なくとも、いったん「凍結」して、なぜ見直しが必要なのか、どんな影響があるか、国会で時間をかけて徹底議論すべきだろう。
野党第1党も情けない
政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。
「高校授業料無償化も壁見直しも一定の効果はあるでしょう。ただ、いかにも小さな話です。本来、国会では大所高所からこの国の将来を見据えた議論を展開すべき。目下、典型的な弱者切り捨ての高額療養費の見直しや、物価高対策、少子高齢化など、重要な課題は山積しています。何より、大軍拡を本気でこのまま進める気なのか。少数与党なのですから、野党は強い姿勢で臨み、予算の組み替えを求めるくらいの気概が必要です。維新の会や国民民主のみならず、野党第1党の立憲民主党も情けない。安倍政権以降、自民1強で『万年野党』が染みついてしまったのかもしれません」
石破は常々、与野党による「熟議」と「国民の納得」と口にしているが、何もかもが「密室協議」と「裏交渉」。これが、民主主義国家と言えるのだろうか。
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